ねぇ、センセイ。 2

  05, 2016 14:02


沈黙に耐えきれず、僕は先生からスケッチブックを取り返した。

「だから言ったのにっ・・・・・・」
「シム・・・・・・」
「気持ち悪いと思ったでしょう?ごめんなさい。もうしないから」

僕は散らかった刷子をかき集め、逃げるようにその場から立ち去った。

「あっ、おい」

先生は僕を呼び止めようとしたが、後を追って来ることはなかった。



先生は僕のクラスの担任だ。
それからも毎日顔を合わせていたが、僕は気まずさを引きずったまま、先生との接触を避けるようにして過ごしていた。

放課後――
誰も居なくなった美術室の窓から、僕は今日も、ひっそりと先生を見つめる。
もう、先生のことは描かないと決めた。
スケッチブックに残せない分、頭の中に焼き付けようとじっと先生を見つめる。
練習を終えたのだろう。
先生は生徒達と談笑しながら、グランドを去ってゆく。
ああ、そんな簡単に抱き締めないで。
肩を組まないで。
頭を撫でないで。
どんなに嫉妬しても、先生は僕のものにならない。
だから、想像する。
動くたび皺が寄る、汗で湿った先生のシャツ。その下にある素肌、肉体に触れる瞬間を。
簡単に想像出来てしまう僕は、なんてイヤらしいんだろう。
ズボンの中に手を入れ、反応し始めている欲望を掌で包み込んだ。

「せん、せぇ・・・・・・」

こんなに遠い距離で、僕の呟きが届く訳がない。
それなのに次の瞬間、先生は不意に僕の方を見上げた。
感じている途中で視線がかち合い、心臓がドクンと大きな音を立てた。
僕は咄嗟に、窓の下に身を隠した。

「び、びっくりした・・・・・・」

先生の視線を忘れないうちに。
胸の昂りが冷めないうちに、
踞ったまま、欲望を擦る手を早めてゆく。

「あ、ンンッ・・・・・・」

普段、消極的で人付き合いも苦手なのに、僕は自分の世界と向き合う時、とても大胆になってしまう。

「せ、んせっ・・・・・・!」

切迫感が、頂点に達した。
膨れ上がった欲望の先から、ぴゅるっ、ぴゅるっと精液が飛び出してゆく。

「・・・・・・はぁ、はぁ」

絶頂の余韻に震えながら、僕は暫くの間目を瞑っていた。
どれだけそうしていただろう。
もうだいぶ暗くなった美術室の扉が、突然開かれた。
ライトの光が伸びてきて、部屋の中をぐるぐるとさ迷う。

「誰か居るのか?」

聞こえてきたのは、先生の声だった。
乱れた制服を急いで整え、平静を装う。
ライトの光が僕を捉えると同時に、目の前に先生がやって来た。

「シム?まだ居たのか」
「先生、どうしてここに・・・・・・」
「俺今日、戸締まりの当番だから」
「そ、そうですか」

戸惑いを隠せぬまま先生を見ていると、先生は突然悪戯っ子のような顔をして、僕の頭をぐしゃぐしゃと掻き回した。

「ってかお前、やっと目合わせたな!」

先生は、僕が先生を避けていることに気付いていた。
今度は大きな掌で頬を包まれて、顔の温度が急上昇するのを感じた。
僕は平気なフリが出来ない。
嘘もつけない。
だから、必死に先生を遠ざけていたのに。
何も知らず平気で触れてくる先生に、僕は勝手に苛ついた。
どうせ叶わぬ恋ならば、今ここで終わらせてしまいたい。

「・・・・・・知ってますか」
「え?」
「先生を見ると、僕はどうなるか・・・・・・知ってますか?」

好意も、イヤらしい感情も嫉妬も全て込めて、先生をじっと見つめる。
下半身が、再び疼き始める。
僕は今、心、身体、僕の全てで先生を見つめている。
次の瞬間。
薄暗い中、先生が顔色を変えたのを、僕は見た気がした。

「参ったなぁ・・・・・・。お前、いつもそんな目で俺を見てたのか」

低音の、笑いを含んだその呟きを聞いて鳥肌が立った。

「どうして、今まで気付かなかったんだろうな」

先生が、僕の頬を優しく撫でる。
そこに、僕の知っている先生は居なかった。
先生は、僕の知らない顔を、いつもの爽やかな先生とは全く別の顔をしていた。









教師としての立場を全うする、どこまでも誠実な先生と・・・・・・
本能を捨て切れず、時に厭らしい大人の男に変わる先生。
どちらが好きかと聞かれたら、僕は後者だと答える。
そして先生が僕を求めたなら、僕は先生を受け入れるに違いない。
もしそれが、互いの立場を脅かす程の危ない関係であっても。








◇◇◇



誠実なユノ先生って王道だなー。王道過ぎるよなー。
→よっし、厭らしくてエッチなユノ先生にしよう!という流れです。
年賀状、お話への沢山のコメントどうもありがとうございます(*´ω`*)♡
早く返せや~と自分自身に突っ込んでおりますが、出来るだけ余裕がある時にゆっくりお返ししたいので・・・・・・週末になるかも知れません。
お許し下さい((T_T))



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