ユンホ店長の恋 ~おいしいヤキモチの妬き方~

  06, 2016 07:07


ある晩。
同居人が職場の飲み会だというので、俺は会社に残って仕事をしていた。
家に一人で居ても、特にやる事が無いからだ。
二人で居る時も、大体グダることが多いけど・・・・・・
退勤間際、日誌をつけているとポケットの中の携帯が鳴った。
画面に表示されていた発信者は・・・・・・

「ユンホさん・・・・・・?」

今はまだ飲み会の最中だと思うが、何の用だろう。
疑問に思いながら、俺は通話ボタンを押した。

「もしもし」

聞こえて来たのは、期待していた声では無かった。

『俺・・・・・・イ・ドンヘですけど・・・・・・急に電話、スミマセン』

声の主は、ユンホさんと同じコンビニで働いている男だ。
何故こいつがユンホさんの携帯を持ってるんだ。
ユンホさんの携帯に触って良いのは俺だけなのに。

「何で・・・・・・アンタが電話してくんですか」

苛つきを隠さずそう問うと、ドンへは呆れた口調で言った。

『これから、店長のこと迎えに来れます?さっきから大変なんですよ。貴方の名前呼んでばっかりで・・・・・・』
「え・・・・・・?」

その直ぐあとに、ユンホさんの声が聞こえて来た。

『チャンミーン!』
「ユンホさん?」
『会いたいよぉ、チャンミン。迎えに来て~!』
「相当酔ってるね」
『ねえ、来てくれる?』
「・・・・・・今から行く。待ってて」

俺は通話を切ると、さっさと退勤して職場を出た。
俺を頼ってくれんのは超嬉しいけど、そんなに酔って大丈夫かよ。
無防備な姿が容易に想像出来てしまい、同時に不安が募る。
コンビニの社員は、割と安全そうな奴が多いからまだ良いが。
飲み屋へ到着して席へ向かうと、ユンホさんは膝枕をされてスヤスヤ眠っていた。
六十代のおっさん社員の膝だが、それでもかなり嫉妬する。
即行引き離したい衝動を抑え、俺は一言挨拶した。

「どうも、お久しぶりです」

以前宅配先だったコンビニなので、社員とも面識がある。
俺を見て皆楽しそうに笑い、口々に言った。

「ってか、シムさん店長のアッシーかよ!んな仲良いなんて知らなかったし」
「だよねぇ。担当地区変わってから、もう関わりないと思ってた。びっくり」

アッシーじゃなく恋人だけどね。
俺は笑みを貼り付けながら、心の中で呟いた。
ユンホさんに近付いて身体を揺らすと、ゆっくりと瞼が上がり、ボンヤリとした寝ぼけ眼が俺を捉えた。

「チャン、ミン・・・・・・?」
「迎えに来たよ」
「チャンミンだぁ~!」

ユンホさんが顔をふにゃりと緩め、俺の首に腕を絡める。
俺も背中に手を回して、身体を抱き起こした。
凄く可愛い。求めてくれて嬉しい。
けど膝枕させるくらいだから、他の奴等にも身体を触らせたに違い無い。
不注意さに若干イラつきながらも、優しい口調で問いかけた。

「立てる?」
「ん・・・・・・」

何とか立ち上がったユンホさんと、くっつきながら、少しずつゆっくり歩く。

「ほら、しっかり足出して。いち、に・・・・・・」
「んふふっ」
「そうそ。上手」

俺達のやり取りを、誰もが唖然として見つめている。
俺とユンホさんの関係が、伝わってしまったかも知れない。
それはそれで仕方無い、というか、その方が都合が良い。
誰一人、ユンホさんに触れてくれるな。ユンホさんには俺が居る。
少しでも、それが多く周知出来れば良い。
誰もが言葉を失う中、一人の男が声をかけて来た。

「ちょっといいですか」
「・・・・・・・・・・・・」

ドンへだ。
真面目な顔で、俺をじっと見つめてくる。
こいつは一枚上手っつうか、ユンホさんの事をよく分かってるし賢いと思う。
若干、俺と同じニオイを感じる。
そして、ユンホさんへ好意を抱いているのも知ってる。
だが今のところは無害だ。
ドンへは、手で口を覆うと小声で言った。

「カンさん・・・・・・以前から、シムさんと面識があったらしいですね」

カンさんは、俺がだいぶ前に担当していた支店のスタッフだった。
今はユンホさんの居るコンビニに配属先が変わった。今日の席にも来ている。
気さくで明るい人だが、噂話ばかりするのでウンザリした記憶がある。

「そうだけど・・・・・・何すか」

ドンへは、俺の耳元に口を寄せ、ひっそりと言った。

「カンさん、当時、シムさんと同僚の女性が付き合っていた話をしたんです」
「・・・・・・・・・・・・」
「その女性から聞いたのか、結構詳細な情報まで喋ってしまって・・・・・・店長、それからずっと元気無くて・・・・・・」

だからか・・・・・・
席で俺の名前連呼したり、こんなに甘えて来るのは。

「フォロー、頼みます」

ドンへが、俺の肩をとんと叩き去ってゆく。
なかなか気効くじゃん。

「どうもっす」

ドンへには、素直に礼を言った。









帰りの車の中。
助手席に座ったユンホさんは、半分寝ているような顔でボソボソ呟いた。

「俺も・・・・・・料理習おうかな」

ああ、毎日弁当作って貰ってた話聞いたんだな。すぐにそう分かる。
別に頼んだ訳じゃない。あっちが家に届けに来るので貰ってただけだ。
食費も浮いたし、食事買う手間も省けるし丁度良かった。
出前に近い感覚で、嬉しいとかそういう感情はあまり無かった。

「スノボも習おうかな・・・・・・吹雪で迷って、助けて貰おうかな・・・・・・」

そんな事あったか?
色んな奴と数え切れない程スノボに行ってるので、よく覚えてない。
女とカンさんが俺の事を何処まで話したのか知らないが、そんな昔の事はどうでも良い。
俺はハンドルを操作しながら、思う事を素直に述べた。

「もっと凄い情報あるけど、聞く?」
「・・・・・・何?」
「別にゲイじゃないのに、ユンホさんと会って初めて男を好きになった。今でも、他の奴には指一本触れたくない」
「・・・・・・・・・・・・」
「同棲も指輪贈ったのも、ユンホさんが初めてだし・・・・・・自分でも驚くくらい、夢中っつうか・・・・・・」

瞳を潤ませながら、ユンホさんが俺を見つめる。

「過去とか興味無いよ。今だけ見てる」
「チャンミン・・・・・・」

丁度、信号が赤になって停車した。
ユンホさんが、ちらちらと周囲を見回す。
車も人気も無いのを確認すると、身を乗り出して俺にチュッとキスをした。
それはほんの一瞬で、唇は口の端に触れただけで離れていった。
照れ笑いを浮かべて、ユンホさんが言う。

「ありがとう・・・・・・。つまんないヤキモチ妬いて、ゴメンね」

ああ、くっそ可愛い。
このままカーセックスしたいくらいだ。我慢我慢。
燃え上がる欲求を押し込め、ポーカーフェイスを貫く。
別に、嫉妬ならいくらでもしてくれて構わない。
その可愛い姿を、誰にも見せなければ・・・・・・

「家帰ったらお仕置きね」
「えっ」
「今のうちに、食われる準備しときな」

ユンホさんが顔を真っ赤に染める。
ふっと微笑んで見せると、ユンホさんもやがて幸せそうに笑った。

「わ、分かった・・・・・・。準備・・・・・・するね?」

あー、気が済むまで食い尽くしたい。
きっとこれは、世界一旨いヤキモチに違い無い。



顔もよく思い出せないど、俺の元カノ、それからカンさん・・・・・・
イチャつき要因になってくれて、あざっす。









END



◇◇◇



酔の席で当然のようにイチャついて、場をシラけさす二人がみたい。
チャンミンの元カノに対する態度冷た過ぎ?
きっとモテ過ぎて、女に執着が無かったんです。
店長と出会えて良かったね!



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