カラダノキオク ~子供と学ぶ教育のススメ~ その2

  24, 2015 18:01


穏やかな休日の午後、その事件は起きた。









「どぉーん、どぉーん」

ドフンが、手に持った二体の恐竜を衝突させている。
そしてそのまま、床へ二体を転がした。
下になった一体に、もう一体が上から襲いかかる。
ユノのお母さんはドフンの横で、俺はキッチンで作業をしなから、その様子を見守っていた。

「えいっ、えいっ」

戦いは決着が着く様子が無い。接戦の様だ。
そう。俺はそれを戦いだと思っていた。
戸棚を開けようと、台の下へ腰を屈めた時だった。

「うーん、一体どっちが勝つのかしら」

ユノのお母さんのその言葉を聞いて、ドフンが言った。

「ちがうよ。喧嘩じゃないよ」
「え、そうなの?」
「うん。ちゃんと仲良しだよ」
「じゃあ、これは一体何やってるの」

ドフンは、思いがけない台詞を口にした。

「パパと、チャンミンの真似」

その返答が衝撃的過ぎて、俺はフリーズした。
今、なんて・・・・・・?
それはもしかして、アレのことじゃないのか。
一体いつ見られた?
いつも寝かし付けた後に事に及んで、注意を払っていたのに。
ってか、以前にもこんなことあったよな。
ってか、ここから動けない。ユノのお母さんに、顔を見せる勇気がない!
一人パニックに陥っていると、追い打ちをかけるようにドフンが続けた。

「パパとチャンミン、こうやっておねんねするの。仲良しでしょ」

もう止めてくれ!!
悪かった、そんなとこ見せて悪かったから!!
俺は立ち上がるとドフンの元まで駆けて行き、玩具の恐竜を取りあげた。

「ミン、返して」
「それよりドフン、おやつにしよう。な?」
「おやつ食べる!」
「よし」

引きつった笑顔でいると、ユノのお母さんと目が合った。

「・・・・・・・・・はは」
「・・・・・・・・・ふふ」

数秒沈黙が落ちた後、気まずさを濁すように、どちらともなく曖昧に笑った。
恥ずかしさ、男同士という複雑さ、ドフンに見られてしまった不注意さ、色々と申し訳なさ過ぎて、何を言えばいいのか分からない。

「その、済みません・・・・・・」

俺はそう言って詫びることしか出来なかった。

「あー・・・・・・いいのよ。気にしないで?」

ユノのお母さんはそう言って笑ってくれた。
冷蔵庫までケーキを取りに戻ると、ユノのお母さんがドフンに耳打ちしているのが見えた。
先程のフォローでもしてくれているのだろうか。
リビングへケーキを運んだタイミングで、ドフンが言った。

「うんとね、パパが上でチャンミンが下だよ。たまにひっくり返るけど」
「おま、何言って・・・・・・!」

空いた口が塞がらない。
ドフンは俺が動揺しているのなんてお構い無しに、ケーキに釘付けになっている。

「美味しそう!頂きます」

今の流れって・・・・・・
ユノのお母さんと再び目が合った。
ユノのお母さんは、目を泳がせながら苦笑いを浮かべた。

「ご、ごめんなさね?その・・・・・・男同士って全然分からないから、ちょっと気になって」

やっぱり、ドフンに聞いたのか。
俺の顔はきっと今、真っ赤に染まっていることだろう。
上手い表現が思い浮かばないけど、まるで公開処刑にでも遭ったような気分だ。
俺は、ぎゅっと目を瞑って俯いた。

「お母さん、勘弁してください・・・・・・」









夕方、ユノのお母さんが帰る時間がやってきた。
玄関先に立つ俺とドフンを見て、ユノのお母さんが言った。

「じゃあ、また来るから」
「ありがとうございました」
「じゃあね、おばあちゃん」

ユノのお母さんが、俺を手招きした。
距離を詰めると、耳元で囁かれた。

「余計なお世話かも知れないけど、ごめんなさいね。ドフンくらいの歳になると、子供って賢くなるのよ。寝たふりとか、覗き見とか覚えるの。ちょっと、気を付けた方がいいかも・・・・・・」
「あ・・・・・・はい。ほんとに、済みません」

こんなことで気を遣わせて、申し訳無いし情けない。
もう一度謝った俺の背中を、ユノのお母さんは優しく叩いた。

「嫌ぁね、謝って欲しいんじゃないのよ。勇気要るかもしれないけど、困ったことがあったら協力するから言って。家族なんだから」
「はい。ありがとうございます」
「いいえ。またね」

ユノのお母さんは、笑顔で帰って行った。
彼女が優しくて穏やかで、余裕のある人で良かった。心からそう思う。
きっと器が大きいからこそ、ユノのお父さんの問題や、女一人での子育てを乗り越えられたのかも知れない。
もしかすると、それらの課題が彼女を成長させたのかもしれないが。
兎に角この事は、ユノが帰宅したら要相談だ。









「マジでか・・・・・・」
「うん。マジで」

俺の手には、ドフンが昼間遊んでいた恐竜の玩具。
隣には、衝撃を受けて呆然とするユノ。
寝室で、俺はユノに昼間の件について報告した。
毎回仕事で疲れている時に、こんな話題を持ちかけて申し訳ない。
でも相談しない訳にはいかない。
もう日を跨いでいるし、ドフンは随分前に寝た・・・・・・筈だ。

「あいつ、いつの間に見てんだろ」
「謎だよね。いつも、ちゃんと寝てるように見えるのに」

見られてしまった原因や瞬間を、今すぐ確定するのは難しい。
俺は、自分なりに出した決断を伝えてみることにした。

「ドフンにこういうの見せるの、あんま良くないと思うんだ」
「そりゃあな」
「そこで提案なんだけど・・・・・・」
「何」
「暫く・・・・・・ヤるの控えない?」
「無理」
「いや、即答し過ぎだから」

ユノの素早い返答に、俺は思わずツッコミを入れた。
するとユノが、俺に顔を接近させて来た。

「暫くって、どんくらい」
「それは・・・・・・」
「お前は我慢出来んの?今までふつーにヤッといてさぁ・・・・・・」

ぐんぐんと距離を詰められて、もう、今にも唇が触れそうだ。
ユノの俺を求めているその顔に、負けそうになる。
これを拒否できなければ、セックスだってきっと我慢出来ない。
分かってるのに、突っぱねられない。
いけない。キスしたい。いけない。キスしたい・・・・・・

「どうなんだよ・・・・・・」
「う・・・・・・」

葛藤に揺れていた、その時。

「ミン、居る・・・・・・?」

聞こえてきたその声に、俺もユノもびくりと飛び跳ねた。
反射的にユノの身体を押し返してしまい、その反動でユノがベッドの上から転げ落ちた。

「はいはい、居るよ!?」

ドフンが、扉の隙間からひょっこりと顔を出した。

「ってぇー・・・・・・」

ユノのその呟きを聞いて、ドフンは笑顔を浮かべた。

「パパ、帰ってたんだ」
「おう。ただいま」

ドフンは俺とユノを交互に見て、遠慮がちに言った。

「パパ、ミン・・・・・・一緒に寝てくれる?眠れないの」



俺とユノはドフンの部屋に布団を敷いて、三人で寝ることにした。
俺達の間に挟まれたドフンは、やがてすうすうと寝息を立て始めた。
ドフンの寝顔を、俺達は暫くの間見つめていた。

「もしかすると、よく眠れなかったのかもな」
「うん・・・・・・」

ドフンの髪を優しく梳きながら、ユノが呟いた。

「寂しい思いさしてごめんな、ドフン・・・・・・」

ユノは仕事が忙しいから、どうしてもドフンと過ごす時間が少なくなってしまう。
だけどドフンをちゃんと想ってるし、一緒に居る時間を作ろうと努力してる。
それは、俺がよく分かってる。

「くぁー・・・・・・。ねむ・・・・・・」

ユノがあくびをして、それを見ていたら俺も眠くなってきた。
睡魔が迫り来る中、俺は考えた。
二人のために、俺には何が出来るだろう・・・・・・
瞼が降りて来て、知らぬ間に意識は途切れてしまった。









翌朝。

「んじゃあな」
「行ってらっしゃい」

家を出るユノを送り出していると、外に出かけたユノがふと振り返った。

「そういや、昨日のことだけどさ」
「ああ、うん」
「いい考え思い付いたから、ちょっと任してくんないか」
「え・・・・・・?」

いい考えって、何だろう。
気にはなったが、出勤の時間も迫っていたのでそれ以上追及せずに、俺は頷いた。












数日後の夜、ユノのお母さんがマンションを訪れた。
リュックを背負ったドフンが、彼女の元まで駆けてゆく。

「おばあちゃん!」
「迎えに来たわよー、ドフン」

ユノは明日仕事の関係で出勤が早いため、ドフンを預かって貰うことにしたのだ。
俺は此処へよく泊まるが、母親が居るため、近所にある自分の家へ戻ることの方が多い。
俺がドフンの面倒を見ても良いのだが、今回は敢えて預かって貰うことにした。

「頼むな、おふくろ」
「はいはい。どうぞごゆっくり」

その言葉を聞いて、ああ、全部見透かされていると思った。
二人が出て行ったタイミングで、俺はユノに言った。

「これって、ちょっとあからさま過ぎない?」

セックスするので預かって、と言っているようなものだ。

「だって、おふくろ全部知ってんだろ」
「それは、そうなんだけど・・・・・・」
「んなら、変に隠すよかこの方がいいだろ。協力するって言ってんだから問題ねーよ」
「う、うん・・・・・・」

渋々頷くと、ユノが突然俺の手を握った。

「え、何」
「何じゃなくて、ヤるんだろ」

俺の手を引き、寝室へ向かって歩き出すた。

「今すぐかよ!?」
「そう悠長にしてられっかよ。明日早えーのに」
「もう・・・・・・ムードもへったくれも無いな・・・・・」

そうは言っても、よく考えたら暫くの間抱き合っていなかった。
子育てと仕事の両立は、時間も余裕も取られてしまう。
親の大変さが、今となってはよく分かる。
大変だから、息抜きが大切だってことも・・・・・・
俺をベッドへ沈めると、ユノは笑って言った。

「誰も居ないし、好きなだけ声出せよ」
「出た、変態」
「ふぅん。お前は違うんだ?」

ユノが、胸から股間までをするりと撫でる。
服の上からだというのに敏感に感じてしまい、簡単にスイッチが入ってしまった。

「もう、黙れよ・・・・・・」

俺はユノの顔を引き寄せ、少し乱暴に唇を塞いだ。
ユノが微笑みながら、舌をするりと入り込ませて口付けを深くする。
あとはもう、夢中で求め合うだけ。


ドフン、ごめんな。お母さん、済みません。
俺は心の中で詫びた。


これで一件落着・・・・・・したのか?









END



◇◇◇



ユノの性欲が強すぎる・・・・・・(笑)
別にヤリたいだけじゃないですよ、これでもちゃんとチャンミンが好きですよ~(;´・ω・)
ああでも、ユノのビジュで妄想するからこそ許せる(笑)チャンミンになりたいわ。
切ないお話が続いたので、カラダノキオクでほんわか(してるかなぁ)。
ドフンや母親など家庭がメインの番外編、恋愛メインの本編とは雰囲気が随分変わりますね。
たぶん、子育てに明確なゴールは無いのかなぁと・・・・・・子育てに限らず、色々な事にも言えると思いますけど。
久々に書いて楽しかったな!
ユノのお母さんになって、「お母さん勘弁して」と赤面するチャンミンを舐めるように見つめたいです。最近、第三者に自分を当てはめるブーム来てます。
このシリーズはまた書きたいけど、ほんわかが続いたので今度書くとしたらシリアス系が良いな。閲覧ありがとうございました<(_ _)>♡

そして、隣の男にも沢山の拍手ありがとうございます!
まさかサイト初のくっつかないラストで、こんな反響頂けると思って居なかったのでびっくりです。
とっても嬉しい!頑張って書いてよかった~
これからも頑張ります♪
コメント、後でしっかりお返しいたします。毎度対応遅くて済みません。
ミッド~は次回UPしたいと思います。

あ、LAのチャンミン格好良かったですね~
もう美しすぎて、ため息も独り言も止まりませんでした。
やっぱり、チャンミンのビジュ大好き(///ω///)



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Comment 6

NB(のぶ)  

Re: タイトルなし

チャミ1〇〇1さま


またまたこんばんは~♪
なんと、ご丁寧にひとつひとつにコメントが!感激です。
どうもありがとうございます(T_T)♡
カラダノキオクシリーズ、やっぱり一番人気なんですよね。
時にその反響にびっくりして着いていけない時があります(笑)
嬉しいし贅沢なことです!
ユノパパのお母さんは、きとパワフルじゃないと家庭を支えられないんじゃ?と連載時、書いてる最中に思ったんです。
私はまだ子供が居ないので妄想で書いてますが、やっぱりそうなんですね(笑)

これからも番外編、ネタが浮かんだら書いていくつもりです。
どうぞお付き合いくださいね♡

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NB(のぶ)  

Re: No title

かお〇んさま


こんばんは、いらっしゃいませ!
コメント、頂くととても嬉しいですよ~♡
カラダノキオクがお好きと聞いてびっくりです。
こちらにいらしたのは最近と思っていたので、もう目を通されたんだ!と、驚くと同時にとても嬉しかったです。
このシリーズ、ここに展示している作品の中で一番人気で・・・なんでだろ(笑)
勿論嬉しいんですけどね♡
あ、まさにその流れです。
一緒に寝てと言いたかったけど、二人がベッドの中で仲良しチュッチュしてたので、ドフン君は空気を読んで、声をかけなかったんです。
切ないけど、ちょっと可愛そうだけど、よくできた息子です。

バナーボタンのBeforeチャンミンは、先日UPしたイラストの中の一枚です。
恥ずかしながら私が描きました~
褒めて頂けてうれしいです!
このチャンミン、本当にカッコイイですよね。
険しい顔で相手に拳銃を向けて、その後空に向かってばーんと。
それ以外にも、Before~は何故かユノよりもチャンミンのシーンの方が、色濃く記憶に残っているんですよ。

LAのチャンミン、現地でも空港でも本当にかっこよくて可愛いすぎて、私も写真ぽちぽち保存しまくりました。
チャンミンみてると、外見と中身、こうもよく出来た人間ってすごいなといつも思うんです。
チャンミンの全てが好きです!!!
時にユノペンであることを忘れるというか、もう私は完全にふたりのファンなのかもしれない・・・・・・
最近、よくそう思います。

お話、沢山見て頂いて本当にありがとうございます。
これからも楽しんで頂けるよう、お話の提供頑張って参ります。
またお越しください♪

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NB(のぶ)  

Re: No title

ちゃー〇んさま


いらっしゃいませ、こんばんは~♡
隣りの男、チャンミンを見守っていただいてありがとうございました。
ユノとは結ばれなかったけど、想いを伝えたことで心が少し楽になって、穏やかにユノを愛せるようになったと思います。
そうなんです、最近ちょっと時間があるもので・・・
今迄の亀更新が嘘のように(笑)連日UPしてしまっています。
コメントは、本当にお時間がある時やしたいと思われた時で大丈夫ですよ~!
お忙しかったり、ご都合もあると思うので。
いつもお話にお付き合い頂いて、それだけでもとっても感謝しています。
あ、もちろんコメントは更に嬉しいんですよ。

カラダ~は本編と番外編、違う作品?という位テンションが違いますね(笑)
家族が絡むとアットホームに走ってしまうんですよね。
ユンホ父ちゃん、可愛いお嫁さんがいつも側にいてくれて相変わらず元気なようです。

ミッド~はですね、カード拝見致しま~す!ので、よろしくお願いします。
NBも懲りないですね・・・・・・(笑)
またお待ちしています!いつも本当にありがとうです<(_ _)>♡

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