Humanoid ~この恋は永遠に~ 25



少し遠くから、ぱたぱたと物音が聞こえてくる。
ゆっくりと起き上がると、朝の爽やかな空気が鼻を掠めた。
そのまま布団から抜け出し、風が入り込んできたテラスの方へ向かうとチャンミンが洗濯物を干していた。
俺に気付いていないらしく、背中を向けたまま振り向く様子がない。
伸びたり屈んだりする背中をぼんやりと見ていた。
身長は俺と同じ位高いが、体の線が細く華奢な印象を受ける。
無意識に、少し遠くの身体に手を重ねていた。
チャンミンの背中を覆うように。
何をやってんだ、俺は。
手をおろしてチャンミンに声をかけた。

「おはよ……」
「悪い、起こした?」
「いや……」

振り向いたチャンミンはいつも通りだった。
話す限り昨晩のように落ち込んでいる様子は見られないが、取り繕っているだけなのかもしれない。
チャンミンが昨日の出来事をなかった事にするつもりなら、俺もそうするべきなんだろう。
春風が、チャンミンの髪をふわりと揺らした。
少し長い前髪を指で掬い、耳にかけるその仕草から目が離せない。

「……綺麗だな」

思った事が、そのまま口に出ていた。

「うん。もう満開だ」

そうじゃない、お前が……

その台詞は心にとどめた。
チャンミンが見せる仕草や表情に、敏感に反応してしまう。
昨晩本音を聞いたあの時からずっと。
チャンミンは忘れてくれと言った。
だけど、忘れようとして忘れられる程簡単なことじゃない。
俺は、無かったことにしたくないのだろうか?






何をする気も起きない。
研究室でベッドに横になっていると、ヒチョルが声をかけてきた。

「どうした、浮かない顔だな」
「…………」
「また喧嘩か」
「いや、そうじゃねー……」
「告白でもされたか」

ヒチョルは冗談めかしてそう言ったが、普通なら男同士の話題でそんな言葉は出てこない。
はっとして身体を起こすと、俺はヒチョルを見つめた。
そんな俺の反応に、ヒチョルは顔色を変えた。

「まさか……されたのか?」
「ヒチョル、お前知ってたのか?チャンミンが……」
「…………」

ヒチョルは暫しの沈黙の後、頷いた。

「情報は把握していた。お前に知らせずに悪かった」
「何で言わなかったんだよ」
「シム・チャンミンの性癖を知ったお前が、共に暮らすことを拒否する可能性を考えた。今まで女としか付き合わなかっただろ。偏見を持つようなタイプじゃないのは知ってたが……断る可能性はゼロじゃないと思った。確実にお前を送り出したかった」
「要するに、隠してたってことか」
「……そうだな」

意図的に伝えなかったのが気に食わない。
チャンミンがゲイである事がどうこうじゃない。
計画に手を貸す俺に、ヒチョルが隠し事をするのは間違いだと思った。

「俺はお前を信用してこの計画にのったんだぜ。細かい事は気にしないで全部話せよ」
「悪かった。もうしない」

反省しているようだから、隠した事についてはそれ以上何も言わなかった。

「ヒチョル、俺もチャンミンとの事を隠さずに話す。告白はされてない。でも、恋愛対象として見てるって話は聞いた」
「概ね告白のようなもんだろう、それは」
「まぁ……」
「もう暫く辛抱してくれ。悪い」

その言葉に少し苛ついた。
チャンミンと居ることを、辛い事の様に言って欲しくない。
でも、ヒチョルは俺を思いやってそう言っただけだ。
そしてそれは恐らく、殆どの人間が抱く普通の感覚だ。

「別に辛くないから心配すんな」
「お前がしぶといのは知ってたが……凄いな」
「なぁ……男が男を好きって、そんなにおかしいか?」

ヒチョルは、少し驚いた顔で俺を見つめた。

「まさか……好きなのか?」
「…………解らない」

俺の肩を掴むとヒチョルは言った。

「ユノ、よく考えろ。正しい感情は何なのか。お前が一度信頼した人間にとことん優しいのはよく知ってる。シム・チャンミンは友人に等しい存在なのかもしれないが、本当に好きなのか?それは同情じゃないのか?」

同情は哀れだと思った奴にするもんだ。
俺は、男が好きなチャンミンを可哀想だと思ったことは一度もない。

「同情なんかしてない」
「ユノ、後でまた話を聞こう。それまで頭をよく冷やしておけ」

ヒチョルは呆れたように溜め息をつくと、デスクへ腰掛けて背中を向けた。
チャンミンが帰宅する時間が近づいている。
俺はもやもやした気持ちのままCTへ潜り込んだ。









◇◇◇



沢山の拍手、感謝です!こんなにもらっていいのかしら……
綺麗だな~のくだりのユノ、実は桜ではなくチャンミンを見ていたんです。
福井のレポ、にやにやしながら読んでいます。
そしてビギストHPのホミンさま格好良すぎてNB失神しそうです。
ユノは相変わらず格好いいけど……チャンミンなんかムンムンしてる!どう、どうしたの!?きゃ~っ
チャミペンに転びそうになり踏ん張るのは応援する限り続くのでしょうね。
もうホミンペン名乗ろうかな……
コメントは後々お返しします。





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2 Comments

NB  

さえ○んさま

★さえ○んさま
いらっしゃいませ、いつもありがとうございます!
色々と共感して頂き嬉しいです。
毎回思いますが、こんな文も設定も素人感満載の小説にお付き合い頂いて、本当に感謝
しています。ありがとうございます。
最初からホミンの気持ちの変化を整理しておけば良かったんですが、チャンミン視点書きながらぼんやり考えたユノの気持ちを書いているので手探り状態です。つまらなかったらすみません(T_T)
昔のチャンミン、本当に可愛いですよね!ユノは格好いい。
昔の二人も大好きですが、今の二人がより好きかなと思います。
年下っぽかったチャンミンが力強くなって、リーダーっぽかったユノが丸くなって。
ユノがチャンミンを頼ってる感じ、大好きです。
ユノを抱けるのはチャンミンただひとりだと思ってます!妄想の話ですが。
ダンスはちょっとだけ覚えてカラオケで踊ったりしてました。
でも、トンじゃなく比較的踊りやすいジャニーズとかで……トンはレベル高くて身につけられないと思います(笑)
どうでもよくないです!さえ○んさまの情報知れてとっても嬉しいです!
あ……なんかこの言い方気持ち悪いですよね?純粋に嬉しいです(^^)
私はまだまだ子供でして……実はチャミよりちょっと年下です。
なのにこんな事やってるもんですから、本当に色々と謝りたい気持ちでいっぱいなんですが。
勝手に暴露しましたが大丈夫でしょうか……
ドーム近づいて来ました。欲は出てしまいますね、やっぱり。
行けない人もいる訳だから、細かいことはあまり気にせず目一杯楽しんで参ります。
ミラクル願って頂いてありがとうございます!
さえ○んさまにも、ミラクルが起こりますように。
願っています\(^o^)/
それでは失礼します。

2014/05/19 (Mon) 19:15 | EDIT | REPLY |   

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2014/05/18 (Sun) 23:41 | EDIT | REPLY |   

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