Humanoid ~この恋は永遠に~ 36

  15, 2014 23:15


テラスへ出て空を見上げると、鮮やかな青色が広がっていた。
ずっと雨の日が続いていたが、久しぶりに晴れた。
肌に感じる空気は、夏の臭いを含んでいる。

また季節が移り変わろうとしている。
だけど僕の心は暗かった。
ユノと最後に会ったあの日から、時が止まってしまった。
僕は相変わらず立ち止まったまま、一人取り残されたような気分だ。






休日だが何もやる気が起きない。
ベッドへ横になっていると、インターホンが鳴った。
誰なのか確認するのが億劫で、のろのろと玄関まで歩いて行くとそのままドアを開けた。

「こんにちは。ロボット販売のSwitch plusです」

スーツに身を包んだ男が笑顔で立っていた。
数ヶ月前と同じ展開にうんざりする。

「また勧誘ですか……」

ロボットはもう沢山だ。

「すいません、興味無いので……」

ドアを閉めようとしたその時。
閉まりかけたドアの隙間へ、脇から伸びてきた脚が強引に割り込んだ。
目の前にいる男の他に、もう一人居るのに気が付かなかった。

「な、何するんですかっ」

不自然な事に、その男は配達員の制服を着ていた。
見覚えのあるその顔を見て驚いた。

「ヒチョルさん……?」
「よう。入るぞ」
「あ……ちょっと!」

二人がかりで大きなダンボールを抱え、部屋へ上がり込んでくる。
状況が全く掴めない。

「あの、ちょっと待って……!一体何なんですか」

ヒチョルは僕の問いかけには耳を貸さず、部屋へダンボールを置くと包装を解き始めた。
スーツの男が改まって言った。

「シム・チャンミン様。今回は我社の不手際により多大なるご迷惑をおかけしました。お詫びの品を持って参りましたので、お受け取り下さい」

包装が解かれ現れたのは、ユノ・ユノがやって来た時と同じあの箱だった。
ヒチョルは、口の端をくいと上げながら言った。

「使用期限は、無限だ」
「え……」

箱の蓋に手がかけられ、中身が露になった。
そこには、ユノ・ユノが眠っていた。
明るく、緩めにウェーブした髪の毛。
筋肉質で逞しい身体。
完全に、あのユノ・ユノだった。
目をゆっくりと開きまっすぐな瞳で僕をじっと見つめると、ユノ・ユノは言った。

「初めまして、ご主人さま」
「ユ……ノ……?」

フリーズ状態の僕に、ヒチョルが言った。

「スイッチは無い。本物の人間だからな」

ユノ・ユノの肩をぽんと叩くと、ヒチョルは小声で言った。

「じゃあ、旨くやれよ」

ヒチョルはスーツの男を連れ、部屋から出ていった。
今目の前に居るのは、人間のユノ?

「どうして……」
「この髪型じゃないと嫌なんだろ。イメチェンしてきた」
「そん、な……」

僕のあんな言葉を受け入れて、ユノは完全なユノ・ユノになって帰ってきた。
ユノ・ユノじゃなきゃ嫌なんて嘘だったのに。
素直になれなくて、最期まで傷付けたのに。

「……く……ふっ……」

取り繕う事なんて出来ず、僕は溢れる思いのまま、身体を震わせて泣いた。
ユノが、優しく僕を引き寄せる。

「もう……会わない方がいいかもしれないと思った。でもやっぱりお前を諦められない。プライドもくそもなくて、ごめん」
「何で、何で謝るの……。ここに来たこと後悔してるの?ずっと待ってた……。ユノのこと……」
「チャンミン……」

背中に回ったユノの腕が、苦しい程に僕を締め付ける。
このまま離さないで。ずっと離さないで。

「ごめん……。ごめんユノ……。僕嘘ついた……。ユノの事、愛してる……。ユノが居なきゃ生きていけないくらいっ……」
「チャンミン……」

肩に埋めていた顔を上げると、唇を塞がれた。

「んん……ふっ……」

激しいキスに必死で応えながら、ユノの髪に指を絡めて僕の方へ引き寄せた。
唾液が混ざり合う程、夢中で互いを貪り合う。
名残惜しげに唇を離してから、額を寄せたままユノは言った。

「約束……守ったろ。“本当の人間になって会いに来る“」
「うん。うんっ……」

笑い合って、もう一度キスをした。



ユノは生きて戻ってきてくれた。
本当に約束を守ってくれた。
どんな時も力強く前を行き、僕を導いてくれるユノ。
薄暗い場所にとどまる僕を、何度も何度も明るい場所へ引き上げてくれた。
そんなユノに出逢えた事は、僕の生涯において最大の奇跡だと思う。

僕はもっと強くなろう。
もう二度と、ユノを離さないように。
そう、心に強く誓った。









◇◇◇



まだ続きあります。
皆様を期待させてはまた期待を裏切り……散々だったと反省しております。
このお話もあと2話で終わり。
出来はともかく書き終えられるのが大事かなーと思ってます。
そう思っておきます……(^_^)
コメントは後程お返しします。





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Comment 2

NB  

いち○っちさま

★いち○っちさま
はじめて、ようこそ。
返信たいへん遅れましてすみません(;_;)
ふたりは再会して無事結ばれました。
そんなにも喜んで頂いて、祝って頂いて、感謝感謝です。

お話終わると共にツアーも終わっちゃいましたね……
ツアー終わりとか寂しいですね……
淋しさを埋めたくて小説書きたい衝動を抱えてます(笑)
無理しない程度にお話更新致します(^^)

またお越しくださいね!

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