隣りの男 1

  05, 2015 20:40


落ち葉が舞い散る中、俺は先輩に別れを告げた。

「何でだよ・・・・・・」

傷付いた顔をする先輩から目を背け、俺は言った。

「何でって・・・・・・もう、付き合いたく無いからです」
「チャンミナ、ちゃんと俺の顔を見ろよ」

先輩が、俺の肩を掴んで揺さぶった。
その振動で、瞳に溜まった涙が溢れ出た。
流れ落ちる涙をそのままに、俺は先輩を見つめて言った。

「もう、嫌なんです。疲れたんですよ・・・・・・。男同士がどうとか、気にしながら過ごすの」
「お前は俺よりも、周りの評価の方が大事なのか?」

先輩は怒り口調で言った。
的を得たその発言に、居心地が悪くなった。
俺の心は弱い。だから、強い心を持ってる先輩の隣には並べない。
その事実から目を逸らして、俺は先輩に反抗した。

「先輩には分からないでしょ?女役をさせられる俺の気持ちなんて」
「チャンミナ・・・・・・」
「男としてのプライドを、ずっと傷つけられてきた。もう耐えられない。自由にして下さい」
「そんなこと・・・・・・思ってたのか・・・・・・」

先輩は、悲しそうな顔をした。
本当は、自分が女役であることが嫌なんじゃない。
むしろ先輩に抱かれるのは好きだし、抱かれてる時間は凄く幸せだ。
それでも、何か諦めさせるような言葉を言わないと、先輩が納得しないと思った。
ただ、説得材料に使っただけだ。

「分かってくれますよね?」
「・・・・・・考えさせてくれ」

先輩からは、その後もメールや電話が来たが全て無視した。
段々とその頻度は少なくなり、一ヶ月程経った頃には完全に連絡が途絶えた。
俺と先輩の関係が、遂に終わった。
高校時代から大学まで、5年以上も積み重ねてきた関係が。
俺は別れてからも、ずっと先輩が好きだった。
先輩を振った理由は、先輩が嫌いになったからじゃない。
俺が、先輩の隣りに自分が並ぶのを許せなかったからだ。
いつも周りから評価され頼られる、明るくて人気者の先輩。
俺とはまるっきり別世界の、不釣り合いな人間だ。
その思考をどんなに努力しても、拭い去ることが出来なかった。
先輩の大学卒業を翌年に控えた、ある秋のことだった。


先輩が卒業した後、俺達は完全に顔を合わせなくなった。
今は社会人となり、いつの間にか30歳まであと数年というところまで来てしまった。
俺は既に嫁さんを貰っていて、狭いアパートから新しい家へ引っ越すことを決めた。
家庭を築く第一歩を踏み出すことが出来て、仕事も安定している。
今俺は、それなりに幸せだと思う。
だけど心の奥底には、学生時代の先輩との思い出が消えないまま、ずっと眠っている。
嫁さんには内緒だが、俺は今でも先輩に抱かれる夢を見ることがある。
俺は先輩と別れてからもずっと、ひっそりと先輩を愛し続けている。
きっとこれからも、先輩以上に誰かを愛する日は来ないだろう。









俺とソフィは二人並んで、目の前に建つ一軒家を見上げた。

「何だか、わくわくするね」

ソフィは大きな目を細めて、人懐っこい笑みを浮かべた。
互の薬指に光るペアリング。目の前に建つ俺達の新しい家。幸せな気分がこみ上げてくる。
家は中古にしては外観、中とも綺麗だし立地も良い。
思い切って買うことにして良かった。
家の中に家具や荷物を持ち込んで整理するうちに、日が暮れて夕方になってしまった。

「あ・・・・・・挨拶まわり、忘れてたね」

準備がひと段落したころ、ソフィが言った。
そういえば、まだ近所への挨拶が済んで居なかった。
俺とソフィは用意していた菓子折りを持って、隣の家へと向かった。
隣の家は、比較的新しい印象を受けた。
緑の屋根と白い外壁の相性が良い西洋風の外観。綺麗にガーデニングされた庭。
センスが良いと思った。
インターホンを押すと、一人の女性が顔を出した。

「・・・・・・どなたですか?」
「今晩は。今日から隣に越して来たシムと言います」
「あら」
「どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

女性は、笑みを浮かべて頭を下げた。
清楚な雰囲気の、綺麗な顔をした女性だった。

「これ、少しですが・・・・・・」

菓子折りを差し出した時、小さな子供が女性の後ろからひょっこりと顔を出した。

「それ、お菓子?」
「こら」

子供が居たのか・・・・・・
素直なその反応が可愛らしくて、俺とソフィはくすくすと笑ってしまった。

「すみませんこの子ったら。頂きますね。ありがとうございます」

菓子折りを受け取ると、女性は言った。

「今、夫を呼んできます」

女性が姿を消した後、部屋の中から貴方、と呼びかける声が聞こえた。
俺はただ呑気に、その瞬間を待っていた。
夫と言う男性が現れるその時を―――・・・・・・

「どうも、今晩は」

部屋から男性が姿を見せた直後、俺は愕然とした。
その人は・・・・・・
数年前俺と交際していた、俺がずっと愛し続けていた先輩に違いなかった。

「せん・・・・・・ぱい・・・・・・」

先輩も俺の顔を見た途端、顔をこわばらせた。

「お前・・・・・・どうして・・・・・・」

二人にしか分からない緊張感。
周りの刺激が全て排除され、互いしか見えないような感覚。
俺達は見つめあったまま、暫くの間動けなかった。
まさか、新居の隣人が先輩で、それも妻子持ちだなんて・・・・・・
此処に越して来たことを、激しく後悔した。
それと同時に、心の底に封じ込めていた想いが疼くのを、俺は確かに感じた。









◇◇◇



こんばんは~。
新しい連載、始めてしまいました。
ミッド~と並行して更新します。
ホミンです。珍しくハッピーな終わりが見えないというか、現実味のある内容にしようと思います。
楽しいかは分かりませんが、書きたいので書かせて頂きます。
最近、創作意欲が凄いです(特に文章)。
一時期はブランク?と心配なほどネタが浮かばなかったのですが、最近はいーっぱい湧いてきてます。
焦らず、楽しく更新してきたいです♪

そういえば、チャンミン旅行から帰る気配がありませんね(笑)
兵役前に沢山遊んで欲しいです。更新される写真を見ているのが楽しい。
旅行という話題から妄想ですが、チャンミンって美人さんなのでニューヨークとかパリとか、雰囲気ある町並みに凄く溶け込めると思うんです。
ロングコートを羽織って襟に顔をうずめながら、外国を歩いて欲しいです。
きっと溜息が出るほど綺麗に違い無~い♡



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Comment 6

NB(のぶ)  

Re: No title

さえ○んさま


いやーん、こちらへもコメントありがとうございます♡
秋ということで……
ちょっと寂しいお話を書きたくなりました。
同時進行の方があまあまになりそうで、余計ですかね。
終わりにラブが見えない始まり…なんだかなーって感じですが、私もくっつくだけが良いとは思いません。
ハッピーエンド主義ではありつつ(笑)今回は今までのお話とは違う感じになると思います。

ちょっとちょっとさえ○んさま~!(笑)
ヘンタイ、副隊長に任命致します♡
手錠のせいで風船まで卑猥にって……爆笑しつつ、そんな男子高生カポーがいることに驚きでございます。
隠すように、目を反らした、この辺があやしいですよね……
まさかのまさか?
さえ○んさまも、顔見ちゃったんですね♡(笑)
いや、私も絶対見ると思います。
もしまたその男子高生カポーが来たらご一報ください。

妄想は多忙のせいだけじゃなさそうですが…
体調は大丈夫ですか(*_*)?
最近、聞く仕事の話がみーんなブラックなんでビックリします。
難しい面もあるとは思いますが、休みつつ働いてくださいね。
休日、ゆっくり休んでください♡
またお待ちしてま~す♪
時間が有るときら、あちらでもお話しましょうね(^^)/

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Re: タイトルなし

Pe○n○tsさま


おはようござます♪
コメントありがとうございます、嬉しいです~!
創作意欲にムラがありまして・・・・・・
一時期は全く放置した癖に、今はどしどし更新したい欲求に駆られております。
こんな気ままな作者ですけど、お付き合いいただけたら嬉しいです。

確かに、妄想って同じ趣味を持った仲間内であれば、誰にも迷惑かけませんものね。
ゴリゴリのゆのペンさん→オンリさん・・・・・・?
私も様々な方を見るので、強烈なファンの方と聞くとそんな思考に至ってしまいます。
程ほどにって大事ですよね。
現実世界シビアなので、上手くやりたいものです。
持論あるのは結構ですが、そんな自分とも冷静に付き合う心がけが必要かなと・・・・・・
はわわ、偉そうなこと言っちゃった(^_^;)

引越しの挨拶って、今は無いのかな?(最近のご近所事情よく把握してない)
アパートだと、危険だから挨拶しないって聞きましたが、一軒家の住宅街ってどうなんだろう?
取り敢えず、頑張って更新します♪
またコメントおまちしてます、いつもありがとうです♡

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NB(のぶ)  

Re: 鼻血ブー(笑)

ちゃー○んさま


おはようございます♡
今日も宮城寒いですね~。
もう薄手の羽織ものじゃ風邪引きますね。
体調に気をつけてくださいね!

鼻血ぶーって単語、久々に使った気が・・・・・・
うん、創作のこんな機会にしか使わないですね(笑)
らぶらぶな一方で暗そうな話の始まり・・・・・・
甘いの食べた後はしょっぱいの食べたいのと一緒かなぁ。
どっちもえっちが入る予定です。
ミッド~の方はげろ甘になりそうな予感(*^_^*)
えっち無しのお話、今や書けるのか分からない。
というか今迄そんな連載書いたっけ?はは

ポチのイラストはいま展示しているのの使い回しですが、見ていただけて嬉しい!
イラストも、文字書きの合間に新しいの描きたいです。

またコメントお待ちしてます。
いつも本当にどうもです~(´∀`*)

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