Humanoid ~この恋は永遠に~ 38

  19, 2014 07:52


温かい体温に包まれ、心地よさを感じてついうとうとしてしまう。
後ろから僕を抱き締めたユノが、髪に鼻を擦り付けたり、首筋に優しくキスを落としたりする。
甘い微睡みが心地よく、このまま動きたくない。
だけど、僕にはまだやらなきゃならないことがある。
それは、これまでの僕等の関係にしっかりと決着をつけて、また新たに一歩を踏み出すために必要な事。

「ユノ……」
「ん?」
「ユノ・ユノに……会いたい」



ユノは、ヒチョルが働く研究所へ僕を連れて来てくれた。
ベッドの上で、ユノ・ユノは穏やかに眠っている。
僕は勿論、人間として存在するユノを愛している。
だけど、これまで僕と触れ合って温度を共有してきたのはユノ・ユノだ。
ユノ・ユノ自体に心が無くても、ユノと僕を繋いでくれたこのかけがえの無い存在を、ユノと同じように愛している。

「ユノ・ユノは……これからどうなるんですか」

僕の問いかけにヒチョルが答えた。

「処分すれば証拠隠滅になる。ユノ・ユノは俺が犯した罪の象徴だ。人間をブレインに利用する事も遺伝子情報を使用する事も、法律上認められていない……。俺自身迷っている」
「ヒチョル……」

ユノが、ヒチョルを不安げに見つめた。
ヒチョルには居なくなって貰っては困る。
僕はユノの恋人だけど、親友じゃない。
僕には僕の、ヒチョルにはヒチョルの役割がある。

「処分、してください」

ごめんな、ユノ・ユノ。
だけど、君はこれからもユノと一つだと信じてる。

「ヒチョルさん……僕とユノの事、これからも側で見守っていてください。お願いします」
「チャンミン……感謝する」

ヒチョルが僕に頭を下げ、同時にユノも僕に向かって頭を下げた。

「二人とも止めてよ。ヒチョルさん、言ったでしょ。僕は、ユノと会わせてくれた貴方に感謝してるって」
「チャンミン……」

もう恨んでなんていない。
今までの出来事は、ユノという存在に出逢うためにあった。
そう思えるから。

「今まで……ありがとう」

僕はユノ・ユノの前髪をそっとかきわけ、額にお別れのキスをした。









バイト終わり。
会社を出ると、ゲートのところにユノの姿を見つけた。

「あれ?どうして……」
「上司が、病み上がりだからって早く帰らしてくれたんだ」

ユノは今日、職場へ復帰した。
ネクタイを程いたワイシャツにスラックス。
初めて見るその姿にドキッとしてしまう。
そんな僕には気付かない様子で、ユノはにっこりと笑うと僕の肩を叩いた。

「おかえり」
「だから、まだ家じゃないだろ」
「はは。そうだな」



家につく間際、並木道に差し掛かった。
春に二人で過ごした頃は、桜が咲き淡いピンクに染まっていたこの道。
今は鮮やかな緑色に変わった。

「会社どうだった?」
「んー、今まで通り。何も変わんない。あ、でもホスト営業でもしてたのかって笑われた」
「そ、そうなの」
「まぁ、この髪型にスーツだからな」

大丈夫なのだろうか。
僕の我が儘のせいで、ユノは嫌な思いをしたかな。

「んな顔すんなって。別に何か煩く言われる訳じゃないし、あんま気にしてねーから」
「でも……もしユノが前の髪に戻したかったら、いいよ。髪が黒いユノも……その……凄く……か、格好よかったし」

ユノを見ると手で目の辺りを覆っていて、頬がほんのり赤かった。
僕に視線をちらりと寄越し、ユノは言った。

「お前……家帰ったら覚えとけよ」
「え、えっ……?」

これからの展開を想像してしまい、顔が一気に熱くなる。
赤面した僕を見て、ユノはふっと笑った。

「あ、あと……渡すもんあったんだ」

ユノはポケットに手を入れると、もう片方の手で僕の手を取った。
薬指に、きらりと輝くシルバーリングがはめられる。

「これ……」
「俺もつけてる」

ユノの薬指にも、同じリングがはめられていた。

「ユノ・ユノの胴体部分使って、ヒチョルに作ってもらった。皮下ってメタルなんだけど……あのまま処分するの、なんか嫌で……。お前寂しそうな顔してたし」
「そうなんだ……。凄く、綺麗」
「これからも、俺とチャンミンを繋いでくれるように」

まるでプロポーズみたいだ。

「ユノ……ありがとう。嬉しい……」

リングがはまった手を、胸元で握り締めた。
僕等はきっと大丈夫。
これからも、強い絆で繋がっていられる。

「あ、別にユノ・ユノに頼ろうってんじゃないぜ」
「何言ってんの。ユノ・ユノは、ユノでしょ」
「そっか、そうだよな……」

僕等は、また歩き出した。






この恋は永遠に叶わないはずだった。
桜の咲く季節にユノはやってきて、舞い散る桜と共に居なくなった。
一度は終わりを迎えたけれど、また新たに始まった。

この恋は永遠に続いていく。
僕らが生き続ける限り。






僕の隣には、今もユノがいる。









End



◇◇◇



はー……詰め込んだ感満載……(^^)
でもやっと書ききった!
すっきり!
コメントは後程……すみません。
後書きと次回の連載予告等々もupしたいです。





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Comment 6

NB  

ゆ○○ろうさま

★ゆ○○ろうさま
お久しぶりでございます。
くっついたり離れたり、いろいろご心配おかけしました。
これからは、おそろいのシルバーリングもあることですしきっと大丈夫です(^^)
温かく見守って頂きありがとうございました。

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さえ○んさま

★さえ○んさま
いつもありがとうございます。
長編になりましたがさえ○んさまがいつも応援してくださったので心強かったです。
うわーん、そんなに褒めて頂けて、本当やな頑張った甲斐がありました。

ユノ・ユノとしっかりお別れするのは必要だと思いました。
ちょっと寂しいけどいつも2人と一緒です。
リングがお守りみたいに二人の関係を守ってくれたらと思います。
二人への心のこもった優しいメッセージ、ありがとうございます。
新しい道をまた歩いていきますよー!
番外編ちょこちょこ書きますので、幸せな二人を是非感じて頂けたらと思います。

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NB  

あ○っちさま

★あ○っちさま
お久しぶりです。
turn overからずっと見守って頂いていたんですね……!
ありがとうございます(;_;)
Humanoidは辛いシーンばかりでしたが大丈夫でしたか?
まさかこんなに長くなるとは私自身思っていなかったです。
本編は終わりですが、その後の二人も沢山妄想しました。
なので、番外編不定期ですが書いて更新していこうかなと。
新連載も頑張ってまたはじめる予定です。

ご期待に添えるように頑張りますので、是非またいらしてくださいね。
ありがとうございました!

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