ユンホ店長の恋 ~おでんの季節ですね~

  13, 2015 11:19


「じゃあ、あとは宜しく頼む」

レジに立つ俺に、店長が言った。
今日は、俺と入れ変わりで店長があがることになっている。

「お疲れさまです」
「ん」

店長が店の裏へ消えようとした時、一人の男が店に姿を現した。
俺は男の顔を見た途端、つい「あ」と声を漏らしてしまった。
俺と目が合うと、男はちっす、と呟いて控えめに頭を下げた。

「チャンミン、何で!?」

裏へ向かおうとしていた店長は、ぱぁっと笑顔に変わって奴の名前を呼んだ。

「いや・・・・・・ただ、何となく」
「迎えに来てくれたんじゃないの?」

奴は頷きも首を振りもせず、ただ店長へ向かって微笑みかけた。
店長も、嬉しそうにニコニコと笑みを浮かべたままだ。

「夕飯は?」
「まだ作ってない」
「何か買ってく?」
「うん」

仲睦まじいのは結構だが、ここが店であることを、そして2人の関係を知っているこの俺が居ることを忘れてないか。
気まずさを拭えないまま、俺はどんな態度でこの場に居合わせるべきか一人悩んでいた。

「おでん、もう出してるんだ」
「うん。9月に入ったからね」
「うまそう」
「じゃあ、今日はおでんにする?」
「賛成」

2人から目を逸らし黙り込む俺に、店長はいつもと変わらない調子で声をかけてきた。

「ドンへ」
「は、はいっ?」
「俺着替えてくるから、チャンミンの注文とってくれるか」

マジかよ・・・・・・
宅配野郎と二人きりになるのは避けたかったが、断る訳にはいかず俺は渋々頷いた。

「俺卵と巾着、あと大根ね!」
「はいはい」

店長はそれだけ言うと、そそくさと店の裏へ姿を消してしまった。
俺はトレイを手に持ち、店長に言われた具を容器から取り分けた。
おでんに視線を落としたまま、俺は宅配野郎に問いかけた。

「貴方は?何要ります」
「えーと・・・・・・ごぼう巻きと、ちくわ」
「・・・・・・・・・・・・」

耐えろ俺・・・・・・
どちらも棒状のような気がするが、耐えるんだ!
平静を装いつつ容器の中を漁ると、ごぼう巻きはあったがちくわが見当たらなかった。

「すみません。ちくわ切らしてました」
「じゃあ・・・・・・フランクフルト」

やっぱりな!!諦めの悪い奴!!
俺は肉をへし折りたい衝動に駆られながら、フランクフルトをケースから取り出して袋へ詰めた。
こんなにも怒りながら会計をすることは、どんな客が相手でもこの先きっと無いだろう。
商品を渡すタイミングで、俺は我慢出来ずにある言葉を口にした。

「あの・・・・・・店長のこと、よろしく頼みます」

店長のことを想っているのは、お前だけじゃない。
俺もお前と同じだ。
あまり、あの人のことを振り回すな。無理をさせるな。
遠回しだけど、今の俺の立場から言える最大限の主張だった。
俺がその台詞を口にした途端、宅配野郎の顔色が変わったのが分かった。
俺をじっと見つめながら、先ほどよりも少し低い声で宅配野郎は言った。

「何であんたがそれ言うのか、よく分からないけど・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「ちゃんと見てるから、安心していいっすよ」

この野郎・・・・・・
互いに沈黙を保っていると、店の裏から私服に着替えた店長が再び姿を現した。

「お待たせー!・・・・・・って、どうかした?」

不穏な空気を読み取ったのか、店長は少し戸惑った顔をした。

「いいえ。別に、何でもありません」

凍り付いた空気を消し去るように、俺は明るい声色で言った。



「じゃあな、ドンへ」

俺の方を振り返って一言そう残すと、店長は宅配野郎と一緒に店を出ていった。
これから帰宅したら、一緒におでんをつつくんだろうな。
そして、ごぼう巻きとフランクフルトを頬張る店長の写メが、新たに奴の携帯に追加されるのだろう。
食後はどうせ、セックスになだれ込むに決まってる。
段々と虚しさがこみ上げてきて、俺は考えるのをやめた。
遠ざかる背中を店内から見送っていると、宅配野郎が店長へ向かって微笑んでいるのが見えた。
一目で愛しているのが伝わってくる、そんな優し気で穏やかな笑みを、奴は店長へ向けていた。
その笑顔が偽りでないことを、俺は祈ろう。
だけど・・・・・・
もしいつか酷く傷ついて、そいつが嫌になるような事があったら・・・・・・
その時は俺のところへおいで、店長。
恐らく、そんな日は訪れないだろうけど。



今日は、何故か寂しい。
店長のせいじゃない。
宅配野郎のせいでもない。

少し肌寒くなってきたこの季節の・・・・・・秋のせいだ。
そういうことにしよう。









END



◇◇◇



チャンミン、来日した時の空港写真イケメンでしたね♡
本当に今ビジュアルが最高潮なので、兵役に行くことをちょっと勿体無いと思ってしまう、そんな瞬間さえあります。

今回のお話は切なめでした。
ドンへ、新しい恋にきっとめぐり会えるよ。
チャンミンは、引き続き店長をよろしく頼みます。
そのうちこのカップリングで、ちょいシリアス風味も書いてみたいです。
ちなみに・・・・・・
“棒状”にぴんと来なかった方はこのお話をどうぞ(^_^)
ミッドナイト~の方にも沢山の拍手、ありがとうございます。
毎回拍手200超えるのですが、恐れ多く思いながらもとても嬉しく感じているし、贅沢だなぁと思います。
これからも更新頑張ります!



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Comment 4

NB(のぶ)  

Re: No title

さえ○んさま


こんばんは~(*^_^*)
いつもありがとうございますm(__)m

店長、晩御飯はどの棒を食べたのか・・・・・・?
さすがの切り返しです、さえ○んさま(笑)
もちろん、デザートにチャンミンの棒を頂きました♡(黙れ)
ドンへの気持ちとチャンミンの気持ち、どちらも汲み取って頂いてどうもです。
チャンミンは「こいつユンホさんに気があるな・・・・・・」って感づいちゃいましたね、きっと。
一番気楽なのは店長かも(^^;
この話、あまり中身が無いと思っているので好きと言ってもらえると安心します♪
これからも頑張ります。

またお話しましょうね~(^O^)!

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NB(のぶ)  

Re: No title

ちゃー○んさま


こんばんは♡
いつもありがとうございます。
大人のきのこの山に引き続き、今度はおでんネタにフランクフルト……本当にすみません(>_<)
食べ物とえっちなネタのコラボって、どうしてこんなに楽しいんですかね?(笑)
秋は肌寒さも手伝いちょっと切ないですよね~。
誰かにあっためて欲しい、側に居て欲しいって思っちゃう。
失恋を癒すのは新しい恋。ドンへ頑張れ~!

交換日記大歓迎です♪
返答が遅いNBですけども……
沢山コメしてくださるので本当に嬉しく感じています!
これからもこの妄想女の相手をどうぞ宜しくお願いします(>_<)♡
新しいブログのTOPへも感想ありがとうございます。
またお待ちしていますね。

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