turn over 3

  06, 2014 01:25


夕方、俺は比較的早い時間に仕事を終えた。
仕事が終わって余裕があるなんて、本当に久し振りだ。
時間をもて余してしまいそうな気もしたが、丁度良かった。
夜にはヒョンが来る。
ビールも手に入ることだし、それまでつまみになるような料理でも作って、部屋も少し片付けよう。
私服に着替え終えた控え室で、ざっとこれからの予定を思い浮かべた。
控え室を出る直前、化粧台の鏡の中上機嫌そうな自分と目が合い、慌てて仕事仕様の顔へと切り替えた。







料理も掃除も、一通り終わった。
料理は慣れているし部屋もそこまで散らかっていなかったから、思ったより早くそれらの作業を終えてしまった。
ヒョンが来るまで、あと1時間はある。
暇潰しにネットをしようと俺はパソコンに向かった。
すると開いたサイトのトップ画面に、たまたま俺達のCDの広告を見つけた。

「お、東方神起じゃん」

ふざけ半分で、カチリと広告をクリックした。
通販サイトに飛び、評価やら感想やらが出てきた。

「俺ら、愛されてるな……」

おそらく、感想を書いているのがファンだからだろう。
シンプルなものから長文まで様々だが、殆どが作品を称賛する内容のものだ。
ホッとした気持ちと、ちょっとこそばゆい気持ちと……

「俺、何やってんの」

自分が可笑しく思えてきて、ふっと笑った。
その拍子にマウスに置いていた手が揺れ、レビュー欄のアイコンをクリックしてしまった。
するとある個人サイトへと繋がり、トップページが表示された。
そこに貼られていたのは、俺とヒョンが額を合わせている、いつかのライブの写真だった。
周りにはキラキラと輝きが舞っていて、写真はうっすらとピンク色に加工されている。
その雰囲気から、純粋に応援しているだけじゃない特殊なものを感じた。
それなのに、次の瞬間、俺は記事のひとつをクリックしてしまった。
ほんの少しの好奇心だった。
感じ取ったものが本当かどうかなんて、ショックを受けるリスクを考えれば、確かめる程のことじゃなかったのに。
クリックしたのはたった一度だ。
だけど次の瞬間表示されたページは、俺に衝撃を与えるには十分過ぎるものだった。

「っ……」

俺は言葉を失った。
ページに貼り付けられた写真には、裸で抱き合う俺とヒョンが写っていた。
身体を密着させていて、その体勢から性行為をしているのだと解る。
女役は、俺……
俺たち二人とは体つきが明らかに違っていて、勿論こんな写真を撮られた覚えもない。
直ぐに、他の写真と俺達の顔を合成した物だと分かった。
この写真はウソの様で、しかし事実でもある。
こんなものを作るなと怒りたい。でも完全否定もできない。
気持ちを、上手く処理出来ない。
ヒョンを好きな筈なのに、不快感、悲しみ、苛つき……マイナスな感情しか沸いてこない事も辛かった。
電源を切ってパソコンを畳むと、俺は頭を抱え机に突っ伏した。
これが何だっていうんだ。本当のことじゃないか。
そう言って悠長に楽しむことがてきたなら、どんなに楽だったろう。
色々と複雑な思いはあるが、結論を言うと……
 ”やっぱり、自分が女役に見られているんだ” そう自覚させられたのが一番こたえた。
一人の男として恰好良くいたいプライドがあるから、どうしたって傷付かずにはいられなかった。
その時。

「ただいまー」

ドアの向こう。
ヒョンの明るい声が帰宅を告げ、俺は重いため息をついた。
最悪のタイミングだと思った。














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