ユンホ店長の恋 ~愛は戦争を呼ぶ~ 2

  11, 2015 00:52


ユノのバッグからチラつくそれに、チャンミンは手を伸ばした。
取り出して確認すると、それはやはり予想した通りの物だった。

「AV・・・・・・」

ユノの家に押しかけ、半ば強引に同居を始めて一ヶ月。
この家でアダルトビデオを発掘した事は、未だ無い。
パッケージをじっと見つめていると、風呂からユノが出てきた。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、口に当てながらユノは言った。

「チャンミン、お風呂空いたよ」
「うん」

ユノは、チャンミンが手に持っているそれを見て、思わず「あ」と声を漏らした。

「意外だね。借りるんだ、こういうの」

アダルトビデオを自分が店から借りてきたと、チャンミンはそう思っている。
ユノは、少し焦り気味に言った。

「違・・・・・・それ、お客さんが貸してくれて・・・・・・」

コンビニの店長をしているユノは、持ち前の人懐っこさと可愛らしい外見で、多くの客に親しまれている。
今回のように、物を貸して貰ったり譲られることは少なくない。

「もしかして土木の人?現場、店の近くの・・・・・・」
「そう!よく分かったねチャンミン」

金髪の、比較的若めで、チャラついた外見の男。
以前、宅配でコンビニへ通っていた頃に何度か見た事がある。
店に来る度、ユノの頭をしつこく撫でる男が腹立たしかった。
ユノにアダルトビデオを貸したのは、性的嗜好を共有したからだろう。
いやらしい奴め・・・・・・
チャンミンが嫉妬に燃えている事など全く知らずに、ユノは呑気に笑って言った。

「チャンミン、うちの店の事何でも知ってるよね。やっぱ、前まで働きに来てたから?」

正確には、“うちの店”ではなく“あなたの事”だけどね。
チャンミンは心の中で訂正ながら、ただ笑みを浮かべて見せた。

「これ、見るの?」
「うーん・・・・・・。感想聞かしてって言われたから、一応見る・・・・・・かな」
「じゃあ、これから一緒に見ない?」
「え?」

ユノは、思わぬ提案に少々困惑しながらチャンミンを見つめた。

「嫌?」
「別に、嫌じゃないけど・・・・・・」
「たまにはいいじゃん。こういうのも」

チャンミンは、ケースからディスクを取り出しレコーダーに入れた。
ユノは、チャンミンの隣へ躊躇いがちに腰を降ろした。
チャンミンは、何を考えているのか分からないことがよくある。
今も、何故そんな事を言い出したのか分からない。
見つめた横顔から、心の中は読み取れない。
テレビ画面にある一室が映し出され、そこに男と女が入って来た。
男が女の服に手をかけて、早速脱がせにかかる。
露になったふたつの丸みを見て、ユノは下半身が疼くのを感じた。
同性のチャンミンと付き合い、セックスの時は身体を開いているユノだが、元々は極一般的な異性愛者である。
久しく目にする豊満な裸体に、簡単に欲情を煽られる。
そこで気になるのが、隣のチャンミンの存在だ。
そろそろと横へ視線を移した途端、ユノはびくりと身体を震わせた。
チャンミンが、テレビ画面ではなくユノの方をじっと見つめていたからだ。

「うわっ・・・・・・。な、何でこっち向いてんの!?」
「いいから、気にしないでテレビ見てなよ。俺はユンホさんを見てるから」

チャンミンは、肘を着きながら顔を掌で支え、ユノを観察する気満々といった様子だ。
ユノは、顔を引きつらせながら笑って言った。

「な、何でだよ?一緒に見るんだろ。あっち向けよ恥ずかしい」

チャンミンの身体の向きを変え、テレビの方を見るように促した。

「そっか。残念」

そう呟きながらも前を向いたチャンミンを見て、ユノは安堵の溜息をついた。
テレビ画面へ目を向けると、行為は先程よりも随分と進んでいた。
下半身に欲望を挿入され、女は身体をくねらせながら甘い声を漏らしている。
その姿をユノは純粋に可愛いと思った。
チャンミンはどんな顔でこれを見ているのだろう。
気になったユノは、こっそりと隣の横顔を盗み見た。
チャンミンは、普段と何も変わらない。
顔を赤くしている訳でもなく、ニヤけている訳でも無い。
そこに興奮の色は見えなかった。
ふと、画面からユノへ視線を向けたチャンミンは、口の端を釣り上げながら笑って言った。

「興奮する?久しぶりの女は」
「そ、そりゃ・・・・・・俺だって、男だし」

既に固くなり、スエットを押し上げているユノの欲望を見下ろしながら、チャンミンはぼそりと呟いた。

「そっかぁ。ユンホさんはこういうのがイイんだ・・・・・・」
「なっ何だよ。悪いかよ」
「俺はあまり好きじゃないかな」
「何で?」

冷めた目でテレビ画面を見つめながら、チャンミンは続けた。

「だって・・・・・・常にカメラ目線過ぎでしょ。台詞も多いし、仕草もわざとっぽいし・・・・・・演技してる感が逆に萎える」

その台詞を聞いて、ユノは衝撃を受けた。

「え・・・・・・これ、演技なのか?」

本当に気持ち善いのだと思っていた。
演技しているなんて全く考えずに、ただ興奮していた。

「気付かなかったの?そもそも“AV女優”なんだし、演技が前提だとは思うけど」
「確かに、それはそうだけど・・・・・・」

上を向いていた欲望が、みるみるうちに萎んでいく。
元気を無くしたユノを見て、チャンミンがくすりと笑った。

「小さくなっちゃったね」

そう言ったチャンミンの欲望は、ズボンの上からでも分かるほど盛り上がっている。

「あっ。チャンミン勃ってんじゃん!萎えるって言ったのに」

不服そうなユノに、チャンミンは平然と返した。

「そうだけど・・・・・・俺が興奮してるの、女じゃないから」
「え・・・・・・?」

チャンミンはユノに顔を寄せると、ちゅっと音を立ててキスをした。
一度唇を離したあと至近距離のまま留まり、チャンミンはもう一度唇を塞いだ。
ユノの手を自身の欲望へ導き、握るように促す。
ユノはやっと気付いた。
チャンミンは、アダルトビデオを見て興奮する自分に勃起したのだ。
女じゃなく自分に興奮してくれた事が嬉しいなんて、俺もだいぶ重症みたいだ。
ユノはキスに必死で応えながら、そんなことを考えた。
唇を名残惜しげに離したチャンミンが、低い声で言った。

「ねえ・・・・・・ビデオと同じこと、やってみる?」

テレビ画面の中では、女がとんでもなく恥ずかしい格好で、男に足を開いている。

「ア、アレをやんの?俺が?」
「嫌?」

ユノは暫く黙り込んでから、口を開いた。

「イヤ・・・・・・じゃ、無い」

満足げに笑ったチャンミンが、上の衣服を脱ぎ捨て完璧な身体を露にする。
それに胸を騒がせながら、ユノは大人しく服を剥ぎ取られた。
ベッドに二人沈んだあとは、テレビから聞こえる女の声はただのBGMのようだった。
逞しい身体に翻弄されながら、ユノは思う。
アダルトビデオも良いが、もう可愛い女の子だけじゃ満足出来ない。
この、チャンミンの身体じゃなきゃ・・・・・・
長い夜が、始まりを告げた。









アダルトビデオを手に取り、ドンへは呆れ顔で言った。

「で、ここに書いてあるの全部やったんですか?」
「んー、まぁな」

照れ笑いを浮かべるユノを見て、ドンへは不安を覚えた。

「あの、確認ですけど・・・・・・誰にでも話してる訳じゃないですよね?こういうの」
「ま、まさかっ。お前だけだし!お前にしか言えないよ、こんな事・・・・・・」

喜んで良いのかよく分からない。
ユノへの好意を未だ断ち切れない立場としては、複雑な心境だ。
吊り橋、橦木ぞり、抱き上げ、岩清水、こたつがかり・・・・・・
パッケージに羅列された体位を見ても、どれも上手く想像出来ないものばかりだ。
取り敢えず、このうちのひとつで良いから俺に譲りやがれとドンへは思う。
勿論口には出さない。

「チャンミンがさ、また借りてきてだって。怒られるかと思ったから、ホッとした」

いやいや。ホッとしたじゃねーよ。
セックスのネタに使う気満々だろ。
そうツッコミそうになったドンへは、ユノが返すだろう言葉を予想して口を閉ざした。
“いいよ”
そう言うに決まってる。この人は。









昼過ぎ。
土木の男が店にやって来た。
煙草と弁当を買うついでに、男は会計をするユノに問いかけた。

「ユンホちゃん、どうだった?俺が貸したエロビデオ」
「あー・・・・・・えっとね、結構良かった」

顔を赤くしながらユノがそう返すと、男は嬉しそうに顔を緩めた。

「じゃあ、またおすすめ持ってくっから見てよ」
「うん。ありがとう」

隣のレジに立つドンへは、笑顔の男を横目に溜息をついた。
アンタ店長に近付いてる気だろうけど、頑張る分だけ宅配野郎に手貸すだけだぞ。
心の中でそう零した。
遠隔操作宛ら、ユノの周りの人間を上手く作戦にのせるチャンミン。
流石である。
今日も絶賛冷戦中だ。

「恐るべし、宅配野郎・・・・・・」

ドンへの呟きは、店内のザワめきに打ち消された。









END



久々に店長シリーズでした~
そしてひさびさの三人称視点でした。楽しかった♪
馬鹿っぽいユノ、腹黒なチャンミンいいわ~
お気づきかも知れませんが、チャミに言わせた台詞はAV見て私が思ってることです。
あまりにも台詞が多くて顔作ってる女は、あー余裕あるなと思ってしまい興奮出来ないんです。
こういうの、個人的にチャミには気付いてて欲しいという願望があります。
ユノは知らなくてもいいんだけど。何故?(笑)
今回は体位のお話。ふふふ。
今どき48手って流行ってるのかな?
でもまぁ、取り敢えずふたりにやって欲しい体位を並べてみました。
やっぱり私は、結合部がガッツリ見える体位が好きみたい。
視覚的にかなり興奮を煽られますからね。AVも無修正の方が好きです。
ちょっと男脳要素が強いのかも~
作中に挙げた体位でユノが腰振ったら、鼻血噴出すると思います。

で、話まるっきり変わるんですが・・・・・・
最近「Nのために」ってドラマにはまって、ずっと見ていたんです。
人情の絡んだ切ないサスペンス劇・・・・・・ガッツリはまってしまいました。
一話一話に胸が締め付けられて、心境を想像すると涙が溢れて来ます。
ストーリー構造もよく出来ているし、ああいう話書けるなんてホント尊敬します。
軽いノリで見れる話も良いけど、読んだら何か心に残るような、もう一度読みたい!と思うような、そんなお話がやっぱり私は好きです。
そしてちょっとでもいいので、そう思って貰えるようなお話を書きたいです。
え、こんな話UPしたあとで言う?みたいなね(笑)



★コメ返

>ハ○ヨ○さま
以前はコメありがとうございました。
また頂いて嬉しいです(*^_^*)
シルクハット、エスケープ、ピエロですか~
皆さんそれぞれ好きなものが違って、好みが分かって面白いですね。
ハ○ヨ○さまはもしや、軽いノリのBLより割と中身重視のものがお好きですか。
そしてちょいダークな感じが好み?そんな気がします。
この3つで書くとしたら、お話の筋をしっかりと作りたいですね~
妄想が膨らんで書けるまでになったら、いつか連載するかもしれません。
でも絶対書くとは断言できないかな(>_<)
気に入って頂けて嬉しかったです~♡



>葉○さま
どうもどうも、こんにちは♪
早速写真で妄想見ていただき嬉しいです。
エスケープ、方程式は他の方からも好きだよーとコメ頂きました。
方程式に使った写真、背中合わせで萌えるし、チャミの甘い表情、憂い顔なユノがたまらんです。
エロくてかつ清潔なんて完璧~!(興奮)
あ、それめちゃわかります。
チャンミンは元々可愛い顔してるから、女みたいに見えることはよくありますが・・・
「中性的」って言葉はユノの方がしっくり来るんですよね。
チャミは可愛さが全面に出るのに対して、ユノは男っぽさが消えないからそのせいでしょうか。
生々しい分いやらしく見えてしまうのは私だけ?(笑)
こんなしょうもない妄想ばかりしてる訳ですが、少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです。
またいらしてくださいね~(*^_^*)






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Comment 8

NB(のぶ)  

Re: タイトルなし

Pe○n○sさま


いらっしゃ~い♪
確かに~
店長シリーズってヤッてることが多いしハードな気がしますけど、店長の天ボケぶりでそれが中和されてますね(笑)
ドンへは今でも受難中でした。
救われる日は来るんでしょうか。
でもこの役回り彼にしか出来ないし、彼が居なくなっちゃったら店長可哀想ですね。
もうしばらく我慢して貰いましょう!(笑)

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NB(のぶ)  

Re: No title

かお○んさま


こんにちは~(*^_^*)
いつもどうもです。
Nのために見てたんですね~!嬉しいなぁ。
湊かなえさんのお話いいですよね。
夜行観覧車も見ていました。
勿体無いお言葉ばかり頂いて嬉しいです。
読み返しでは無くても、UPする度に見て頂けるだけで嬉しいです。
ただそんなのを書きたいという願望です~
ちょっとでも楽しい内容を書けるように、これからも頑張ります♡

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NB(のぶ)  

Re: タイトルなし

ゆ○んさま


こんにちは~♪
ユンホ店長見ていただきどうもです!
ここでホミン話何個か連載して来ましたが、この二人が一番しっくり来る気がします。
あー、見ますよ(^^)
男×女見る時は、単純に自分の欲求を解消する時ですね。
勿論男×男も見ますが、あまりにもごっついと興奮出来ないかな。
漫画より生身の人間の方が好きで、そっちばっか見てます。
私変態だとは思いますが、別にそんな胸をはれることでは無いですよ・・・(笑)
今回のゆ○んさまのコメ見て、ちょっと驚きました。
全く引きはしませんが!
ユノの中はどんなだろうって(>_<)笑
そらーもう熱くて狭くて最高だと思いま(黙れ)
私も、もし受ける側ならチャミのあの瞬間の顔をガン見すると思います。
絶対見たいです(必死)
攻める立場になってむらむらするのはユノ限定ですか?
もしそうならユノを愛するゆえだと思いますが、他の人にもそんな瞬間があれば、もしかすると男の部分がお強いのかも知れません(笑)
トン意外にも沢山の作品を見ていらっしゃるからか、着々と想像力がUPしている気がします!
私も沢山話せて楽しいです。
ドラマはプロの世界の事なんで、何言ってんだ~いって感じですけど・・・・・・
優しいお言葉かけていただき嬉しいです。
これからも頑張ります!

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NB(のぶ)  

Re: タイトルなし

ちゃー○んさま


こんにちは!
いらっしゃ~いちゃー○んさま♪
女には興奮しないのに、元気なユノを見て興奮するチャミ(笑)
にやにやしながら書きました。
冷静で意地悪な変態ってチャミにぴったりですよね?
そしてそれに翻弄される馬鹿っぽいユノ(笑)
チャミもそんなユノだから弄りたくなるのかも~
二人のやりとりを書くのすごく楽しいです(^O^)
ドンへは相変わらず可哀想な役回りで・・・・・・(笑)
私が彼だったら色んな話聞けてムフフですけどね!
そうですね~
酔った店長の唇触る位なら、過去にもうしてるかも知れません。ニヤニヤ
店長シリーズ、これからも連載続けたいです♡

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