シェアハウスの恋人 2

  18, 2016 07:13


※このお話は『恋の方程式』『片耳ピアスの君』と繋がっています。
















シェアハウスの恋人・表紙(修)

















高校三年の夏―――

『俺、委員長と付き合うことになった』

俺は、親友から衝撃の報告を受けた。
留年した為、一つ下の学年になってしまったユノ。
共に過ごす時間が減っても、話さない日は無かった。
此処は男子校で、『委員長』というのは男を指していて、そいつがチャンミンだってことも知っていた。
ユノから、チャンミンのことはよく聞いていたから。
男同士の恋愛に走る気持ちは、俺には分からない。
だがユノが真剣だと知っていたので、素直に応援しようと思った。
高校を卒業した時、ユノの片耳、右耳にひとつ、ピアスホールが空いた。
チャンミンと付き合っている証だと、ユノは嬉しそうに俺に報告した。
男の右耳ピアスは、ゲイを意味すると聞いた事がある。
勘違いされるんじゃないか?と聞いたが、

『まあ・・・・・・チャンミン男だし、間違ってはいないっつうか。別に気にしねえよ。周りの目は』

ユノはそう答えた。
正直、いつかピアスが塞がる日が来るのでは?と・・・・・・
同性愛は何かと障害物が多いし、そのうえ遠距離だし、長く続かないと思っていた。
これ迄別れを匂わせる話も聞いたが、社会人になった今でも二人の関係は続いている。
遡ること、三年前。
偶然にも、俺の勤務先にチャンミンが入職した。
ユノから散々チャンミンの事を聞かされていたので、面識がなくとも最早友達のような感覚だった。

「あ!お前ユノのっ・・・・・・」

危なくその先を口走りそうになり、寸前で止めた。
チャンミンもまた、俺の事を知っていた。

「シウォンさん・・・・・・ですよね?」

それから、チャンミンとはよく話すようになった。
ふたりは、チャンミンが入職した春からルームシェアを始めていた。
三人で会う機会が増え、ユノとの関係を知っていることもあり、俺とチャンミンの間には“仕事仲間”以上の信頼が芽生えていた。
それからもう三年経つが、今迄色々なことがあった。
俺は、チャンミンを甘やかし過ぎたのかも知れない。
ユノ絡みのことになると、遠慮なしに頼られてよく困ったものだ。
今日は、そのうちのあるエピソードを話そう。
あれは、二人が同居し始めてまだ間もない頃だった―――









インターホンが鳴って、俺はドアを開けた。

「おう、どうしたよ。こんな遅くに」

目の前に佇むのは、会社の後輩であり、親友の恋人である男。
今は仕事モードでなく、不貞腐れ、完全に年下っぽさ全開のプライベートモードだ。

「・・・・・・泊めて下さい、今夜」

その一言で大体察しがつく。
俺は溜息をついた。

「まぁたユノと喧嘩したのか?」

俺の問いには答えず、チャンミンは勝手知ったる様子で家の中へ上がり込み、ソファに腰かけた。
今回が始めてでは無いので、特に驚きはしない。

「で?今度は何がいけなかった」
「土足で家に上がったんです」
「そらぁ、お前にしたらキツいわな」
「僕にしたら?僕だけじゃなく、一般的に駄目でしょ」
「まぁそうだけど・・・・・・場合によっちゃ仕方無いんじゃないか?一秒も無駄に出来ない時の忘れもんとか」
「ああ・・・・・・そうでした。先輩、ユノと同類でしたよね。まさかの共感しちゃうっていう・・・・・・」

いま俺達をひとまとめにした挙句、サラッと見下しやがったな・・・・・・!
おいユノ、コイツの何処が可愛いんだ!教えてくれ!

「ってか、そんな嫌なら同居止めろよ」

少々キツい言い方になったが、それは二人の為でもあった。
チャンミンは、小さく口を尖らせてブツブツと呟いた。

「別にユノが嫌なんじゃなくて・・・・・・たまに、駄目なとこが見えるだけだし・・・・・・」

後輩よ。それが積み重なった末破局するんだぞ。

「じゃあルームシェアじゃなく、その辺のアパートひと部屋ずつ借りれば?隣同士でさ。生活スタイル違うならそのほうがラクじゃん」
「それじゃあ、別居と同じじゃないですか」

そうかそうか、一緒に居たいか・・・・・・
ああ言えばこう言うし、チャンミンは俺に何を求めてるんだ?
意見が欲しい訳では無く、ただ話を聞いて欲しいのか?
こんなチャンミンを、是非職場の奴らに見せてやりたい。
仕事中と人が違い過ぎて、皆仰天するに違い無い。
そんな事を考えていると、インターホンが鳴って来客を知らせた。
一度で充分なのに、二、三回音が重なるのを聞いて直ぐに分かった。
奴が来た。

「はいはい」

扉を開けると、そこには予想した通りの人物が・・・・・・親友が立っていた。

「うちの・・・・・・来てんだろ?」

“うちの”って、チャンミンはお前の嫁か。
笑いそうになったけど、ユノが真剣な顔をしているので何とか堪えた。
何も言わずに、部屋の方へ親指をクイッと向けて合図する。
ユノは靴を脱ぐと、ずんずんと廊下を進んでいった。








「悪かったよ」
「反省してる・・・・・・?」
「してる。もう絶対やらない。誓ってやらない」
「・・・・・・・・・・・・」

ソファに並んで腰掛け、やりとりする二人。
そんなにくっつかなくても、充分スペース余ってるぞ。
チャンミンの顔を覗き込み、手を握りながら、ユノは優しく語りかける。

「なあ、帰ろう?チャンミン」
「・・・・・・・・・・・・」
「チャーンミン」

ユノの呼びかけに、チャンミンは伏せていた目をチラリと上げた。
その拍子に、チュッと、ユノはチャンミンの唇を奪った。

「ちょっ・・・・・・!!」

チャンミンの顔が見事に、耳まで真っ赤に染まる。

「シ、シウォンさん見てるじゃん!何して・・・・・・」
「恥ずかしい?『うん』って言うまでやるからな」

再び顔を寄せるユノに、チャンミンは遂に笑顔を零した。

「わ、分かった!帰る、帰るってば」
「よし」

笑顔で見つめ合うふたり。
え?そんな簡単に解決するんだ。
ウチに来る意味あったのか。チャンミン。
よくよく考えると、本当にユノが嫌なら始めっからウチに来やしないだろう。
行き先も予想出来ない何処かに逃げていた筈だ。
迎えに来るの、待ってたんじゃないのか・・・・・・?
イチャつくために利用されたとしか思えない。

「お前ら、とっとと帰れ!!家でやれよもう!!」









そんなこんなで、二人は今もルームシェアを続けている。
正確に言えば同居だが。
俺は高校生の頃から、ある程度チャンミンのことを知っていた。
真面目な印象は変わらないが、もっと無愛想というか・・・・・・態度に出にくい奴だったと思う。
現在の、時に馬鹿っぽい程・・・・・・あ、失礼。可愛さを感じさせる程の、ユノへの溺れっぷり。
これは、九年間の交際で培われたものなのだろう。
ただ仲が良い訳じゃ無いのは知っている。
そしてこれ以上被害者を出さない為にも、俺は二人を見守り続ける覚悟だ。
ところが・・・・・・

「もう、シウォン先輩!シム先輩・・・・・・イケメンさんと仲良すぎて、俺申し訳無かったっすよぉ」

先日の飲み会帰り、俺の計いでチャンミンの家に泊まった後輩、スホがそう漏らした。
ああ、俺としたことが・・・・・・
酔った勢いで、また一人被害者を出してしまったようだ。
当の本人は、今日も涼しげな顔で業務を熟している。
髪を耳にかけた、その瞬間。
顕になった左の耳朶に・・・・・・
きらり。
輝くピアスを身に付けながら。

ユノ。
お前の身代わりは、今日もよく光ってるぞ。









END



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皆様、いつも沢山の拍手どうもありがとうございます!
らぶらぶし過ぎたかな?(^^;)
順調に周りを巻き込むふたりでした・・・・・・



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723621mam  

シウォン先輩、わ、わたしも被害者になりたいっス。

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