Humanoid ~この恋は永遠に~ 16



カーテンの隙間から朝日が差し込み、薄暗い部屋をぼんやりと照ら出す。

「ユノ……ずっと一緒だよな」

問いかけても返答はない。
ユノは動くことも喋ることもなくなったのに、 僕はユノから離れる事が出来なかった。

午前中のうちに、会社のスタッフがユノを回収するため部屋を訪れた。
初めて来た時入っていたのと同じケースに、ユノが手際よく入れられるのを見ていた。
まるっきり商品として扱われるその光景は見ていて辛かったけど、最後までユノを目に焼き付けたかった。

「この度はご利用頂き誠にありがとうございました。またのご利用を心よりお待ちしています」

スタッフに運ばれ、ユノは僕の前からあっけなく姿を消した。
ドアが閉まり、狭い部屋に痛いほど静かな沈黙が流れる。
僕はふらふらと部屋の中を歩いた。
容器の真ん中から雑に絞られた歯みがき粉。
少し伸びてしまった、貸してあげたTシャツ。
よく読んでいた、積み重なった漫画。
宝物を集めるように、ユノが残したそのひとつひとつを大切に胸に抱え込み、僕はその場に蹲った。

「ユノ、ユノ……」

止まることを知らないように、また涙が溢れ出す。
開いた窓からふわりと風が入り込んだ。
テラス脇の桜はもう、だいぶ散ってしまっていた。









ユノが居なくなって数日が過ぎた。
桜はどれも葉桜となり、桜そのものは姿を無くしつつある。
まだ道のあちこちに残っている花びらを見て、ユノを思い浮かべた。
姿を消しても、部屋や出掛けた街先に思い出を残していったユノに似ていると思った。
以前の生活に戻っただけ。
僕はそれを受け入れられず、今でもユノを想ってばかりいる。
ふたりで過ごした時を回想しては、その記憶の中へ逃げ込むように生活していた。



バイト終わり、携帯を見るとメールが一件届いていた。

『最近顔見ないけど、元気?』

知り合いのテミンからだった。
テミンは僕のゲイ仲間だが、人懐っこくてコミュニケーションを取るのが上手い。
人付き合いが苦手な僕でも、唯一気兼ねなく話せる。
テミンの交遊関係は広い。
彼から見た僕の存在はどうか解らないが、僕にとっては仲間の中で一番信用できる存在だ。
普段自分から誘うことは殆ど無いのに 今夜飲まないかと返信した。
相当弱っていたのだと思う。
どしようもない虚無感を抱えていた僕は、気にかけてくれたその優しさに少しだけ頼りたくなった。



「生きてる?」

僕の顔を見たテミンの第一声はそれだった。

「死んでたらここに居ない」
「そりゃあ、そうだけど……」

最近クラブにも顔を出さないから心配だったと言って、俯きがちな僕の顔を覗き込んだ。

「ねぇヒョン、何があったの?俺で良ければ聞くよ」
「…………」

話したら、この胸の痛みは少しでも軽くなるのだろうか。
このままでは、消えてしまったユノを追ってどんどん憔悴していく様な気がする。
ユノの心がそれを悲しむだろうと解っていた。
前を向くために誰かを頼りたい。
そう思った。

「誰にも、言わないでくれるか」
「もちろん。約束する」

テミンは真剣な面持ちで頷いた。

僕は、ユノとの今までの事を話した。
男性のhumanoidを初めて使用したこと。
強く惹かれて互いに想い合い、恋人になったこと。
今その存在を失った哀しさに打ちひしがれていること。
テミンは黙って聞いていたが、全て話し終えた時には訝しげな顔をしていた。

「どうした?」
「それ、本当にhumanoidなの?」
「どういう事?」

何故そんな事を言い出したのか、全く理解出来なかった。
だけど、次の一言を聞いて僕は言葉を失った。

「humanoidは……人間に恋愛感情を抱かないはずだよ」
「え…………?」









◇◇◇



ああ私が考えた展開が皆さんのお口に合うかびくびくしています。
各話のボリュームが差有りすぎる。
そう思って13、14話あたりを整理して3話に分けました。
拍手の数やコメントにズレが出てます(T_T)
わああぁ.....無計画ですみません…...ど、どうかお許しをm(__)m
取り敢えず......これからお友達とトンカラに行ってきます。





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2 Comments

NB  

さえ○んさま

★さえ○んさま
いらっしゃいませ!
心が空っぽのチャンミン。
自分で書いておいて、死ネタにも似ていてかなり切ないです。
つい感情移入してしまいうるうる状態です。
淡いピンク色の桜がユノとの恋の色!
うわぁ、素敵な表現をされますね。
著者のくせにそこまで煮詰めていませんでした......(笑)
テミンはこの先どう絡ませるか大体決まってますが、実はそこまで重要な訳では......(笑)
私の小説なんかをそんな......ありがとうございます!
自分が切ない小説派だとは思いませんでした。
いつもお馬鹿なギャグ漫画しか描いてこなかったので。
チャンミンの涙は最強です。
美人が泣く姿ってそそられますよね。
大丈夫、さえ○んさまは変態じゃありません!
トンカラの締めはOCEANですか、最強ですね~!
私は王道にSTLでしょうか。
返信ですが、是非返させて下さい。
返信ペース遅くなる事が度々あると思いますが、私の楽しみのひとつなので(^^)
何より回りにトンペンが一人しかいないので語り合えるのが嬉しい。
ご迷惑でなければ、これからも是非よろしくお願いします。
質問も大歓迎です!
それではまた♪
長くなりすみません~。

2014/04/27 (Sun) 18:19 | EDIT | REPLY |   

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2014/04/27 (Sun) 01:18 | EDIT | REPLY |   

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