Humanoid ~この恋は永遠に~ 3

  13, 2014 02:17


当選の知らせを受けてから数日。
例のhumanoidが届く日がやってきた。
当選を知った時には面倒なことになったと思ったが、スイッチを付けずに貸し出し期間家に置いておけばいい。
そう思っていた。

インターホンが鳴りモニターを見ると、僕の身体程あるでっかい段ボールを抱えた配達員が2人立っていた。
僕はドアを開けて対応した。

「こんにちは。宅配です」
「ありがとうございます」
「こちらへサインか印鑑をお願い致します」

手続きを済ませると、配達員の手を借りて段ボールを部屋へと運び込んだ。
humanoidは質量設定も人間と同じ。
ずっしりと重く、60キロ以上はある。

「これから簡単な設定をさせて頂きます。数分で終りますので」

配達員は会社専属のスタッフらしい。
慣れた手つきで段ボールを空け、ケースを開くと身体を取り出した。
露になった眠るその顔は、驚く程整っていた。
明るい栗色に、ふわふわとゆるめにウェーブした髪。
カタログで見たものと全く同じだ。
スイッチを入れずに保管するつもりだったのに、いざ外見を目にすると起動させたい気持ちを抑えられなかった。
配達員は、リモコンをhumanoidへ向けてナンバーを打ち込むとすぐに帰って行った。



『耳の後ろの皮膚が簡単に剥がれます。皮下にスイッチがあります……』

説明書を見ながらユノ・ユノの耳の後ろを探り、おそるおそるスイッチを押した。
次の瞬間、瞼が上がり、ビー玉のように綺麗なアーモンドアイがゆらりと動いた。
横たわった状態からゆっくり身体を起こすと、ユノ・ユノはじっと僕を見つめて言った。

「……はじめまして、ご主人さま」

ややハスキーな低音。
だがどこか優しさのある、落ち着いた声。
一瞬造り物であることを忘れた。

「……はじめまして、シム・チャンミンです」
「何とお呼びしますか」
「好きなように、いいよ」

ユノ・ユノは少しの間考え込むと

「じゃあ、"チャンミン"。堅っ苦しいの苦手なんだ」

くらりとするような、甘い笑みを浮かべた。
愛嬌のあるキャラクターだ。
見かけ倒しにならないように徹底しているのかもしれない。
見た目も中身も人の手によってに造られるのだから、理想を反映させるのは容易だ。
早々引き込まれそうになった僕は、予防線を張った。
造り物に依存するような生活はゴメンだ。

「君はきっと、誰にでも愛されるように造られたんだね」
「え……?」
「見た目だけじゃなくて性格も良さそうだ」
「そりゃあ……どうも」

ユノ・ユノは表情を曇らせた。

「どうしたの?もっと喜んでよ。造り物にとっては最高の誉め言葉だろ」

不穏な空気が流れたが構わない。
僕はユノ・ユノと暮らすつもりはない。
不機嫌にさせスイッチを切ってさよなら、それでいい。
ユノ・ユノは側にあった説明書を手に取ると、僕に向けて言った。

「説明書見た?」
「見たよ」
「ホントか?ここ。"人間と同じ様に扱ってあげてください"」
「…………」
「あんまり"造り物"っていうな」

苛々した。

「だって造り物だろ!?本当のこと言って何が悪いんだっ」
「チャンミン!」
「な、なんだよ」

勢いよく名前を呼ばれ、最初に怒鳴ったのは僕なのに思わずビクついた。

「humanoidを購入する人間には色んな奴がいる。人間と同じ様に扱う主人もいるけど、虐待や性欲処理のためだけに購入する奴が沢山いるんだ」
「…………」
「そんな奴らの根底にあるのは"どうせ造り物"って思考なんだよ。人間と区別をつけるのは大事だけど、心がある以上大切に扱うべきだ。humanoidは玩具じゃない」

これは起動時に設定された台詞か何かだろうか。
でも、言ってることは間違いじゃない。

「humanoid扱うの初めて?」
「そうだけど……」
「なら、今のうちに考えを改めろ。そんな風になって欲しくない」

ユノ・ユノは、恥ずかしくなる程僕をじっと見つめて視線を逸らさない。

「わかった、わかったから」

なんだろう、コイツ。
調子が狂う……











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