Humanoid ~この恋は永遠に~ 28

  27, 2014 19:46


※注意※
性描写を含みます。
少しでも嫌悪感のある方はご遠慮願います。
閲覧は自己責任で。










キスをする瞬間も、デートをしている時も最高に幸せだった。
だけど、研究室で過ごしているとどうしようもない罪悪感に襲われた。
チャンミンは今も、俺があの部屋で、あの街で過ごしていると思っている。
愛し合う関係になっても、チャンミンを騙し続ける自分が許せなかった。
でも、この真実は決して明かされてはならない。
チャンミンへの最大限の償いとして、俺に何が出来るか考えた。
残された期間は、生命維持に必要な行為以外は全て断ち、CTに綴じ込もって向こうの世界で生きる。
それくらいしか思いつかなかった。

「冗談はよせ」

俺が決意を伝えると、ヒチョルは低い声で言い放った。
怒るのは当然だ。
俺は自分の都合で、当初の計画を完全に無視しようとしている。
しかしどんなに勝手な事と解っていても、譲ることはできなかった。
臥床時間が長くなり俺の身体が弱っても、生きていれば後から持ち直す事は出来る。
だけど、チャンミンと向き合うことは今しか出来ない。

「ふたつの世界を生きるのは……チャンミンへの裏切りだ」
「今さらそれを言うのか?」

ヒチョル、ごめんな。
けど正直に話すよ。

「耐えられなくなったんだ……。好きだから」
「嘘だろ。考え直せと言ったよな?」
「正直な気持ちだ。本気でチャンミンを愛してる。告白して、恋人になった」

そう伝えた途端、ヒチョルは乱暴に髪を掻くと珍しく声を荒げた。

「どこまで勝手なんだっ!自分が何をしてるのか解ってるのか!?」
「ああ、解ってる。ロボットの役目は最後まで果たす。ヒチョル、頼む」
「そんな目で見るな!お前が……お前がその目をしてる時は、何を言っても聞かないだろ?」
「すまん」
「……勝手にしろ。その変わり俺は何一つ手を貸さない」
「ヒチョル……ありがとう」

今まで生きてきて、こんなにも恋に夢中になったことはなかった。
いつでも仕事や友人を優先してきた。
だけど、親友のヒチョルに苦労をかけても俺はチャンミンを大事にしたかった。
その日から俺は長い長い夢を見続けた。
生涯で一番甘く、切ない夢を。









「チャンミン、暖かいな」
「暑くない?」
「全然。気持ちいい」

狭いベッドの中毎晩くっついて眠り、隙があればいつも触れようとした。
こうして側に居れる時間が限られている事が、俺達には痛いほど解っていたから。
一日一日が過ぎる度切なさや苦しさが積み重なり、それを掻き消すように互いの温度を求めた。

「なぁ、いい?」
「いいよ。ユノ、触って……」

抱き合った状態から、覆い被さる様に体勢を変えた。
チャンミンが、期待を含んだ瞳で俺を見つめる。
少し乱暴に首筋に噛みつくと、チャンミンは眉を顰めて声を上げた。

「あぁっ、ん……。ユノ、痛い……」
「ごめん、こう?」

やんわりと歯を立てて舌を押し付けると、また可愛い声で鳴いた。
チャンミンをこうして組み敷いても、俺はいつも最後まで抱く事が出来ない。
チャンミンの中を触ったことはあるが、この身体の中心で貫いたことはない。
この身体は俺が操作しているが俺の身体じゃない。
それに本体は機械だ。
俺の物でもない、人間の物じゃない物体がチャンミンの身体に入り込んで傷をつけると思うと、抱く事が出来なかった。
この先、チョン・ユンホとしてチャンミンに触れる事は無い。
最後まで抱いて思い出にしてしまえば良いのに、馬鹿な俺。
だけど、いつだって自分の欲求よりチャンミンを大事にしたい気持ちが勝った。

「ユノッ……イッちゃう……あ……駄目……あー…っ」
「チャンミン、チャンミン……」

震える声を吸い込むように唇を重ねて、俺はチャンミンを擦る手を速めた。
もし奇跡が起きて、いつか人間の俺の身体でチャンミンを抱けたなら、幸せ過ぎて死んでもいい。



暗い部屋の中。
手を繋ぎながらぼんやりと天上を見つめていると、チャンミンが言った。

「僕……ユノが……本当に人間なんじゃないかと思う時がある」
「…………」
「願っちゃうんだ……。ユノが、本当の人間なら良いのにって」

事実を伝えられる訳もなく、俺は黙って身体を引き寄せ強く抱き締めた。
実はこれまで一度だけ、真実を話そうかと心が揺らいだ瞬間がある。
俺が処分されると聞いたチャンミンが、泣いているのを見た時だ。
実際は、ユノ・ユノの本体は処分されるが魂は生き残る様なものだ。
嘘の事実でチャンミンを傷付けている自分に苛立ったが、俺は元々犯罪を犯すのを承知でこの作戦に手を貸した。
好きになったからと言って、今更チャンミンへ事実を伝え苦しさから解放されようというのか。
卑怯だと思った。
それに、事実を話せばヒチョルを裏切る事になる。
最後まで罪を抱え続けるのが俺の運命であり、チャンミンを想った選択なんだろう。
結局、事実は一度も話さなかった。











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