スタンド バイ ミー 4

  29, 2017 13:22





















俺の告白は、花々を見て「綺麗だな」と感想を言う時のように、無意識で自然なものだった。
雨に包まれながら踊る彼は、現実世界の人とは思えないような、神秘的な空気を纏っていた。

「君って変な奴ー!」

彼は悪戯っ子のような笑顔を浮かべ、俺に向かって叫ぶと、再び踊り始めた。

「子供か・・・・・・」

そう呟きつつ、無邪気な明るい笑顔と、雨に濡れて浮き上がる中性的な肉体。そのアンバランスさに胸が高鳴り、一瞬足りとも目が離せない。
心の中で何度もシャッターを切り、彼の表情も身体も、頭に焼き付ける。
彼ははしゃいでいるように見えた。
俺の告白に、何を言う訳でも無いけれど。
最後両足を揃え、左手を胸に当てながら、俺に向かって礼をした。

「ありがとうございました」

笑顔で拍手を贈り、彼に歩み寄って傘をさしてやる。
彼は両手を広げ、シャツを得意気に見せながら言った。

「ダンサーみたいで格好いいだろ?衣類配布でゲットしたんだ」
「うん」

クシュンと、小さなくしゃみをひとつして、彼は鼻先を指で擦った。
濡れた前髪に、そっと、優しく触れる。

「うちで乾かせば?」
「・・・・・・・・・・・・」
「風邪引くよ、このままじゃ」
「・・・・・・・・・・・・」

彼は、静かに微笑んだまま首を振る。

「迷惑かけるから」
「迷惑じゃない。俺がさっき伝えたこと、忘れた・・・・・・?」

好きなら近付きたい。側にいたい。
そんな俺の気持ちに彼は気付いている筈なのに、「迷惑をかける」と言って遠ざける。
優しいフリをして拒むなんて、狡い。

「・・・・・・ごめん」

彼は傘を抜け出すと、背中を向けて去ってゆく。
望みが無いならいっそのこと、バッサリ切り捨ててくれればいいのに。

「俺のこと嫌なら、はっきりそう言えばいいだろ!!」

俺が叫ぶと、彼は歩みを止めて叫び返してきた。

「んな訳ないだろ馬鹿ーーっっ!!」
「・・・・・・何なんだよ」



彼と出逢ってから、一ヶ月が過ぎようとしていた。














二連敗の傷は、結構深い。 
そして、俺たちは同じ男同士だ。
いくら強い想いでも、相手が嫌なら身を引く常識くらい俺だって弁えてる。
それでも諦めきれないのは、彼が俺をはっきり振らないからだ。
会いに行こうか悩んで、やっぱり止めて・・・・・・
彼を避けておきながら、いつも彼の事ばかり考えている。
プライベート用カメラのデータを見返すと、出逢った始めのころ、遠くから撮影した彼の写真が数枚出てきた。
もう、望みの無い想いは断ち切ってしまいたい。
削除ボタンを押して、消そうとしたけど

「・・・・・・・・・・・・くそ」

やっぱり、出来なかった。
溜め息をつくと、デスクの上にカメラを置いて家を出た。










眠れない夜を過ごしたり、仕事中ぼうっとして注意されたり、散々な日々が続く。
心の底から人を愛するって、こういう事なのか。
拒まれる事は目に見えてるから、幸せな気分は決して味わえない。
慢性的に続く、鈍い胸の痛み。
地味で、だけど辛く耐え難く、ドラマチックとは程遠い。
以前のように、本当の恋を知らないまま人を遠ざけて過ごすのと、どっちがマシだったんだろう・・・・・・?










週末。
ミノと、大学時代の同期を家に呼んで酒を飲んだ。

「そういや、女子らが騒いでたぞ。最近お前が付き合い悪いって」

ビール片手に顔を赤くした友人は、これかー?と、小指を立てて笑っている。

「俺は心入れ換えたの。余計な期待持たせると可哀想じゃん」

これは、恥ずかしながら、俺がこの歳にして彼に教わったことだ。

「うわ、言ってみたいそんな言葉!俺が言ったらギャグになるわー!」

デカイ声出して、へらへら笑ってるそいつを睨み付けた。
俺が恋に不自由してないと思ってるな、こんにゃろ・・・・・・
半ばヤケクソになってビールを流し込んでいると、ミノがデスクの上のカメラを見付けて声をかけてきた。

「センパイ、写真見ていい?」
「ん。どーぞ」

カメラのデータを送りながら、綺麗とか欲しいとかはしゃぐミノを見て、友人もカメラを覗き込む。

「これ全部、プライベート?」
「うん」
「おー、綺麗な写り。レンズの種類は?」
「だいたい標準使ってる。植物とか虫とか、小さいの撮るときはマクロで使い分けてる」
「へぇー、さすがだな」

ミノが次の写真に切り替えると、あの人が写し出された。
チクリ。心が痛みを訴える。
友人が、首をかしげて言った。

「誰コレ?」
「・・・・・・最近よく見かけるホームレス」
「げっ。何でんなの撮ってんだよ?」

不快そうなソイツを見て、俺も首をかしげる。

「でも、綺麗だろ?」
「・・・・・・おいおいお前、大丈夫か?」
「何が?」
「だって、ホームレスの男を"綺麗"ってオカシイじゃん!それかアレか?お前、社会的な問題取り上げて訴えてます的なポジ気取りたいの?」
「は・・・・・・?」

彼が、社会問題の象徴だと言うのか。
俺はコイツの言ってる事を、母国語の筈なのに全く知らない言語レベルで理解出来ない。つーかしたくない。

「俺が何を綺麗と思おうが勝手だろ」
「ちょ、女にモテ過ぎてネジ飛んだんじゃねーの?」

ああ。今のでかなり怒・・・・・・いやキレた。
傷心中な事もあり余計に。
コイツが酔って人をイラつかせるのはよくある事だが、今日はもう我満出来る自信が無い。
その時、隣から低い声が聞こえた。

「ホームレスってだけでドン引くの、止めてください」

ミノの口調、目付きから本気を感じて、俺も友人も固まってしまった。
穏やかなミノが怒るのは、本当に稀だ。

「大事なのは、その人がどんな人か。どんな暮らしかじゃないです」

それには勿論共感する。
俺が彼に惹かれた一番の理由は、心が綺麗と確信したからだ。
でも何だろう、この違和感。

「えっ・・・・・・俺がおかしいの!?えー!?」

狼狽えるソイツを放置して、俺はミノをじっと見つめた。
彼の写真を見つめるミノはまるで・・・・・・
まるで、俺のようだったから。

「・・・・・・もしかして、その人のこと知ってるのか?」

俺の質問に、ミノは

「―――いいえ?全然」

そう答えた。
キッパリ否定されたので、俺はそれ以上追求しなかった。
親しい人に、彼・・・・・・ホームレスに似たような境遇の持ち主が居るのかも知れない。
その時感じた違和感は、時間の経過とともに風化してしまう、そんな程度のものだった。






















彼に会わなくなって、かれこれ二週間以上。
想いが薄れることは無く、時間が解決してくれるとは到底思えない。
むしろ、会った方がいいのかも。
そして・・・・・・

「キッパリ振ってくれ、もう」

諦められるように、ちゃんと。

「はあーあ」

仕事から帰る途中、真下に流れる川を見下ろし、橋の手摺に凭れて溜め息をついた。

「ここ・・・・・・」

前に、二人で過ごしたあの場所だ。
穏やかな休日の午後、俺が買った食糧を旨そうに頬張る彼と、色んな話をした。
あの時を思い返すと、純粋に嬉しかったし、楽しかった・・・・・・
川から浮き立つ涼しげな空気に肌を撫でられ、気持ち善さに目を閉じる。
6月も終わりが近付いた都会の街は、じめじめした空気に連日包まれていたから、気持ちよかった。
ボンヤリと川を見つめていると、ふと、薄暗い中に動く影をとらえた。
川瀬から、水をかき分けてどんどん中へと進んで行く。
なんだ・・・・・・?
目を凝らすと、それは明らかに人だった。
そして暗さに慣れてくると、それがよく見覚えのある人だってことに気が付いた。

「あの人・・・・・・何して・・・・・・」

腰より深い所へ行っても、戻る気配が無い。
肩まで水に浸かるのを見て、俺は叫んだ。

「バカ、よせっ!!」

しかし、俺の声は届かない。
ずぶずぶと水に飲まれる彼を見て、俺は全力で走り出した。
転びそうになりながら坂を下り、河辺に降りると彼の傍まで駆け寄った。

「おいっ、すぐ戻れ!!変な事考えるなっ」

今度こそ、俺の声は届いた。
俺の方を振り返ったその刹那、彼の黒い瞳が綺麗な丸を描く。
驚いた顔をして、小さな声で俺の名前を呼んだ。

「"チャンミン"・・・・・・」
「戻れ、こっちに・・・・・・さあ」

俺が手を差し出すと、彼は今にも泣き出しそうな顔で笑った。

「また会えると、思わなかった・・・・・・」
「え・・・・・・?」

余裕の無い心に、さらに動揺が重なる。
また、期待するような事言って。
そんなに、潤んだ瞳で見るなんて。
熱い想いが込み上げる。
諦められない・・・・・・
俺のものにするまで――――
川の中へ一歩踏み入れた俺に、彼は叫んだ。

「来るなっ」
「嫌だっ、こんなとこで死なせるかよ!!」

すると、彼は数秒沈黙してから、震える声で言った。

「だって・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「だって俺・・・・・・着てないんだ。下・・・・・・」
「へ?」

彼は、川の中に沈んでいた左手を、躊躇いがちに挙げて見せた。
濡れたズボンを握り締めている。

「・・・・・・ただの水浴びだよ。風呂、入れてないから」
「あ・・・・・・」

もしかして、早まったのって俺のほう?
うわ、かっこわるっ・・・・・・
赤面する俺を見て、彼がクスクスと笑う。
ああ。何でいつも、俺ばかりこんないっぱいいっぱいなんだろう。
彼の余裕を感じる態度や笑みが、愛しくも腹立たしい。 

「あーもう!!」

服が濡れるのも構わずに、ばしゃばしゃと音を立てて、川の中へと突き進む。

「な、なにっ!?」
「ややこしいんだよっ。絶対許さねー!!」
「ちょ、来るなって!」
「何で!!」
「恥ずかしいじゃんっ」

慌てて逃げる彼を夢中で追いかけ、細い手首を捕まえると強引に引き寄せた。
背中側から抱き締めて、逃がさないように両腕に力を込める。

「ちょっ・・・・・・ほんと、無理っ」

腕の中の体は、じわじわと熱を伝えてくる。
濡れたシャツ越しだから、余計にそれが分かる。
シャツが貼り付いてうっすら透けた上半身、今にも中心が覗きそうな太股や尻に目を奪われ、その色っぽさに目眩がした。

「こっち・・・・・・向いて・・・・・・」

体を向かい合わせにすると、彼は逃げるように下を向いてしまった。
熱に浮かされたみたく理性が薄らいで、兎に角彼が欲しいと、心が叫んでいる。
至近距離のまま、俺は問い詰めた。

「思わせ振りなんだよいつも。俺で遊んでる?」
「そんなつもりはっ・・・・・・」

やっと俺を見たと思ったら、目があった途端また視線を逸らす。

「少しでも俺に気があるなら、こっち見て・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

伏せられた黒い瞳が、ゆらゆら、ゆらゆら揺れながら、ほんの一瞬、こちらを見上げたその時を俺は見逃さなかった。
また下を向こうとする彼の顔を掴んで、唇を奪った。

「っ・・・・・・」

唇を塞いだ刹那呼吸が止まり、やがて苦しげな声が、触れ合った唇の隙間から漏れていく。
ほんの少し唇を離して表情を伺うと、黒い潤んだ瞳が、まじなりに朱色を浮かべながら俺を見つめていた。

「これ以上、夢中にさせるなよ・・・・・・俺が、俺じゃ無くなる・・・・・・」

それって、つまり・・・・・・
もう俺を好きってことだろ?

「ねえ・・・・・・俺を選んでよ。何と戦ってるのか、分からないけど・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺のこと・・・・・・好きって言って?」

眉をハの字に下げて、彼が俺を見つめる。
揺れる瞳、震える唇に葛藤が見えた。
それは数秒だったのか、数分だったのか、返答を待つのに夢中で分からなかった。
やがて彼は観念したように目を瞑り、再び俺を見つめると、かすれ声で呟いた。

「君が・・・・・・好き」

心臓がドクンと脈打ち、身体中を熱い血液が巡る。
この時を待ってた。

「あ・・・・・・ふっ・・・・・・」

夢中で、彼の唇を塞ぐ。
舌を口内に差し入れると、彼の厚い唇が俺のそれに吸い付いた。
混ざりあった唾液が、とろりと口角から伝って落ちる。
好きな人の唾液は甘いと聞いた事があるけど、ほんとに甘い気がする。
このまま、もっと欲しい。
唇だけじゃなくて、もっと・・・・・・
細い腰を引寄せ、尻の丸みを撫でると、彼はビクンと身体を震わせた。
俺だけじゃない、彼のそこも、確かに熱く硬くなっていた。
布一枚隔てた向こうに、反応してる彼の中心が何も纏わない状態であるなんて・・・・・・
ここが、こんな人目につく橋の下じゃなければ、直ぐにでも押し倒してた。

「人が居ないとこに行こう・・・・・・?」

頬を撫でながら誘うと、彼は濡れた瞳を細めて笑った。

「こんな、汚いオジサンでいいの・・・・・・?」
「そんな風に言うなよ。何度も言ってるだろ。貴方が良いって」

「嬉しい・・・・・・」と囁いて、彼は、また微笑む。
その囁きも、清らかでありながら甘い笑みも、全てが媚薬のようだった。









To  be  continue ・・・・・・



気に入って頂けたら、ポチッとお願いします(*^^*)
   ↓

     

人気ブログランキングへ


にほんブログ村



ユノが下半身裸で川で水浴びしてたら萌える~とか
お水の中でチャンミンに抱き締められたい~とか
のぶの妄想詰め込みほうだい。
もうユノの正体読者の方には完全にバレただろうな(笑)
リアルでは日々萎んでってるユノですが、筋肉はつけないらしいですね。
昔はムキムキだったのに。
以前は魅せる為の身体、今はパフォーマンスの為の身体、ということでしょうか。
チャンミンがムキムキのままで身長も高いとなると、ビジュ的に100%ミンホになると思うけど大丈夫かな。
ホミン好きな方も居るじゃないですか。
それともこんな心配してるのミンホも好きな私だけかしら。
まあ何でも良しです。
SMT とチャミの帰還が楽しみだなー♪♪

そして、今日は新しい絵描きソフトが届きます!
再会した僕ら、リーマンしんき頑張って描くぞ~!


 
スポンサーサイト

Comment 3

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
723621mam  

♡♡♡♡♡

Edit | Reply | 

What's new?