Humanoid ~この恋は永遠に~ 15



どんなに願っても、時間の流れが変わる事はない。
二人で居ようとする程、時間はあっという間に過ぎて行く気がした。
飽きるほどキスをして抱き合っても、切なさは消えることは無くてどんどん強くなった。



今日は、ユノと居られる最後の日。
24時には電源がおちて、明日の朝には社員がユノを回収に来る。
ユノと出逢ってから、モノクロのようだった僕の世界は明るく彩られた。
本当に夢のような日々だったと思う。
ぼんやりとカレンダーを見ていたら、後ろから抱き締められた。

「もっと早く、気持ち伝えれば良かったな」
「いいんだ。ユノは僕の事、考えてくれたんだから」
「チャンミン……」

もう何度目になるか解らない。
呼ばれたのを合図に振り返り、キスをした。
明日の今頃は、ユノはもう居ない。
この部屋に、居ないんだ。
そう思うと息が詰まりそうな程切なくて、苦しい。

「ユノ……。最後のデート、しようか」

ユノと過ごした沢山の跡が残っているこの場所から、逃げ出したかった。



ユノを助手席に乗せて僕は車を走らせた。
それほど時間をかけずに、僕らは目的地に到着した。
海沿いにテーマパークや洋館に似た建物が併設されたこの場所は、カップルがよくデートに訪れる。
思い返すと、今まで外で恋人らしい事をあまりしなかった。

「おお、デートって感じ」
「今日は特別」
「観覧車乗ろうぜ、チャンミン」
「うん。乗ろう」

笑っているユノを見て、僕も嬉しくなる。
やっぱりユノには笑顔でいて欲しいし、僕も笑っていたい。
さよならは切ないけど、暗い気持ちだけに囚われたくない。
僕らがこうして2人で居られる事は、幸せなのだから。
お互い気になった乗り物に乗って、食べ物も好きな程食べた。
ただ純粋に楽しんで笑った。
互いに言わずとも了解していた。
今この時は、暗い顔を見せてはいけないと。



日が落ち、建物はキラキラとライトアップされ始めた。
周りの変化が、僕らにさよならが迫っていることを知らせる。
明るくしようと努めていたのに、いよいよ寂しさを隠せなくなってきた。
海沿いのデッキを歩いていると、俯く僕の手をユノが握った。

「暗いから、大丈夫だろ」
「うん……」

ああ。
この温度を、僕はもう感じる事はできないのか。
そう思うと目の前が涙で霞んで、苦しくて、まともに歩けない。
立ち止まった僕に気付き、ユノが振り返った。

「チャンミン……」
「ユノ……。離れたくない。嫌だ、ユノ……」

気持ちを抑えられない。
ユノを困らせるだけだと解っているのに。

「チャンミン」

強く抱き締められて、僕もユノの背中に腕を回した。
もうだいぶ馴染んだユノの感触を、しっかりと確かめるように。

「俺だって、離れたくない」
「ユノ……。僕、ユノが居なくなってもちゃんと生きていけるかな」

暖かい大きな両手が、僕の頬を包んだ。

「チャンミン、忘れるな。俺が居なくなっても心は消えない。ずっとずっと、チャンミンを想ってるから」
「ほんと?」
「本当だ、嘘じゃない。大丈夫、側にいる」

もう、僕がユノの心に触れる事はできない。
ユノが僕の心に触れる事も。
それでも、お前がそう言うなら僕は信じて生きるよ。
僕がこの思い出を忘れない限り、僕の心の中でユノも生き続けるんだ。

「チャンミン、帰ろう」

差し出されたユノの手を、僕は強く握りしめた。






家に帰ると、ベッドの上で肩を寄せ合い、時計の針が進むのを二人で見つめていた。
何度もキスをして、静かに笑い合いながら。

「ユノ……ありがとう。お前に会えて、良かった」
「俺もだ。チャンミンに会えて良かった」
「いつか本当の人間になって、僕に会いに来てくれ……」
「ああ、約束する」

ユノ綺麗な瞳から、涙の粒がぽろぽろとこぼれ落ちた。
初めて見るユノの泣き顔は、とても綺麗だった。
時計の針が、もうすぐ24時を回ろうとしている。

「最後にもう一度……キスして」
「うん」

次に瞳を開いた時は、きっともうユノは……

そっと、唇を塞いだ。
優しく、大切に。

『愛してる』

想いを込めて。

柔らかい感触を感じた後、閉じていた目をゆっくりと開いた。
ユノは、瞳を閉じたまま動かない。
脱力した身体が、僕の胸に落ちてくる。

「ユノ……?」
「…………」

時計を見ると、24時を回った後だった。
身体を揺すっても名前を読んでも、反応が返ってくることはない。

「うぅ……嫌だ……」

ユノの頭を、夢中で抱き寄せた。

「いかないでユノッ……ユノ、ユノ、ユノ……ユノッ……」

柔らかい髪に顔を埋めながら、僕は狂ったようにユノの名前を呼び続けた。
返事が返ってくることは、もうないのに。

何度も、何度も。









◇◇◇



こんな展開で本当に本当に申し訳ございません。
言えるのはまだ続きがあるということです!
コメント下さった方ありがとうございました♪
後程返信致しますので、今暫くお待ち下さいませ。





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