ねぇ、センセイ。 5

  09, 2016 22:58


「おーい。何やってんだぁ、お前ら」

声のする方を見ると、ジャージ姿の先生がサッカーボールを抱えて立っていた。
先生は笑っていなくて、でも怒っている風でもない。
感情は読み取れなかった。
先生を見た途端、男子生徒は僕から飛び退いた。
焦った様子の男子生徒に、先生は言った。

「俺の見間違いだったらすまんが・・・・・・今お前、無理矢理迫ってなかったか?」
「う・・・・・・」

先生の問いかけに男子生徒は黙り込んだが、暫くしてからぼそりと言った。

「でも先生・・・・・・今のは、合意のうえでした」
「え?」

言わないで。
先生に、知られたくない・・・・・・

「はじめはこいつから誘ってきたんですよ」
「・・・・・・そうなのか?」
「はい。でも近寄ったとたん急に拒絶されて・・・・・・腹が立ってつい・・・・・・」

男子生徒が、僕を睨みながら言った。

「『触って』って・・・・・・お前、そう言ったよな?」
「・・・・・・・・・・・・」

僕は、嘘が付けない。もっと器用なら良かったのに。
ただ黙り込む僕に、先生が問いかけてきた。

「否定しないってことは、そうなんだな?」

僕は唇を噛み締めながら、小さく頷いた。
先生は、男子生徒の背中を叩いて優しい声色で言い聞かせた。

「お前だけ責めて悪かった。でもな・・・・・・もし合意だったとしても、相手が嫌がるなら止めてやるべきだった」
「はい・・・・・・」
「今回は、お互いに謝って終わりにしよう。な?」

先生は、僕と男子生徒の間に立って笑顔でそう言った。

「ご、ごめんなさい」
「俺も、ごめん・・・・・・」

互いに詫びたあと男子生徒は去り、校舎裏には僕と先生だけが残された。
男子生徒を見つめていた先生が、ゆっくりと僕の方を向いた。
先生の顔から笑顔が消えている。
冷めた表情をする先生を見て、背筋が凍りつくのを感じた。

「この淫乱」
「っ・・・・・・」

先生は、僕の真横に手をついて低い声で言った。

「誰にでもそうだなんて知らなかったよ。大人しく見せて侮れないな」

僕から男子生徒を誘ったのは事実。
でも、誰にでもなんて・・・・・・それは誤解だ。
震える声で、僕はぽつぽつと言葉を紡いだ。

「あの・・・・・・信じて貰えないかも知れないけど、僕は・・・・・・本当に先生が好きなんです」
「・・・・・・・・・・・・」
「でも先生は違う・・・・・・。僕だけそうだと思うと悲しくて・・・・・・誰かに慰めて欲しかった・・・・・・。結局、ダメだったけど・・・・・・」

涙を流す僕に先生は言った。

「それも演技か」
「え・・・・・・?」
「そうやって泣いて・・・・・・他の奴にも許してって、お願いしてんのか?」

冷たい眼差しが痛くて、軽蔑された事が悲しくて、もう声を発することも出来ない。
次第に嗚咽の反復がひどくなり、僕は過呼吸に陥った。
身体を震わせながら、壁に寄りかかってしゃがみ込む。
先生に嫌われたら、僕はもうおしまいだ。
このまま死んでしまいたい。
ふと目の前に気配を感じて、顔を上げた。
先生が、困った顔をしながら僕を見ていた。

「なぁシム・・・・・・。俺はお前の、どの顔を信じればいい?」

少し傷付いた顔をしているように見えるのは、僕の願望がそう見せているせいだろうか。

「言い過ぎた。ごめんな」

先生は僕の頭をぽんぽんと叩くと、手を差し出して言った。

「歩けそうか」
「は、はい・・・・・・」
「保健室に行こう」









先生は僕を保健室のベッドに座らせると、暫く居なくなってからまた戻って来た。
手に、缶コーヒーとココアを抱えて。

「ほら」
「ありがとうございます」

僕は差し出されたココアを受け取った。
先生の優しさに触れて落ち着いたのか、過呼吸はもうだいぶおさまっていた。
温かいココアを、両手で包み込む。
僕はココアが好きで、自販機でよく買っている。
先生がココアを買ったのは、偶然だと思った。

「好きだろ、それ」
「え・・・・・・?」

先生のその言葉を聞いて驚いた。
僕がココアを買うのはいつも、放課後教室から美術室へ向かう途中で、誰かの目に触れることはそう無い。
教室へ持ち込んでいる訳でも無いのに、何故先生はそれを知っているんだろう。

「渡り廊下の自販機、丁度職員室の俺の席から見えるんだけど・・・・・・お前いつもそれ買ってるからさ」
「あ、はい・・・・・・」
「昔っからそうだよな」

驚いて先生を見ると、先生は小さく笑いながら続けた。

「ずっと見てたよ、お前が一年の時から。可愛い奴がココア買ってるなーって」

一年の時・・・・・・?
今僕は三年になる。そんな前から先生に見られていたなんて知らなかった。
どうして、僕をずっと見ていたの。
どうして女子の告白は断ったのに、僕に好きと言わせたの・・・・・・?

「先生は・・・・・・先生は僕のこと、どう思ってるんですか?」

じっと先生を見つめて問うと、先生も僕を見つめ返したまま答えた。

「俺は・・・・・・お前が大事だよ。でも俺とお前は、本当は関係を持ってはいけない仲だ。それは分かるな」

渋々頷くと、先生は続けた。

「教師辞める覚悟でお前に手を出した。だから俺は別にいいけど・・・・・・まだ将来があるお前を駄目にしたくない」
「先生・・・・・・?」
「今ならまだ・・・・・・もしこれ迄のことがバレても、俺が一方的にした事だと言ってやれる」
「・・・・・・・・・・・・」
「でもこれ以上進んでしまったら・・・・・・俺はもう、お前を離してやれる自信が無い」

先生が、僕をじっと見つめて言った。

「もう一回聞くから、よく考えてから言えよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「シム、先生のことが好きか?」

答えはもう、決まっている。
僕の将来は、先生無しには有り得ない。
先生が居ない未来なんて、過ごす意味も価値も無い。
僕は迷わずに答えた。

「はい。大好きです」

自然と、笑みが溢れた。









◇◇◇



結局両思いフラグ。
私のサイトのユノって、チャンミンの誘惑に負けて仕事さぼってばかりですね~
まぁチャンミンが美しすぎるので仕方ありませんね。









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Comment 10

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よ☆よ☆さま


こんにちわ、いつもどうもです♡
結局先生も好きだったみたいですね(^_^)
最後まで踏み込むのを躊躇っていたせいか、何考えてるか分かりにくい感じでしたが。
これからはきっと今迄よりもらぶらぶですよ~♪

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Re: コメ返ありがとうございます

ちゃー☆んさま


こんにちは!いつもどうもです。
両思いで良かったけど、今回のユノは明らかに変人だと思います。
いくら手を出すのをためらったからって、一人でさせて観察したりとか明らかにそうですよね(笑)
本作のユノは笑えない変態を目指していますよ。
保健室のベッドいいですね~!
BL作品の夢ですよね!!ぜひ書きたいです~でゅふふ♡
変態カードもピッカピカでありがたいです!
更新頑張ります(^_^)♪

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Re: No title

かお☆んさま


こんにちは♪
両思いでした~ 良かったねチャンミン♡
いんらんって言葉は酷いですけどね。
今回のユノはちょっと怖かったり変人だったりミステリアス系ですかね。
でも大丈夫、きっとそのうちキュートなチャンミンにほだされますから~(^_^)
チャンミンの動画とサジンですと?
最近全くツイッターしないのでその情報全く知りませんでした!
これからチェックしに行ってきますね(^_^)b

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Re: タイトルなし

ゆ☆んさま


いらっしゃ~い(^_^)
私がただの道ホミン書かないだろうって、見透かしちゃうあたりさすがゆ☆んさまです。
どきっとしちゃいましたよ~(笑)
なーんか、誠実に振舞っといて、裏では平然と生徒を裏切ってる。そんなユンホ先生にキュンとしてしまって・・・
私趣味悪いなーと思いながら書いてました。はは!
ユノはリアル世界でもどこか影がある気がするんですよ。
全部は絶対出してない、どこかに何か隠してるなっていう(笑)
だから、ミステリアスな役とか割と合う気がするんです。
ご本人の真面目なイメージが強いのであまり無いと思いますが、殺人犯役とか詐欺師役とか見たいですもん!

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Re: タイトルなし

Pe☆nu☆さま


こんにちは♡
ユノ先生、変態というか変人?要素強いですけどちゃんとチャンミン好きでした。
私の話に登場する攻めユノや攻めチャミって、愛情表現苦手なキャラが多い気が・・・(笑)
分かりにくい人達ですけど、そこも楽しんでいただけたら嬉しいです。
大好きって聞いてはじけちゃいますよ~先生これから。
周りに迷惑かからない程度にやって貰います♪笑

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