turn over 4

  09, 2014 22:31


普段は少し意地っ張りなお前。
でも抱き合う時は、いつもより素直になって甘えてくる。
俺は、そんな可愛い前を抱くのが好き。



かけがえの無い大切なメンバーから恋人に変わって、身体を重ねるようになって……
特に身体を開く側のお前は始め戸惑っていたけど、回数を重ねながら少しずつ慣れていくのが見ていて分かった。
そして今は、それが当たり前になった。
お前に「抱きたい」と言われたことは無いが、別にそれが不満な訳でもない。
けど、もし俺が抱いてくれと求めたら……

『え、ヒョン抱こうとして起つか不安です』

と、いつものはっきりした口調で言い返されそうだ。
そう想像し、苦笑したことはある。

『一人で笑って……気持ち悪』

そう言って、隣にいたお前は顔をしかめてたっけ。
だから俺は、まさかこんなことになるなんて思っても見なかったんだ。




















チャンミナが家に行くのを了承してくれたことを、俺は意外に思った。
急な申し出だから、断られると思っていた。
仕事を終え家を訪れると、ハイテンションな俺と対照的に、チャンミナは見るからに不機嫌だった。

「……お帰り」
「ああ、うん」

日中電話した時は、普通だったのに。
チャンミナは気分にムラがあるから、丁度それに当たっただけかもしれない。

「……何かあった?」
「別に」
「そ」

嘘つけ。
俺は心の中で呟いた。
しかし、無理に本音を引きずり出そうとすると逆上する恐れがある。
これは今迄の経験で学んだことだ。
放っておいて不機嫌が直るなら、それで構わない。

「ん、ビール」

缶が入った袋を差し出すと、怠そうな動きで手が伸びて来た。
空いた方の手で腕を引き、密着した身体を優しく抱き締めた。

「なあ、ただいま」
「それ、さっきも言った」
「そうだね」
「はは」

腕の中に収まったチャンミナが、少しだけ笑った。
良かった。多分、怒りの種は俺じゃない。






「あ、そういえば……この前作ったおかず全部食べた?」

ビール片手に、つまみを口に含みながらチャンミナは言った。

「食べたよ。うまかった」
「なるべく日持ちするやつにしたから大丈夫だったっしょ。冷蔵庫よく放置するからさ」

得意げな顔でそんな事を言う。
家に来た時に比べると、機嫌はだいぶ良くなったようだ。
俺のことを一番よく知っていて、何だかんだ言っても、ちゃんと尽くしてくれるチャンミナ。
きっと俺はもう、普通の女じゃ満足出来ないと思う。
俺は相談しようと思っていた一件を、今切り出すことにした。

「チャンミナ、暫く一緒に暮らさない?」
「え……」
「家にお前の服も下着も、全部あんじゃん。 何日か過ごして、また帰っても構わないから」
「どうしたんすか。急に」

チャンミナは、戸惑った顔で俺を見ている。
結論より理由を先に話すべきだった。

「打ち合わせん時、よくどっちかの家使うじゃん。そんでそのまま泊まるだろ。もう一緒に暮らした方が早いと思ってさ。忙しい間だけでも……」
「……ちょっと考えさせて」
「うん、いいよ」

何だか断られそうな気がするが、それならそれで仕方無い。
チャンミナにはチャンミナの生活スタイルがあるから。
再び料理を口に運んでいると……

「あのさ……」

チャンミナが、浮かない顔で話しかけて来た。

「ん?」
「俺って女みたい?」
「……何で?」

内容よりも、質問の意図が気になった。

「俺、ヒョンのために料理作って……女みたいじゃない?」
「別に……料理作るからってそれは無いだろ。うん、無い無い」

素直に本音を伝えた。
チャンミナは可愛い顔をしてるが、中身はまるっきり男だ。
俺に身体を開いたのが、奇跡だと思う程。
するとチャンミナの口から、ぽつりと本音が漏れた。

「俺が女役って、いつ決まったんだろ……」
「え?」
「そう見える?感じる?」

問いかけてくる目は潤んでいて、少しドキッとしてしまった。
珍しく弱ってるみたいだ。

「答えてよ」

何故こんな話題に執着するのか、全く読めない。

「なぁ、どうし……」

言いかけて、俺ははっとした。
弱っている原因は多分、この女に見えるとか女役がどうとか、そういう話。
もしかすると、今日初め不機嫌だった原因もこれかもしれない。
そして不機嫌だったのでは無く、傷付いていたのだと気付いた。

「お前はちゃんと男だろ。女みたいだなんて思ったことないよ」
「そうですよね、ヒョンは」
「どういう意味?」

この話題に関連した何かが、チャンミナを悩まている。
聞くなら今このタイミングしかない。
後回しにしたら、また何時ものように気持ちを明かされず終わってしまうだろう。

「なぁ、話してくれないか。何があった?」

チャンミナは俯くと、唇を噛んで黙ってしまった。

「何でも話せとは言わない。けど……俺に関することで悩んでるなら、抱え込まずに言って」
「…………」
「頑張って直すように努力するから」

すると、唇が微かに動いた。

「……う」
「え?」
「違う、ヒョンが悪いんじゃない!」
「チャンミナ……」
「それに俺達がどうにか出来ることじゃない……。これは、解決しようの無いことだ」

仕方ないことで俺は悩んでるんだと、チャンミナは顔を歪めた。
解決策がないなら、確かにどうにも出来ない。
頭がいいチャンミナが言うのだから、きっとそうに違いない。
だけど、話すことで楽になる時もある。
何より、俺達二人に関する問題を、チャンミナ一人が受け止めて苦しむのは違うと思った。
どうしようもなくとも、俺も一緒に事実を知りその苦しみを分かち合うべきだ。
俺達は、いつもそうしてきたんだから。

「それでもいい。話してくれ。これは俺の問題でもある」
「…………」

想いを込めてじっと見つめると、やがてチャンミナはゆっくりと口を開いた。











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