ミッドナイト・ガイズ 9

  20, 2015 07:49


※取り扱う内容的が、シビアで犯罪領域のなのでR18とします。
 苦情は受け付けません。閲覧は自己責任でよろしくお願い致します。
 どんとこい!そんなの平気!という方はどうぞ~。

























ミッドナイト・ガイズ・表紙


















「休めたか?久々の休日は」

キュヒョンが、ドレスに腕を通しながら言った。

「ああ。幸せな夢を見たよ・・・・・・。死ぬほど、幸せな夢」
「へぇ。大金持ちにでもなる夢か?」

楽しそうに笑っているキュヒョンに、僕は何も言わずに微笑み返した。
あの夜の思い出は、僕とユンホさんだけのもの。
例え親密な仲のキュヒョンであっても、教えるつもりは無かった。

「今のお前なら、夢じゃなさそうだけど」
「そうかな」

僕はキュヒョンに顔を寄せて、コッソリと本音を打ち明けた。

「本当は・・・・・・不幸な金持ちよりも、貧乏でいいから幸せになりたい」
「ははっ。同感」

二人くすくすと笑いながら、再び身支度を始めた。
ユンホさんとは、ホテルで一夜を共にしてから会っていない。
連絡先も交換していない僕らは、店で顔を合わせなければ何の接点も無い。
僕が仕事を掛け持ちしている事とその職場は、先日知られてしまったが。

週の始まりだと言うのに、客足は途切れることがない。
現実世界に引き戻された僕は、今日も客を接待して身体を捧げなければならない。
ユンホさんに抱かれた記憶が頭を過って、胸が締め付けられた。
あの思い出を糧にして、これからも生きていくと決めたじゃないか。
そう自分に言い聞かせた。
フロアへ出て接待しながら、今日はオーナーの姿が見えないことに気付いた。
客を送り出している時に、僕はエントランスに見覚えのある姿を見つけた。
ユンホさんが、店の外に出ていくのを確かに見た。
今日は金曜日じゃないのに・・・・・・
それに、フロアの中で一度もユンホさんの姿を見ていない。
僕は首を傾げた。



休憩時間、僕は更衣室で偶然、ウニョクと一緒になった。

「おつ」
「お疲れさま」

ウニョクは更衣室へ入るなり、ロッカーから煙草を取り出して口にくわえた。

「お前も吸う?」
「いや、遠慮する」

ウニョクは煙草をふかしながら、僕の顔をじっと見つめた。

「何」
「お前・・・・・・なんか良いことあった?」
「え?」
「色気が増してる」

その発言に内心ドキッとしつつ、僕は平静を装った。

「気のせいだ。何も無い」
「ふぅん?まぁいいや」

ナンバー2の目を侮ってはいけない。
深く追及されなかったことに安堵しつつ、僕は話題を変えようと、適当に思い浮かんだ事を口にした。

「あのさ」
「ん?」
「オーナーどこにいるか知ってるか?フロアに居なかっただろ」

ウニョクは煙を吐き出すと、煙草を灰皿に押し付けながら呟いた。

「密会」
「え?」
「自分の部屋にいんじゃねーの」
「今言った“密会”ってどういう意味だ?」
「あの人、たまに部屋に客呼んでんだ。何してるか知らねぇけど」

それを聞いて、今日ユンホさんを見かけた時のことを思い出した。
僕の記憶では、ユンホさんはフロアでは無く、オーナーの部屋がある店の裏側から出てきた。
今日ユンホさんはオーナーの部屋で、オーナーに会っていたということか。
フロアに姿を見せなかったということは、ユンホさんはオーナーに会うためだけに店に来ていたということになる。
でも、なぜ・・・・・?
考え込んでいると、ウニョクが再び口を開いた。

「年季入ってる奴らは、オーナーや店のこと色々知ってんぜ。その分、よくわかんねー噂も飛び交ってるけど」

ウニョクも、この店で昔から働いている。
僕よりずっと店のことや関係者に関して詳しいし、人脈があるので情報も入り易いのだろう。

「色々って・・・・・・?」
「お前がこの店に来る前は、今とオーナーが違ったんだけど・・・・・・」
「そうだったのか」
「以前は身体の売買は無くて、ここは金持ち専用の高級バーみたいなもんだったんだ。でも、今のオーナーになってから店の経営方針が一変した」
「へぇ」
「御曹司いるだろ。チョン・ユンホ」
「ああ」
「あいつ、前オーナーと友人で店にもよく来てたらしい。今のオーナーのやり方が気に食わなくて、この店ごと乗っ取ろうとしてるって噂だ」
「え・・・・・・」
「あとは、オーナーとデキてるって噂もある。よく“密会”が目撃されてるからな。まぁ、全部信用ならねえけど。出所どこかもわかんねえし」

噂を真に受けはしない。
確実な情報と、自分の目で見たものだけを信じようと決めている。
混沌としたこの世界では、常に物事を慎重に、賢く吟味しなければならない。
だけど・・・・・・
ユンホさんはただの客では無い。
それだけは、確かな気がした。
接待前、席で真剣に手帳を見つめていた時の横顔。
―――『お節介かもしれないが・・・・・・上の言うことをあまり鵜呑みにしない方が良い』
以前僕へ向けてそう予言したことも、許してくれと、ベッドの中で切なげに呟いていたことも・・・・・・
頭の中に浮かび上がっては、全て謎のまま消えてゆく。
ユンホさんは一体何者なのか?僕は、事実を知りたい。
どうせなら、全て明らかにしてからユンホさんを諦めたい。
もし真実を追及して残酷な結果が待ち受けていたとしても、散々傷付いた今は何を知っても怖くない。
そう思った。









金曜の夜、ユンホさんが店に姿を現した。
僕は自分の客を接待しながら、視界の隅に移るユンホさんを意識していた。
いつもの様に男娼と席で話した後、ベッドルームへ向かうと思ったが違った。
ユンホさんは会計へ向かい、その会計処理をしたのはオーナーだった。
二人はそのまま、オーナーの部屋がある店の裏側へと姿を消した。
するとタイミング良く、僕の客がそろそろ帰ると切り出した。
僕は客を送り出した後、オーナーの部屋へ続く廊下へそっと足を踏み出した。
長く続く暗い廊下を、ヒールの音を立てないよう、一歩一歩慎重に進んでゆく。
妙な緊張感がこみ上げてきて、背中を冷や汗が伝った。
やがて突き当りに、布張りの厚い扉が見えてきた。
僅かに空いた合わせ扉の隙間から、部屋の中が見えた。
オーナーとユンホさんが、向かい合って何か話している。
僕は息を潜めながら、ふたりの行動と聞こえてくる会話に集中した。

「例のものを」

ユンホさんがそう言うと、オーナーは手帳から写真とメモを抜いて、ユンホさんに差し出した。
それらを受け取りながら、ユンホさんは不満げに言った。

「実物は無いのか」
「今日は情報料だけ。そう約束した筈だ」

するとユンホさんは、内ポケットから札束を取り出しオーナーに渡した。
これは、何かの取引きか・・・・・・?
ユンホさんから札束を受け取ると、オーナーが言った。

「メモに記してあるのが、売人が居る店。写真は実物と全く一緒だ。突きでも炙りでも、好きなように使え」
「表向きは普通の店なんだろ。堂々と交渉したらマズくないか」
「まぁな。だが店の奴らの殆どは皆、常習者か売人だ。カウンターで一言、合言葉を言えば良い。“クリスタル”と」

ユンホさんは、写真を見て嘲るように笑った。

「こんな毒薬がクリスタルか・・・・・・」
「一度使えばその良さが分かる。金持ちのお前も、宝石より何よりずっと魅力的に感じる筈だ」

僕はふたりのやりとりを聞きながら、段々と背筋が凍りついてゆくのを感じた。
炙り、売人、毒薬。
そのワードから、一体何のことを話しているのか大体予想できる。
この業界では、手を出している人間も多いと聞く。
僕の知る限り身近に居たことは無いが、まさかふたりがそうだったなんて。

「もし、手に入らなかったら?」
「その時は連絡をくれ。俺が譲ってやる」
「この店で売る予定は無いのか」

オーナーは口角を釣り上げ、にやりと笑いながら頷いた。

「シャブとセックスの愛称は抜群だからな。いずれは、男娼達や客に天国を味合わせてやるつもりだ」
「なるほど・・・・・・」
「その時は、お前を一番最初の客にしてやろう」

ユンホさんは冷笑を浮かべながら、オーナーを見つめて言った。

「そりゃあどうも。期待してるよ」

犯罪に手を染める貴方なんて、死んでも見たくない。
それとももう既に、手を染めてしまっているの?
男娼達と飽きずに戯れてくれてる方が、まだ良かった。
僕だって、オーナーの計画通り仲間と麻薬にのまれるなんて、絶対に嫌だ
この事態を、どんな手を使っても阻止しなければ。
でも一体、どうすればいい?
頭の中が真っ白で、何も考えられない。
ユンホさん。
どうか、嘘だと言って―――・・・








扉を抜けようとする背中に、僕は声をかけた。

「そういうことだったんですね」

ユンホさんが、僕の方を振り返った。

「マックス」
「貴方が、此処に通っていた本当の目的は・・・・・・」
「今の話・・・・・・聞いていたのか?」

今こうして喋っているのも、やっとだ。
ユンホさんに見つめられた途端、心の中で、張り詰めていた何かが切れた。
僕は溢れた涙を散らしながら、ユンホさんに勢いよくしがみついて叫んだ。

「お願いだから止めてくださいっ。こんなことっ、お願いだからっ・・・・・・!」

ユンホさんが手に持っている写真とメモが目について、僕はそれを奪おうと手を伸ばした。
次の瞬間、ユンホさんは僕の手を躱したかと思うと、身体をあっという間に壁へと押し付けて動きを制止した。
ユンホさんは何時もと同じ澄んだ瞳で、僕をじっと見つめてくる。
両手の自由を奪われ、乱暴をされている様だけど、手から伝わる温度も眼差しも痛い程に優しい。
貴方が犯罪者だなんて、信じられない。信じたくない。
パニック状態に陥った僕に、ユンホさんは言った。

「落ち着けチャンミンッ。聞いてくれ」

俯いて首を振る僕に、ユンホさんは続けた。

「俺の目を見るんだ」

躊躇いがちにそろそろと顔を上げると、再び澄んだ瞳と目が合った。

「俺は、落ちぶれた人間の顔をしているか?」
「わ、わからな・・・・・・」

この人を信じたい。
でも、先ほどふたりの間で取引きが交わされたのは、紛れもない事実。

「俺にはやり遂げなきゃならないことがある。その為には、君の協力が必要だ」
「僕の・・・・・・?」
「ああ。今日のことは、絶対に他言しないで欲しい」
「・・・・・・・・・・・・」
「分かってくれるか」

返事を躊躇っていると、ユンホさんは先ほどよりも強い口調で言った。

「絶対に、言うな。分かったな?」

殺気すら感じる気迫に押され、僕は頷いてしまった。
ユンホさんは、表情を一転させて優しく微笑んだ。
次の瞬間、唇に優しくキスを落とされた。
柔らかいそれは、触れたまま暫く留まってから、ゆっくりと離れていった。
人さし指を僕の唇に押し付け、内緒を促すようにしながら、ユンホさんは囁いた。

「チャンミン、君を信じる」

そう言い残すと、ユンホさんは僕に背中を向け、店を出て行ってしまった。
ユンホさんの姿が見えなくなると、緊張感が一気に抜けた僕はずるずると床に座り込んだ。
顔を両手で覆い、溢れた涙を必死に拭う。

貴方がやり遂げたいこととは、一体何?
他言はしないと誓った僕に、残された道はひとつだけ。
ただ、貴方を信じること。
貴方が、僕を信じてくれたように。









◇◇◇



えーと・・・・・・
居心地悪いので、早く次の話をUPするべく頑張ります。
とは言っても・・・・・・今回のお話でユノの今後の行動や正体を見抜いてしまった方もいるかもしれませんが!
これ、エロじゃないけど取り扱ってる内容的にR18ですよね。
題材がシビア過ぎて、ほんとすいませんです。
そして、情報を集めている時の罪悪感ときたら・・・・・・
まぁ、絶対やらない!こんなのいや!という意識づけには繋がりました。はい(*_*;

あ、坊主ユンホ隊長、また露出しましたね。
楽しそうで、笑顔で何より。
癒されたし、幸せになりました。
ユノ、ありがと~~♡
チャンミンも旅行楽しそうですね(´ω`*)
相変わらず、可愛く写るの上手いんだからぁ~



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Comment 2

NB(のぶ)  

Re: No title

ちゃー○んさま


こんにちわ♡
いつもどうもありがとうございますm(__)m
連休中は中日に仙台へ帰ってきましたよ~。
あ○しのコンサートがあって、人が凄かったです!(笑)
私も家に帰るといつも、あ・・・・・・ちゃー○んさまがいつもより近いなぁ~と思ってしまいます。
気持ち悪くてすみません(>_<)!(笑)

ミッドナイト~の方は、もう山を越えたのであとは「結」に向かって走るのみです。
バッドエンドを想像されたのかな・・・・・・?
私の作品、ハッピーに終わるのばかりですから・・・たまには別なおパターンも書いてみたいです。そのうち・・・(笑)
あと一話程で終わりそうなので、どうぞお付き合い下さいませ。

朝夜は寒くなって来たので、お互い身体に気をつけましょうね♡
またお待ちしてます。

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