ミッドナイト・ガイズ 12



















ミッドナイト・ガイズ・表紙


















「あんたが・・・・・・オーナーやんの?」

男娼の一人が驚いた顔でそう問うと、ユンホさんは言った。

「俺が潰した店だ。責任を持って俺が立て直す。文句のある奴は居るか」

しんと静まり返る中、先に口を開いたのはキュヒョンだった。
キュヒョンは手を上げながら言った。

「俺は賛成。あんたは確かにこの店潰したけど、同時に俺達のこと救ってくれたし・・・・・・。また、力貸してよ」

すると、他の男娼達も次々に口を開いた。
捜査に協力した男娼の一人は言った。

「俺も賛成。ユンホさんに手貸して良かったと思ってるし、またよろしく頼むよ」
「同じく。俺達だけの力じゃ、やり直せないと思うし」

男娼たちは皆、ユンホさんの提案に賛成のようだ。
僕の隣に立っていた男娼が、笑みを浮かべながら言った。

「・・・・・・だってさ。どうする?マックス」

決定権は、この店の頂点に立つ僕に委ねられた。
皆こちらを見つめながら、僕が口を開くのを待っている。
僕はユンホさんの顔をじっと見つめながら、強い口調で言い放った。

「お手並み拝見と行きましょう。貴方の実力を見せて下さい」

僕を見つめ返し、ユンホさんはふっと笑って言った。

「よし。女王さまも賛成のようだな」

ユンホさんは続けた。

「労働基準が厳しくなりつつある今も、残念ながらこの業界は旧態依然としている・・・・・・。暗黙下で経営を続けられいても、今回のように何かしらのきっかけで捜査が入るような事があれば、即アウトだ。そこで、この店の経営方針を一転する。法律上穴の見当たらないような、クリーンなイメージの店に変えよう。売春行為は一切禁止だ」

ユンホさんは口角をくいっと上げ、冗談めかした口調で言った。

「それでも男とセックスしたい奴は・・・・・・他の店を探すか、プライベートで楽しんでくれ」

皆くすくすと笑い声を上げたが、反対しようとする者は居なかった。
ユンホさんは、ケースから大量の冊子を取り出して机に重ねた。

「労働基準についてまとめた簡易マニュアルだ。これを熟読し各自勉強すること。さあ、取りに来てくれ」

すると、各々がユンホさんに歩み寄り冊子を手にした。
皆ユンホさんを気に入ったのか、にっこりと微笑みかけながら去っていく者もいれば、ウインクを投げていく者もいる。
ユンホさんは面倒がる素振りを全く見せずに、微笑みながらそれに応えている。
掛け持ちしているカフェで、ユンホさんははバイであること、男がより好きだということを聞いたが、恐らく事実なのだろう。
人の扱いも上手いし、男女問わずモテそうだ。
この店に通っていたのが仕事の為とはいえ、僕が今迄この人を見て捉えていたイメージと本当の姿は、大差無いように思う。
拭い切れないもやもやを心に抱きながら、僕はユンホさんを見つめていた。
全員にマニュアルが行き渡り、僕もマニュアルを手にしようとユンホさんに近寄った。
しかし僕がマニュアルに手を伸ばしたその時、ユンホさんはそれを阻むようにすっと冊子を引いてしまった。
訝しげにユンホさんを見つめると、ユンホさんは別の冊子を取り出して僕に差し出した。

「君には別の物を用意した」
「何故です?」
「君は、接待役を降りてフロアマネージャーを勤めろ」
「え・・・・・・?」
「俺には本業がある。この店をメンテナンスするにも、限界が出てくるだろう。そこで君の力を借りたい。この店の一番下から上まで経験した君にしか、恐らく出来ない。全員の行動や経営状態を把握して、俺を助けてくれ」
「成程・・・・・・」
「異議は?」
「ありません」

僕は、ユンホさんから差し出されたその冊子を受け取った。








僕はオーナーの部屋に備え付けられたドレッシングルームで、ユンホさんに手渡されたスーツへと着替えた。
明るいブラウンで統一された、上質そうなベスト、ジャケットとズボンに、アクセントの効いた赤い蝶ネクタイ。
全て身に付け終えると、僕はカーテンを引いてドレッシングルームから出た。
窓一面から明るい陽が差し込む中、机に寄りかかりなら、ユンホさんは資料に視線を落している。
やがてゆっくりと顔をあげると、ユンホさんは僕を見つめながらふわりと微笑んだ。

「美人は何を着ても似合うな」
「・・・・・・・・・・・・」

僕はユンホさんに歩み寄ると、ネクタイを引っ張て顔を引き寄せた。

「うわっ・・・・・・」

今迄溜め込んでいたもの全て、ぶつけてしまいたい。
これは僕なりの甘えだと、どうか分かって。
眉を寄せてユンホさんを睨むと、ユンホさんは少し怯えたような顔をした。

「こんなに誰かに振り回されたのは、生まれて初めてです」
「怒ってるのか?」
「勿論」
「悪かったよ・・・・・・」
「貴方は、確かに仕事を全うしました。正義を貫きました」
「・・・・・・・・・・・・」
「それでも・・・・・・僕が苦しんだ時間も傷も、消えることはありません・・・・・・」

真相を分かった今でも、受け止められるものとそうでないものがある。
上手く整理し切れず、心は不安定なままだ。
それでも、貴方のたった一言で僕は救われるに違いない。

「教えて下さい。貴方は何を考えているのか・・・・・・」

すると、ユンホさんは僕の耳元に口を寄せて囁いた。

「君を接待役から降ろした、本当の理由を教えよう」
「え・・・・・・?」
「・・・・・・好きな男が客と触れ合うのを見ながら、仕事なんて出来ない」
「・・・・・・・・・・・・」
「それと・・・・・・」

ユンホさんは、僕の頬に手を添えて甘い笑みを浮かべた。

「今更だが・・・・・・俺が自分の意志で指名したのは、この店の中で君たった一人・・・・・・。抱いたのも、君一人だけだ」
「ユンホさん・・・・・・」
「君を愛してる」

荒んだ心が、その一言で、その笑みで、幸福感に満たされてゆく。
気付かぬうちに、僕は微笑みながら涙を流していた。
僕が零した涙を掌でぬぐうと、ユンホさんは額を擦り寄せながら囁いた。

「済まない。こんなことしか言えなくて」
「いいえ・・・・・・。充分です」

近付いて来るその唇を、僕は笑みを浮かべたまま受け入れた。
段々と深くなるキスを更に求めるように、ユンホさんの首に両腕を回して、強く引き寄せる。
密着した身体も唇も、じんじんと火照って熱い。
名残惜しげに唇を離した後、僕らは互いを見つめて微笑み合い、再び唇を重ねた。









END



◇◇◇



すんなりと終わりです。
この話を要約すると・・・・・・
仕事現場で可愛いコちゃんを見つけてうっかり手を出してしまった、公私混同してしまった、一人のサラリーマンの話です(夢のないまとめ方でスイマセン(^^;)。
何がともあれ、恋が実って良かったですね!
何時ものごとく、エロを書き足りないので番外編へ続きまする♪



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6 Comments

NB(のぶ)  

Re: No title

さえ○んさま


こんばんは~!
いつもありがとうございます♪
祝日と土日、休みが一日だけとは……全然シルバーじゃなかったんですね((T_T))?
お忙しいスケジュールを乗りきって確保した時間を、私のサイト閲覧に当てて頂けて嬉しいなぁ。
頑張って書いて良かった……!
今回も安定のハッピーエンドでした。
ユノを完全なる悪者に出来なかったNBです。
でもサイトも三年めに突入しようとしていて、マンネリ化を感じているところです。
よく言えば基盤が出来たのかもしれませんが……。

内容や人柄がバーンッと違うもの、書いてみたいですね。
私の発想だけじゃまたパターン化しそうなので、リクエスト企画やろうかなぁ!

今回もミッドナイト~、見届けて頂いて嬉しかったんです♡
えっちシーンも頑張りま~す!
また話しかけて下さい♡

2015/10/02 (Fri) 01:16 | EDIT | REPLY |   

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2015/09/29 (Tue) 23:28 | EDIT | REPLY |   

NB(のぶ)  

Re: タイトルなし

Pea○utsさま


こんにちは(*^_^*)
おひさしぶりです♪
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
ドラマチック仕立て(たつもり)なのに、現実味のあるコメントどうもすみません(笑)
でも要するにそういうことですね♡
もうユンホオーナーは凄いですよ~
チャンミン好き好きオーラ前回ですからね・・・・・・
一話で収まるかわかりません(笑)
番外編も、どうぞお付き合いくださいね♪
またお待ちしています(´∀`)

2015/09/29 (Tue) 07:10 | EDIT | REPLY |   

NB(のぶ)  

Re: ミッド…終わりましたね

ちゃー○んさま


こんにちは♡
ユンホオーナーの下心は、きっと皆に既にばれてますね(笑)
リアル世界の公私混同はあまり好きじゃないのに、妄想で二人がやってるとにやにやしてしまいます。
スーツでキス、色っぽくていいですよね(*^_^*)
番外編、精力込めて(笑)頑張りますので、カードを磨きながらお待ちくださいませ!
またお待ちしています♪

2015/09/29 (Tue) 07:07 | EDIT | REPLY |   

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2015/09/28 (Mon) 00:24 | EDIT | REPLY |   

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2015/09/27 (Sun) 14:18 | EDIT | REPLY |   

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