カラダノキオク 12

  03, 2015 09:43

















カラダノキオク・表紙
















もうすぐ専門学校の実習が始まる。
期間は三ヶ月だ。
指定された実習先は家からだいぶ離れていた。
仕方がないので、実習の三ヶ月間だけアパートを借りることにした。
不動産で入居の手続きを終え、帰ろうとした時だった。

「チャンミンさん?」

呼び止められ、俺は声がした方を振り向いた。
そこには、ユンホさんのお母さんが立っていた。

「どうも・・・・・・お久しぶりです」

会うのは、ファミレスで食事をした日以来だ。

「偶然ね。不動産なんて、お引越しでもするの?」
「ええと・・・・・・はい」

ユンホさんのお母さんは、俺が持っている資料に目を向けると驚いた顔で言った。

「県外へ行くの?」
「まぁ・・・・・・」
「あまり会えなくなるじゃない。ユノったら何で言ってくれないのかしら」
「ユンホさんには、言ってません」
「そうなの?じゃあ知らせなくちゃ」
「・・・・・・ユンホさんには、言わなくても大丈夫です」

俺は礼をすると、その場から立ち去った。
実習のために引越すだけだが、何だか大袈裟に捉えらえた気がする。
だけど、わざわざそれを説明しようとも思わなかった。
ユンホさんに伝わっても伝わらなくても、俺には関係ない。
そう。
俺はユンホさんとはもう、何の関係もない・・・・・・









引越しの前日、一通のメールが届いた。
ユンホさんからだった。

『引っ越すなんて聞いてない』

ユンホさんのお母さん、喋ったのか。
話さなくていいと言ったのに。
ユンホさんへの想いが完全に消えた訳じゃないが、もう付き合う気にはなれなかった。
また関わっても、これまでのように傷付くのは目に見えている。
返事を返さないでいると、またメールが届いた。

『おい。シカトすんじゃねーよ』

「はぁ?」

俺は苛立ちながら返信を打った。

『あんたに話す必要ない』

送った後に、またメールが届いた。

『引越すの何時。時間は?』

「なんでだよ・・・・・・」

それを知って、ユンホさんはどうするつもりなのだろう。
俺の気持ちに応えられる訳じゃないのに。

『明日の夜』
『何で行くの』
『電車』

結局、俺は教えてしまった。
意思が弱い自分にウンザリする。
ユンホさんとはもう関わらないって決めた筈だろ。
俺は携帯を床に放り投げると、ベッドの中へ逃げ込んだ。
頼むからもうこれ以上、俺を振り回さないでくれ・・・・・・









線路を挟んだ向かい側のホームを、ぼんやりと見つめていた。
サラリーマンや学生が行き交い、人の波は途切れることがない。
そんな中、一人の男性が俺の真正面に立った。
最初特に気にしていなかったが、視線を感じる気がして俺はその人の顔に目をやった。
そこに立っていたのは・・・・・・

「ユンホさん・・・・・・」

俺をじっと見つめたまま、ユンホさんは携帯を取り出して耳に当てた。
その直後、俺の携帯が着信を告げた。
俺は、躊躇いながらも通話ボタンを押した。

「・・・・・・もしもし」
『こっち来い』
「え?」
『行くなよ』

勝手なことを言わないで欲しい。

『ドフンがお前に会いたいって。寂しがってるから、相手してやってくれ』
「知らない。あんたの子だろ」
『・・・・・・実は、俺が一人じゃ無理だ』
「何言って・・・・・・」
『あいつ育てんの、協力してくれ』
「知らないっ・・・・・・」

俺は、ユンホさんの視線から逃れるように下を向いた。

『・・・・・・・・・・・・・・・なぁ』

ユンホさんは話し続けた。

『お前さ・・・・・・いかにも自分が被害者ですって顔してっけど・・・・・・始めどっちが被害者だったか覚えてるだろ』

最初に被害者になったのは、ユンホさんの方だ。
出会って間もない頃、俺はユンホさんがただ憎くて本当に酷いことをした。

『三年前のあの時・・・・・・どうして俺は、あんなアホみたいにお前に騙されたと思う』
「・・・・・・・・・・・・」
『ボコボコにしても構わねーのに、抱いたのは何でだと思う。あんな必死になって説教してたの・・・・・・何でだと思う』
「・・・・・・・・・・・・」

俺は、ゆっくりと顔を上げた。
ユンホさんが、瞳を潤ませながら俺を見つめていた。

『俺は、お前に惚れてたんだ』
「え・・・・・・・・・・・・」
『ずっとずっと、好きだった・・・・・・。今も、お前が好きだ』

嘘だろ・・・・・・
俺がユンホさんを好きになるずっと前から、ユンホさんは俺を想ってくれていた?
更生したように装って、ユンホさんが居る交番へ毎日通っていたあの頃。
俺は、ユンホさんをターゲットとしてしか見ていなかった。
薬を盛ってホテルへ連れ込んだ挙句、写真をネタに金を奪おうとした。
ユンホさんは、俺を好きでいてくれたのに・・・・・・
ユンホさんの気持ちを踏みにじった過去の自分が、殺したい程憎い。
俺が犯した罪に比べたら、今までユンホさんに振り回されたことなんて、本当にちっぽけなことのように思えた。
気が付くと涙が溢れていた。
ユンホさんも泣いていた。

『ここまで白状しても、行っちまうのか?チャンミン・・・・・・』

丁度その時、線路に電車が滑り込んできて、ユンホさんが視界から消えた。
電車で遮られる直前の顔を思い浮かべて、ユンホさんがどうしようもなく愛しくなった。
どうしてもっと早く言ってくれなかったんだ。
気持ちを知っていたら、過去の罪を償うために、傷を癒すために何だってしたのに。
俺は通話を終了させると、携帯をポケットに突っ込んだ。
向かい側のホームを目指して、全力で階段を駆け上がった。



ユンホさんは携帯を片手に立ち尽くしていた。
電車が去った後、俺の姿が無くなったホームをぼんやりとみつめながら。
まだ行ってないってば。

「ユンホさんっ」

名前を呼ぶと、ユンホさんは俺の方を向いて驚いた顔をした。

「チャンミン・・・・・・」

俺は担いでいた荷物を下ろすと、ユンホさんのもとへ駆け寄り思いっきり抱きついた。

「馬鹿っ。なんで早く言わないの・・・・・・」

ユンホさんの手が、俺の背中に回った。

「すまん・・・・・・」

俺達は強く抱き合った。
人目を気にする余裕なんて無かった。
ユンホさんの頬を両手で包み込むと、俺は勢いよく口付けた。
唇を離すと、ユンホさんは幸せそうに笑った。









◇◇◇



はい。こんな感じ……
どうでしょう(^_^;)?

なんか拍手が凄いことになってて(笑)
本当に嬉しいのですが、小心者なので期待に添えなかったらどうしよう?
とびくびくしちゃいます。
おとしどころは、チャンミンの片想いのように見せて実は、出会った頃からユノの方が片想いをしていたっていうね……

おっと時間が無いのでこの辺で!
拍手沢山頂き、本当にありがとうございますm(__)m
GWもNBはお仕事ですよ~。
あ、変態は常時出動してます♡
次はあさって更新できるように頑張ります。
もしかしたら、次最終回かも……(^_^;)



気に入って頂けたら、ポチッとお願いします(*^^*)
   ↓

     

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 二次BL小説


スポンサーサイト

Comment 10

NB  

ひ○わ○さま

☆ひ○わ○さま

わ~ お久しぶりでございます!
見ていただいてありがとうございます。

ユノ本人が駄目なところがあまり無いので、逆にこういう役が心をくすぐるんでしょうか?
意外と皆さんの反応がよくてびっくりしました。

結構パンチ効いてる話だったのですが、皆さんの応援に勇気をもらい書き続けることができたと思います。
無事最終話を迎えられました。
番外編も書き続けていきますが、これにて本編は終了ということにします。

お付き合いいただき、本当にありがとうございました!
またお待ちしています♪

Edit | Reply | 
NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

こんばんは♪
駅のホームのチャンミン・・・・・・
すいません、ぱっと出てきたのMISS YOUなんですがあってるかな?(汗)
5人時代のPVあまり把握しておらずすみません(´_`。)

こちらこそ、いつもありがとうございます!

Edit | Reply | 
NB  

☆さえ○んさま

今晩は!
きゅんきゅんしましたか?よかったー!
ダメんホ、ずっと好きだったチャンミンにやっと告白しました。
やることやって(笑)本当の気持ちには言えなかった奥手なユンホさん。
本当ですね。多分、危機感がないと行動出来ないタイプてす。
チャンミンも、ユノと結ばれてよかったですね。
クライマックスを過ぎてあとは平坦な感じかな……?
最後まで頑張りますので、お付き合いください♪

Edit | Reply | 
NB  

く○さま

☆く○さま

はじめまして!
コメント頂きありがとうございます。

今回のは今までの話のなかで一番パンチきいてたかな、と思います。
何回も読み返して頂いたのですか……?
私のこんな妄想を大切に扱ってくださりありがとうございます。
告白で、ダメんホちょは挽回できたかしら……
チャンミンに惚れ直して貰わなきゃ!と思って色々台詞考えました。
これからも少しでも楽しんで頂けたら嬉しいな♪

ゴールまで頑張ります♡

Edit | Reply | 
NB  

ちゃー○んさま

☆ちゃー○んさま

今晩は(^_^)
嬉しい反応ありがとうございます♡
ユノの片想い発覚にびっくりして欲しかったです。
やはりハッピーにしたいですよね~。
妄想は自分の思い通りですから!
上手くいかないことだらけなので、現実は(笑)

最後まで頑張りますので、見守ってください!

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 

What's new?