シェアハウスの恋人 1

  16, 2016 21:00


※このお話は、『恋の方程式』『片耳ピアスの君』と繋がっています。
















シェアハウスの恋人・表紙(修)

















入社して一年目。
週末の仕事帰り、所属している部署の仲間と飲みに出掛けた。
複数で飲みに行くと、だいたいその中に一人、周りに手を焼かせる人が紛れている。
二件目の飲み屋に入った時の事だった。
今日の面子では最年長の先輩が、かなり酔って皆にちょっかいを出しまくり、笑い叫びまくり、仲の良い先輩達が制止しようと必死になった。
観戦組の俺らは、そんな先輩達のやり取りを見て笑っていた。

「シウォンさん、あの酒癖が無ければもっと株上がるのにね。仕事出来るし」

そう言って隣で笑っているのは、俺より三つ年上のシム先輩だ。
通称“美人先輩”。
シム先輩は男だが、本当に綺麗な顔立ちをしている。
本人に直接言うことはないけど、後輩の間ではその呼び名が定着している。
シウォン先輩は、シム先輩の呟きを聞き逃さなかった。

「おいチャンスニ!煩いぞ!」
「その呼び方止めてください」
「止めてほしけりゃ、その女顔何とかしろ」
「好きでこの顔な訳じゃないです」
「もっと男らしくなれよ!俺みたいに」
「ウザいんで黙って貰えます?」
「何ーっ!?」

言い合ってはいるけど、ふたりとも笑顔だ。
喧嘩に発展しなのは、信頼関係があるから。
うちの部署は仲が良い。
シウォン先輩は、シム先輩へびしっとひと差し指を向けて言い放った。

「お前、生意気だからノルマ。今夜スホの事泊めてやれ」

突然自分の名前を出されて、俺はうろたえた。

「え?お、俺ですか?」
「だってもう終電無いだろ?せっかくだから泊めて貰えよ。コイツんちこっから近いから」
「で、でも迷惑じゃ」
「構わん構わん!いいだろ?チャンスニ」

シウォンさんに同意を求められだが、シム先輩は直ぐに頷かなかった。

「うーん・・・・・・」
「いいじゃん。部屋、ひとつ余ってんだろ?」
「まあ・・・・・・」
「なら泊めてやれよ」
「いいです、けど」

部屋が余ってる?
どういうことだ?

「部屋が余ってるって・・・・・・シム先輩、アパートでも経営してるんですか?」

俺の問いに、シウォン先輩が答えた。

「違う違う、こいつ家シェアしてんだよ」
「へぇー。知らなかったです」

結局、俺はシム先輩の家にお邪魔することになった。










家があるという小高い丘に向かって、俺はシム先輩と歩道を歩いた。

「本当に良いんですか?タクシーでも帰れますし、無理には・・・・・・」
「いいよ、別に。ただ・・・・・・お前が困るかも」
「え?何でですか」
「・・・・・・シェアしてる人、多分ちょっかい出してくると思うけど、気にしないでね。適当に流していいから」
「わ、分かりました」

どんな人なんだろう。
ちょっかい出すとかそんなワードを聞いて、明るくフレンドリーな女性でも住んでるのかな?と思った。



シム先輩が住む家は、小奇麗な外観をしていた。
一階は大きな作りの窓で覆われ、広いフロアの中にはカウンター付きのキッチンがある。

「まるでお店みたいですね」
「知り合いが管理してる物件なんだけど、前まで下使ってカフェ開いてたから」
「へぇ。凄いや」

寝室や風呂は二階にあるらしい。
階段を上って、家の中にお邪魔した。
玄関の、タイル張りの床に足を踏み入れると・・・・・・

「また揃えないで・・・・・・」

シム先輩は、脱ぎ捨てられていた大きな靴を溜息をつきながら整えた。
靴のサイズを見てすぐに分かった。
女の人かと思っていたけど、男の人か。

「上がって」
「は、はい」

廊下を少し歩き、正面にあるリビングへ通された。
キッチン、ダイニングとくっついた、ワンルームの作りになっている。
全体的に綺麗で広く、元々カフェということもありお洒落だ。
都心で駅から近いこの環境で、結構良い場所に住んでいると思う。

「何か飲む?」
「大丈夫です!お構い無く」
「適当に座ってて。まだシャワー空かないと思うから」
「はい」

ということは、もうひとりの住人が今、風呂場を使っているのだろう。
確かに、玄関に靴はあったのに姿は見えない。
シム先輩はキッチンに立ち、シンクに重なった食器を洗い始めた。
いつも仕事してる所しか見ないから、なんか新鮮だ。
皿を洗う姿がしっくりくる。
シム先輩って外見も綺麗だけど、雰囲気も、なんていうか・・・・・・
知らぬ間に、その姿をじーっと見つめていた。

「どうした?」

俺の視線に気付いたシム先輩が、首を傾げた。

「ああいえ!何でも無いです!」
「そう」
「えっと・・・・・・トイレ借りても良いですか?」
「どうぞ。廊下出て、すぐ左だから」
「ありがとうございます」

特に、トイレに行きたかった訳ではない。
少し動揺していたので、一端リビングを出たかった。
勢いのままドアを開け、進んだ俺は・・・・・・

「うあっ」

目の前に居たその人に、ぶつかってしまった。
顔を上げると・・・・・・

「・・・・・・あんた、誰?」

その人は、驚いた顔をして呟いた。
俺の方こそ驚いた。
何だこの人・・・・・・モデルか?
整った小さな顔と、風呂上がりでウエーブ気味の濡れた髪。
短パン一枚と、上は何も纏わずタオルを引っさげただけ。
シンプルだが、その姿は様になり過ぎている。
キッチンの方から、シム先輩がイケメンさんに話しかけた。

「その子、僕の後輩。終電逃したみたいだから、泊めてあげて」
「ふーん。いいけど?」

イケメンさんは俺の前を通り過ぎて、キッチンへ向かった。
冷蔵庫からミネラルフォーターを取り出して、ぐびぐびと飲み込む。

「あ・・・・・・ユノ、口つけたら・・・・・・」
「『戻さないで最後まで飲め』だろ?わぁかってるって」

その会話を聞いて、互いの生活スタイルを良く把握してるな、と思う。
イケメンさんが、ペットボトルを持ったまま俺の方までやって来た。
突然肩を組まれて、俺は思わず声を上げた。

「わっ・・・・・・」

イケメンさんが、俺に顔を寄せて囁く。

「お前、今何年目?」
「い、一年目ですっ」
「そーかぁー。アイツ、チャンミン煩いだろ?」
「い、いえ・・・・・・そんなことは・・・・・・」
「遠慮しないで言って良いんだぜ?先輩、細か過ぎますって」
「いやぁ、それは・・・・・・」

この人、躊躇いなく人に触れるんだな。
同じ男だけど、文句無しにカッコイイのでついドキドキしてしまう。
肩を縮める俺を見て、シム先輩が言った。

「ちょっとユノ、あんまり苛めないで」
「苛めてねえって。な?」
「はは・・・・・・」

少しやり取りを見ただけだが、ふたりの仲の良さは十分伝わった。
家をシェアしてるくらいだから、相性も良いのだろう。

「スホ、シャワー使っていいよ」
「ありがとうございます。お借りします」

俺は、タオルを借りて風呂場へ向かった。









脱衣所で着替えていた時のこと。
ふと、ゴミ箱の中に視線をやった時・・・・・・

「あ」

俺は、ソレを見付けてしまった。
何故ここに、ソレが?
でも、別にあってもおかしくない、か。
いやでも、やっぱりおかしいような・・・・・・
気にせずにはいられない。
俺は、頭を捻りながらシャワーを浴びた。









「シャワー、ありがとうございま・・・・・・」

浴室を出て、部屋を覗くと

「結構良い感じ?」
「今度は苺入れてみるか」
「駄目だよ。ピクルスは野菜と相性が良いんだから」
「あ、でもほら。果物もイけるって」
「ウソ、本当?」

二人は、キッチンでiPadを弄りながらそんな会話をしていた。
料理の相談だろうか。
机の上には、野菜が詰まったビンが置いてある。
シム先輩が、その中からひとつ取り出して口に含んだ。

「うん、おいしい」

シム先輩が、もうひとつ野菜を手にする。

「俺にも頂戴」

イケメンさんは、シム先輩の指をそのまま自分の口元まで持っていった。
そして、ぱくり。
なんと、シム先輩の指ごと野菜を咥えたのだ。

「お、旨い!」

おいおい。友人同士にしては、度が過ぎてないか・・・・・・?
当然の如く触れ合う二人を見て、動揺する俺がおかしいみたいに思えてくる。
シム先輩の、イケメンさんに向ける笑顔が可愛すぎて・・・・・・
俺は確信した。
さっき、脱衣所のゴミ箱で見てしまったコンドームのパッケージ。
あれは、二人が使ったのだと。
どちらかが恋人を連れ込んだのかも知れないと思ったが、二人のやりとりを見てその可能性は消えた。
何か悪いことをした訳でも無いのに、俺はひっそりと壁際に身を隠した。

「あいつ風呂長くない?」
「そうだね。大丈夫かな」

いやいや、出て行く勇気が無いんですってば!
もう、勘弁してくださいよ・・・・・・
俺はがっくりと肩を落として、小さく笑った。



ひと部屋空いてるんじゃなく、正確には誰も入れないんでしょ?
シウォンさん・・・・・・
ルームシェアじゃなく“同居”の間違いじゃないですか!!!










END



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たくさん拍手ありがとうございますm(__)m
社会人編、無事にらぶらぶ同居してるふたりでした~
今度はチャンミン視点で書きたいな♪



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Comment 2

723621mam  

スホ、ご愁傷さま(笑)
でもうらやましいわ。
そしてホッとするような嬉しいような。
ユノはあいかわらず熱いのかしら?
チャンミンは?
オトナな二人が楽しみ♡

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