Humanoid ~この恋は永遠に~ 24



ある日、チャンミンは俺に打ち明けた。

「僕……ゲイなんだ」

チャンミンは俺の反応を恐れるように俯いたまま、暫く顔を上げなかった。
少数としか関わりを持たず周りに対して閉鎖的なのも、これが原因と思うと腑に落ちた。

「だからかぁ。んな殻にとじ込もってんのは」

特に驚く事もなくそう返すと、チャンミンは呆気に取られたように俺を見た。

「別になんも悪いことしてないし、堂々としてりゃいいじゃん。人に言えない秘密なんて誰でも抱えてるし、皆平気なふりしてるぜ」
「……嫌じゃ、ないのか?」

チャンミンはゲイであることをコンプレックスに思っているようだが、俺は何とも思わなかった。
人によって受け取り方は様々だろうが、俺は人を想う気持ちを否定するのは間違いだと思う。
馬鹿らしい偏見のせいで、本当は純粋で優しいチャンミンが魅力を殺してしまっているのが、勿体無いと思った。

「嫌がって欲しかったのかよ」
「いや……そうじゃない」

聞こえてきた声は震えていた。
大きな瞳から、涙の粒が次々とこぼれ落ちてゆく。
こんなになる迄一人で抱え込んで、相当辛かったろう。
肩を抱いて慰めてやると、子供扱いするなと拗ねた。
それでも抵抗はせず、腕に収まっているチャンミンを可愛いと思った。
俺が話を聞くことでチャンミンが少しでも救われるなら、傍に居てやりたい。
この時は、友達を思いやるようにチャンミンに接していた。



翌日。
研究室で忙しそうに歩き回るヒチョルを見ていて、ふと思った。
ヒチョルはチャンミンがゲイだと俺に言わなかったが、情報の収集漏れだろうか。

「何だ、人の顔をじっと見て」

もしそうだとしても、チャンミンの知らないところで改めて確認するような事じゃない。

「……別に」

机に置かれたビーカーの中身が、うっすらピンク色に変わってゆく。
チャンミンの住む街の桜を思い出した。

「お前最近、シム・チャンミンの愚痴を言わないな」
「チャンミンはいい奴だよ」

窓から差し込んだ日の光に照らされて、ピンク色の液体がキラキラと光った。
もうそろそろ、あの桜の木も満開を迎えるだろう。









「ユノ、連れていきたいところがあるんだけど……」

ある夜、チャンミンに誘われてバーに出かけた。

「ここの酒、結構気に入ってるんだ。きっとユノの口にも合うよ」

毎日食事を用意してくれて、こうして店にも連れてきてくれる。
尽くさなきゃならないのは俺の方なのに、尽くされてばかりな気がする。

「チャンミン、俺に不満とかないの?」
「不満?」
「俺、チャンミンの部屋で好き放題してるし、簡単な家事しか出来ないじゃん」

するとチャンミンは、微かに顔を赤らめて言った。

「そんなこと気にするな。ユノといると楽しいし落ち着くんだ。僕は……ユノが居てくれればそれでいい」

ストレートな言葉が照れくさかったけど、チャンミンの気持ちが嬉しかった。
そして俺はつい、調子にのってしまったんだ。



普段そんな呑まないのに、何杯か頼んで結構酔っていたと思う。

「あー、おまえ今馬鹿にしたろ?」

話の途中、俺は身体が触れ合う程チャンミンに近づいた。
視線が絡むと、チャンミンは戸惑ったように目を反らした。

「ユノ……あんまり近づくな。言ったろ、僕は……」

そして、グラスを握りしめて俯くと小さな声で言った。

「お前だって、対称になり得るんだ……」
「……わ、悪い」

俺はその言葉の意味を理解して、チャンミンから離れた。
チャンミンがゲイであることを考えれば、自分が好意の対象になり得ると解った筈なのに……
チャンミンに言われて初めて、俺はそれを自覚した。
それからチャンミンとは何も話さなくなってしまった。
チャンミンの立場を汲み取れない自分の鈍さに腹が立ったが、それ以上に動揺していた。
友達のように思っていたチャンミンの目に、俺はそんな風に映っているという事に。



家へ帰るタクシーの中。
まともに話すことが出来ず、流れる町並みへ視線を投げているとチャンミンが口を開いた。

「気持ち悪いこと言って、悪かった」
「……いや」
「……忘れてくれ」

窓に映っているチャンミンの横顔を、こっそりと見つめた。
悩ましげな表情は、今まで感じたことが無いような大人っぽさを感じさせる。
そんな顔をさせているのは俺だと思うと、鼓動が少し早くなった気がした。









◇◇◇



たくさんの拍手、コメント感謝致します!
100超えとか嬉しすぎる……(/_;)更新がんばります。
コメントは本日中にお返ししますのでお待ちください。
てか、題名Humanoidですけど中身が人間となればもうただの人間同士の恋愛じゃないか。





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