Humanoid ~君のための一歩~ 14

  10, 2015 09:32


目を覚ますと、すぐ目の前で愛しい恋人が眠っていた。
僕を抱きしめ、まるで子供のような寝顔ですやすやと眠っている。
素肌で感じる空気はまだ少し涼しく、触れた部分から伝わる体温が心地よい。
昨晩はユノを気持ちよくしたい一心で頑張った。
ユノも気持ちよくなってくれた。
心が満たされているからか、身に纏った気怠さも甘く感じる。
まだ寝ているユノの唇に、僕は口付けた。

「んん・・・・・・」

まぶたがぴくりと動いたあと、黒目がちな瞳がゆっくりと姿を現した。
目を覚ましたユノは、驚いた顔で僕を見た。

「おはよう。ユノ」
「・・・・・・びっくりした」
「何が?」
「昨日から、随分積極的じゃん」
「駄目?」
「いいや」

僕は、自分の気持ちを伝えることにした。
今回のことで、僕なりに考えた答えを。

「僕だって、ユノのこと・・・・・・いっぱい独り占めしたいよ」

だけど、いつもそれが実現するわけじゃない。
社交的で友達想い。それも、ユノという人間を作っている大事な要素だ。
そして、もしユノが友達を放っておいて僕とだけ向き合ってくれたとしても、僕はそんなユノに魅力を感じないだろう。
僕はやっぱり今のユノが好きだし、ユノの全てを受け入れていきたい。

「ユノが友達と居る時は我慢するから・・・・・・せめて二人の時くらいは独占させて?」

ユノの瞳が震えたのが分かった。
僕の想い、伝わったかな。
これは、ユノを大好きな僕ができる最大限の譲歩だ。

「お前さぁ・・・・・・」

僕の背中に回ったユノの腕に、力が込められた。

「そうやって悪気なーく・・・・・・いっつも煽んのな」
「正直に言っただけ」

ユノは、僕に口付けると笑って言った。

「ありがとな。チャンミン」






ユノは、僕を車に乗せて会社まで送ってくれた。
会社のゲートから離れた場所で、ユノは車を止めた。
ゲートの前まで行かないのは、昨日のことを考慮したユノが気遣ってくれたからだ。

「ほんとに大丈夫か?」

ユノが心配そうに僕を見つめる。
会社に行けば僕を脅した同僚も居る。
昨晩のユノとのことが、噂になっている可能性もある。
だけど、僕は大きく頷いた。
様々な問題に直面して、今は少し強くなれた気がする。
何より、僕にはいつでもユノがついている。
ユノはスラックスのポケットに手を入れると、動きを止めた。

「ユノ・・・・・・?」
「・・・・・・あのさ」
「何?」
「ひくなよ・・・・・・」

そう言ってユノが取り出したのは、掌サイズの携帯らしきものだった。

「これ、持っててくれないか」
「携帯?」
「まぁ、そんな感じ。ここ押すと・・・・・・」

ユノが液晶のボタンをタップすると、呼び出し中の画面へと切り替わった。

「俺も、これと同じの持ってんだけど・・・・・・」

ユノは、全く同じモデルの機器をもう片方のポケットから取り出した。
画面には地図が、その下には「受信中」の文字が表示されている。

「これって・・・・・・」

僕がボタンをタップするだけで、ユノの機器にコールと僕の居場所が転送されるようになっているらしい。

「研究所に泊まった時、今回のことヒチョルに話したらさ・・・・・・これ、持ってけってくれたんだよ」

つまりこの機器は、僕が万が一危険に曝されても、一瞬でユノを呼べるツールってことだ。
僕って、ヒチョルさんにもユノにも本当に大事にされてるんだと実感した。
ユノは、手で顔を覆うと重いため息をついた。

「キモいことしてマジでごめん。ロックしてれば居場所は分かんねーから。取り敢えず、今日んとこは心配だから持っててくれないか」

気持ち悪いとは微塵も思わない。
むしろ、ここまで心配をかけたことを反省するばかりだ。

「わかった」
「・・・・・・町に行く時に、使っても構わないし」
「え・・・・・・?」
「つーか、危ない奴いっぱい居んだから持ってた方がいいだろ」

友達に会いにいくことを、許してくれるのか?

「ユノ、いいの?」
「ああ。そん代わり、お前が危険な目に合いそうな時はすっ飛んでくけど」

笑ったユノを見て、心の中でジワリと熱いものがこみ上げた。

ユノ・・・・・・
僕のこと、分かってくれてありがとう。

思いっきり抱きつきたい衝動を抑え、僕はユノの手を強く握り締めた。

「ありがとう。本当に」
「ん。気をつけて行ってこい」


配属部署のスペースに辿り着くと、沢山の視線がまるで突き刺さるかのように僕に向けられた。
一部で起こった小声のやりとりが、次第にザワめきとなって広まってゆく。
大きな会社の中にありながら、小さく区切られたこの世界。
面白いことが無いと、皆他人の噂に食らいつくしか楽しみが無くなるらしい。
居心地は悪かったものの、思ったよりも応えない自分に驚いた。
この会社をいつ辞めても構わない。
そう思っているからかもしれない。
僕はずっと、ユノのことを思い浮かべて過ごした。










◇◇◇



毎度沢山の拍手、ありがとうございますm(__)m
最近短編はずらずら長く書いてましたが、連載ものなので以前UPしていたのと同じボリュームにしました。
あと1話で終わりの予定です。頑張ります!





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Comment 4

NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

いらっしゃいませ!
え?発熱?大丈夫ですか(T.T)?
ああ、no○zoさまをそんなにするなんて、二人とも本当に罪深いですね……
二人は生理現象も免疫も操ってしまうのか…恐るべし東方神起!
一番弱ってるのは心でしょうかね……
寂しい病はいつ治るのやら。
私、雑誌はまだにやにやして眺められる状態です。
そして毎日更新してるのは、他にやることがなくて字書きに没頭しているんです(笑)
あまり胸はって言えませんが(´-ω-`)

トンの曲聞きながら妄想までして頂けて、ありがとうございます!
また頑張ってお話書きます。

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NB  

ちゃー○んさま

☆ちゃー○んさま

こんにちは!
いいえ、沢山コメントありがとうございます!

あわわ、家事の邪魔してすみません~!
最近、仕事の他に小説家書きしかやることなくて(笑)
毎日新作が沸いてる状態なんです。
あ、私の生活が丸わかりだわ(笑)

Humanoidの流れとしては、チャンミンにはどんどん成長していって欲しいです。
控えめなままの方がお話しが際立つキャラもいるけど、このチャンミンには是非逞しくなって頂きたい。
最終話もUPしましたが、いつかまた駄作にならない程度に(笑)番外編書けたら書きたいな……と。
連載にお付き合い頂き、ありがとうございました!

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