嫁、買ってみました 9


ふわり。
真っ白なウエディングドレスが、風に乗って流れる。
手を繋いで走るドレス姿のチャンミンと俺に、すれ違う誰もが注目する。
なんだか、映画の中の主人公にでもなった気分だ。

「こっち」

狭いビルの隙間にチャンミンを連れ込む。
ここならば人目につきにくい。
全力で走ったので、ひとまず立ち止まって息を整えた。

「大丈夫かチャンミン」
「・・・・・・はい」

見つめ合った途端、チャンミンがたちまち泣き顔になって焦った。

「チャンミン?どうし・・・・・・」
「ん、くっ・・・・・・」

ふと、頭が冷静さを取り戻す。
もしかして・・・・・・

「拐ったの、マズかった?」

すると、チャンミンは咄嗟に顔をあげて、少し拗ねた顔をした。

「そんな訳ないでしょう?」
「そ、そっか」
「迎に来てくれて、嬉しい・・・・・・」

泣き顔でそんな事を言われると、ヤバイ。

「・・・・・・お前が好きだ。もう誰にも渡したくない」
「ユンホさん・・・・・・僕も・・・・・・好き・・・・・・です」
「チャンミン」

頬に手を添えて顔を寄せると、チャンミンがそっと目を閉じた。
整った顔がすぐ目の前に迫り、唇が触れ合いそうになった、その時・・・・・・

「はい、カットー!!!」

デカイ声が急に割り込んできて、カチンとボールドが鳴った。

「な、何だっ!?」

チャンミンの背後から、いつの間に隠れていたのか、帽子とサングラスを身につけた男が現れた。

「誰だよあんたっ」

男は満面の笑みを浮かべ、拍手しながら言った。

「うん、感動的なドラマに仕上がった」

男を見たチャンミンは、驚いた様子で言った。

「イトゥクさん、どうして此処に?」
「チャンミン、こいつ知り合いか?」
「・・・・・・社長です」
「えっ」

その社長だと言う男は、ある冊子を取り出した。

「見たまえ、これが真のシナリオだよ」

表紙には“ハナヨメ略奪”と書いてある。
冊子の中身を見せられて、俺は衝撃を受けた。

“―――チャンミンの存在が無くなり、想いを自覚するユンホ・・・・・・”
“―――挙式へ乗り込んだユンホは、チャンミンの手を取ってこう告げる。『俺と行こう』・・・・・・”
“―――式場を離れた二人は想いを伝え合い、無事結ばれるのだった・・・・・・”

綺麗そのまま、これまでの俺とチャンミンが描かれている。

「これは一体、どういうっ・・・・・・」
「実はね」

社長の話はこうだった。
チャンミンが仕事先の男に恋をしている。ある従業員からそう報告を受けた。
傍から見れば相思相愛だが、相手の男はどうも恋心を自覚していないようだ。
どうにかして、チャンミンと男の恋を成功させたい。
話し合いの結果、会社全体が一致団結し、今回のハナヨメ略奪を企てたらしい。

「つまりユンホ君、キミが目にしたのは、シナリオの為のシナリオってことさ」

こうなるように、仕向けられたってことかよ・・・・・・
がっくり肩を落としていると、社長が言った。

「何も落ち込むことは無い。シナリオ通りになったとはいえ、キミが自分の意志で動いた事に変わりは無いんだ」
「まぁ・・・・・・それは、そうですけど」
「それから、今回のことはチャンミンも知らなかった。全て俺達が独断で行ったこと・・・・・・チャンミンを恨まないであげてね」

チャンミンは首を振りながら、弱々しい声で言った。

「ごめんなさい。僕のせいで、ユンホさんや会社の皆にこんな迷惑かけて・・・・・・」
「良いんだよ。お前は俺達のアイドルなんだから」

その言葉を聞いて、チャンミンは職場でも人気があるのだと分かる。
本人は無自覚そうだが・・・・・・
俺は俯くチャンミンの手を握った。

「ユンホさん」
「これで良かったんだ、お陰様で気持ちに気付けたし。ちょっと悔しさもあるけどな?」

そう言って笑いかけると、チャンミンも笑い返してくれた。

「いい雰囲気の時に、ゴメンね」

ひらりと、目の前にある書類が現れた。

「挙式代、キャスト代諸々、そして新しい嫁のキャンセル料、きっちり払って貰うから宜しく」
「・・・・・・マジですか」









家に着くと、玄関へ入るなり俺はチャンミンを抱き締めた。
取りあえず、チャンミンが帰ってきてくれたのでひと安心だ。
チャンミンは、俺の腕の中で硬直してしまった。
首筋に、顔を埋めながら囁く。

「チャンミンも抱き締めて。俺のこと」
「は、はい」

細い手が、そろそろと俺の二の腕にすがる。
ああ・・・・・・
本当は今すぐにでも、寝室へ連れ込んでしまいたい。
恋心を自覚した今、これまで全く手を出さなかったことを奇跡だと思う。

「あの・・・・・・」

チャンミンが、俺を見上げて言った。

「これからは、何と呼べば良いでしょう?旦那様か・・・・・・ユンホさんか・・・・・・」
「好きに呼びなよ。どっちも嬉しい」
「そう、ですか」

はにかむチャンミンが壮絶に可愛い。

「あのさ・・・・・・キスしていい?」
「・・・・・・・・・・・・」

頬を染めたチャンミンが、こくりと頷いてそっと目を閉じる。
顔を寄せて、唇が触れそうになったその時。
ピリリリリッ ピリリリリッ・・・・・・
ポケットの中の携帯が、着信を告げた。

「・・・・・・あーもう、マジでごめん」
「い、いえ」

今日は邪魔が入ってばかりだ。
タイミングの悪さにかなりウンザリしながらも、俺は携帯を手に取った。
画面に表示されていた発信者は・・・・

「おふくろ・・・・・・?」









◇◇◇



取りあえずスジュ出しとこう!ってノリの人です。
でもイトゥク結構好きなんですよ~
あとちょっとで終わります。
二日空けましたが、なんかユノがチャミ拐ったとこで達成感が込み上げてしまいました。
ユノとチャンミンが読んだのは、シナリオのためのシナリオでした~
チャミがドレス着たまま、二人で挙式上げるのも有りかなーと思いましたが・・・・・・
まだ家族の問題がありますから、お母さんの病気とか、一報するとか。そっちが先ですね。



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2016/01/28 (Thu) 19:45 | EDIT | REPLY |   

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