看護師 シム・チャンミンの憂鬱

  07, 2015 09:26

















night call・表紙

















医者なんてろくなやつが居ない。
おっとこれは言い過ぎか。
言葉を変えると、良い医者に出会う確率が低い。
今まで関わった医者の大半は、人を見下すスタンスが基本といった様子でいつもやる気が萎えた。
なので、医者を見る時は基本的に良いと感じる閾値が低い。
至って普通と思われる医者でも、俺の目には良い医者の様に映る。
きっとそれは他の看護師も一緒だ。



俺の恋人は医者だ。
同じ職場で働いている先生で、周りから神と称される程の腕を持っている。
外見も良し。男らしい顔の造りと、程よく肉の付いたカラダが堪らない。
先生の人気の秘訣は外見だけじゃない。
人間、どんなに外見が良くても最後は中味だ。
先生は中味も完璧で、高い地位を確率した今でも“神”と称される事を嫌い、一般人と同じ目線で居ることを忘れない。
責任感が目に見え、優しく患者に寄り添うことができる。
先生に命を救われて微笑まれた日には、患者は皆イチコロだ。
そんな最高な男を恋人に持った、俺の宿命。

嫉妬に、耐え忍ぶこと。






ある日、心臓病の女性が入院してきた。
胸痛が酷いために搬送された彼女だったが、検査を行った結果機能的な異常は見つからなかった。
面会の時間を設け話を聞くと、彼女は数年前に夫と離婚し今まで女一人で子供を育て、家計をやりくりしていたらしい。
表情は虚ろで、誰が見てもかなりストレスを溜め込んでいると分かる程だった。
先生は、そんな彼女の様子から心臓神経症の診断を出した。
精神的な負担が大きいことが原因で、臓器に問題が無くても胸痛を感じてしまう病気だ。
本当は精神科での治療が適しているのだが、精神科がある近くの病院をあたっても、病床が不足していて転院の手続きができなかった。
仕方が無いので、転院先が見つかるまでうちの病院で看ることになった。
彼女は相当窶れていたが、40代にしては綺麗な外見をしていた。
先生は、そんな彼女を心配そうに見つめていた。
そしてこの時感じた俺の嫌な予感は、的中してしまうことになった。






暫くして彼女の転院先は確保できたものの、ベッドが空くまでなんと半年も待たなければいけなかった。
先生は回診の時他の患者と同じように、専門外の患者である彼女へも欠かさず声をかけた。
先生には何の下心も無い。
患者全員に平等に接しているだけだ。
それでも、患者がそれをどう感じるかは別だ。
俺には分かっていた。
日に日に、彼女が綺麗になっていることが。



彼女の居る病室を回っていた時のことだ。
俺は、彼女に声をかけられた。

「すみません」
「はい」
「女の・・・・・・女の看護師さん呼んで貰えますか」
「分かりました」

男の俺では言い難いことなのだろう。
彼女の言う通り、他の女の看護師に彼女の元へ行くよう伝えた。

「ねぇねぇ、聞いてよ」

彼女の元へ行った看護師が、帰ってくるなり興奮を抑えられないといった様子で俺に話しかけてきた。

「何?」
「彼女、ナプキンが欲しかったんだって」
「え?」
「生理よ生理」
「ふぅん。それがどうかしたの」
「彼女、閉経してたのに再開したのよ!」
「え・・・・・・」
「原因っていったら、ひとつしか無いわよね。そんな事ってあるのね」

罪な男~。
そう言って看護師の彼女は、今は姿の見えない先生のデスクを見つめた。
患者が先生に恋するのは、何もこれが初めてじゃない。
それでも、彼女が目に見えて綺麗になっていること、月経が再開するなんてミラクルを起こしたことに、俺は少し動揺していた。

あぁ・・・・・・
彼女、早く転院すればいいのに。









彼女が入院してきて数ヶ月。
胸痛の症状が落ち着いたことから、彼女は外来適応となることが決まった。
先生は予約先の病院へ紹介状を出し、彼女は予定よりも早く退院することになった。



退院日の患者の送り出しも、先生が欠かさず行っていることだ。
廊下を歩いていると、荷物を持った彼女が先生と話している場面に遭遇した。

「お大事に」
「はい」
「無理のし過ぎは禁物ですよ。頑張るのも大切だけど、自分のこともちゃんと大事にしなきゃ」

先生が優しげに微笑む。
あぁ、そんな顔しちゃ駄目だって。
案の定、先生に微笑まれた彼女は顔をほんのりと赤くした。
そして次の瞬間、彼女の口から飛び出た言葉を聞いて、俺は思わず頭が沸騰しそうになった。

「先生・・・・・」
「ん?」
「少しでいいです・・・・・・。抱きしめて・・・・・・貰えませんか?」

駄目に決まってるだろ馬鹿っ!
心の中でそう叫んだ。
しかし割り込んで行く勇気も持てず、俺は壁に隠れながらその光景を見守ることしか出来なかった。
先生は困ったように頭を掻いたあと、震える彼女の肩に片手を置いて、ほんの一瞬だけ身体を寄せた。
すれ違いざまに、身体がぶつかり合っただけの様なその行為。
抱き締めるのとは全く別物だ。
だけどそれは、思いやりのある先生が出来る範囲で送った、最高のプレゼント。
彼女は、幸せそうに笑いながら涙を流した。

「ありがとう。先生に会えて、私・・・・・・本当に良かった」

彼女は、先生に見送られながら帰って行った。
彼女の背中が見えなくなると、先生はほっとしたように溜め息をついた。
俺の方へ向かって歩いてくる。
とっさに壁側へ引っ込んだが、タイミングが少し遅れてしまった。
つかつかと歩く音が、壁の手前でぴたりと止まった。

「おい。なーに隠れてんだ」

先生が俺の前にぬっと現れ、顔を覗き込んできた。
はやり気付かれてしまっていた。
できるだけ、この人には弱い自分を見せたくない。
内心かなり動揺していたが、俺は平常心を装った。

「偶然ラブシーン見ちゃったもんですから。部外者がいたら邪魔でしょ」
「ラブシーンじゃない馬鹿」
「彼女はそのつもりでしょうけどね」
「・・・・・・・・・・・・」
「先生って心の治療もできるんですね。ほんと、尊敬します」

皮肉を込めてそう言うと、先生は少し目を大きくした。

「お前・・・・・・まさか嫉妬してんの?」
「別に」

口角をくっと上げ笑いをこらえた先生を見て、少し腹が立った。
その顔はもう、「先生」じゃなく「恋人のユノ」だった。
俺は、厚い胸板をぐいっと押して睨みつけた。
先生はそんな俺の心を見透かしたかの様に、優しい笑みを浮かべながら耳元でそっと囁いた。

「今夜は早く帰るから、ちゃんと準備しとけ?」
「・・・・・・!」
「じゃぁな」

白衣をひらりとなびかせて、先生は行ってしまった。

「馬鹿・・・・・・」

自然と笑みがこぼれてしまう。
甘い一言で機嫌が直る俺も、案外単純だな。






ベッドの中のユノは、やけに機嫌が良かった。
俺だけ何度もイかせて、満足げに笑っていた。
半泣きになった俺を可愛いと言って、顔面に沢山のキスの雨を降らせた。
どうやら、俺が嫉妬したことが嬉しいらしい。
ユノがこんな風に喜ぶなら、やきもきさせられるのも苦じゃないかも。

「もうそろそろイッてよ。今日、長持ち過ぎ」
「じゃあ、イかせるようなセリフ言ってみて」

俺の腰を揺さぶりながら、そんな意地悪な事を言う。
押し上げられる刺激に声を震わせながら、俺は強請った。

「せんせ・・・・・・俺にも生理、来るようにしてぇっ・・・・・・」

赤面したユノが、途端に体動を激しくする。

「ア、アホかっ」
「あぁンッ・・・・・・」

ユノにしがみついて、俺は何度目かの快感の波に溺れた。






嫉妬したり、イラついたり喜んだり、ベッドの上で言葉の取引きしたり。
ゲームみたいだね?
そんなユノとの関係、嫌いじゃないよ。
分かってる。
職場でのユノは皆の先生であって、独占できないということ。
俺がよく悶々としていることも、きっとユノには知られてしまっている。
そしてそんな風に振り回されているのが、俺は結局気持良いいんだ。



俺って、「先生」に恋煩いした人達の中で一番重症だと思う。
別に、治そうとも思わないけど。









END



◇◇◇



night call 番外編でした。
久々の更新がこいつらかいっ。
どんなに落ち込んでも、やっぱりNBはNBですね。
作品を作れないとか言った過去記事の説得力の無さ、半端ない(笑)
チャミに「先生」と「ユノ」使い分けてもらいました。
職場恋愛って感じでちょっと萌える。
「トンペンになってから閉経していた女性がまた再開した」という記事を見かけて、思い浮かんだお話でした。

WITHツアー終わった瞬間スイッチオンです。私の恋は終わりました。
兵役までイベントは複数ありますが、私はどうあがいても暫くは二人に会えませんから半分やけくそですよ。
二日間かけて、PCでばーっと一気打ち。
妄想に集中してる間は、悲しい気持ちが身を潜めるのでラクです。

腐った話を書くことが、リアルな二人に申し訳ない、全く敵わないと今でも思ってます。
でもいろいろ考えて、心を整理しました。
腐ってるのはもうしょうがないんですよね。私既に十数年年季入ってますし。
本当の二人とは切り離すことを弁えて、お話ひとつひとつを大切に心を込めて書けば、それでいいんじゃないかな・・・・・・
今はそう思います。   
ということで、復活致します。

チャンミンの誕生日にX橋シリーズを書こうという企画。
あれはどこへいったんだろう。
まだ書いてすらいません。形になるかも分からない状況。最悪(´;ω;`)



※冒頭の部分に関して念のため。
このお話はフィクションで真実ではありません。
良いお医者さんも沢山いると思いますが、ユンホ先生持ち上げるためです。
あとは私自身が、今のところそんな環境に置かれることが多いため……でしょうか(^_^;)
もしお医者さんがご家族や知り合いにいらっしゃる方、お見逃し頂ければ幸いです。
すみませんが苦情はスルーさせて頂きます。





人気ブログランキングへ

にほんブログ村 二次BL小説


スポンサーサイト

Comment 12

NB  

は○太○さま

☆は○太○さま

今晩は♡
以前もコメント頂いていましたね。
いつもありがとうございますm(__)m

NB、腐スイッチ入りました。
説得力無いですが、2月~3月にかけてツアー参戦中は本当に腐無しでも心が満たされておりました。
今ではだいぶ元気です。右脳絶好調。
night callの二人は本当に人気ですね……
作者もビックリです(^.^)勿論、嬉しいです♡
ホミン、ミンホとも受け入れて頂けて、NB感激です(T.T)
カラダノキオクも気に入って頂けるよう、頑張って参ります。

あ、お医者さんの件、やはりそう思いますか(^_^;)
チャンミン、言わせてごめんって感じです……汗

更新頑張りますので、またお起し下さいね♪

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
NB  

さえ○んさま

☆さえ○んさま

こんばんはー!
いらっしゃい(*^^*)
日経エンタ人気ですよね。在庫切れ報告あちこちで見かけました。
本当、あのくっつき具合なにかな!なにかな~!!
私も、一気にテンション上がりました。
単純過ぎる(笑)

nightcall何故か人気で……
いつも想像以上に気に入って頂き、恐縮ながら嬉しいです。
下ネタ=この二人 みたいな流れですが……
二人とも割と真面目です(笑)
私の職場にこんな人居たらな~!と思いながら書いてます。
ユノは、どのキャラをやらせてもリアルのユノの要素が出てしまいます。
チャンミンは割と振り幅広いと思うのですが。
うう……(;_;)私も今、妄想を手放したらうるうるですよー!
私の説得力ない持論について、さえ○んさまがそう言ってくださるだけで嬉しいです♡

シムの日の夜……そうでしたか!
いえいえ、聞きたかったです♡
なんか、私が期待しちゃってましたよ(笑)
人のプライベートまで妄想してやめんかい!って感じですね……
何処までも変態ですみません(^_^;)

Edit | Reply | 
NB  

Pe○nu○s さま

☆Pe○nu○s さま

初めまして!
読んで頂くだけでも嬉しいのに、コメントありがとうございます♡
やはりnight call人気ですね……自分はなにげなーく書いているのでびっくりです(笑)
私昔からドラマとか見てても、ドライな感じに実はラブが見える、そんな話が好きで(^.^)
そう言って頂けてとても嬉しいです。

本当、トン活無くなると私もここしか居場所がありません(笑)
感想を寄せてくださる読者の方の存在、私も本当にありがたいです(T.T)♡

いつもありがとうございます。
これからも頑張って参ります!

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
NB  

no○zoさま

☆no○zoさま

早速見ていただきありがとうございます♡
今こそ精をつけなければ!ということで、この二人に託しました(笑)

病院へ行かれているのですね!
私もそうですが、もうなかなかそんな存在に出会わないので、お話に理想をぶっ込んでる状態です(^_^;)
身長が分かると萌えちゃいますね♡
自動販売機+2センチ、4センチがホミンちゃんらしいので、私も自動販売機見ると要チェックしちゃいます。

もちろん、スッキリチェック済みです!
あの可愛い生き物なにかな……
ユノって何であんなに感情を表に出しちゃうのかしら。
恥ずかしがってるのめちゃ可愛かったです。
よだれもちゃんと確認しました!が、色っぽいとはあまりいえませんでした(笑)
めちゃ普通にやって谷間確認してるチャンミンも笑えましたけどね(^.^)!
すすったのまではわからなかった!
さすがです!

いやー、正直どんなに格好良くても駄目な瞬間はありますよね(´-ω-`)笑
私は全力のホミンちゃんが静止画で白目向いてるのが好きです。
あちゃーと思いつつ、あんな顔も愛してます(*^^*)

寂しい時間、皆さんで埋めていきましょうねー!
いつも応援、ありがとうございます!

Edit | Reply | 
NB  

か○さま

☆か○さま

こんばんは、初めまして!
NightCall、気に入って頂いてありがとうございますm(__)m♡
本当、チャンミンに看てもらってユノに治療されたら、心臓持たなくて逆に体調が危なそうですが……
それはそれで幸せかも♡

またお話頑張って書きますね。
後遺症半端ないですが、この胸の痛みも愛の証ですよね!
皆さんで乗りきりましょ~!

Edit | Reply | 
NB  

ちゃー○んさま

☆ちゃー○んさま

あ、変態会員証の提示ありがとうございます♡
やはりホコリかぶってましたか……
私も久々にPC引っ張り出したらホコリかぶってましたよ~。

冒頭二行で分かるとはさすが会員さまです♪
え!リアル体験されたのですか!
いやーん、二人ったら本当に罪なおとこですね(^.^)

エロシーン散々書いてきたので、マンネリしないかと若干不安なところですが(^_^;)
NBのことなんで、多分またそのうち、エッチなネタ思い付くと思います(笑)

本当、ぽっかり心に穴が空いた感じとは正にこのことだと思ってます。
二人が帰ってくるの、遠くから応援しながら待ちましょう!
少しでも楽しみを感じて貰えるよう、私も更新頑張ります!

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 
-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Edit | Reply | 

What's new?