嫁、買ってみました 7



冊子を開くと、そこには場面の描写と、幾つもの台詞が並べられていた。



―――“夕飯の席にて、躊躇いながらもチャンミンは口にする。

『旦那様、大事なお話があります』
『     』
『別れて欲しいんです。私と、別れて下さい』
『     』

別れを切り出した理由は、こうだ。

『実は、他に好きな人が出来たんです』

チャンミンはもう既に、その人と契りを交わしていた。

『明日、結婚式を挙げます』―――”



そこには、昨夜のチャンミンが描かれていた。
いや。このシナリオに合わせて、チャンミンが事実を描いたと言った方が正しい。
俺の台詞は空欄のまま、用意されていない。
書くまでも無い。
チャンミンが切り出した別れを、俺は受け入れるしか無いからだ。
昨晩涙を流していたチャンミンが、頭に浮かぶ。



―――『ごめんなさい・・・・・・。早く言おう、言おうと思いながら、今日までずるずると・・・・・・。もっと早く言うべきでした・・・・・・』
『勇気が無くて・・・・・・・・・ううん、違う。言いたく無かった・・・・・・。離れるのが、寂しくて・・・・・・』
『ユンホさん・・・・・・短い間だったけど、一緒に過ごすことが出来て幸せでした』
『僕ずっと、貴方のことを忘れない。ありがとう・・・・・・』



あの時チャンミンが口にした台詞は、何処を探しても見当たらない。
そしてチャンミンは、俺を旦那様と呼ばずに名前で呼んだ。
恐らくあの言葉は、チャンミンが嫁としてじゃなく、個人的に俺に向けたもの。
胸がジンワリと熱くなる。

チャンミン、お前は、俺と離れたくなかった・・・・・・?
お前は、俺のことを・・・・・・

ページを捲ると、挙式の光景が描かれていた。
新しい旦那と互いに愛を誓い合い、婚約指輪を指にはめるチャンミン。
口付けの描写を目にした直後、俺は勢いよく冊子を閉じた。

「・・・・・・駄目だ、許せない」

他の男の元へ、嫁に行くなんて。
気付くと俺は、冊子をくしゃりと握り締めていた。
自嘲的に笑いながら、ぼそりと呟く。

「馬鹿か俺は。今更気付くなんて・・・・・・」

俺は携帯を手にすると、ベスト・パートナーへ発信した。

『はい。ベスト・パートナー問い合わせ・・・・・・』
「チャンミンは何処だっ」
『・・・・・・はい?』
「チャンミンは何処で挙式を挙げる?教えてくれっ」



チャンミン。
俺が迎えに行ったら、お前は着いてきてくれるか?
今になってようやく、お前が好きだと気付いた・・・・・・
こんな、間抜けな俺だけど。










◇◇◇



コメントは明日明後日中に必ずお返し致します。
すみません!



気に入って頂けたら、ポチッとお願いします(*^^*)
   ↓

     

人気ブログランキングへ


にほんブログ村


スポンサーサイト

3 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/01/24 (Sun) 17:23 | EDIT | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/01/23 (Sat) 21:58 | EDIT | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/01/23 (Sat) 18:42 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment