恋の方程式 8























恋の方程式・表紙






















委員長の僕が、まさかの不良男と交際に至ってから一年以上が過ぎた。
時には喧嘩をしながらも関係が続いたのは、僕よりも大人な対応が出来たユノのおかげかも知れない。
ユノを思い出すと、真っ先に浮かぶのは明るい笑顔と優しい言葉。
僕はツンケンしてばかりで、言葉にしたり態度に出すのは最後まで苦手だったけど、本当にユノが好きだった。
高校三年の春―――。
僕等は、離れ離れになる道を選んだ。
僕が選んだ大学は、ユノの大学と随分離れていた。
高速鉄道で二時間かければ通える距離だが、そう頻回に会えないことは目に見えていた。
それでも、互いに自分の進みたい道を諦めなかった。
同じ大学へ行くという選択をしなかった・・・・・・恋愛一色に染まらなかったのは、頑固な僕等らしいとも思う。



卒業式の後。
白く優しい、春の空気が漂う中。
校舎裏の桜の木の下で、僕はユノを待っていた。
これから四年間、会えない時間が続いて僕らの関係は壊れないだろうか・・・・・・?
進学が決まってから、僕は漠然とした不安をずっと抱えていた。

「わりー!お待たせ」

駆けて来た恋人の姿を見て、僕はつい笑ってしまった。
学ランのボタンは見事に全て外れ、シャツもよれている。
ユノの格好は、ボタン争奪戦でもみくちゃにされたのをよく物語っていた。

「ははっ。大変だね、人気者は」
「もう参ったよ。あの人ゴミはマジでヤバかった・・・・・・」

ユノは知り合いが多いし、ダンスが上手いから憧れてる後輩も沢山居る。
全て取られてしまうのも仕方無い。

「あれ・・・・・・お前も無いじゃん」

数個ボタンが欠けた、僕の学ランを見てユノが呟く。

「ああ・・・・・・委員会の後輩達が欲しいって言うから、あげたんだ」
「ふぅーん」

ユノは少し不満げな顔をした。
欠けているのは三つ目と四つ目のボタン。
本当は、第二ボタンを欲しいと言われたのだが断った。

「でも、取ってあるよ。第二ボタン」
「お、サンキュー!ん、俺のも」
「ありがと」

互いの第二ボタンを渡し合う。
交換する約束をして、元々取っておいたのだ。
人気者のユノの第二ボタンを貰えるのは、恋人の僕の特権。
だけど、それも何時まで続くのか。

「これから・・・・・・あまり、会えなくなるな」

ぽつり、呟く。
寂しさを隠せない。
泣くまでじゃ無いけど、弱々しい声が出てしまって少し焦った。

「遠距離だからなぁ」
「・・・・・・・・・・・・」

ユノが、僕の顔を覗き込む。

「・・・・・・別れるかも」
「え・・・・・・?」
「とか、思ってる?」

びっくりした・・・・・・
凄く動揺してる僕と違って、ユノは落ち着いている。
どうしてそんなに、穏やかに笑ってられるんだ。

「まあ、俺は何があってもお前離す気無いけど」
「そう・・・・・・」

自信を持って断言出来る、こうして前を向いてられるユノは強い。
僕は下を向きがちだから、少しはユノを見習わなくちゃいけない。

「はい、これ」

ユノが、僕の手にあるものを握らせた。
掌には、透明の小さな箱。
ぴんと来ずに、僕は首を傾げた。

「これ、何?」
「ピアッサー」
「ピア、ッサ・・・・・・?」
「お前が、此処に開けて。俺が、お前のだって証」

ユノは、右耳を引っ張ってそう言った。

「え?ピアス?僕が開けるの?」
「だから、そう言ってんじゃん」
「無理!失敗したら恐いもん」
「だいじょぶだって。ほら」

肌に穴を開けるなんて恐いし、失敗したら最悪じゃないか!
断固拒否する僕に、ユノは無理矢理ピアッサーを握らせた。

「い、嫌だ!」
「俺も一緒に押すから!」

僕の手に、ユノの手が重なる。
緊張で、ぷるぷると手が奮えた。

「位置、此処でいい?」
「分かんない・・・・・・。した事無いし」
「大体で良いって。変にズレてなければ」
「多分、大丈夫」
「じゃあ、行くぜ?・・・・・・せーのっ」
「わっ・・・・・・」

ユノの手に力が篭り、僕もピアッサーを握り締めた。
カシャンと音が鳴って、ゆっくり手を離すと・・・・・・

「さ、刺さってる・・・・・・」

透明な小さな棒が、ユノの耳たぶを貫いていた。
出血は無い。ホッと溜息をついた。
ユノが、耳たぶを触りながら嬉しそうに笑う。

「上手くいったみたいだな」
「うん。痛い?」
「少しな。ジンジンする」

安心しきっていた僕だが、ユノがもうひとつピアッサーを取り出すのを見て、ギクリとした。

「んじゃ・・・・・・今度はお前の番だな」
「えっ・・・・・・僕も開けるのか?」
「ったり前だろー。ほら、耳貸せ」
「やだ!やだやだ恐い!」
「こら、逃げるな!」

結局その後、僕はユノに捕まり、強制的にピアスを開けられてしまった。



こうして僕とユノは、それぞれ左耳と右耳に一つずつ、互いの証を刻んだ。
僕はピアスをするようなキャラじゃない。
それに、親に貰った身体だから傷はつけないって決めていたのに・・・・・・
でも大学生活が始まって、ユノと離れている時間が重なる程、僕は耳の痛みにユノの存在を求めるようになった。
何時しか耳たぶの痛みが恋しくなって、段々と痛みが減ってゆくのがとても寂しかった。









一ヶ月もすれば、穴は安定して痛みも完全に無くなってしまった。
センスが分からず、空っぽになった穴に何を付ければ良いのか分からない。

「ピアスって、一体何付ければいいの?」

アパートで一人、耳たぶを弄りながらユノと電話する。

『んー、好みじゃん?適当に買えば?』
「それが分かんないから聞いてるんでしょ」
『んじゃ、今度俺がプレゼントしてやるよ。同じの付けようぜ』

その時。
ピーンポーン、とインターホンが鳴った。

「あ、ちょっと待って。誰か来た」

携帯を持ったままドアを開けると、そこには・・・・・・

「よう。おひさ」
「なっ・・・・・・何でっ!?」

ユノが立っていた。
洒落た紙袋を掲げながら、にっこり笑う。

「言ったろ?プレゼントするって」

紙袋には、“accessory”の文字。
買ってきてくれたんだ・・・・・・ピアス。
それも、サプライズ訪問。
嬉し泣きするには、充分だった。

「今日来るなんて、聞いてないっ・・・・・・」

顔を覆った僕を抱きしめて、ユノが笑う。

「素直じゃねーなぁ。そこは“会えて嬉しい”だろ?」
「うっ・・・・・・」

久しぶりの身体を力一杯抱きしめて、唇を合わせた。
心の底から、じわじわと愛しさが込み上げてくる。
僕は確信した。
離れてても、ユノとなら大丈夫。
どんな問題も、解決していける。
正解を見つけ出せるって。









END



◇◇◇



めでたくハッピーエンド。
高校生編終わりです。
なんか、いつも問題ぶっ込むので今回は肩スカシって感じかなぁ(^_^;)
ちょっと書き足りないので、大学生~社会人編数話続き書きます。
エロが書きたい♪
見飽きたかもしれないけどもうしばらくお付き合い下さい。
そしてコメントためため済みません・・・・・・
今日中にお返し致しま~すm(_ _)m



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3 Comments

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2016/08/07 (Sun) 16:55 | EDIT | REPLY |   

723621mam  

ユノだって!
チョンさんだったのに、ユノだって!
ああもうそれだけでトキメク。
でもそんな素直じゃないチャンミンと、少し大人な対応のユノのえち、見たい聞きたいのぞきたい!
待ってます。

2016/08/07 (Sun) 09:53 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/07 (Sun) 09:10 | EDIT | REPLY |   

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