愛することは、君が教えてくれた 12

  12, 2016 06:30



































左右に背伸びをして、屈伸を二回。
手足をくるくると回して、ジャンプを二回。
勢い余って、ぴょんぴょんと高くジャンプする。
込上げる嬉しさを隠しきれずに、つい口元を緩めてしまう。
そして今日も、静かな街の中へ駆けてゆく。



俺はついに、ユノの彼氏候補から公式彼氏へと昇格した。
なんて心地よい朝だろう。
心が、これ以上に無い幸福感に満たされている。
走る足を止め、高い丘から朝焼けの都会を見渡した。
幾つものビルで埋め尽くされた街。その僅かな隙間から朝日が昇る。
この狭くて忙しない世界にも、必ず夜明けがある。
ふと目を向ければ、美しい景色がある。
忘れがちだった幸せを、ユノ・・・・・・君のおかげで、俺は今噛み締めているよ。
携帯のカメラに朝焼けを収めると、ユノへ送信した。
暫くして、返信が届いた。

『 おはよう。綺麗な朝焼けだね!
    今度一緒に見たいな  』

溢れる笑みが止まらない。
出勤前、プレジールに寄ろうと決めた。









スーツにコート姿で俺はプレジールを訪れた。
女で埋め尽くされた店内は、朝とは思えないほどの盛り上がりを見せている。
ユノが立つカウンターまで長蛇の列だ。
その中で、一人背が飛び抜けている男の俺に、先程からチラチラと視線が向けられている。
物凄いストレスだ。
それでも、ユノに会いたかったんだから仕方無い。
カウンターのユノは、一人一人に優しく笑顔で対応している。さすがだ。
人ごみに揉まれているだけで、俺は相当なダメージなのに・・・・・・
ぎゅうぎゅうと人が詰め寄せて、その勢いで隣の女と身体がぶつかった。
イラッとして舌打ちしそうなり、咄嗟に理性が働く。
俺のこの対応が、店の雰囲気を下げる原因に成りかねない。
ユノに迷惑はかけたくない。
俺はユノの恋人、俺はユノの恋人・・・・・・
そう自分に言い聞かせ、ぎこちなくなりながらも、笑顔を浮かべた。

「ご、ごめん・・・・・・大丈夫?」

女の顔が、朱色に染まる。

「は、はいっ。だいじょぶ、です・・・・・・」

女が、見惚れたように俺を見つめる。
今迄散々ゴミ扱いされて来たのが嘘の様だ。
こんな視線を向けられる日が来るとは・・・・・・
周囲から、ヒソヒソと話し声が聞こえてくる。

「ねえ、あの人超格好良くない?」
「うん、格好良い!ユノの友達かな?」
「モデル仲間とか?」
「ヤバイじゃん、超テンション上がるんだけどー!」

表面上は平静を努めながら、心の中で呟く。
違う違う、いいかよく聞け女ども。
俺はな、ユノの恋人だ。
お前らがどんなにユノを好きでいくら騒いでも、俺には敵いもしないんだからよーく覚えとけ。
ニヤニヤが抑えられなくなり、咄嗟に口元を覆った。
そうこうしているうちに、ユノの居るカウンターが目の前に迫って来た。
俺を見た途端、ユノはニッコリと笑顔を浮かべた。

「いらっしゃい」

ああ、今日もなんて可愛いんだ・・・・・・
俺も笑顔で答える。

「今日のオススメは?」

それを聞いて、ユノは容器を手に取ると作業に取り掛かった。
慣れた手つきで完成させたそれを、俺の前に差し出す。
たっぷりと注がれた液の表面に、茶色と白で絵が描かれている。
ラテアートってやつだ。
しかも、ハート・・・・・・!
思わずユノを見つめると、パチリとウインクを投げられた。

「ユ、ユノ・・・・・・」

赤面する俺を見つめ返し、茶目っ気たっぷりに笑う。
俺とユノのやり取りに、周りの女達がきゃあきゃあと声を上げる。
俺はぼうっと立ち尽くし、無抵抗なまま、興奮した女達に揉まれた。
ああ、本当に幸せ過ぎて・・・・・・
どうにかしてくれ、いや、してくれるな!









昼休み、ユノと連絡を取り合った。
今日は17時まで仕事らしい。
俺も規則上17時までの勤務だが、大体残業することが多い。
もしタイミングが合えば、待ち合わせて一緒に帰る約束をした。

「帰宅デートかぁ・・・・・・」

またニヤニヤが止まらない。
残業なんてしてられるか。
きりっと表情を切り替える。
だらだらと食べていたサンドイッチを口に詰め込むと、さっさと歯磨きを済ませた。
再びデスクへ腰掛け、山積みになった書類を睨んで宣言する。

「見てろ、お前なんてとっとと成敗してやる」

「17時に退勤、17時に退勤・・・・・・!」と呟きながら、俺は数時間に渡り、キーボードに得意の超高速打ちを食らわした。

「すっげー早業・・・・・・」
「見た目変わっても、やっぱシムはシムだな・・・・・・」

背後を通り過ぎた同期が何か言っていたが、全く耳に入って来なかった。
そして17時、俺は無事今日の分の業務を片付けることに成功した。
直様、カトクでユノと連絡を取る。
中央広場で待ち合わせる事になった。

「お先っす!」

笑顔を浮かべる俺を、皆口を開けて見つめている。
思い返すと、今迄は職場で笑う事なんて無かったよな。
出口へ向かう途中、例の事務の女を見かけて、俺は声をかけた。

「あ」
「な、何よ・・・・・・?」
「最近、コーヒー淹れるの上手くなったっすよね」
「え・・・・・・?」

俺はニッと笑いかけると、部署を後にした。
心が弾む。
幸せが、笑顔が溢れてくる。
全てはそう・・・・・・
俺には、ユノが居るから。









中央広場へ着くと、ベンチに腰掛けているユノを見つけた。
ヘッドホンを耳に付け、笑みを浮かべながら、ゆらゆらと身体を揺らしている。
その姿が可愛らしく、また、同時にホッとさせられる。
本当は、何時も穏やかで居られない事を俺は知っているから。
そっと背後から近付くと、ユノのヘッドホンを外した。

「・・・・・・・・・・・・?」

振り返ったユノに、微笑みかける。

「お待たせ」
「チャンミン!」

ユノが、溢れんばかりの笑みを浮かべる。
思わず抱き締めたくなり、グッと耐えた。
少し触るくらいはいいよな・・・・・・?
肩に手を添えて歩き出す。

「行こ」
「うん」

辺りは徐々に暗くなり、次々と街の光が灯り始める。
光の粒が浮かぶ川沿いを、二人並んで歩いた。
ユノがくれたテイクアウトのコーヒーを、口へ運ぶ。
暖かい湯気が、まだ肌寒い空気の中にゆっくり溶け込み、消えてゆく。

「見て、船が海に向かってく」
「うん」
「綺麗だね、チャンミン」
「だな・・・・・・」

そう言って遠くを見つめるユノを、俺は見つめる。

「ユノ・・・・・・」

ユノが口に運ぼうとしたココアを、そっと取り上げた。

「甘いのの方が良かった?」

俺は笑みを浮かべて首を振った。

「そうじゃない・・・・・・」
「・・・・・・何?」
「俺が欲しいのは、こっち」

不思議そうに首を傾げるユノに、優しくキスをする。
そっと触れたままで居ると、やがてユノも目を瞑った。
男にしては細く綺麗な手が、俺の腕にそろそろと縋る。
それを合図に、角度を変えてキスを深くした。
どちらともなく、躊躇いがちに口を開いて舌先を触れ合わせる。
柔らかくて、暖かくて、気持ちいい・・・・・・
心臓がトクトクと波打ち、温度を増した血液が全身を回ってゆく。
ユノが好きだ。
自分でも、戸惑うくらいに。
こんなに人を好きになれるなんて、ユノに出会わなければ知ることは無かった。
小さなリップ音を鳴らしながら、暫く互いの舌を味わうと、名残惜しげに唇を放した。

「こっちの方がずっと甘いや」

ぺろり。舌なめずりした俺を見て、ユノが両手で口を覆いながら、照れくさそうに言う。

「も・・・・・・恥ずかしい、チャンミン」

ふたりとも顔が真っ赤だ。
見つめ合っていると、擽ったくて仕方無い。

「ふ・・・・・・くくっ」
「えへへ」

幸せを分かち合うように、額を寄せながら笑い合った。






ユノが首に下げたヘッドホンから、バラードが流れている。
テンポ良くも、切ないメロディと歌声が心地よく、惹きつけられる。



長い時間一緒だったから 友達として私はすごく楽だった
それが愛だなんて知らず 過ごしてた そう そうしてきた

君に会えなければ会いたくて 私の夢の中で君が何度も出てきて
毎日眠れず涙で過ぎた 君の拒絶が私は怖くて

今日もまた、また、言えないその言葉
家の前に立って準備してた言葉

私は夢でもその夢でも
君の目を見ながら告白したい大切な言葉

明日は本当に必ず言いたい言葉
勇気さえなくて言えなかった言葉

私は怖くなって怖気づいて
君が遠ざかるかと思って 長い間言えなかった言葉

君を愛してる









ユノ、始めは君を友達だと思ってた。
でも全然違った。
胸がどうしようもなく苦しかったり、締め付けられたり、溢れんばかりの幸せを感じたり・・・・・・
ユノに出会って、初めてこんな感情を知ったんだ。
いつかユノの病気や、他の沢山の事も受け入れられるようになったその時は・・・・・・
恥ずかしがらずに、口に出して伝えたい。



君を愛してる。









To be continue



◇◇◇



甘甘過ぎていい加減にしろ。
チャンミン、ほんと趣味へ向いてた“好き”が全部ユノに向いてます。
えっち無しでこんならぶらぶを書いている自分に激しく違和感(笑)
そして、次回からふた山目が見え始めます。
チャンミン、ファイティン。
あ、たっくさんの拍手ありがとうございます!
ミンホでこんなに・・・・・・!
しかも
「ホミンばかり見ていたのですが、このミンホを見てミンホも良いと思えた」
なんて、素晴らしい感想を頂きとても感動しましたヽ(;▽;)ノ
嬉しすぎる~
引き続き頑張ります。





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