カラダノキオク 8

  25, 2015 09:00

















カラダノキオク・表紙
















『チャンミン。これからは、母さんが貴方を守るからね』
『ママ、どうして泣いてるの?』
『チャンミン・・・・・・愛してるわ』
『僕も、ママが好き』

目を覚ました俺は、窓から差し込む光に目を細めた。
幼い頃の夢を見ていた。
父さんが居なくなったあの日、母さんは俺を抱きしめて泣いていた。
約束通り、母さんは俺を守りながらここまで育ててくれた。
だけど、女一人で俺を養うための代償は大きかった。
母さんは働きっぱなしで、一番一緒に居たい母さんと過ごす時間を俺は与えられなかった。
今では母さんの大変さが分かるけど、当時は母さんを恨む気持ちや寂しさでいっぱいだった。
俺は、親に冷たくされている子供や一人ぼっちの子供によく同情してしまう。
多分、幼い頃の自分と重ねてしまうからだ。









バイト終わり、こみ上げる眠気と戦いながら俺はのろのろと歩いていた。
朝、ユンホさんがいつものように煙草を買いに来た。
どこでも買えるはずの煙草を、俺のところで買ってくれるユンホさん。
自惚れかもしれないけど、少しだけ想われているような気がして嬉しくなる。
今度はいつ飲みに誘ってくれるだろう。
ボンヤリと、そんなことを考えていた時だった。
すぐ目の前の分かれ道から、歩くのも覚束無いほどの小さな子供が出てきた。
子供は歩道のくぼみに躓くと、こてんと転んでしまった。
それから顔をくしゃっとさせ、声を上げて泣いた。
親は居ないのだろうか。
こんな幼い子供が一人で歩いているなんておかしい。
放っておくのはマズイ気がして、俺は子供の元へ駆け寄った。

「大丈夫か。お前、親は?」
「う・・・・・・ううっ・・・・・・」

子供はまともに喋ることすら出来ない。
周囲を見渡しても親らしき人物は見つからず、俺は警察に電話した。
暫くすると俺の元へ警察がやってきて、俺は職員に子供を預けた。
数時間後、俺の元へ一本の電話が入った。
警察からで、子供が無事に引き渡されたという連絡だった。

『・・・・・・保護者が礼を言いたいと話していますが、どうしますか』
「そんな・・・・・・いいです」

すると、一瞬雑音が入った後に女性の声が聞こえてきた。

『もしもし。私、保護者ですけれども』
「え・・・・・・」

どうやら職員から電話を奪い取ったらしい。
随分行動力のある人だ。

『直接お礼が言いたいです。少しでもいいのでお会いできませんか。私が貴方のとろへ向かいますから』

本当は早く家へ帰って休みたかったが、断る方が気力がいりそうだったので承諾することにした。



俺は公園で保護者と持ち合わせた。
その頃にはもう日が暮れて、辺りは暗くなり始めていた。
ベンチへ座っていると、遠くから子供の手を引いた女性がやってきて俺に会釈をした。
子供の母親にしては、少し歳をとっている印象を受けた。

「本当にありがとうございました。ほんの一瞬目を離した隙に居なくなってしまって・・・・・・。この子、活発なものですから」
「無事、お母さんが見つかって良かったです」

すると女性は、顔を赤くして笑って言った。

「お母さんなんて・・・・・・私、そんなに若く見える?」
「違うんですか?」
「うーん・・・・・・。そうね、そういうことにしておきましょ」
「はぁ・・・・・・」

もしかすると母親じゃないのかもしれない。
色々と事情があるのだろう。
女性とは、それから少しだけやり取りした後解散した。
丁度、公園の出口に差し掛かった時だった。

「パパーッ」

背後から先ほどの子供の声が聞こえてきて、俺は振り返った。

「遅くなった。すまん!」

駆けてきた男性が、子供を抱きしめた。

「ドフン、迷子になったって?恐かったな」

俺は、その光景を見てフリーズしてしまった。
子供を抱きしめているのは、間違いなくユンホさんだったからだ。
“パパ”。子供は確かにそう言った。

「おふくろ、ドフンのことちゃんとみてろよ」
「だって本当にすぐ居なくなったのよ、この子。あの方が助けてくれたの」

二人同時に、俺の方へ視線を向けた。
俺を見たユンホさんの目が、大きく見開かれた。
俺は拳を震わせながら、ユンホさんをじっと睨んだ。
今にも爆発しそうな怒りを、やっとの思いで留めながら。
暫く見つめあった後、ユンホさんが言った。

「おふくろ、ドフンと先に行ってろ。礼言ってくる」
「そう」

公園には、俺とユンホさんの二人だけが残された。
ユンホさんがゆっくりと俺の方へ歩いてきて、目の前まで来ると立ち止まった。

「・・・・・・ふざけんな」

ユンホさんが口を開くより先に、俺は低い声でそう呟いた。
胸がズキズキと痛んで、声も情け無い程に震えている。
気を抜いたら泣いてしまいそうだ。
それでも、思いを吐き出さずにはいられなかった。

「子供がいるなんて聞いてない!嫁さんもいるってことだろ?そんなこと知らずに、あんたと何度も寝たっ・・・・・・。俺、最低じゃん!」
「・・・・・・・・・・」
「あんたはもっと最低だけどな!」

ユンホさんは、切なげに瞳を震わせて俺を見ている。
落ち込みたいのは俺なのに、なんであんたがそんな顔をするんだ。

「・・・・・・俺に嫁さんはいねーよ。だいぶ前に離婚したんだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「まぁ、俺が最悪なことに変わりねーけど」

ユンホさんは自嘲的な笑みを浮かべた。
配偶者が居ないからといって、許す気になんてなれない。
結婚歴があって子供も居る。そんな大事な事実を、今まで話してくれなかったことがショックだった。
俺に話す必要は無い。ユンホさんはきっとそう思ったのだろう。
ユンホさんにとって、俺はただ快楽を得るための相手、セックスフレンドだったのだ。
一時でも想われているかもしれないと希望を持った自分が、バカバカしく思えてくる。

「これから三人で飯食いに行くんだけど・・・・・・ヤじゃなきゃ、お前も来る?」
「行くわけないだろ」
「だよな」

俺が即答すると、ユンホさんは小さく笑った。
その後ふと真面目な表情になり、俺をじっと見つめて言った。

「ドフンのこと、助けてくれてありがとな。あいつは大切な存在だから・・・・・・。本当に、感謝する」
「あっそ・・・・・・」

ユンホさんは、今までに見た事のないような優しい目をしていた。
俺の知っている少し乱暴で不器用なユンホさんじゃなく、完全に父親の顔をしていた。
そんな顔、見たくなかった。
心が痛みに耐え切れない。
もう怒る気力も湧かなくて、とにかく一刻でも早くこの場所から居なくなりたかった。

「じゃあね」

俺は、ユンホさんに背を向けて歩き出した。
ユンホさんは、再び俺に声をかけることも追ってくることも無かった。
もしかしたら、会うのはこれが最後かもしれない。
この先も、今までのように付き合っていけるとは思えなかった。









ユンホさんはまたコンビニへ来なくなった。
会うことが無くなると、これまで如何にユンホさんとのつながりが浅かったのかを思い知った。
俺達は連絡先さえ知らなかった。
会う日時を決める時は、ユンホさんが煙草を買う間の簡単なやりとりだけで済んでいた。
飲みに行く当日は、ユンホさんがいつもコンビニの外で俺を待っていた。
実際に会うことがなくなると、相手がいつどこにいるのかさえ分からない。
俺達の関係は、なんとも薄っぺらく壊れやすいものだった。









◇◇◇



まさかのバツイチ子持ち・・・
ユンホさん、最低です。
小説の人気ガタ落ちの予感しかありませんわ~(^-^)

ってゆーか……
あなたを注文しますの原画、シェフの仕事してなくないですか(-_-)??
まぁ見ると思いますけれども(笑)





人気ブログランキングへ

にほんブログ村 二次BL小説


スポンサーサイト

Comment 8

NB  

さえ○んさま

☆さえ○んさま

さえ○んさま~(*^^*)♡
そうですね、少しお久しぶりです。
私の返事が遅いせいて更に間が空きまして……すみません(T.T)

こんなグダグタになってしまいましたが、見て頂きありがとうございます。
悪ユノというより、ダメユノになりつつあります。(笑)
頑張って貰わないとですね!
実は、悪ユノの酷い行動ひとつひとつに理由があります。
許してあげて下さい……
さえ○んさまの感想を聞いていると、私が感じて欲しいなーと思ったところを沢山拾って下さるから本当に嬉しくなります。
ワルんホ、根は優しいですよ~(^.^)

本当に、ユノって何故外見と中身があんなに……
ステージ上や練習中の彼はやはりカリスマ的ですが、ベッドの上でころころしてたり無邪気に笑ったりしてるともう、溜まらんです!!
私、最近リアルは断然ミンホ派です。
攻めるチャンミンにドキドキするし格好いいし、可愛いユノに胸きゅんしまくりです。
やはり、ユノさんにもっと毒があればホミン派になっていたと思います(笑)
小説はやりたい放題なので、私のこんなワルんホいい!って理想を詰め込んだ……つもりだったのにおかしいなぁ。全然かっこよくない(^_^;)

ユノシェフは、ユノが食べられないか不安です。
ヨジャの身でなくユノの。
チャンミンは時代劇ですねー!吸血鬼の役でしたっけ。
もう沢山噛みつかれたいわ~♡♡
時代劇苦手なんですね。私は韓国の歴史がよく分からないですが、あの帽子?とかもろもろ、ビジュアルがちゃんとしてれば取り敢えず大丈夫かと……

アニイベ、私も行けませんでしたが盛り上がったようですね♡
ちゃんとレポ読んでない……
そして、なにやらまた続々とイベントの情報が出てますね。
ユノ、一体いつ兵役いくのかしら……

私もみなさんの応援に助けられてトン不足を解消してます。
いつも本当にありがとうございますm(__)m
またお待ちしてます♡

Edit | Reply | 
NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

こんにちは!
いつも来ていただき、本当にありがとうございますm(__)m

ついに子供が登場しました……!
奥さん登場するかどうかは今のところ未定ですが、話には出てきます。
デキ婚、奥さんとチャンミンの間に、もしかしたらなにか関係があるかも?です。
多分、番外編で書くと思います。
よろしければ、そちらにもお付き合い下さい♡

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
NB  

は○さま

☆は○さま

はじめまして!小説色々と読んで頂きありがとうございます。
このお話最初は特に暗いし言葉も汚いし、なんかすみません(^_^;)
一途なチャンミンにときめいて頂いてどうもです♡
まさかの子持ちでした……
この先の展開、お口に合うかビクビクですが頑張ります。
よろしければまた起こし下さいね~!

Edit | Reply | 
NB  

ちゃー○んさま

☆ちゃー○んさま

今晩は(^_^)
チャンミンに悲しい思いをさせてしまいすみません……(T.T)
続き書きながらユノに怒っております……
ゲ◯ビデオ無◯正とか勧めてすみません。
勉強というか……好きなだけです(笑)
変な知識を植え付けてすみません……(^_^;)
ああ……そうですよね!私見境無くて、すみません!

続き、頑張って書きますね~!

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 

What's new?