恋の方程式 6























恋の方程式・表紙






















チョンさんと付き合い始めてから、早一ヶ月。
一緒に昼食を食べたり下校したり、二人の時間を重ねるうちにチョンさんの事を沢山知った。
今日も放課後の図書室で、勉強の息抜きに雑談する。
チョンさんが留年した理由は、入学して暫くは未来展望が持てず、ダンスに夢中になり過ぎたから。
けど夢を見付けた今は、部活よりも勉強を優先したいようだ。

「じゃあ・・・・・・これからはもう、部活には参加しないの?」
「たまに行く程度かな。 ダンス仕事に食ってくなら頑張るけど、俺が目指してんの検事だし。それに、ほんとなら今高三で引退時期だろ?顧問に話して、指導役ってことで週一行くだけにしてある」
「そっか・・・・・・」

チョンさんの判断は間違ってはいないと思う。
でも・・・・・・

「なんか不満?」

僕の反応を見て、チョンさんが問いかける。

「そうじゃないけど、後悔っていうか・・・・・・。ステージで踊ってるの、一度ちゃんと見れば良かったなって」

チョンさんのダンスは僕が入学した当初から有名だった。
でも全くダンスに興味が無かったので、ステージに足を運んだ事が無い。
チョンさんがどんな風に踊るのか、僕は全く知らない。

「へえー。見たいとか思うんだな」
「・・・・・・格好いいって聞いたから」

素直に打ち明けると、チョンさんはしみじみ呟いた。

「お前さぁ・・・・・・付き合い始めてから、ほんっと急に可愛くなったよな」

ストレートな物言いに、顔が熱くなる。
しょうがないじゃないか。
嫌いが好きに変われば、態度だって変わる。

「嫌なら黙りますけど」
「何で拗ねるよ!誉めたんだろ?今」
「ああ、そうですか」

素っ気ない態度を見せても、顔が赤いからきっと照れは伝わってる。

「チャンミナ・・・・・・」

顔を覗き込まれて、僕は体を強張らせた。
何度か経験しているので、表情や声色、雰囲気で分かる。
キスされる・・・・・・
その時―――
ガチャリ。
二人きりだった図書室に、生徒が一人入ってきた。
二人とも、咄嗟に身体を引き離して別々の方向を向く。
生徒の様子を伺うが、特に僕らを気にしてはない。
ホッと安堵のため息をついた。
チョンさんが、ノートにメッセージを書いて僕に見せてきた。

“あとちょっとだったのに”

僕もまた、書字で応える。

“ここでしようとするのが悪い”
“じゃあ外出よう”
“まだ勉強終わってない”
“無理。ちょー触りたい”

さ、触りっ・・・・・・
動揺から言葉を失う。
オープンなチョンさんには、いつも振り回されっぱなしだ。
チョンさんは僕をじっと見つめていて、 真剣なのだと分かる。
触れ合いは、今のところキスに留まっている。
抱き合ったり手を繋ぐこともあまりない。
人の目に付き易いし、分かり易いからだ。
キスもかなりリスキーだけど、一瞬で終わるから頻度としては多い。
というか、チョンさんが僕に了承を求めず直ぐにキスをするのだが。
返答に困っていると、チョンさんがある提案をした。

「なあ、今度勉強教えてくれよ」
「え?教えなくたって大丈夫でしょ。チョンさんなら」
「古典が苦手なんだよ。模試の結果見たら、50点満点中俺10点、お前40点。俺よりは得意だろ?」
「まあ、多分」
「頼むよ」
「良いですよ」
「じゃあ、今度お前ん家で勉強な」
「え・・・・・・?」
「んだよ、駄目?」
「べ、別に・・・・・・駄目では無いけど・・・・・・」
「んじゃ、決定な」

勢いに押されて、了承してしまった。
断る理由も特に無いし、構わない。
でも・・・・・・先程の書字のやり取りから家に来る話になって、“ある事”を考えてしまうのは自意識過剰だろうか?
チラリと隣を見ると、チョンさんは既に参考書へ視線を落としていた。









その日の夜。
僕はこっそりネットで検索をかけた。

『男同士 セックス』

打ち込んでから恥ずかしくなり、顔を覆う。

「あー・・・・・・何やってんだろ、僕」

でも、交際するからには避けられない事だ。
女子とさえ経験が無い僕だけど、男同士なんて更に未知で知識はゼロだし。
ある記事をクリックして、それに目を通した途端、僕は固まってしまった。
まず、男同士でも繋がれるという事実に衝撃を受けた。
前を扱き合うくらいだと思っていたのに・・・・・・
基礎知識が載ったものから、人が経験を連ねたものまで一通り見た。
文章を追ううちに、いつの間にか妄想に転じて・・・・・・

「僕がチョンさんに・・・・・・?いやいや、無理。怖いって」

これは想像できない。
じゃあ、逆は?
何時も主導権を握られるからか、リードされる瞬間をすんなりと思い浮かべてしまった。

「うあ!馬鹿馬鹿、早まるなっ」

机に突っ伏して、ブンブンと首を振る。
別に、望んでいる訳じゃ無い。
僕はそういうタイプじゃ、性欲は強く無い筈だろ?
自射だって滅多にしないし・・・・・・
その時、携帯がブルブルと震えてメッセージの受信を告げた。
送信者は―――

「チョンさん・・・・・・」

『今週の土曜、お前んち行っていい?』

「・・・・・・・・・・・・」

『大丈夫です』

送信。
ドキドキが止まない。
繋がることを望んではいない。
期待してもいない。
否定すればするほど、ただの言い訳のようにしか聞こえなくて・・・・・・
何処かで本心に気付いていながら、僕は知らないフリをした。









ミーンミンミン。ミーンミンミン・・・・・・
蝉の止まない鳴き声と、じりじりと照りつける太陽の光。
土曜の昼下がり、外はもう夏真っ盛りだ。
予定通り、僕の家にチョンさんがやってきた。
父さんは仕事、母さんはじいちゃんばあちゃんに会いに、実家へ帰省中だ。
机にテキストを広げながら、二人勉強に励む。
飲みかけの麦茶に入った氷が、カランと音を立てた。
それとほぼ同時に

「あー!くそ!わかんねえー!!」

チョンさんが突然声を上げた。

「もう・・・・・・急に大声出さないで」
「だって、この問題おかしいだろ?活用形の通りに読み解くと、“b.大君は不快に思った”が正解じゃん。何で外れたの?」
「えーっとそれは・・・・・・チョンさんの解答見てると、活用形はちゃんと覚えてるし、短文単体で出される分には問題無いんだけど」
「けど?」
「こういう物語文って、ジャンルによっては活用形やルールを無視した例外も稀にあるんだ。問われてる一部だけ見て判断しないで、文脈から推測した方がいい。だから・・・・・・」

距離を詰めて、チョンさんのテキストに線を引いてゆく。

「最初のとこでも心理描写があるでしょ?あと、ここ、ここにも・・・・・・。繋げて見ていくと、大君はプラスの感情を抱いている事が解る。b.不快に思った、c.悲しく思ったは消去法で外れ。a.嬉しく思った、が正解」
「ふうーん、成程ね・・・・・・」
「古典は、問題数熟せばコツ掴めると思うよ」

チョンさんを見ると、思いの外顔が側にあってドキッとした。
焦って身を引こうとすると、チョンさんに腕を引かれた。

「は、離して・・・・・・」
「お前さ、登場人物の心読むの得意な。俺の心は中々読めなかったのに」
「悪かったな!鈍臭くて」
「別に責めちゃいねーけど。鈍いとこも可愛いし」
「か、可愛い言うな・・・・・・」

また僕をサラッと赤面させて、チョンさんは続けた。

「じゃあさ、もう一個問題解いてみて」
「え・・・・・・?」
「古典が得意なチャンミナに問題」

デジャヴだ。
前にも、似たようなことがあった。

「・・・・・・何」
「俺には一ヶ月以上付き合ってる恋人が居ます。キスまではしたけど、その先へは進んでません。今日は勉強をしに恋人の家にやって来ました。親は夜まで不在だそうです」
「・・・・・・・・・・・」
「さて・・・・・・・・・俺は一体今、何を考えているでしょうか?」

チョンさんの手がゆっくりと動き始め、僕の腕から下を辿って、やがて太股に辿り着いた。
思わず、ビクリと身体を震わせる。

「ちょ・・・・・・ふさけないでっ」
「ふざけてない」
「や、やだってば」
「チャンミナ、ちゃんと俺を見ろよ」

身を捩る僕に、チョンさんは強い口調で言い聞かせた。
真剣な眼差しに囚われ、身動きが取れなくなる。

「ずっと思ってた・・・・・・先に進みたいって。これでも、随分我慢した」
「・・・・・・・・・・・・」
「まだ・・・・・・駄目か?」

チョンさんの黒い瞳が、切なげにゆらゆら揺れている。
なんて綺麗な顔をするんだろう。
身体を欲しがるって、もっと厭らしいイメージだったのに。

「チャンミナ・・・・・・?」

返事を促されても、yesもnoもはっきり言えない。
情けないけど、現状を理解するのがいっぱいいっぱいだ。

「わ、わからな・・・・・・」

首を振る僕に、チョンさんは・・・・・・

「・・・・・・もし嫌なら、突っぱねて」

そう言って顔を寄せた。
唇が重なり、肩に添えられた手の重みで姿勢を崩す。
床に押し倒され、余裕なさげなチョンさんを下から見上げて、そこに知らない世界を見た。
ぬるついた熱い舌が、口の中へ入ってくる。
湿った手に、シャツの中をまさぐられる。
そして僕は、されるがままになった――――






熱に浮かされながら、頭の隅で僕自身が囁く声を聞く。

『本当は待ってたんだろ?望んでたんだろ?手を出されるの』

そうだよ・・・・・・僕は・・・・・・
その囁きを受け入れて、僕は、チョンさんの背中に手を回した。









◇◇◇



真夏×まっ昼間×学生×え☆ち
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3 Comments

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2016/08/07 (Sun) 16:30 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/03 (Wed) 05:10 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/02 (Tue) 12:21 | EDIT | REPLY |   

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