小説家は愛を囁く ~夜中同衾の巻~ 1

  29, 2015 07:03


東の空に燃ゆるは、赤く大きな丸い月。
闇の中ひっそりと灼熱の光を放つ、君のその姿は美しい。
しとやかな見かけの中に情熱を含む君は・・・・・・
そう、あの人に似ている。
僕の愛しき先生に。

ああ。こんな夜は・・・・・・
貴方の熱い身体に、のみ込まれてしまいたい。












「・・・―――ム君、シム君?」
「え・・・・・・?あ、はい!」

月を見つめながら心中で詠っていると、先生が不思議そうな顔をして俺の名前を呼んだ。

「どうしたんだい、ぼうっとして」
「ええと・・・・・・月に、見とれていたんです」
「そうか。今日は、本当に月が綺麗だからね」

月よりも先生の方が、もっと綺麗です。
口から出かかったその台詞を、俺は慌てて飲み込んだ。

「そうだ。折角だから乾杯しようか」
「いいですね」
「知り合いから貰った美味い酒があるんだ」

先生はそう言って立ち上がった。

「俺が準備しますよ」
「いいから、君は座っていてくれ」

腰を浮かせた俺を制止すると、先生は台所へと消えていった。
浴衣姿の先生を後ろから見つめながら、俺は溜息をついた。
先生は純粋にこの時を楽しもうとしているのに、俺ときたら・・・・・・
月を見て先生とのセックスを思い浮かべるなんて、いやらしいにも程がある。
先生とは一緒の布団で寝たことはあるが、文字通りそれだけで抱かれたことは無い。
先生が手を出してこないことを、俺は段々ともどかしく感じるようになった。
中途半端な触れ合いに焦れて、欲求不満丸出しの自分が見苦しい。

「お待たせ」

ひとり考え込んでいると、先生が盆に酒瓶ととっくりを乗せて戻ってきた。
互いに酒を注ぎ合った後、とっくりを手に持って乾杯した。
しんとした空間に、コツンと硝子がぶつかる音が静かに響いて溶け込んだ。

「いただきます」
「どうぞ」

一口目で冷えた液体が喉越し良く感じ、俺はそのままとっくりを傾けて酒を一気に流し込んだ。

「そんなに飛ばして、大丈夫?」

先生は俺を見つめながら、くすくすと笑って言った。

「ええ。俺が酒に強いの、知ってるでしょう?」

別に、ヤケになっているわけじゃない。
決して先生が求めてこないことに、俺の気持ちばかりが強いんじゃないか?そんなことを思って虚しくなっている訳じゃない・・・・・・
そう自分に言い聞かせているうちに、視界が涙で覆われてしまった。
普段アルコールに負けることはそう無いのに、今日は何故かダメだった。
赤い月のせいか、切なさを煽る秋の匂いのせいなのか、美味い酒のせいなのか。
俺は先生を見つめながら、震える声で訴えた。

「先生・・・・・・」
「どうした?」
「俺は、先生に想われてる・・・・・・ちゃんと、そう分かってるのに・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「何故でしょう・・・・・・?時々、凄く寂しくなるんです」

俺は、何てことを言ってしまったんだろう。
涙が一粒ぽろりとこぼれ落ちて、紅潮した頬をすっと伝った。
先生は瞳を大きく見開いて、俺の顔をじっと見つめた。
俺はとうに、我慢の限界を超えていたのかも知れない。
先生の反応などお構いなしに、堰を切ったように本音が溢れ出てきた。

「先生は、綺麗な文をお書きになりますよね・・・・・・。恋愛もきっと同じで、純粋な心をお持ちなのかもしれません。でも俺は違う・・・・・・」
「シム君・・・・・・」
「俺ばかり・・・・・・汚くてごめんなさい」

俺は込み上げる嗚咽を堪え、涙をぬぐいながら下を向いた。
どれほどの時間そうしていたのか分からない。
数秒だったのかもしれないし、数分だったのかもしれない。
ふと、直ぐ傍に先生の気配を感じた。
顔を上げると、鼻先がぶつかりそうな程近い距離に先生が居て、瞳の中に赤い月の光が宿っているのが見えた。
まるで先生じゃないような・・・・・・一匹の獣をそこに見たような気がした。
先生は、これまでに聞いたこの無い低い声で言った。

「凄く、美味しそうだ・・・・・・。熟れるまで、待った甲斐があった」
「せ、先生・・・・・・?」

先生は、口の端を釣り上げて囁いた。

「君は、ひとつ勘違いをしている」
「へ・・・・・・?」
「僕は、そんなにピュアじゃないよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「愛する君の前じゃ・・・・・・ただの男さ」
「先生・・・・・・」
「ごめんね?」

そう言って笑った先生の笑みは、くらりと目眩がしてしまうほど妖艶だった。
先生は俺の背中に手を回すと、身体を床へそっと押し倒した。





見上げた先生の背後から、真っ赤な月が僕を見ている。
燃えるような赤い光が、僕らに熱を与える。
僕は今宵、燃えるような先生の身体に抱かれる―――









◇◇◇



皆様、ミッド~最終回に沢山の拍手ありがとうございます!
こんなに反響があるなんて、とても嬉しいし幸せです。
いつも妄想話にお付き合い頂き、感謝感謝でございます。

さて、連載終了そうそう、小説家シリーズぶっこんでしまいました。
ミッド~の方もエロ書きたいんですけど、昨晩スーパームーンだったこともあり、雰囲気的に月の話題に絡めるならこの二人かなと。
前から書いてみたかったお話です。
本番まで続きますので、どうぞお付き合いください♡
あ、次回会員証拝見致しま~す(^O^)♪



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Comment 2

NB(のぶ)  

Re: No title

ちゃー○んさま


こんばんは、コメントありがとうございます♪
コメ欄にお名前見つけた瞬間、あっ♡て(笑)
ちゃー○んさまのお時間さえあれば、本当にコメント大歓迎なんですよ~!
いつも嬉しいです!

ぴっかぴかに磨かれた会員証が見えた気がします……(笑)
どうやら私のはなし、本編に詰め込みきれなかったえっちを番外編という名で果たす。
そんな傾向があるみたいです。
概ね本編みたいなものですけども(^^)
秋のひっそりとした別荘でどんな思い出ができるのか?
頑張って書いたので、是非見て下さいませ!

本当に急に寒くなって、秋の深まりをかんじています。
朝昼夜の温度差も凄いですね。
ちゃー○んさまも、体調に気を付けてお過ごし下さいね。
また話しかけて下さい♡待ってますので~

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