係長 シムの桃色手帳 4

  29, 2016 17:54


出張一日目の夜。
ホテルの部屋は二部屋手配したものの、片部屋はただの荷物置き場になってしまった。



行為を終えた後――・・・
ユノさんは僕を後ろから抱き込んだまま、パソコンを開いて本部へ報告のメールを打ち始めた。
打ちにくく無いのだろうか?
同じ体勢に疲れて身体を捩ると

「こら。動くな」

ユノさんに叱られてしまった。

「でも・・・・・・ずっとこのままですか?」
「だってお前、ホッカイロになりに来たんだろ」
「確かにそう言いましたけど・・・・・・」
「喉乾いた。水」

ユノさんは僕を離す気はないらしい。
持たされたミネラルウォーターを渡そうとすると、ユノさんはしらけ顔で言った。

「両手塞がってて無理」
「・・・・・・もう」

僕が水を含んで唇を近付けると、ユノさんは満足げに笑った。
そのまま口付けて、ユノさんの口内へ水を流し込む。
不馴れなせいで、口の端から水がポタポタと零れ落ちてしまった。

「へたくそ」

口では貶しても、ユノさんは楽しそうに笑っている。

「今・・・・・・綺麗にしますから」

僕は再びユノさんに口付け、唇から下の零れ落ちた水の跡を舌で辿った。
形のよい顎、喉の感触に興奮する。
唇を離して見つめ合うと、ユノさんはパソコンを畳んでベッドの上に放り投げた。

「あーあ、全く仕事にならない」

不満を漏らしながらも、ユノさんは笑顔だから僕も引き下がれない。
だって、夜は僕と過ごす為に同行させてくれたんでしょう?
そんな心の声は隠して「ごめんなさい」と口にする。
最早仕事をする気がない事は、互いに分かりきっている。
気持ちの昂りのせいで、体温はホカホカと暖かいままだ。
今の僕はきっと、ホッカイロに違いない。









翌朝。
出発の準備に取りかかる僕に、ユノさんは言った。

「あー、いいいい。お前、今日は留守番だから」
「えっ?」
「また知らぬ間に手ぇ出されたら堪んないからな」
「でも・・・・・・」
「今日は講師してくるだけだから一人で充分なんだよ。パソコンで文章作成と各支店にメール飛ばすのだけ頼む」
「わ、解りました」

講師の仕事であれば、僕は待機しながらデスクワークした方が、確かに効率的ではある。

「イイコにしてろよ」

そう言って笑いながら、ユノさんはドアの向こうに消えた。
上からな物言いにもときめいてしまう。
独占されている感じがして嬉しい。

「行ってらっしゃい、ユノさん」

ドアに向かって、僕は笑った。



その日以降僕は、ホテルで待機、必要時同伴というスケジュールで動いた。
待機中ホテルで帰りを待っている時は、もしユノさんの嫁ならきっと毎日こんな感じかな?なんて恥ずかしい想像をした。
現実は、ユノさんが嫁を貰う日は来ない事を祈る。
これからも、僕を捕まえて傍に居さてくれることを。
二人きりの時間が貴重だと分かっていたのて、毎晩セックスをして時間があればディナーへ出かけた。
大田から移動するタイミングで、僕はユノさんと解散してソウル支店へ帰った。
出張業務の殆どはユノさんが熟し、僕と言えば半分は仕事をせずにイチャつき相手をしていた。
出張報告書を素知らぬ顔で提出する時は、流石に罪悪感が湧いた。
普段仕事に追われ、中々触れ合う機会が無いのだ。
たまには恋愛を優先して、ズルも仕方無いじゃないかと開き直った。
僕の頭の中は、やはり誰にも見せられない。









一ヶ月程後。
ユノさんが、出張先としてソウル支店を訪れた。
メールや電話で連絡を取っていても、顔を合わせるのは久しぶりだった。
僕を含めた役職者ミーティングに、ユノさんも参加した。
ユノさんが以前勤めていたこともあり、ソウル支店メンバーは比較的ユノさんにフレンドリーだ。
議題が終わると雑談が始まり、和やかな雰囲気に包まれた。
以前ユノさんが勤めていた時と同様、やはり周りには何時も誰かが居るので、僕はまともに話せない。
久しぶりに会ったのにな・・・・・・
会議室から移動する途中、僕はしょぼくれながら、前を行くユノさんと部長の話を聞いていた。

「今夜泊まるホテル、お決まりですか?こちらでも手配出来ますよ」
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。タダで泊まれる良いホテルを知ってるので」
「それはVIP待遇ですね!」
「ええ。“シムホテル”です」
「シムホテル・・・・・・?」
「ね?係長」

ユノさんが僕を振り返ってニッコリ笑った。
ふ、不意討ち過ぎる・・・・・・!
動揺もあるけど、やはり嬉しさの方が上回る。
苛めるのが好きなのに、喜ばせるのが得意な器用な人だ。

「もう・・・・・・仕方無いですね」

僕の了承に、ユノさんがくいっと口を吊り上げる。
「君達は本当に仲が良いな」と部長が笑った。
僕らが共に過ごす真の目的を知りもせず。









廊下で目配せ、礼だけを交わして、ユノさんと僕はすれ違う。
掠れる程の軽さで手が触れるその一瞬、互いに小指を絡ませ合った。
押し寄せる甘い気持ちに、頬を緩める。
きっと後ろで、ユノさんも笑ってる。









END



◇◇◇



あっさりおわり~
やまなし落ちなし意味なしです。
出張先でやきもちからのえっち、がメインだったのであとはネタが浮かびませんでした(T.T)
こんな出張が許されるのかは分かりません。
バレたら大変でしょうね。
新しいお話も浮かんでるけど、常闇もうそろそろ再開しないと・・・



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Comment 3

ジェイソン  

うぉっほ♪

ええっ⁈ ヤマナシ……って、私が妄想し過ぎている訳では無いと思います。「萌えシーンの宝石箱やぁ~」って楽しんで読ませて頂きてマシタ❤︎。 アラサー男性のバックhugやら、スレ違いざまの小指とか、、、半チビリ| |д・) ソォーッ…ゴメンナサイ❤︎

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