愛することは、君が教えてくれた 11

  11, 2016 07:52



































あの日から数日。
結局俺とユノの関係は進展していない。
でも互いの気持ちは分かってる。そんな宙ぶらりんな関係がもどかしい。
ユノとはよく、カトクで連絡を取り合うようになった。
仕事の予定を教えて貰い、カフェに出勤する日は大体把握している。
朝のマラソンコースは、プレジールの前を通るルートを変えた。
ユノがちゃんと来ているかどうか確認する為だ。
今のところ、休まず出勤しているようなのでひと安心だ。
少しでも話せたらと思うのだが、少ない人数で忙しなく準備しているので遠慮してしまう。
結果俺の存在は気付かれないまま、一方的行為に終わっている。
だがこの行為は許容されるべきだ。
俺はユノが認めた彼氏候補なのだ。問題無い。
一見ストーカーの様だが・・・・・・
いや問題無い、断固問題無いと言い張る!






今日もユノの姿をチェックしようと、プレジールの前を通る。
チラ見で済ませるつもりだったが、店から丁度ユノが出て来てはち合わせた。

「あ・・・・・・」
「・・・・・・お、っす」

カトクでやり取りしていたものの、顔を見るのはあの日以来で何だか照れた。

「偶然・・・・・・。今も、ここ通ってるんだね」
「んー、だな」

本当は偶然じゃないけど。心の中で呟く。

「コーヒー飲んでく?」
「でも・・・・・・忙しんじゃないの」
「平気だよ、前も寄ってったじゃん。気、進まない?」

顔色を伺うように問われて、即答する。

「まさか」

ユノが、嬉しそうに顔を綻ばせる。
くそ、可愛いな・・・・・・

「どうぞ」
「んじゃ、遠慮なく」

俺は引かれたドアを潜った。
店に入ると、「ユノの友達?イケメンだね!」「モデル仲間?」なんて質問を浴びせられて少し調子にのった。
外見をユノと対等に見て貰えるのが嬉しかった。
ユノは奥のテーブルに俺を通し、向かい合わせに腰掛けた。
淹れたてのコーヒーを口に運び、一息つく。

「旨い」
「うん」

ユノがにこにこと笑って、俺を見つめる。
あーもう、顔が好きって言ってんじゃん。
そんな気がする。

「なあ」
「ん?」
「予約の件ってどうなった?」
「・・・・・・・・・・・」
「俺達もう、恋人でいいと思わない?」
「うーん・・・・・・どうかなぁ」

コーヒーカップを両手で包みながら、ユノが曖昧に笑う。

「くっそぉ。まだ駄目なのかよー?」

背もたれにグッタリと寄っかかり、天井を仰ぐ。
ユノはいつウンと言うつもりなのだろう。
“自分は汚い”という固定概念を取り払わない限り、恋人にはなれないのだろうか。
ユノが俺の手を見て「あ・・・・・・」と呟いた。

「チャンミン、手が荒れてる」

話題逸らしやがったな・・・・・・
手の甲をちらりと見ると、ところどころ血が滲んでいた。
朝のこの時間は乾燥するし、元々洗浄脅迫で手荒れが酷いせいだ。

「カットバンとハンドクリーム・・・・・・多分あった筈」

ユノは一旦席を離れると、巾着袋を手に戻って来た。
俺の手を見つめながら、眉を下げて呟く。

「アイツのこと殴ったせいで・・・・・・ゴメンね」
「そうじゃない・・・・・・元々酷いんだ、手荒れ」
「乾燥肌?」

ユノが打ち明けてくれたから俺も・・・・・・ってのはおかしいんだろうか?
でも、自分を見せていかなきゃ駄目だ。
一緒にいたいなら、隠さずに。

「いや・・・・・・手、洗ってばっかいるから」
「・・・・・・どうして?」
「・・・・・・強迫症なんだ。自分が汚いと思うもん触ると、徹底的に洗わないと気が済まなくて」
「・・・・・・そっか」
「馬鹿みたいと思うだろ?」

ユノは黙って首を振った。

「俺は・・・・・・?触っても問題無い?」
「平気だよ。不快になるのは、汚いと思う物だけだから」

ユノはハンドクリームを指で掬うと、俺の手の甲に乗せた。
両手で全体をそっと包み込み、優しく丁寧にクリームを塗りつけてゆく。

「チャンミンの手、いつもご苦労さま」
「・・・・・・・・・・・・」
「それから・・・・・・俺のことも、守ってくれてありがとう」

手を愛おしそうに見つめながら、微笑んでそんなことを言う。
こんなに可愛くて優しいって、反則だろ・・・・・・
やっぱり天使か、天使だな!?
顔面が崩壊している自覚があったので、俯きながら衝撃を押し殺した。

「チャンミン、何で震えてるの?寒い?」
「違う、いいから気にするな・・・・・・」
「うん・・・・・・?」

ユノに悪意は無いのだろうが、こんなにも煽られてそれでも忠実に“待て”を守る俺って、めちゃくちゃ紳士。












今週も、スピーカー越しにユノの声を聴く。
返事はなくとも、ステレオに話しかけるのがすっかり習慣になった。

『お別れする前にお知らせです。なんと・・・・・・来週から三週連続で、特別企画を実施することになりました!』

「へえ。何すんの?」

『毎週僕から曲をお届けしていますが、今回は皆さんのお勧めの曲を応募します。そして曲を好きになったキッカケ、皆さんきっとお持ちですよね?その曲にまつわるエピソード、思い出などを添えてご応募ください。僕から大々的に発表しちゃいます。沢山のリクエスト、お待ちしてます』

「マジか・・・・・・」

暫く考え込んでから、俺は閃いた。
これはグッジョブ企画だ。
なかなか心を開いてくれず、俺に生殺し状態を強いる誰かさんを口説くいいツールじゃないか。
俺はラジオの公式サイトを検索し、応募方法を調べた。
ユノの人気を考えると、リクエストは物凄い数に違いない。
その中から選ばれるにはどうすればいい?
インパクトあるハンドルネームにするとか?
女からの応募が多い中、男の俺が紛れていたら優先されたりしないんだろうか。
抽選の基準なんて分からない。
選ばれるかどうかは、運に任せるしかないだろう。









一週間があっという間に過ぎた。
ユノとは数回会って話したものの、未だ交際に至っていない。
そしてラジオが始まる直前の今、俺は収録スタジオの前に居る。
携帯をラジオに切り替え、イヤホンを繋いでスタンバイする。
自分が取り上げられるものと決め付けて、キュヒョン、テミナ、俺の三人で作ったカトクのグループトークにメッセージを送った。

『俺の勇姿を見たければ、今夜ユノのストロベリーナイトを聴くべし』

スタジオの中に居るユノに、投げかける。
頼む。俺を選んでくれ。
二十二時。
遂に、ユノのラジオがスタートした。



―――『皆さん今晩は!今夜も始まりました。ユノのストロベリーナイトの時間です。最後までどうぞ、お付き合い下さい』

早くも、心臓がドキドキと騒ぎ始める。
少し雑談を挟んだあと、話題は今日のメインに切り替わった。

『・・・・・・では早速、特別企画に移りたいと思います。ええっと、皆さんのお勧めの曲を応募したら、もうたーくさん頂いたので、できる限り紹介出来るように巻いて行きます!三十分でどれ位いけるかな?・・・・・・おっと、箱が来ましたね。箱にハガキとFAX・・・・・・メールも入ってるみたいです。この中から僕が選ぶと。それでは、一人目いきまーす!』

「俺を選べよ、ユノ・・・・・・」

『ハンドルネーム、ふふ・・・・・・“ユノが好きすぎる”さんから。照れちゃうなぁ、これ声に出して読むの』

がっくり。俺は肩を落とした。
まあ、まだ一発目だ。次がある。
しかし・・・・・・

『えっと次は、“フリージア”さんからの投稿で・・・・・・』

その後も、心当たりの無いハンドルネームと曲ばかりが紹介された。
それぞれの曲もエピソードも、耳に入ってはただすり抜けていく。
時刻は二十二時二十分過ぎ。
ユノのラジオは30分で終わる。
もう、勝負はついてしまった・・・・・・?
諦めかけていた、その時だった。

『これで最後になります。・・・・・・“君がハンドクリームを塗ってくれたから、どうしても手を洗いたくない”さん・・・・・・からの投稿です』

「きたあああああ!!!」

周囲の目も忘れて、俺は叫んだ。

『さて、エピソードですが・・・・・・男性の方、ですね。“・・・・・・俺は二次元とフィギュアが大好きです。長年ザ・オタクビジュアルでしたが、ある事をきっかけに最近イメチェンしました。・・・・・・好きな人が出来たんです。その人に告白すると、嬉しいことに喜んでくれました。脈アリだと思うのですが、なかなか・・・・・・心を開いてくれません。でも、オタク生活から一転した今、俺は初めての恋に心躍らせています。傷ついたり戸惑うこともあるけど、そんな思い出も全部含めて・・・・・・その人のことが・・・・・・大好きです”』

ユノの声が震えている。
ひくりと、小さな嗚咽が聞こえてくる。
ユノ、泣いてるのか?

『す、すいません・・・・・・。感動してつい。続きです。・・・・・・“そんな俺のテーマソングを紹介します。経験が少ない俺ですが・・・・・・いつかこの歌詞のように、その人と愛し合うのが夢です。ユノ・・・・・・一途な俺の恋を、どうか応援して下さい。トンバンシンキ MAX で・・・・・・Rock with U ”』

流れ始めたイントロを聞きながら、カトクでユノにメッセージを送る。

『 今、スタジオの外に居る。 返事を聞こうじゃないか  』

送信して暫くすると、スタジオの入口からユノが姿を現した。
走って来たのか、はぁはぁと息を切らしながら。
俺はにっこり笑うと、大きく両手を広げて見せた。
ユノが、俺に向かって真っ直ぐに駆けてくる。
勢い良く胸に飛び込んで来たユノを、俺はしっかりと受け止めた。
これ以上ない程、力一杯抱き締め合う。
ユノを見つめながら、俺は問いかけた。

「ユノ・・・・・・イエスなら・・・・・・?」

満面の笑みを浮かべたユノが、両手で俺の頬を包み込む。
やがて、柔らかなそれが俺の唇に押し付けられた。
初めての感触に、心も身体も奮える。
目を瞑りながら、じっくりとそれを味わった。
ずっとこうしたかった。
死ぬほど、ユノが欲しかった。
ゆっくり唇を離すと、ユノが甘い声で囁いた。

「チャンミン・・・・・・大好き」
「やっと言ったな」
「待たせて・・・・・・ごめんなさい」

いいんだ。これから埋め合わせして貰うんだから。
もう絶対に、離しはしない。






Rock with U
無茶苦茶になった感情
Rock with U
2人弾けた愛情
Just with U U U U

Rock with U
君を知りたがる純情
Rock with U
奇跡でもなく欲情
Just with U U U U

もう恥ずかしがって 下を向いてないで
くじけそうな 心を見つめてんだ






MAX、お前の曲のおかげで作戦は大成功だ。
心から礼を言うよ。
そして俺は、この夜の出来事を一生忘れはしないだろう。









To be continue



◇◇◇



チャンミンおめでとう♡
さて、ひと山越えたので、暫くらぶらぶさせますか~(*´ω`*)
それにしても拍手数が多くてびっくり!ミンホでこんなに頂くのは初めてかも。
このサイト、毎年この時期になるとヒットする傾向でもあるのでしょうか?
去年は丁度カラダノキオク書いてたのです。
引き続き頑張りますよ~!



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