ROCK YOU ~12年目の真実~



物心がついた時から、俺の傍にはいつも彼らがいた。





母さんには兄弟が一人居る。
母さんの両親は早くに亡くなって、俺と父さんを抜いたら母さんにとっては唯一の家族。
3つ年の離れた兄、ユノだ。
ユノは俺からしたらおじさんにあたるけど、「おじさん」なんて響きは似合わない。
誰もを魅了するような格好良い男だが、子供っぽさもある。
ユノと遊んでいる時はいつも、男友達と遊んでいるような感覚だった。

父さんにも、まるで兄弟みたいな親友がいる。チャンミンという。
頭が良くてルックスも抜群。ユノとはまた違う格好良さがある。
チャンミンにはよく勉強を教えてもらった。
母さんには秘密だけど、賢い授業のサボり方も教えてもらったりした。

二人と父さんと母さんはすごく仲が良い。
俺が小さい時から、4人でよくつるんでいた。
父さんや母さんが居ない時、いつも二人に世話して貰っていたので、変な話だが父さんが3人居る感覚に近かった。









これから話すのは、俺が中学校への入学を控えていた、ある冬の話だ。
4人は相変わらず仲が良かった。
しかし俺には、ひとつだけ疑問に思うことがあった。
ユノとチャンミンはなぜ結婚しないのだろう?
二人共、ルックスも性格も良くて周りが放っとかないだろうに。
4人で居る時も、俺の知る限り恋愛に関する話題が出たことはなかった。
俺は、チャンミンは昔恋愛沙汰で辛い経験をしたのではないかと思っていた。
小さい頃、チャンミンと風呂に入っている時にある話を聞いたことがあった。
チャンミンの腹に傷跡を見つけ、何があったのか問うとチャンミンはこう答えた。

『これは俺の誇り。大事な人を守った証なんだ』

その大事な人とは結婚しないのか聞くと、こう答えた。

『出来ないんだ。残念ながら。でも今のままで満足してるよ』

笑った顔が切なげに見えたのは、きっと気のせいじゃない。
チャンミンは命をかけて守った相手と結ばれなかった。
だけど過去の思い出を大切に抱いて、今の未婚の人生に満足して生きている。
そう思うと心が痛んだ。
ユノに関しては何の情報も無いので、よく分からないままだった。







新年を迎え、早二ヶ月。
冬も、あと少しで終わりを迎えようとしていた。
いつもと変わらない日常が流れゆく中、ある時から父さんと母さんの様子に変化が現れた。
夜遅くなると、まるで俺に隠れるようにしてリビングで話し込むことが増えたのだ。
まさか喧嘩?離婚話?
不安になりこっそりとリビングを覗いたが、特に二人が言い争っている様子はなかった。
むしろ、会話している二人は楽しそうに見えた。
悲しい話題じゃないのに、なぜ俺に隠す必要があるのだろう。
俺は思いきって、母さんに聞いてみた。

「夜、父ちゃんと何話てんの?」
「まぁ、いろいろよ」
「教えてよ」
「いつかね」
「何で教えてくんないの?本当に教える気あんの?」

ムキになった俺に、母さんは言った。

「あんたにはまだ早い。いつか話そうってのは本当よ。でもまだその時期じゃないわ」

険しい顔つきの母さんを見て、始めて母さんを恐いと思った。
家族の輪に入れて貰えないことにも傷付いて、俺は半泣きで訴えた。

「俺だって家族じゃん。父ちゃんと二人して何だよっ……!」

母さんはそんな俺にビックリしたのか、すぐにいつもの顔に戻って、俺を優しく抱きしめた。

「ごめんね。仲間外れにする気はこれっぽっちも無いのよ。でも……これは本当に大事なことなの。あんたが受け止められるか分からないわ」
「俺、何言われても大丈夫だよ。信じて」

想いが伝わるように、母さんをじっと見つめた。
すると母さんは、観念したようにため息をついて笑って言った。

「……しょうがないわね」
「教えてくれるの?」
「ええ。でも、パパとあんたと3人で一緒に話し合うのは難しいの。もうすぐ、本当のことが分かるから」
「うん……」

こうして俺は、深夜の家族会議の真相を知ることを許されたのだった。






ある穏やかな日曜日の午後。
俺は突然、父さんにドライブに誘われた。
父さんの服装は何故かフォーマルチックで、俺もお洒落をさせられた。

「ねぇ、どこ行くの?」
「んー、まぁ、着いたら分かるさ」

車の中は、後部座席に置いてある花の匂いで満たされていた。
連れてこられたのは教会だった。
中へ入ると、俺は生まれて始めて見る風景に感動を覚えた。
両脇にある日の光を浴びたステンドグラスが、木造の床に鮮やかな影を落としている。
高い天井が作り出す、声が響く程の広々とした空間と、正面に聳える大きな十字架。
心が洗われる気がした。

「誰も居ないの?」
「今日は貸切りだからな」
「すごい!」

はしゃいで走り回ろうとする俺に、父さんが言った。

「遊びに来たんじゃ無いんだぞ。お前は花係」

父さんに渡されたのは、車に積まれていたあの花だった。

「それ、合図したら上から降らせてくれ」
「どういうこと?」
「そのまんまの意味だ」

父さんはそれ以上何も言わず、にっこりと笑って俺の頭を撫でるだけだった。
俺は首を傾げたまま、父さんの指示に従って二階の手摺の傍へスタンバイした。



しばらくすると、教会の入口から母さんが姿を現した。
すると、母さんの後に続いてユノが入って来た。
ユノは、ベージュ色のシルクのスーツを纏っている。
母さんの指示なのだろう。目を閉じて、母さんに両手をひかれながら歩いて来る。
ユノは、誘導されるまま祭壇の前に立った。
母さんは手さげからコサージュを取り出すと、ユノの頭にそれをつけてクスクスと笑った。

「一体何だよ?今何処にいるんだ、俺は」
「いいからいいから。そのまま目開けちゃダメよ」

状況が全く把握出来ない。
これから何が起こるんだ?
今度は、父さんが入口から姿を現した。
親友の手を、引きながら。
チャンミン……?
ネイビーのスーツを着て、胸元のポケットに花をさしている。
チャンミンも同じように目を閉じていたが、父さんが背中を叩いたのを合図に目を開けた。

「……ここ……」

チャンミンは、辺りを見回して驚いた顔をした。
祭壇前にユノの姿を見つけると、チャンミンは父さんと顔を見合わせた。
そして何も言わず微笑むと、祭壇の方へ向かってまっすぐに歩いていった。

「ユノさん」
「……え?チャンミン?」

チャンミンの呼びかけに、ユノが目を開けた。

「お前どうして。ってか、ここって……」

戸惑っているユノを差し置いて、祭壇に立った母さんが元気よく言った。

「これから、チョン・ユンホとシム・チャンミンの挙式を行います!」

その一言で、俺はやっとこの状況を理解した。
二人の関係を、初めて知った。
頭の中で、様々な出来事が思い起こされる。
長い間、ずっと結婚しなかった二人。
チャンミンの風呂場での発言。
俺に真実を話すのを拒んだ時の、母さんの真剣な目。
ユノは初めポカンと口を開けていたが、次第に瞳を潤ませて俯いた。
チャンミンは、ユノの手をそっと握った。

「新郎シム・チャンミン、あなたはここに居るチョン・ユンホを 
病める時も、健やかなる時も
富める時も、貧しき時も
パートナーとして愛し、敬い、慈しむ事を
誓いますか?」
「誓います」

チャンミンが、しっかりとユノを見据えながら頷いて言った。

「新郎チョン・ユンホ、あなたはここに居るシム・チャンミンを
病める時も、健やかなる時も
富める時も、貧しき時も
パートナーとして愛し、敬い、慈しむ事を
誓いますか?」
「はい……。誓います」

ユノは、今にも泣きそうな顔で微笑んだ。

「では、誓いのキスを」

チャンミンが顔を寄せると、ユノが目を瞑った。
次の瞬間、整った二つの横顔がぴたりと重なった。
そっと唇を離すと、二人は微笑み合った。
俺は、チャンミンに向かって笑いかけるユノを見て、初めて綺麗だと思った。
そこには、俺と居る時の男らしくてやんちゃなユノは居なかった。

「ダメだな……。最近涙もろくて。まさか、お前らにこんなサプライズされるなんて」

そう呟くユノに、母さんが言った。

「誕生日プレゼントよ、二人共。やっぱり、こういうのやりたいじゃない?」

チャンミンが、照れくさそうに頭を掻いて言った。

「ミナ、キュヒョン……本当に、ありがとう」

笑って二人を見ていた父さんが、俺に視線を寄越した。
俺は花を手に掴んで宙に放った。
幾つもの花弁が、ひらひらとユノとチャンミンの元へ舞い落ちてゆく。

「二人共、おめでとうっ」

二人は驚いた顔をして俺を見た。
今まで徹底して俺にこの事実を隠していたのだから、当たり前だ。
男同士の恋愛が、一般的に受容され難い事はもちろん知っている。
そして、それに全く偏見が無いといえば嘘になる。
だけどそんな思考なんて吹っ飛ぶくらい、ユノが綺麗で、チャンミンが凛として、二人が今までに無いくらいとても幸せそうで……
生まれて初めて見る愛の誓いに、俺はただ感動していた。
気付かぬうちに、涙を流していた。
父さんと母さんには俺の気持ちが伝わったのか、泣いている俺を笑って見ていた。
ユノには後で

「ショックだったんだろ。ごめんな」

と謝られたが、笑って否定した。









この春、俺は大学に入学する。
新生活のために揃えるものは意外と多い。
仕事で都合がつかない父さんの代わりに、ユノが買物に付き合ってくれた。
薬指には、きらりと輝くシルバーリング。
チャンミンが身に付けているものと、同じものだ。
相変わらず愛嬌のある笑顔。憧れてしまうような男らしさと、たまに見せる可愛い一面。
年を重ねても衰えず、ユノは今も魅力的なままだ。
愛する者に愛されていると、人はいつまでも輝くのだろう。
結婚して子供を作り、家庭を築くだけが幸せじゃない。
二人から、そう学んだ。



季節は巡り、俺はまた新たな未来へ歩き出す。
大切な人たちと一緒に。









END



◇◇◇



突然、ROCK YOU(数年後)でした。
最近ROCKYOUは変態記事しか書いてなかったし、たまには切な甘系をと思いまして。
おっそいけど二人の誕生日に向けて書いたものです。
同性同士で付き合うって、多分歳を重ねると、若い時にはなかった沢山の葛藤が出てくると思うんです。
幸せそうな親友と妹を、胸を張って関係を公表できる二人を傍らで見守っていると、切なくなってしまうことも沢山あると思うんです。
それでも離れなかった二人。二人を思って挙式を開く二人。それに感動した男の子の話でした。
いつまでも幸せにね。
もうお気づきかもしれませんが、NB第三者視点大好きです(^-^)♪

night call番外編にも沢山の拍手、コメントどうもです!
こんなに反響あると思っていなかったので凄くびっくりしました。
やはりこの二人人気だな!と嬉しくなりました(^_^)♡

そして、スッキリ見ましたか?あれ最高ですよね~!?
ウエンツ、加藤さん、東方神起にバツゲームやらしてくれて本当にありがとう。
恥らうゆの見せてくれてありがと~~(*´ω`*)
激カワんほでした☆





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6 Comments

NB  

ちゃー○んさま

☆ちゃー○んさま

こんにちは!
いつもありがとうございますm(__)m
ROCK YOU→変態カードの流れを作ったのは私です……(笑)
ので、おきになさらないでください♡
涙して頂けたなんて……
二人もきっと喜んでいますよ(T.T)

変態じゃない気持ちが残ってたって……(笑)
駄目です~!
変態100%にならないでください(笑)
ちなみに変態スイッチがあれば便利ですよ~♪

2015/04/12 (Sun) 09:13 | EDIT | REPLY |   

NB  

さえ○んさま

☆さえ○んさま

こんにちは!
いつもありがとうございますm(__)m
相変わらず、さえ○んさまは私のお話、本当に丁寧に読んで下さっているなと。> NBさん…素敵なお話しをありが 長く葛藤と向き合いながら、互いの手を離さなかった二人。
気持ちを汲み取るような、気持ちに沿うような優しいコメントが心にきます。
さえ○んさまには、作者の私よりも作品を大事に思って頂いている気がします。

え~!そんな、ありがとうございます(>_<)♡
誉められるのに慣れていないので動揺してます(笑)
中身は男脳に近いですけど(笑)エロばかり(笑)
私も、さえ○んさまと初めてお会いした時から、お優しくて話しやすくて…居心地のよい方だと思いました。
あとは、顔小さいな、身体細いな~と羨ましかったです(^.^)
私もあのサジン宝物です♪
あ、ここに書いて良かったのかな?

とにかくまたお会いして話し込みたいです。
実現すると信じています♡

2015/04/12 (Sun) 09:07 | EDIT | REPLY |   

NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

いらっしゃいませ(*^^*)
本当に、いつもありがとうございます。

ROCK YOU久々に普通の(笑)お話を書いてみました。
エロが無くても、ね(笑)
初めから読み返して頂いたなんて!
まさか、ROCK YOU本編に沢山拍手入っていたのはno○zoさまでしょうか?
いや、そうでもそうでなくてもありがとうございます(T.T)♡

ライブ後、本当にぴったり静かになって寂しいですね……
贅沢な話ですけど。暫く会えないと思うと応えますね。
私の話でトン活の空白が少しでも埋ればいいなぁ。
リアルのお二人に比べたら効力なんて何分の一にも満たないですけど。

どうぞこれからも、宜しくです!

2015/04/12 (Sun) 08:53 | EDIT | REPLY |   

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2015/04/10 (Fri) 08:08 | EDIT | REPLY |   

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2015/04/09 (Thu) 21:39 | EDIT | REPLY |   

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2015/04/09 (Thu) 16:04 | EDIT | REPLY |   

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