ミッドナイト・ガイズ ~蕩けるchocolate~ 1



















ミッドナイト・ガイズ・表紙


















久方ぶりにベッドを共にした夜の事だ。
僕の額、頬、瞼に何度もキスを落とす恋人。
よく飽きないなと思いながらも、その甘い刺激に逆らえない僕。
まったりとピロートークを交わしていると、恋人がニヤけながらこう口にした。

「もうすぐバレンタインか・・・・・・。楽しみだなぁ」

至福の笑みを浮かべた恋人を見て、僕は内心ムッとした。
貴方ほどの男なら、確かに山程チョコを貰える事だろう。
でもそれを恋人である僕の前で、堂々とアピールしないで欲しい。
つい、嫌味っぽい台詞が口に出た。

「よく飽きませんね・・・・・・。今までも随分と貰ってきたんでしょう」

すると全く悪気の無い様子で、恋人は言った。

「まぁね。でも今年は特別だから」
「特別?」
「ああ。俺に作ってくれるだろ?チャンミナ」
「・・・・・・僕?」

最早決定事項のようにそう問われて、面食らってしまった。

「そう。楽しみにしてるよ」

料理が全く出来ない訳では無い。
だが、高級な料理で舌が肥えているだろうユンホさんを満足させられる自信も無い。

「・・・・・・大したものはあげられないですよ?」
「作ってくれるんだな!」

誰よりも格好良い人が、途端に子供のような笑顔になる。
その可愛らしさに秘かにときめきながら、僕はクスクスと笑った。

「ねぇ・・・・・・貴方からはくれないの?」

ユンホさんは一時目を丸くしたあと、にっこりと笑って見せた。

「あげないとは言って無い。ただ手作りは無理だな。きっと余りにも悲惨過ぎて、貰った君が罰ゲームみたいになる」

何をやらせても完璧なユンホさんが唯一苦手なもの、それが家事だ。
またクスクスと笑いながら、僕は答えた。

「大丈夫。手作りじゃなくても、貰えるだけで幸せです」

こうして僕らは、2月14日チョコレートを渡し合う約束をしたのだった。









“ 今夜8時に職場へ迎えに行く。遅れないように ”

仕事中、ユンホさんからメールが届いた。
喜ぶべきそのメールを見て、僕はため息をついた。
菓子作りなんて滅多にしない僕は、見事にチョコ作りに失敗してしまったのだ。
朝起きて固まったチョコを確認すると、表面には白色のムラが浮き上がり、ツヤも光沢も無いという悲惨な仕上がりになっていた。
テンパリングという行程のミスで、チョコ作りではよくある事らしい。
こんな物を渡すのは気が引けるが、作り直す時間なんて無い。
仕方無く、失敗したそれをラッピングして持ってきた。
こんな事になるなら、事前に練習しておけば良かったと後悔した。
ユンホさんは優しいから文句を言わずに貰ってくれるかも知れないが、どうせなら綺麗なものを渡したかった。
会えるのを楽しみにしていたのに、僕は少しだけ憂鬱になっていた。



職場から出る前、スタッフ全員へ向けて買ったチョコを紙袋へ入れて、スタッフルームに置いてきた。
テミンに強請られたのがきっかけだが、一人だけに渡すのは悪いと思い、日々の感謝も込めて全員へ用意した。
皆、少しは喜んでくれるだろうか。
バーのある階からビルのエントランスへ降りると、出口の正面に白いベントレーが停まっているのが見えた。
ユンホさんだ。
直ぐ僕に気付いて、微笑みながらチカチカとライトを点滅させる。
僕も自然と笑顔になり、小走りでユンホさんの元まで駆けつけた。
ああ・・・・・・
これで手作りチョコさえ成功していれば、文句なしに幸せな夜なのに。







車に乗せられ、ユンホさんの自宅へ向かう。
ユンホさんは都内に数ヶ所部屋を持っている。
これから向かうのはそのうちの一つで、今までにも何度か訪れた事がある。
部屋は生活感が無く、いつもホテルの一室のように片付いている。
今日もそうだった。
普段使いというより、デート用に所有しているだけなのかも知れない。
今までこの部屋に、ユンホさんはどれだけの男女を招待したのだろう。
その中でも特別で有りたいと思う。
ユンホさんと交際するようになり、僕は自分が以外にも嫉妬深いことを知った。

「チャンミナ、目を閉じて。良いと言うまで開けるなよ」
「何・・・・・・?」

言われるがまま僕は目を閉じた。
ある瞬間から、ふわりと甘い香りが漂い始める。

「さぁ、開けて」

瞼を上げるとそこには・・・・・・

「うわ・・・・・・」

大きなチョコレートファウンテンが用意されていた。
溢れ出る光沢のある液状のチョコレートが、甘い香りを振り撒いて食欲を煽る。
その他にもフルーツ、ケーキやマシュマロなどの菓子の盛り合わせもある。

「俺からのプレゼント」
「ありがとうございます、こんな贅沢な・・・・・・」
「気に入った?」
「はい、とても」

豪華な演出に感激する一方で、自分のチョコの出来を考えると情けなくなった。
やっぱり渡せない。
あんな、いい加減な物は・・・・・・

「チャンミナ、君からは?」

期待が伝わってくるユンホさんの笑顔を見て、僕は心を痛めながら呟いた。

「・・・・・・用意出来ませんでした」
「え・・・・・・?」

いつも穏やかなユンホさんが、珍しく顔を曇らせた。
僕がこの選択が間違いだと気づいたのは、もう少しあとの事だった。









◇◇◇



怒ったユンホさんにアレコレされそうな予感です。
会員証のご準備を~♪




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5 Comments

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2016/02/11 (Thu) 17:20 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/11 (Thu) 02:04 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/11 (Thu) 01:47 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/11 (Thu) 01:28 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/11 (Thu) 00:18 | EDIT | REPLY |   

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