doggy × doggy! 3



『会って間もない男に付いていったらヤバいよ。部屋はアウトだね。絶対ヤられる』

以前、大学の講堂で小耳に挟んだ女子逹の会話が頭を過る。
まさか今僕は、その当事者になろうとしている?



家に着くなり、ユンホさんはテプンとマンドゥイをリビングに放すと、僕を寝室へ案内した。
コートをかけるから部屋へ入ってと言われ、言われるまま足を踏み入れた直後。
扉が閉まる音に振り向くと、いつもと雰囲気が違うユンホさんが僕を見ていた。
あの柔らかい空気が消えていて、心がざわつく。

「ユンホさん……?」
「チャンミンさぁ」

口に手を当てて、ユンホさんはくすりと笑った。

「ほんとに単純だな」
「へ……?」
「ついてきて良かったの?」
「何、言って……」

一歩一歩僕の方へ近寄るユンホさんが何だか怖くて、僕は後退った。
とん、と背中が壁にぶつかる。
逃げ場はもうない。

「良かったのかぁ。お前、俺のこと好きだもんね」
「…………!」

その言葉が衝撃的過ぎて、声も出ない。
知っていたの?僕の気持ち。
一体いつから?
ユンホさんは、両手を壁について僕を囲いこんだ。
脚の付け根に、ユンホさんの膝がするりと入り込む。
ユンホさんは僕を襲うつもりだ。
これがユンホさんの本当の姿なのだろうか?
優しく穏やかなユンホさんが好きだった。
笑顔で僕に接してくれたあの姿が、偽物だとは思いたくない。
だけどもし偽物だったとしても、僕はユンホさんに失望出来ないだろう。
一度こんなにも好きになった人を、簡単に嫌いになんてなれない。

「いいです、僕……ユンホさんになら……」

恐くて、でも正直な気持ちをちゃんと伝えたくて、僕は鼻水を垂らしながら泣いて告白した。

「好きだから……後悔しない……う、うっ」
「…………」

ユンホさんは暫く黙っていたが、僕から離れると頭を掻きながら困ったように笑った。

「参ったな。変態ってブッ飛ばされると思ったのに」
「う、ぐっ……そんな事、しませんっ」

頬に伸びてきた手に、涙をそっと拭われた。
ユンホさんを見ると、いつもの優しい笑顔を浮かべていた。

「怖がらせてごめんね」

どうやら襲われはしないみたいだ。
ほっとしたら余計涙が溢れてきた。
僕の頬の涙を拭いながら、ユンホさんは言った。

「直ぐに食べちゃうのは勿体ないな。最後のデザートにとっておくよ」
「それって……どういう……」
「んー、ちゃんと段取りを踏んでってこと。まずは手を繋いで、抱き締めて、キスをして……それからだな」
「え、え……?」
「俺と付き合おう?チャンミン」

甘い囁きで頭が蕩けそうになる。
ユンホさんにそんな事言って貰えるなんて、夢みたい。
僕は魔法にかかったように、こくりと頷いてしまった。
彼の影を見てしまった気がしたけど、好きな気持ちは変わらない。
むしろ腹黒い一面もカッコいいと思ってしまう僕は、だいぶ重症なのだろう。






マンドゥイを抱えて車を降りると、振り返って運転席のユンホさんを見た。
今日から恋人同士。
幸せ過ぎて、頭がふわふわする。

「じゃあ、またね」
「はい、また」
「ね、チャンミン」
「はい」
「次からユノヒョンって呼んで欲しいな」
「ユ、ユ、ユノ……ヒョン?」

照れながら名前を呼ぶ僕を、ユンホさんはにやにやしながら見つめた。

「そうそ。あー可愛い」
「あんまり可愛い言わないで下さい」
「いいじゃん。本当のことだろ」
「もう、からかわないで」

ユンホさんは天然タラシかと思っていたが、もしかすると確信犯なんじゃないかな。
そんなことを思っていると、ワフッとテプンが吠えた。
半分開いた窓に両脚を乗せて、尻尾を揺らしながらマンドゥイを見ている。
マンドゥイも僕の腕から身体を乗り出したので、近付いて距離を詰めてやった。
二匹は鼻先をつんつんとくっ付け合うと、ペロペロとお互いの口を舐めた。

「あれ?こっちもいつの間にデキてたみたいだ」

ユンホさんはにこにこしながら、お前やるなぁとテプンをつついた。



ユンホさんと別れた後、周りに人が居ないのを確認して、僕はスキップしながら家の門をくぐった。
心なしかマンドゥイも機嫌がよさそうだ。
春の暖かい風が、僕とマンドゥイを包むように流れていく。
僕らに恋を運んできてくれたのは君かな?

ありがとう。

風が消えた青空を見上げ、僕は心の中で礼を言った。









END



◇◇◇



ちのお話では初の黒ユノさん。
ユノは純粋だから事実違うんじゃないかと信じているNBですが、こんな台詞をあのビジュアルで言われたら転がり回るなーというのを言わせてみました。
チャンミンにもこんな可愛いくてピュアな役やってほしい。
あの天使みたいなビジュアルにはまるとおもいませんか。
本編はこれで終わりですが、そのうち番外編を書きたいなーと。
番外編一話をたまにぽんとUPする感じで続けられたらいいな。
楽しく書けたのでよかった。
読んで頂きありがとうございました。
コメントは今日中に、後程お返し致します。





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