Humanoid~この恋は永遠に~ 4

  13, 2014 23:46


貸し出し期間は一ヶ月。
最終日の24時に、ユノ・ユノの電源は自動的に落ちる。
試供品のため、一度電源をつけたら最終日まで起動し続けるらしい。
もし貸し出し中電源を切る必要があれば、その理由を明確にして会社へ連絡。
自宅へ調査が入り、承諾されればオフのためのパスワードを教えて貰える。
説明書より。
そんな面倒くさい手続きが必要だったとは。
僕の部屋は狭い。
もういい歳だが、学生が済むような1DKのアパートに住んでいる。
必然的にユノ・ユノと狭い空間で過ごすことになってしまった。
電源をつける前に、説明書の隅々まで目を通すべきだったと後悔した。



互いに距離を置いて座り、何と無く気まずい空気が流れる。

「何か飲む?」
「んな構わなくていいよ。客じゃないんだし」

そう、客じゃない。
これから暫くの間、僕らは共に暮らさなければならない。

「あのさ」
「ん?」
「僕は君に部屋を任せていいのかな」

明日からバイトの時間は部屋を空ける。
その間、こいつを一人にして大丈夫だろうか。

「いいよ。留守番してるから」
「…………」
「心配しなくても、何か盗んだりしねぇよ」
「別に……疑ってる訳じゃ」
「ふぅん」
「何だよ」
「正直に言っていいぜ?信用出来ないって」

始めから感じ悪く接したせいか、ユノ・ユノの僕への接し方も強い。
humanoidは皆主人に従順なのかと思っていたが、そうではないらしい。
感情が、心があるから怒って反抗するのは当たり前か。

「そんなに拗ねるなよ。さっきは悪かった」

"造り物"という考え方は直ぐに変えられないが反省はしていた。
ユノ・ユノが言ったように、humanoid絡みの人間の悪さはよく耳にするしニュースになる。
僕も一歩間違えれば、そっち側の人間になっていたかもしれない。

「チャンミンって、良い奴か悪い奴かよく解んねぇな」

まぁ、これからどっちか解るよなと、ユノ・ユノはぼそりと呟いた。

夜は、僕はベッドで、ユノ・ユノは客用布団で寝て過ごした。
ユノ・ユノが眠っていたのか確認していないので解らない。
自分の部屋に初対面のよく知らない奴が寝ていると思うと、僕は落ち着かず眠れなかった。



翌朝、ユノ・ユノに留守番を任せて僕はバイトへ出掛けた。
挑発されてもなお躊躇うのは、格好悪い悪いので止めた。
知り合いもhumanoidによく留守番を任せているが、何か問題が起きたとは聞いたことがないので大丈夫だろうと思った。



帰宅すると、部屋はいつも通りだった。
今までと違うことと言えば……

「よう。おかえり」

そこにユノ・ユノがいる。それだけ。









一週間程経った頃。
僕が居ない日中、ユノ・ユノは外へ出掛けるようになった。
僕が鍵の管理を任せてもいいと判断し、ユノ・ユノが扱う用に一本渡した。
帰宅する頃には、ユノ・ユノはいつも部屋に戻っている。
ゲームをしていることもあるし音楽を聴いていることもある。
外で撮ってきた写真を、楽しそうに見ていることも。
あることに興味を持ち、進んで行動する。
自分で判断し、実行する能力がある。
"従順"とか"受動的"とか、僕がhumanoidへ抱いていた印象は、ユノ・ユノと暮らすことで日に日に塗り替えられていった。
そしていつしか、造り物と区別しようとする思考は随分と薄れていた。

「前から思ってたんだけど、君って落ち着かないからユノって呼べよ」
「……ユノ」
「そうそう。その方が落ち着く」
「僕は落ち着かない」
「直ぐ慣れるって」
「そうか?」
「そうだよ」

人懐っこいその笑顔から、僕は目を反らした。











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