Humanoid ~この恋は永遠に~ 2



三月。
桜の蕾が開き、街には柔らかい春の匂いが漂い始めた。
新しい季節がまた始まろうとしている。
だけど僕の心は暗かった。

青い空。
色付き始めた木々や草花。
楽しそうに僕の横を通り過ぎてゆく、家族やカップル。
まるで全てに取り残されたような気分だった。






「こんにちは。ロボット販売のSwitch plusです」

ドアを開けた途端、モニターで誰なのか確認しなかったことを後悔した。
訪問はしつこいから、振り切るのが面倒だ。

「只今、新作humanoidの貸し出しキャンペーンの紹介をさせて頂いておりました。試供品ですので無料でご利用頂けます。お客様、うちの商品を試してみてはいかがでしょう」

男は慣れた調子でそう説明すると、humanoidが載ったカタログを差し出した。

「すいません、興味ないので」

無愛想にそう返したにも関わらず、男は引き下がらなかった。

「そこをどうか!この近辺、年齢層が高いせいかhumanoidのウケが悪くて……今日一件もとれてないんです。頼みますよ」

あんたの営業成績なんて知るか。
これ以上苛々させないで欲しいと思った。
閉め出そうとカタログごと押し返そうとしたその時、表紙のある一体のhumanoidが目についた。

「……このhumanoidはあるんですか?」
「こちらは……あるにはあるんですが、既に先約がございまして」
「そっか、残念です。これなら試してみたかったんですけど」
「男性のhumanoid、ですか」

男である僕が同性のhumanoidを欲しがるのが不自然なのだろう。
意外そうにそう呟いた。
営業マンのくせに正直な奴だ。
僕が睨むと、男はっとして営業張りの笑顔へ戻った。

「ユノ・ユノは人気ですね。どの方もお客さまと同じことを言われますよ。残念ですが、他の営業の者が契約をとってしまって」

本当にhumanoidが欲しかった訳ではない。
男を困らせたかっただけだ。
ただの八つ当たりのつもりだった。

「残念です。また次の機会に……」
「少々お待ちください」

さっさと帰ることを期待したのに、男は携帯を取り出すと交渉を始めた。

「もしもし、パクです。試供品の契約ですが、ユノ・ユノを欲しいというお客さまが……はい、はい」

ちょっと待て。
一体どうなってるんだ。
やがて通話を終えると、男は言った。

「只今本社の方へ交渉したのですが、お客さまへ契約を譲ることは難しい様です。申し訳ありません。しかしユノ・ユノは需要が高いため、希望された方々の中から抽選という形を取らせて頂くことになりました」
「そうですか」
「お客様にもまだチャンスはございます。どうぞ。こちらの用紙へお名前、住所、電話番号をお願い致します」
「え?いや、いいですよ」
「せっかくですから、ほら。私の努力を無駄にしないでください」
「…………」

僕は渋々ペンを手に持つと、言われた通り書類へ記入した。
断る方が気力が要りそうだったから、さっさと書いて居なくなって欲しかった。
やがて男はカタログを置いて帰っていった。

一週間以内に抽選の結果が出るらしいが、結果などどうでもよかった。
部屋の角の、新聞やらチラシを纏めたボックスへカタログを押しやり、それっきり応募したことなど忘れていた。
だからあの日、何が起こったのか始め分からなかった。









『ロボット販売のSwitch plusでございます。シム・チャンミン様のお電話でしょうか』
「そうですけど」
『先日応募頂いたhumanoid"ユノ・ユノ"の貸し出しキャンペーンですが、厳選なる抽選の結果、見事当選されました。おめでとうございます』
「……はい?」











人気ブログランキングへ

にほんブログ村 二次BL小説


スポンサーサイト

2 Comments

NB  

さえ○んさま

わ~、お久し振りでございます(^o^)
コメント嬉しいです!
ユノ・ユノロボット、書いている本人が欲しくてたまりません。
もう自分の願望を文字に書き起こしている状態でございます。
ユノ・ユノロボットがチャンミンと一体どんな生活をしていくのか......
2人の行く末を暖かく見守ってやってくださいね。
ミンホ小説は、ホミホミ続きで刺激が欲しくなったらまた書くかも......!
頑張って書き進めておりますので、またおこしくださいませ。
お待ちしていま~す(^^)

2014/04/13 (Sun) 01:57 | EDIT | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2014/04/11 (Fri) 17:28 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment