そのオトコ、要注意 5

  10, 2016 07:42

















そのオトコ、要注意・表紙


















うちの会社に来てから一ヶ月もしないうちに、チョンさんは本部へ移動になってしまった。
もしかしたら、元々本部へ配属になることが決まっていたのかも知れない。
僕等から学ぶという言い方をしながら、本当は下層の働き具合を偵察していたのでは無いだろうか。
本部へ移動する話が出てから、チョンさんは準備に時間を取られ、僕と行動する事があまりなくなった。



チョンさんに、サラッと告白されたあの日―――・・・
特に交際を求められる事も無く、今後の事は有耶無耶のまま解散した。
チョンさんは僕に礼を言った。まるで別れを告げるかのように。
好きとは言ってくれたけど、交際する気は無いのかも知れない。
それを、残念に思う僕が居る。
気づくと、素肌を触れ合わせ、逞しい腕に抱かれながら目覚めたあの朝を回想して
いる。
当時は混乱しか無かったけど、今思い返すと贅沢だと思う。
何時から好きだったんだろう。
いや・・・・・・僕を想い、将来を案じてくれる姿に惹かれたのかも知れない。
チョンさんは、気持ちを伝えただけで満足なのだろうか。
僕はそうじゃ無い。
でもこんなこと、簡単に言えない。
ああ・・・・・・僕の意気地ナシ。









今日は、チョンさんがうちで働く最後の日だった。
夜は、集まれる社員でチョンさんの為に飲み会を開いた。
チョンさんは僕の向かい側の席に居たが、何時も誰かと話していて声をかけるタイミングが掴めなかった。
婦人との噂が流れてしまったけど、今でもチョンさんを慕う社員も居る。
仕事が出来るうえ、謙虚なチョンさんの態度は好感を誘う。
一緒に働けなくなるのは寂しいけど、こういう人こそ頂辺に立って、組織を引っ張れる“人財”なのだろう。
社員と話すチョンさんをじっと見ていると、ふと視線がかち合った。
ドキン、と心臓が跳ねる。
チョンさんは視線を逸らさずに、にっこりと笑みを浮かべた。

「シム先輩も、今迄お世話になりました」
「い、いえ・・・・・・。お世話って言える事はそんなに・・・・・・」

チョンさんは、身を屈めて僕を手招きした。
ドキドキしながら顔を近づけると、口を覆いながらひっそり声で言った。

「今日・・・・・・このあと時間あります?」
「え?」
「良かったら・・・・・・最後にゆっくり話でも」
「は、はい!大丈夫です」

頷いた僕を見て、チョンさんが笑みを深くする。
直ぐに他の社員との会話が始まってしまったが、特別扱いされた気がして嬉しかった。






二次会へ流れようとする社員から逃れて、僕とチョンさんは酔い覚ましがてら、帰路を歩いた。
都心から遠ざかるにつれ人気が少なくなり、静かな空間と、涼しい風が心地よい。
ほろ酔いの僕を見て、チョンさんが微笑を漏らす。

「今日はやらないんでんすか?人間ホッカイロ」
「やりません。盗撮されたら怖いですもん」
「効果覿面ですね」

僕は普段、そんなに沢山酒を飲まない。
あの晩飲みすぎたのは、チョンさんと打ち解けられた事に舞い上がっていたから。
今は・・・・・・どちらかというと寂しい。
橋の真ん中に差し掛かった所で、僕は立ち止まった。

「シムさん・・・・・・?」

チョンさんも、足を止めて僕を見つめる。

「僕たち・・・・・・このまま、会えなくなる・・・・・・んでしょうか?」

ポツリと、そう問いかけた。
アルコールが心のストッパーを緩くしている。
街の光の粒、きらきらと光る水面が、チョンさんの顔が、瞳に張った水分でうっすらぼやける。
このままサヨナラなんて、寂しい。

「同じグループの中に居るんですから、会う機会はあるでしょう」

それは、求めている返事じゃない。

「それだけじゃ・・・・・・寂しいです」
「シムさん・・・・・・」
「チョンさん・・・・・・僕、は・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「僕も・・・・・・その・・・・・・」

拍動の音が、やけに大きくなって聞こえてくる。
告白ってこんなに緊張したっけ。
肝心な一言が、すんなり出てこない。
見つめ合っていると、チョンさんは落ち着ききった笑みを浮かべ、甘い声で言った。

「どうしたんです?そんなに・・・・・・物欲しそうな顔をして」

恥ずかしさに、カッと全身が火照る。
僕今、そんな顔してるんだ・・・・・・
きっともう、心の中は読まれてる。
甘い顔と視線に縛られ、身動きが取れない。
息をするのもやっとの状態で、僕は遂に想いを口にした。

「す、好きなんです!僕も・・・・・・チョンさんのことが、好き・・・・・・です」

僕の告白を聞いても、チョンさんは特に顔色を変えることもなく、静かに微笑んでいる。
手摺に寄っかかりながら、のんびりとした口調で言った

「どうしてです?貴方を虐めた酷い男ですよ、僕は」
「だって、あれは・・・・・・僕を思ってしてくれた事だし」
「・・・・・・本当に、そうだと思いますか」
「え・・・・・・?」

また、あの時の悪い顔が見え隠れする。
感情の見えにくい平坦な口調で、チョンさんは言った。

「白状します。僕は確かに、貴方に社会を学ばせたいという目的を持っていました。でも、困っている貴方を見て興奮していた・・・・・・楽しんでいたのは事実。全てが演技では無かったということです」
「・・・・・・・・・・・・」
「もうお分かりでしょう?僕は面倒な男です。もし恋人になったとしても、また貴方を困らせると思い、関係は求めませんでした」

チョンさんの気持ちは分かった。
でも恋心を自覚した今、ハイそうですかと簡単に引き下がるなんて出来ない。
行動に移す前から、諦めたく無い。

「そんな悲しい顔をされると、揺らぐな・・・・・・」

チョンさんは、僕の正面に立って手を差し出した。

「・・・・・・気が変わりました。僕の恋人になってくれるなら、手を取ってください」

求めてくれて嬉しい。
僕は口元を綻ばせ、チョンさんの手を取ろうとした。
触れる直前、チョンさんが言った。

「ひとつ忠告ですが・・・・・・この手を取ったら・・・・・・もう二度と、僕は貴方を離しませんよ」
「へ・・・・・・?」

僕を見つめる瞳の奥に、静かに、でも激しく燃える欲望が見える。
真顔でそんな事を言われて、僕はゴクリと喉を鳴らした。
この人、本気だ・・・・・・
この先チョンさん以外の人とはもう、交際出来ないかも知れない。
虐められて、泣きたくなる日もきっとあるだろう。
それでも今は、この手を取りたい。
好きなものは好きなんだから、しょうがない。
僕って、計画性無さすぎ・・・・・・?
ぎこちない動きになりながらも、僕は遂にチョンさんの手を握った。
その直後。
強い力で引き寄せられ、気が付いたら唇を奪われていた。

「あふっ・・・・・・んっ・・・・・・ンンッ!」

湿った暖かい舌が、まるで生き物みたいな器用さで僕の口内をかき回す。
幾度と角度を変えて、ぴちゃぴちゃと恥ずかしい音を立てる。
腰を強い力でホールドされ、抵抗も出来ない。
始めは凄く動揺したけど、理性を奪うようなそれを受け止めるうちに、段々応えようと必死になった。
長らく口付け合った後、唇を離した時にはだいぶ息が上がっていた。

「んん・・・・・・はぁ・・・・・・」

スラリとした綺麗な手が、赤く染まった僕の目尻、頬、首筋までを這って、身体がびくんと奮えた。
厚い唇にうっすら艶めいた笑みを浮かべ、チョンさんは言った。

「もう、離さない」
「チョン、さん・・・・・・」

きつく抱きしめられ、圧迫感に熱い溜息が漏れた。
僕もチョンさんの背中に掌を這わせ、ぎゅっと抱き返す。
この人、魔術でも持ってるんだろうか。
気持ちを伝え、触れ合ったつい先程から、心も身体も完全に奪われてしまった気分だ。
チョンさんが僕を離すどうこうの前に、僕がチョンさんから離れられないかも知れない。
チョンさんの優しいところ、意地悪なところやそのギャップ、理性を奪うようなスキンシップ。
全てが癖になる。

「じゃあ、行こうか」

チョンさんが当然のように、僕の手をさらって歩き始める。
周りの目を少し気にしたけど、甘い刺激に抗うことは出来なかった。
笑みを漏らしていると、チョンさんは最早決定事項の如く、こう言った。

「俺ん家、こっから歩いて五分くらいだけどいい?」
「え・・・・・・チョンさんの家に行くんですか?」
「このまま返すと思った?」

目を丸くする僕を、チョンさんは口を釣り上げて笑う。
ああ。今夜こそ、チョンさんは確実に僕を襲う気だ。
酷く動揺しながら、僕は何とか言葉を紡いだ。

「あ・・・・・・うんと、はい・・・・・・だいじょぶ、です」

僕の辿たどしい了承を聞いて、チョンさんはクスッと笑った。

「安心しなよ。もうムービー撮ったりしないから」
「あ、はは」
「そん変わり、記憶飛ばしたらただじゃおかないけど」
「と、飛ばしませんよ・・・・・・ちゃんと、覚えてますから・・・・・・」






嬉しい気持ちと、ドキドキと、少しの不安と・・・・・・
なんでだろう、今迄恋人が居た時よりずっと気分が高揚してる。
あの朝の体温を思い出して、早くチョンさんが欲しいと、僕はこっそり思ってしまった。









END



◇◇◇



えっちまっしぐら・・・・・・
チョンさんプライベートモードではタメ口です。

先日の件から、沢山コメント頂きました。
お気遣い頂きありがとうございます(>_<)
拍手も沢山頂いて・・・・・・もうすぐ100000拍手です。
東京ドーム2回分なんて贅沢だなぁ。
個人的に、ホミンよりミンホに拍手が入ってるとちょっと嬉しさが大きいの何でだろう?
きっと世間的な人気がホミン>ミンホだからかな!
私はどっちも捨てきれないくらい好きです。
引き続き頑張りま~す!
コメント返信、遅くなって申し訳ありませんが今週中にお返し致します。
いつも本当にありがとうございます。



気に入って頂けたら、ポチッとお願いします(*^^*)
   ↓

     

人気ブログランキングへ


にほんブログ村


スポンサーサイト

Comment 3

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 

What's new?