カラダノキオク 12


















カラダノキオク・表紙
















もうすぐ専門学校の実習が始まる。
期間は三ヶ月だ。
指定された実習先は家からだいぶ離れていた。
仕方がないので、実習の三ヶ月間だけアパートを借りることにした。
不動産で入居の手続きを終え、帰ろうとした時だった。

「チャンミンさん?」

呼び止められ、俺は声がした方を振り向いた。
そこには、ユンホさんのお母さんが立っていた。

「どうも・・・・・・お久しぶりです」

会うのは、ファミレスで食事をした日以来だ。

「偶然ね。不動産なんて、お引越しでもするの?」
「ええと・・・・・・はい」

ユンホさんのお母さんは、俺が持っている資料に目を向けると驚いた顔で言った。

「県外へ行くの?」
「まぁ・・・・・・」
「あまり会えなくなるじゃない。ユノったら何で言ってくれないのかしら」
「ユンホさんには、言ってません」
「そうなの?じゃあ知らせなくちゃ」
「・・・・・・ユンホさんには、言わなくても大丈夫です」

俺は礼をすると、その場から立ち去った。
実習のために引越すだけだが、何だか大袈裟に捉えらえた気がする。
だけど、わざわざそれを説明しようとも思わなかった。
ユンホさんに伝わっても伝わらなくても、俺には関係ない。
そう。
俺はユンホさんとはもう、何の関係もない・・・・・・









引越しの前日、一通のメールが届いた。
ユンホさんからだった。

『引っ越すなんて聞いてない』

ユンホさんのお母さん、喋ったのか。
話さなくていいと言ったのに。
ユンホさんへの想いが完全に消えた訳じゃないが、もう付き合う気にはなれなかった。
また関わっても、これまでのように傷付くのは目に見えている。
返事を返さないでいると、またメールが届いた。

『おい。シカトすんじゃねーよ』

「はぁ?」

俺は苛立ちながら返信を打った。

『あんたに話す必要ない』

送った後に、またメールが届いた。

『引越すの何時。時間は?』

「なんでだよ・・・・・・」

それを知って、ユンホさんはどうするつもりなのだろう。
俺の気持ちに応えられる訳じゃないのに。

『明日の夜』
『何で行くの』
『電車』

結局、俺は教えてしまった。
意思が弱い自分にウンザリする。
ユンホさんとはもう関わらないって決めた筈だろ。
俺は携帯を床に放り投げると、ベッドの中へ逃げ込んだ。
頼むからもうこれ以上、俺を振り回さないでくれ・・・・・・









線路を挟んだ向かい側のホームを、ぼんやりと見つめていた。
サラリーマンや学生が行き交い、人の波は途切れることがない。
そんな中、一人の男性が俺の真正面に立った。
最初特に気にしていなかったが、視線を感じる気がして俺はその人の顔に目をやった。
そこに立っていたのは・・・・・・

「ユンホさん・・・・・・」

俺をじっと見つめたまま、ユンホさんは携帯を取り出して耳に当てた。
その直後、俺の携帯が着信を告げた。
俺は、躊躇いながらも通話ボタンを押した。

「・・・・・・もしもし」
『こっち来い』
「え?」
『行くなよ』

勝手なことを言わないで欲しい。

『ドフンがお前に会いたいって。寂しがってるから、相手してやってくれ』
「知らない。あんたの子だろ」
『・・・・・・実は、俺が一人じゃ無理だ』
「何言って・・・・・・」
『あいつ育てんの、協力してくれ』
「知らないっ・・・・・・」

俺は、ユンホさんの視線から逃れるように下を向いた。

『・・・・・・・・・・・・・・・なぁ』

ユンホさんは話し続けた。

『お前さ・・・・・・いかにも自分が被害者ですって顔してっけど・・・・・・始めどっちが被害者だったか覚えてるだろ』

最初に被害者になったのは、ユンホさんの方だ。
出会って間もない頃、俺はユンホさんがただ憎くて本当に酷いことをした。

『三年前のあの時・・・・・・どうして俺は、あんなアホみたいにお前に騙されたと思う』
「・・・・・・・・・・・・」
『ボコボコにしても構わねーのに、抱いたのは何でだと思う。あんな必死になって説教してたの・・・・・・何でだと思う』
「・・・・・・・・・・・・」

俺は、ゆっくりと顔を上げた。
ユンホさんが、瞳を潤ませながら俺を見つめていた。

『俺は、お前に惚れてたんだ』
「え・・・・・・・・・・・・」
『ずっとずっと、好きだった・・・・・・。今も、お前が好きだ』

嘘だろ・・・・・・
俺がユンホさんを好きになるずっと前から、ユンホさんは俺を想ってくれていた?
更生したように装って、ユンホさんが居る交番へ毎日通っていたあの頃。
俺は、ユンホさんをターゲットとしてしか見ていなかった。
薬を盛ってホテルへ連れ込んだ挙句、写真をネタに金を奪おうとした。
ユンホさんは、俺を好きでいてくれたのに・・・・・・
ユンホさんの気持ちを踏みにじった過去の自分が、殺したい程憎い。
俺が犯した罪に比べたら、今までユンホさんに振り回されたことなんて、本当にちっぽけなことのように思えた。
気が付くと涙が溢れていた。
ユンホさんも泣いていた。

『ここまで白状しても、行っちまうのか?チャンミン・・・・・・』

丁度その時、線路に電車が滑り込んできて、ユンホさんが視界から消えた。
電車で遮られる直前の顔を思い浮かべて、ユンホさんがどうしようもなく愛しくなった。
どうしてもっと早く言ってくれなかったんだ。
気持ちを知っていたら、過去の罪を償うために、傷を癒すために何だってしたのに。
俺は通話を終了させると、携帯をポケットに突っ込んだ。
向かい側のホームを目指して、全力で階段を駆け上がった。



ユンホさんは携帯を片手に立ち尽くしていた。
電車が去った後、俺の姿が無くなったホームをぼんやりとみつめながら。
まだ行ってないってば。

「ユンホさんっ」

名前を呼ぶと、ユンホさんは俺の方を向いて驚いた顔をした。

「チャンミン・・・・・・」

俺は担いでいた荷物を下ろすと、ユンホさんのもとへ駆け寄り思いっきり抱きついた。

「馬鹿っ。なんで早く言わないの・・・・・・」

ユンホさんの手が、俺の背中に回った。

「すまん・・・・・・」

俺達は強く抱き合った。
人目を気にする余裕なんて無かった。
ユンホさんの頬を両手で包み込むと、俺は勢いよく口付けた。
唇を離すと、ユンホさんは幸せそうに笑った。









◇◇◇



はい。こんな感じ……
どうでしょう(^_^;)?

なんか拍手が凄いことになってて(笑)
本当に嬉しいのですが、小心者なので期待に添えなかったらどうしよう?
とびくびくしちゃいます。
おとしどころは、チャンミンの片想いのように見せて実は、出会った頃からユノの方が片想いをしていたっていうね……

おっと時間が無いのでこの辺で!
拍手沢山頂き、本当にありがとうございますm(__)m
GWもNBはお仕事ですよ~。
あ、変態は常時出動してます♡
次はあさって更新できるように頑張ります。
もしかしたら、次最終回かも……(^_^;)



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10 Comments

NB  

ひ○わ○さま

☆ひ○わ○さま

わ~ お久しぶりでございます!
見ていただいてありがとうございます。

ユノ本人が駄目なところがあまり無いので、逆にこういう役が心をくすぐるんでしょうか?
意外と皆さんの反応がよくてびっくりしました。

結構パンチ効いてる話だったのですが、皆さんの応援に勇気をもらい書き続けることができたと思います。
無事最終話を迎えられました。
番外編も書き続けていきますが、これにて本編は終了ということにします。

お付き合いいただき、本当にありがとうございました!
またお待ちしています♪

2015/05/07 (Thu) 18:55 | EDIT | REPLY |   

NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

こんばんは♪
駅のホームのチャンミン・・・・・・
すいません、ぱっと出てきたのMISS YOUなんですがあってるかな?(汗)
5人時代のPVあまり把握しておらずすみません(´_`。)

こちらこそ、いつもありがとうございます!

2015/05/07 (Thu) 18:49 | EDIT | REPLY |   

NB  

☆さえ○んさま

今晩は!
きゅんきゅんしましたか?よかったー!
ダメんホ、ずっと好きだったチャンミンにやっと告白しました。
やることやって(笑)本当の気持ちには言えなかった奥手なユンホさん。
本当ですね。多分、危機感がないと行動出来ないタイプてす。
チャンミンも、ユノと結ばれてよかったですね。
クライマックスを過ぎてあとは平坦な感じかな……?
最後まで頑張りますので、お付き合いください♪

2015/05/05 (Tue) 07:20 | EDIT | REPLY |   

NB  

く○さま

☆く○さま

はじめまして!
コメント頂きありがとうございます。

今回のは今までの話のなかで一番パンチきいてたかな、と思います。
何回も読み返して頂いたのですか……?
私のこんな妄想を大切に扱ってくださりありがとうございます。
告白で、ダメんホちょは挽回できたかしら……
チャンミンに惚れ直して貰わなきゃ!と思って色々台詞考えました。
これからも少しでも楽しんで頂けたら嬉しいな♪

ゴールまで頑張ります♡

2015/05/04 (Mon) 22:44 | EDIT | REPLY |   

NB  

ちゃー○んさま

☆ちゃー○んさま

今晩は(^_^)
嬉しい反応ありがとうございます♡
ユノの片想い発覚にびっくりして欲しかったです。
やはりハッピーにしたいですよね~。
妄想は自分の思い通りですから!
上手くいかないことだらけなので、現実は(笑)

最後まで頑張りますので、見守ってください!

2015/05/04 (Mon) 22:23 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/04 (Mon) 09:34 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/03 (Sun) 22:41 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/03 (Sun) 10:44 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/03 (Sun) 09:56 | EDIT | REPLY |   

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2015/05/03 (Sun) 08:46 | EDIT | REPLY |   

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