カラダノキオク ~ BOYS BE… ~ 3





















カラダノキオク・表紙
















三人で夕飯を食べていると、ドフンが言った。

「ぼく・・・・・・ママに会ってみたい」










それから一週間後の夜。
ユノが電話を寄越した。

「もしもし」
『俺』
「うん」
『明日・・・・・・ドフンのこと、あいつに会わせようと思う』
「そっか・・・・・・」
『何つーか、まぁ・・・・・・報告した方がいいと思って』
「うん。ありがと」
『じゃあ』
「うん」

通話を終えた直後、俺は緊張を逃がすように溜息をついた。
嫁さんの話題を振られると、どう構えて良いのか分からない。
俺をどこまで関わらせるべきか、きっとユノも迷っているのだろう。
嫁さんが絡んだ話をする時は、いつも互いにぎこちない。
色々と複雑だから、気マズくなるのは仕方ないと思う。
でも・・・・・・
直接関わらずに、俺が一人で行動する分には問題ない。



翌日。
家を出ようとすると、母さんが俺を見て訝しげに呟いた。

「そんな怪しい格好して、どこ行くの?」
「怪しいかな?」
「帽子とサングラスにマスクなんて・・・・・・どう見てもアウトでしょ」

迷った末、俺はサングラスを外すことにした。
大人しく二人の帰りを待つなんて、そんな可愛いことはできない。
ユノの嫁さんだった女はどんな人なのか、三人がどういったやりとりをするのか。
気になって仕方ない。
俺は朝のうちに家を出て、ユノのマンションに向かった。



マンションの入口を張っていると、昼が近付いた頃にユノとドフンが姿を現した。
ユノは助手席にドフンを乗せて車を発進させた。
突き当たりの大通りまで、俺は近道を走って車とほぼ同時に辿り着いた。
ユノが運転する車が、数メートル先で止まっている。
俺はタクシーを捕まえると、二人の後を追った。



街に出て暫くすると、ユノは駐車場に入り車を停めた。
ドフンの手を引きながら、すぐ傍のカフェに入って行く。
俺はタクシーから降りて、道端に立ったまま店の中を眺めていた。
ユノとドフンが、席に着くのが見えた。
向かい側の席は空いたままで、誰かが来る気配は無い。
入るなら今だ。
俺は店の入口を素早く通り抜けると、二人が座った反対側の席へ腰掛けた。
ある程度距離もあるし背も向けているので、そう簡単には気付かれない筈だ。

「ねぇ、まだ?」
「待ってろ。もうすぐ来るから」

背後で二人が話している。
ドクドクと鳴り響く鼓動の音が、次第に大きくなっていく。
いつもと変わらない調子で話す二人の声を聞きながら、俺が一番緊張してるんじゃないか、そんなことを思った。

「ごめんね。待った?」

若い女の声がして、俺はゆっくりと後ろを振り返った。
そこには、あの写真と全く同じ顔をした女が立っていた。
嫁さんに違いない。
やっぱり、俺に似てる。
違うのは、丸みのあるソフトな輪郭、細く華奢な足、柔らかそうな長い髪と・・・・・・
自分が男であることが何故か虚しく思えてきて、俺は考えるのを止めた。
混み合ったフロアでは、三人の会話は断片的にしか聞き取れなかった。
美味しい?とか一口頂戴とか、そんなたわいない会話が聞こえた。
時間が経過するにつれて客は引いていき、店内は始めよりもだいぶ静かになった。

「ぼく、トイレ」

ドフンが席を外した。
すると、嫁さんが話し始めた。

「仕送り、使ってくれてる?」
「使ってねーよ。積んでる」
「使ってよ。会えないんだから少しくらい関わらせて」
「ドフンが成人したら口座ごと渡す。今は俺の稼ぎだけで十分だ」

仕送りは多分、写真と一緒に保管していたあの通帳で管理しているのだろう。
完全にプライベートな内容を聞いてしまい、ストークなどして良いのかと今更焦った。

「そうやっていつも一人で決めるのね」
「お前が協力しねーからだろ」
「相談してくれないから分からないだけよ」
「相談する前にフツーは気付くもんだろ」

そこで二人ともパタリと黙った。
ほんの数回のやりとりだけで分かった。
相性が悪いというのは、どうやら本当らしい

「ドフンには、これからも会っていいのね?」
「それは俺じゃなくて、あいつが決めることだ」

不穏な空気が消えることはなかった。



「そろそろ行くか」

ドフンが戻ってくると、ユノが言った。

「待って」

それを遮るように、嫁さんが言った言った。

「ドフン・・・・・・これからも、ママに会ってくれる?」

暫く黙り込んだ後、ドフンはぽつりと呟いた。

「おねえちゃんのこと、ママって思えない」
「・・・・・・そっか」
「でも・・・・・・たまには会ってあげてもいいよ?」
「あ・・・・・・ありがとう。嬉しい・・・・・・」

そう言った嫁さんの声は、泣いているようにも聞こえた。
ちらりと後ろを見ると、ユノもドフンも嫁さんも笑っていた。
ひとつの家庭の幸せが、そこにあった。
俺は嫁さんに嫉妬しながらも、その光景を見て少し感動してしまった。
家族の話題になると、俺はとことん弱い。






店の中から、ユノとドフンが嫁さんと解散するのを見ていた。
嫁さんが去っていくと、ユノとドフンも姿を消した。
俺はマスクと帽子を外すと、ぐったりとソファに凭れかかった。

「取り敢えず、乗り越えたぜ。嫁の存在・・・・・・」

これで免疫はついた。
あとはこの環境に慣れていくだけ。
ほっとしたのも束の間、携帯が着信を告げて俺はびくりと跳ねた。
液晶に映っていた発信者は・・・・・・

「ユノ・・・・・・」

俺は通話ボタンを押した。

『よう』
「うん」
『これから会えそうか』
「え・・・・・・。これから?」
『何か用事でもあんの?』
「別に、何も無いけど」
『んじゃ、いいだろ』
「ちょっと待ってて・・・・・・」

俺は通話を繋いだまま、ささっと会計を済ませて出口へ向かった。

「ユノ、今どこ?」

外へ出た途端、俺は正面に立っている人物を見て唖然とした。

「カフェの前」

携帯を耳に当てながら、ユノはにやりと笑って言った。









◇◇◇



嫁さんはさらりと登場してさらりと居なりました~~
思った以上にちょい役になってしまったです・・・・・・
もともとあまり登場させるつもりはありませんでしたけど。
修羅場になったら、スパイスが効いてて見ごたえはあると思います。
でも修羅場って、ユノ→嫁もしくは嫁→ユノのように未練が残っていないと成り立たないと思ったんです。
そんな言い訳。

あと二話くらいで終わり。
あー、早くユンホさんちの日常を書きたいです。

いつも沢山の拍手、コメント、本当にありがとうございますm(__)m



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6 Comments

NB  

Re: タイトルなし

no〇zoさま


いらっしゃーい(´ω`*)
いつもありがとうございます。

こっそり尾行チャミに萌えて頂きどうもです。
チャミが家政婦は~やったら、確実にあの目ヂカラでバレますね(笑)
そんなのもいつか書いてみたいなぁ、なんて。

嫁の話に派生して、ヨンさまの嫁のことですが……
あなたを注文しますの相手役でしたっけ?
本当の相手役と名前が似てるだけで違うって仰ってる方もいましたが、私もよくわかりません。
とりあえず、本当だとしたら結婚してくれてた方が安心ですね。
私たちの可愛いユンホさんが狙われずに済みますからね。

スイートルーム見ました。
まさか、2人で同じ部屋だったわけじゃないですよね?
隣同士でもじゅーうぶん萌えますが。
えー、おんなじ部屋だったらどうしよう。
隠しカメラ、盗聴器つけたいです。
チャンミンのスエットのことですが、BOA姉さんのタオルかわいい笑顔で掲げてるあれですか?
なんか妄想心を掻き立てますよね。
色がグレーなとことか、ゆるんゆるんなとことか……
てか、チャンミンがスエット履いてる時点でもうあーんって感じです。
これまたかわいい顔してタオル持ってた坊ちゃんヘアーのユンホさんと、あれこれしたとか妄想するときぃあ~~~ってなります。
よし、この辺にしとこう(^^)

うー。妄想機能を植え付けてしまいすみませんです(/_;)
次回、妄想ワールドでは2人とも気持ちよくなります。
妄想なので許してください。
長文すみません!
またお待ちしてま~す♡

2015/05/17 (Sun) 17:42 | EDIT | REPLY |   

NB  

Re: タイトルなし

ネットの中でも~ さま


こんにちは(^_^)
もしかしたら、以前一度コメントを頂いたかもしれません。
お名前に見覚えがあります。
いつもありがとうございます。
そんな腰を低くなさらないで~!(焦)
皆様すごく私に気を使ってくださるのですが、それも嬉しいのですが……
ふつうにお友達と同じテンションでよろしくです♡

今回の連載は、特に受けないだろうと思って書いていたのでびっくりでした。
過去のユノはそんな風に見えないと思うので、読み直したら確かにちょっと違う感じ方で見れるかもしれません。
私は、凄いというか日々妄想ばかりしていて、それ以外手につかなくなってしまったんですよ(笑)
仕事以外の時間は8割妄想が占めてます。
ある意味すごいのかも(;^ω^)
おどおどしながらここで妄想を披露させて頂いてますが、楽しんで頂いてとっても光栄に思います。
これからも楽しい!と思って頂ける作品書いていきたいなぁ。
頑張ります!
よろしかったら、また話しかけてくださいね♪

2015/05/17 (Sun) 16:09 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/15 (Fri) 22:38 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/14 (Thu) 21:48 | EDIT | REPLY |   

NB  

Re: おはようございますm(__)m

ちゃー○んさま


こんばんは♪
うわー、嬉しいリアクションです!
今回のお話はあまり萌え要素がないから、ウケ悪いと思ってたんですよ~。

ユノはチャンミンに気付いていました……
何故でしょう?(笑)
チャンミン、昔のカリスマ要素が全く無くなりちょっと失敗したのかも。
不良でいるよりは、それも有りなのかなと思います。

いつも応援して頂いて、本当に元気を貰います。
ありがとうございます♡
更新頑張ります!

2015/05/14 (Thu) 20:44 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/14 (Thu) 08:38 | EDIT | REPLY |   

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