カラダノキオク 10


















カラダノキオク・表紙
















何故こんなことになったんだろう。
俺の横にはユンホさんのお母さん。
向かい側の席にはユンホさんとドフン。
賑やかなファミレスの一角に、俺達は居た。
ユンホさんの家族と自分が同席していることが、後ろめたくて仕方ない。
俺は何度もユンホさんに抱かれたうえ、今もまだユンホさんを好きなのに。



『おふくろが礼したいって』

携帯にユンホさんからメールが届いた。
最近は、ユンホさんの都合が悪い時には俺がよくドフンの遊び相手をしていた。
それを知ったユンホさんのお母さんが、俺を食事に誘ったのだ。
以前迷子だったドフンを助けたこともあり、ユンホさんのお母さんは俺を気に入ってくれたようだった。

「いつもお世話になって悪いわね」
「そんな・・・・・・気になさらないでください」
「遠慮しないで。好きなものいっぱい頼みなさい」
「は、はい」

遠慮がちに一品選ぶと、ユンホさんが言った。

「コース料理二つにしようぜ。お前めっちゃ食うのに、そんなんじゃ足りねーだろ」
「あら。細いのによく食べるのね」

にやりと笑ったユンホさんを、俺は睨んだ。
ユンホさんはいつもと変わらない。
俺が家族の輪の中に居ることを、居心地が悪いとは思わないのだろうか。
過去にセックスをしたことは、ユンホさんにとっては取るに足らないことなのかもしれない。
でも、何度かコンビニへ来ては俺を探してたって言うし・・・・・・
ユンホさんが、俺をどう思っているのかが気になる。
悶々としているうちに、テーブルに入り切らないくらいの料理が運ばれてきた。
呑気に料理を口に運んでいるユンホさんを見て、俺ばかり気を揉んでいるのが段々と馬鹿らしく思えてきた。
やけくそになった俺は、ハイペースで料理を口に詰め込み皿を平らげた。
途中、急用が入ったユンホさんのお母さんは店を後にした。
席には俺とユンホさん、ドフンの三人が残された。

「口、ついてんぞ」

スパゲッティーのソースで派手に汚れたドフンの口を、ユンホさんが拭いてやるのを見ていた。
そう言っている本人の口も、汚れている。

「ぷっ」
「・・・・・・なんだよ」
「子供が二人居るみてぇ」
「は?子供はお前だろ」

久々に、以前のように会話が出来ている気がして嬉しかった。

「ドフンって、今何歳」
「三つ」
「へぇ・・・・・・」

三年前には、誰かの身体にドフンを身篭らせていたのか。
丁度、俺とユンホさんが出会った頃だ。
付録の玩具に夢中になるドフンを見つめながら、ユンホさんは言った。

「寂しい思いさせようなんて気は無いんだぜ。離婚も好きでした訳じゃない」
「・・・・・・何で離婚したの」
「それ聞くんかよ」
「俺の両親も離婚して、小さい頃は寂しい思いばっかしてた。いつも思ってたよ。母さんは、離婚する時に俺のことをちゃんと考えてくれたのかって」
「・・・・・・・・・・・・」
「子供が居ても、やっぱ離婚ってしちゃうもんなの」

ユンホさんは暫く黙っていたが、やがて口を開いた。

「するだろ。そりゃ」
「何で」

別に、ムキになっている訳じゃない。
母さんに直接聞けなかった疑問を、同じ境遇にいるユンホさんにぶつけたくなった。

「俺らは授かり婚だった。一回っきりの関係のつもりが、ドフンができた」
「・・・・・・・・・・・・」
「中絶させたく無かったから相手の女と結婚した。けど相性が悪かった。それだけだ。子供だって、親が毎日喧嘩してんの見てたら嫌だろ。寂しい思いさせる方がマシだと思ったんだよ」

まさかデキ婚だったとは。
相手のことを何も知らずに結婚したのなら、相性が悪くても仕方ないのかもしれない。

「ドフンのこと、ちゃんと考えてくれたならいいや・・・・・・」

母さんも、そうだといいな。

「・・・・・・幻滅しねーの?」
「何が?」
「今の話」
「別に」

ユンホさんが、俺をじっと見つめる。

「何」
「俺って最低なんだろ。前、お前言ったじゃん」
「だから、何」
「それなのにドフン預かってくれたり、こうやって話したりしてさ・・・・・・」

あまり見ないで欲しい。
心を見透かされているようで落ち着かない。
心臓が、ドキドキと煩い程に騒ぎ出す。
音が聞こえていやしないかと、焦るほどに。

「お前って・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「やっぱり、ドM?」

俺は溜息をつくと、長い脚を思いっきり蹴ってやった。

「イッテェ!」
「ざまぁ」









煙草の会計をしている途中、ユンホさんが言った。

「今度の金曜、ドフンのこと預かれるか?おふくろも俺も、仕事で都合悪いんだ」
「いいよ」
「さんきゅ。助かる」

ユンホさんが嬉しそうに笑うから、俺も嬉しくなった。
始めの頃は、悲しい思いをさせたくないがためにドフンを預かっていた。
でも今は、ユンホさんの大切な存在を共有出来て嬉しいとか、そんな風に思ってしまう瞬間がある。
良心的に見せて醜い本音を隠し持っている。そんな自分が嫌だった。









金曜の夜は雨が降っていた。

ユンホさんは遅くまで仕事があるらしく、帰りは二十一時を過ぎるとのことだった。
俺は家の鍵を借りて中に入り、ドフンとユンホさんの帰りを待っていた。
始めは鍵を預けられたことに驚いたが、お前は何もしないだろと言ってユンホさんは笑っていた。
他人扱いじゃなく、ちゃんと信用されている気がして嬉しかった。
二十一時を過ぎて暫くすると、ドフンが騒ぎ出した。

「ミン、パパのとこいく」
「もうすぐ帰ってくるから」
「いまいくの」
「我慢しろよ」
「やだぁ」
「ったく・・・・・・」

静まる様子がなかったので、俺はドフンを連れて外に出た。
その辺を散歩して気を紛らわせてやれば、少しは落ち着くと思った。
家から少し歩くと、人通りのある市街へ出た。

「父ちゃん居ないから、帰ろうぜ」
「・・・・・・いたよ」
「え?」

ドフンが見つめる先に目をやると、そこにはユンホさんが居た。

「ほんとだ・・・・・・」

ユンホさんが車の助手席のドアを開けると、中から若い女性が出てきた。
ユンホさんは、女性に傘をさして何か話している。
暫くすると、女性が背伸びをしてユンホさんにキスをした。
ゆっくりと唇を離した後、女性はにっこりと笑った。
仕事じゃなかったのかよ・・・・・・
俺とドフンに嘘をついて、女と遊んでたって訳か。
以前、公園で怒りがこみ上げた時と同じ心境に陥った。
騙されたことに対する腹立たしさと、片思いを認めざるを得なくて、どうしようもなく切ない気持ち。
怒りと悲しみで、頭の中がいっぱいになる。
何度傷つけられても嫌いになれなくて、また傷つけられて、その繰り返しだ。
今度ばかりは許すことができなかった。
俺はポケットから携帯を取り出すと、ユンホさんに向かってシャッターを切った。
久しぶりの、盗撮だった。









◇◇◇



デキ婚に浮気疑惑……
あれ?
クロんホってゆーか、ダメんホ?(^_^;)

アニイベ行かれた方、おかえりなさい♡
小説にも、沢山の拍手をありがとうございます。
あと5話くらいで完結する予定です。
私長々と連載出来ないので(性格上)、いつも話数少ないんですよね……
多分、番外編とか書くと思うのですが。
もう暫くお付き合いくださいね~。





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4 Comments

NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

お世話になります♡
悪ンホ受け入れて頂きありがとうございますm(__)m

スッキリ!私見ていないんです~(T.T)
ようし!ヨウツベにお世話になります!

確かにチャンミン、ダサいときがありますね。
あちゃー……的な。
そこが好きです。
パーフェクトだとつまらないですからね♡
たまに突っ込み所なく格好いいと(チャンミンごめん)、もうきゅんきゅんしちゃいます(*^^*) 

えぇっ……!
何ですか、その萌える妄想……!
ユノ生殖プロジェクト……は、はふっ 溜まらんです。
全国がイケメン9頭身で溢れたら素敵だわ~
私、是非ポストのうちの一人になりたいです。
授かった子供をユノだと思って生涯大事に育て(黙)

いやーん、美味しい妄想させて頂きました♡

2015/05/02 (Sat) 10:50 | EDIT | REPLY |   

NB  

ちゃー○んさま

☆ちゃー○んさま

混乱させてしまいすみません(平謝り)
デキ婚の理由は、もう少し後で明らかになります~
浮気疑惑は取り敢えず晴れました!

なーんかカオスになってしまいました(笑)
よく言えば、展開が読めないとでもいうのかな……
にしても、ですよね(笑)
また平謝り。すみません!

更に私長期連載が苦手なので、ひとまず15話くらいで終わりそうという。

取り敢えず、頑張って完結を目指します。
いつも本当にありがとうございますm(__)m♡
また来てくださいね~!

2015/05/02 (Sat) 10:38 | EDIT | REPLY |   

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2015/04/29 (Wed) 17:33 | EDIT | REPLY |   

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2015/04/29 (Wed) 10:15 | EDIT | REPLY |   

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