カラダノキオク 5

  19, 2015 09:30

















カラダノキオク・表紙
















バイトを終えて携帯を見ると、知らない番号から留守電が入っていた。

『・・・・・・――― ○○病院です。お母様がこちらに搬送されました。伝言を聞き次第、速やかに病院へお越しください』
「え・・・・・・?」



病院へ駆け込んだ俺は、職員に案内されて母さんの居る病室へ向かった。
病室に着くと、幾つか並んだベッドの中に、母さんの姿を見つけた。

「あ、チャンミン」

俺に気づいた母さんが、笑顔で手を振った。

「なんだ・・・・・・。めっちゃ元気じゃん」
「心配かけてごめんね」

母さんは職場で倒れたらしい。
発見した同僚が救急車を呼んだが、搬送中に意識は回復したとのことだ。
検査を行った結果身体に異常は見つからず、医師には過労と判断された。
今日中に退院して良いそうだ。

「取り敢えず、ゆっくり休みなよ」
「うん」
「パート、休めるんだろ?」
「多分ね」
「休めよ」
「はいはい」

母さんはいつもと変わらない様子で笑っている。
なんだか、俺の方が余裕が無いように思えてくる。
母さんはきっと、俺なんかより何倍も強いんだと思う。
ずっと前に親父と離婚してから、女一人で俺を育ててきた。
学生時代、好き勝手していた俺を見捨てることもしなかった。
沢山苦労をかけてきたのに、今もこうして笑顔でいてくれる母さんに感謝している。
いつからか母さんを守りたいと思うようになり、俺に母さんを養える力があればと何度も悔やんだ。
バイトしかしておらず、まだスタートラインにさえ立てていない。
そんな現状がもどかしい。
母さんは倒れる程疲れていたのに、それに気付けなかったことにも落ち込んだ。









「おい。煙草」
「あ・・・・・・すんません」

ぼーっとしてしまい、ユンホさんの煙草を用意するのを忘れていた。

「具合でも悪いのか」
「いや・・・・・・」
「今日もあがり十時?」
「今日は夜もあるから、八時まで」
「ふぅん」

ユンホさんは、それだけ言うと帰って行った。






店を出た俺は、倦怠感を振り切るように大きく背伸びをした。
長時間働いたうえ、母さんのことや将来について考え込んでいたので余計疲れた。
歩き出した直後、聞き覚えのある声が俺を呼び止めた。

「おい」

店の窓に寄りかかったユンホさんが、俺を見ていた。

「びっくりした・・・・・。どうしたの」
「ちょっと付き合え」
「え?」

俺の返事も聞かないまま、ユンホさんは歩き出した。
俺は戸惑いながらも、ユンホさんの後を追った。



数分程歩くと、飲み屋街に辿り着いた。
状況が掴めていない俺を差し置いて、ユンホさんはさっさと店の中へ入って行ってしまった。
店内はがやがやと賑わっており、狭い店の中に料理と煙草の匂いが充満している。
ユンホさんが座った席の向かい側に、俺も腰を下ろした。
もしかすると、ユンホさんは俺を飲みに誘ってくれたのだろうか。
でも、何故急に?

「好きなもん頼んでいいぞ」

そう言うと、ユンホさんは取り出した煙草に火を灯し口に咥えた。
メニューを広げて目を通したものの、なかなか食欲が涌かない。
たらたらとページをめくっている俺を見て、ユンホさんは大きな溜息をついた。

「お前さぁ、顔に出過ぎ」
「え?」
「そこまであからさまに落ち込んでっと、見てる方が気分わりーよ。構ってちゃんか」
「はぁっ?」

嫌みったらしい言い方にイラっとして、つい声を荒げた。
言い返そうと口を開いたが、俺はあることに気づいた。

「・・・・・・もしかして、心配してくれたの?」
「べっつに」

この人は、きっと俺を気遣っているのだ。
昼間、コンビニで会った時にあがりの時間を聞かれた。
そして俺があがる時間にコンビニへ来て、此処へ連れて来てくれた。
さっきは遠まわしになりながらも、落ち込むなと言ってくれたのだ。

「ぶきっちょだなぁ・・・・・・」

自然と笑みがこぼれた。



誰かとこうして飲むのは久しぶりだった。
気分が高まった俺は、ユンホさんに普段じゃ人に言わないようなことを話した。

「俺さぁ、料理人になりたいんだよね」
「お前が料理すんの?」

ユンホさんは意外そうな顔をして笑った。

「今馬鹿にしたろ」
「してねーって。つーか料理って女がするもんだろ。よくやる気になったな」
「何その昭和脳」
「うっせ。昭和生まれに謝れ」
「はは」
「で、何で料理人なんだよ」
「それは・・・・・・俺が一番楽しい瞬間何だろうって考えたら・・・・・・飯食ってる時だったから・・・・・・」
「ぶぶっ」
「また馬鹿にした」
「だって・・・・・・お前それ、単純過ぎだろ」

文句を言いながらも、話している間俺はずっと笑っていた。
それから、俺達はもう一件はしごした。
二件目の店を出た頃には、既に24時を回っていた。









「ヤバイ。視界が揺れる」

ふわふわとした感覚が心地よく、訳もなく笑えてくる。
ふらつきながら歩いていると、ユンホさんが突然俺の腕を掴み、身体を引き寄せた。
至近距離で見つめ合った瞬間、ドキッと心臓が跳ねた。
すぐ後ろを、車が通り過ぎてゆく。

「ぼやぼやしてっとひかれるぞ」

腕はすぐに離された。
ユンホさんの、ほんの少しの心遣いが嬉しかった。
再び歩き出したその背中に、俺は思い切り飛びついた。

「うわっ・・・・・・!何だよ、降りろ!」
「歩くの疲れた。おぶって」
「はぁ?くそ重いんだけど」
「いいじゃん。ケチケチすんなよ」
「あーもう・・・・・・めんどくせーなぁ」

ぶつぶつ言いながらも、ユンホさんは身体を揺らすと俺を背負い直した。
筋肉質で逞しい、男らしい背中。
俺には無いもの。
俺の家庭にも、無かったもの。
この人に甘えたくなってしまうのは、俺にずっと父親が居なかったからだろうか。
首に両腕を回すと、肩口にそっと顔を埋めた。

「なんか、父ちゃんって感じ」
「失礼なこと言うな。俺はまだ二十八だ」
「違うよ。男らしいって意味」
「そりゃあどーも」

背中から伝わる体温が心地よい。
首に回した腕に力を込めると、さっきより少しだけ身体が密着した。
俺もユンホさんも、それから暫く何も喋らなかった。









◇◇◇



皆様、おはようございます(^.^)
なんだか予想以上に小説に拍手、コメント頂き嬉しい限りです。
本当にありがとうございますm(__)m
ユノ28チャンミン二十歳そこそこということで、トークの雰囲気も若干若い感じに……
こんな感じで合ってるかしら(^_^;)
悪んホ好きです。妄想楽しい。
ご本人、見た目あんな格好いいのに中身がぴゅあーで、毒が足りないんだもの(笑)

リアルの方はCOEXトークで盛り上がってましたね!
イベントの当落発表も……ありましたね……
皆様、どうでしたか?
私は応募してないので、外野からそっと見守ることしかできませんが……
読者の皆様が、少しでもホミンちゃんに会えればいいな、そう思っています。

NBは妄想でがまんします……
特技だから大丈夫♡

次の更新はあさってです。
それでは♪





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Comment 6

NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

いらっしゃいませ!
いつもありがとうございます。

おんぶいいですよねぇ♪
色々なところが当たるし……あ、違うか(笑)
あの回は、ミキミニ衣裳からのおんぶゆらゆらーで訳分からんくなったのを覚えてます。
萌え死ぬからヤメテ。
こちらこそ、いつも有難うございます♡

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NB  

Pe○nu○s さま

☆Pe○nu○s さま

今晩は!
こちらこそ、再びコメント頂けて嬉しいです♡
私も、こんなテレビドラマ見たい!と思っていつも小説書いてます。
お陰様で、私の右脳かなーり優秀になっております。
ホミンちゃんが、私の妄想したストーリーに沿って喋ってるのがリアルに想像できます。
中身がぴゅあーで毒の足らない方々(笑)なので、色々やらせると本当萌えちゃいますね!
私も男同士の友情とか絆はよく分からないです(^.^)
でも女同士より道楽的な付き合いやスキンシップは少ないと思うし、ドライなイメージ。
そんな男達が多い中で、ホミンのあの仲睦まじい感じは……最高ですよね!
心理描写書くの好きなんです。上手い下手は別として……(^_^;)

これからも楽しんで頂けるよう、頑張って参りま~す!

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NB  

ポ○さま

☆ポ○さま

はじめまして(^_^)
コメント頂きありがとうございます。
気に入って頂けて嬉しいです♪
これからも楽しんで頂けるよう、頑張って参ります。
またおこし下さいね~!

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