秘めたる恋情!









秘めたる恋情!表紙



※ミンホです。
 









帰宅すると、今日も疲労の溜まった身体にパンチが炸裂する。

「ゴムゴムのバズーカァ―ッ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「あれ?ちっとも倒れない。もう一回!ゴムゴムのぉ、バズーカァーッ!!」
「・・・・・・ぐあああー!!や、やられたぁっ」
「いえぇーい!!海賊王に、おれはなる!!」

気が済んだか・・・・・・
きゃっきゃとはしゃぐ甥っ子を目視すると、俺はとっとと部屋に向かった。

「チャンミン、待ってよー」
「続きは着替えたらなー」
「あ、待っ・・・・・・」

強引にドアを閉めると、俺は盛大にため息をついた。
ジャケットをベッドの上に脱ぎすて、乱暴にネクタイを引き抜く。

「ったく・・・・・・いつまでやりゃいいんだよ」

甥っ子の最近のブームは、俺にルフィの必殺技をくらわす事だ。
完全シカトすると姉貴が怒るので、仕方無く相手をしている。
が・・・・・・それにもいい加減疲れて来た。
俺は現在二十八歳。
定職に就いていて稼ぎもあるが、ずるずると実家暮らしを続けてしまっている。
両親と姉貴、その旦那、子供と同居している。
旦那にも気を遣わないといけないし、甥っ子の相手もしないといけない。
精神的に疲れるし、一人の時間も取りにくい。

「もうそろそろ一人暮らしすっかな・・・・・・」

そう呟いた直後、ふと視線をやった先に最悪な光景を見た。
本棚の漫画が、メッチャクチャに荒らされている。

「あんのくそガキ・・・・・・!」

ずんずんとリビングに向かい、ちっさい背中に向かって俺は叫んだ。

「おいミヌ!俺のワンピ勝手に読んだろ!?」

すると、夕飯の支度をしていた姉貴が口を挟んできた。

「チャンミン、怒鳴らない!」
「だって!読むだけなら良いけどこいつ汚すんだもん!折り目も付くし!あー最悪っ」
「何?良い大人が子供みたいに・・・・・・」
「はぁー!?大事なもん汚されたら普通ムカつくじゃん!姉貴おきにのハイヒール折られてみろよ、ネックレスぶっちぎられてみろよ?ぜってー怒るだろ」
「あたしの宝物、あんたの漫画と一緒にしないでくれる?」
「こんの糞ババァ」
「あれー?なんっか今聞き捨てならない言葉が聞こえたー。なんだろー」
「耳も遠くなったのかよ。やっぱババァだな」
「ちょっと・・・・・・?」

あ、やっべ。
姉貴に物凄い形相で睨まれ、俺は焦って部屋に避難した。
小さい頃からの延長で、姉貴とは今もよく喧嘩する。
というか、ミヌが誕生してから収まっていた喧嘩が再燃した。
丁度今の漫画事件のように、俺の怒りの種を撒き散らすからだ。
しかし、こんな俺も本当は平和主義者で、出来るなら口論なんてしたくない。
家庭の空気を悪くしない為にも、やっぱり一人暮らしすべきだよな・・・・・・









風呂上り。
ソファに寝転がっていると、ミヌがやって来て俺の腹筋を叩き始めた。

「ポンポコポン!ポンポコポン!」
「・・・・・・・・・・・・」

ぴらりとTシャツを捲り上げ、また叩き始める。

「ポンポンポン!ポポンのポン!」
「・・・・・・ん」

俺は、ミヌに向かって掌を差し出した。

「なあに?」
「今度から一回百円な」
「ええー?ケチ!」
「ほれほれ。叩いてみ?」
「・・・・・・ポン!」
「百えん」
「ポン!」
「二百えーん」
「けちぃ!やだっ!」
「はははっ」

頬を膨らますミヌがおかしくて、声を上げて笑った。
なんだかんだ可愛い。一緒に居て楽しい瞬間はある。
決して嫌いじゃないんだけどな・・・・・・
ミヌを見つめていると、拗ねて尖った口から、信じがたい台詞が飛び出した。

「せんせぇはタダでオッパイ触らせてくれるのにー」
「は?」
「せんせいは、オッパイ触ってもお金取らないよ。ちょっと怒るけど」
「ちょ、おま!何言ってんの?」

ミヌは現在、保育園の年長。
つまり、保育士の女の胸を触らせて貰ってるってことだ。
大人なら犯罪になる行為も、子供なら許されるんだな・・・・・・
ミヌの言う“オッパイ”には然程厭らしさを感じない。
まだ子供だから、エロさよりも授乳とかそっちの印象が強いだからだ。
にしても羨ましい。
ああ、俺も園児になりてー。










翌朝。
俺は母さんにゆすり起こされた。

「チャンミン」
「んー・・・・・・」
「チャンミン起きて」
「んだよー・・・・・・。今日休みなんだけど?」
「ミヌのこと、保育園に送ってって、お姉ちゃんが」

勢いよく起き上がると、俺は母さんを睨んだ。

「何で!寝かしてくれよ、久々の休みなんだからっ」
「怒んないでー?お姉ちゃん、今日早出でもう出発しちゃったのよ」
「・・・・・・マジか」

俺はガクッと首を垂らした。
昨日、散々怒らしたせいだ・・・・・・
ここは素直に言うこと聞くしかない。
俺は渋々、出発する準備を始めた。









寝癖のついた髪に、服はその辺のものを適当に纏っただけ。
寝起き感全開のまま、俺はミヌを保育園まで送った。
門を潜ると、ミヌはある場所目がけて一目散に駆け出した。

「ユノせんせぇ~~~!!!」

ミヌに抱き着かれたその人は、破顔してミヌを抱き返した。
まだぼんやりとした瞳で、その光景を捉える。

「おぉー!今日も元気だなミヌ!ん~?」

ミヌの頬を包み込みながら、満面の笑みで語り掛けるその人は・・・・・・

「男・・・・・・?」

保育士で男は珍しい。
じっと見つめていると、保育士と目が合った。
まん丸の瞳で、俺をキョトンと見つめてくる。

「・・・・・・ども」

俺は小さく礼をした。
ミヌと手を繋いだまま歩み寄って来て、その人も頭を下げた。

「始めまして。ミヌ君の組の担当の保育士です。ユノって言います」
「ああ、はい」
「ミヌ君に、こんなに若いお父さんが居たなんて知りませんでした」

人懐っこい笑顔でそう言われ、俺は苦笑を浮かべた。

「いや・・・・・・違いますよ。こいつは甥っ子。俺の姉貴の子供です」
「ああ!そうなんですか。すみません、僕ってば・・・・・・」

それまで黙っていたミヌが、ユノさんの手を揺らして言った。

「せんせぇ、鼻水」
「え?何だよ、風邪でもひいたか?」

ミヌの正面に屈んだユノさんが、ポケットに手を入れ、ティッシュを取り出そうとする。
その瞬間・・・・・・

「わっ・・・・・・!」

小さな手は、ユノさんの胸を瞬時に鷲掴んだ。

「こらっ、ミヌッ!」
「ユノせんせぇのきょにゅうー!!!」

ミヌは楽しそうに叫び、逃げてゆく。

「どこでそんな言葉覚えたんだ!駄目だぞ!」

ユノさんの忠告を聞いて、ミヌは・・・・・・

「チャンミンのお部屋で見っけたのー!!!」

そう返した。

「なっ・・・・・・」

かあっと顔が熱くなる。

「アイツいつの間に!」

何時の間に、俺のAVを発掘してたんだ!
ほんっと侮れない奴。
ってか、そんなにオッパイが好きか?
鼻水って嘘ついて、それも男の胸を触る程?
オッパイ好きは、確実に俺と同じ血を引いてるな・・・・・・
俺の呟きを聞いて、ユノさんはくすくすと笑った。

「駄目じゃないですか。えっちなビデオくらい、ちゃんと隠しておかないと」
「っ・・・・・・!」

顔の温度が、更に上昇する。
同じ男でも、初対面だし・・・・・・

「頼みますから、忘れてください・・・・・・」

情けない声でそう言うと、ユノさんは

「じゃあ・・・・・・その変わり、ちゃんとミヌ君教育して下さいね?」
「え?」
「いつも触られて、困ってるんです」

恥ずかしそうに、自分の胸にちらりと視線をやり、呟いた。
その瞬間、何か得体の知れないものがグッと込み上げた。
ん?なんだ、今のは。

「じゃあ・・・・・・」

ユノさんは小さく礼をして、さらりと流れた前髪を小指で払う。
顔が綺麗だからだろうか。
中性的な仕草も違和感が無い。

「なんか、色々すいません」

詫びる俺に微笑みかけ、ユノさんは去ってゆく。
確かに胸あるよな・・・・・・男なのに。
エプロンの上からでも分かる。
布をツン、と張り上げるそれに、つい注目してしまう。
いや待て待て、何故見る俺。
ユノさん男だから!
ブンブンと頭を振ると、家に帰るべく、俺は背を向けて歩きだした。









―――『いつも触られて、困ってるんです』

あの表情とエプロンの張りが、頭から離れない。

「駄目だ・・・・・・。家帰ったらもう一度寝よ」

うん。
どうやら睡眠が足りないようだ。
俺はのろのろと帰路を辿った。









END



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久々のミンホ楽し過ぎた( ..)φ♡
書きたい衝動抑えられんかったです。
僕恋もあるし、とりあえずEND~
店長シリーズみたく、単体読み切りでUPしていきたいな~





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2 Comments

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2016/09/21 (Wed) 05:14 | EDIT | REPLY |   

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2016/09/19 (Mon) 09:07 | EDIT | REPLY |   

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