Humanoid ~君のための一歩~ 8

  22, 2015 15:59


俺がもし本当に利口なロボットだったら、お前の望みを全て叶えられたかもしれない。
こんな風に傷付けることも無かっただろう。
だけど俺は完全なる人間で、醜い自分を隠し切れない。
お前に嫌われることを、こんなにも恐れているのに。

俺たちの間に出来た溝は埋まるのだろうか。
お前は、こんな俺でも愛し続けてくれるかな。

いつからこんなにも強欲になってしまったのか……
もう、思い出すこともできない。









CTに寝転んでいると、ヒチョルが呆れ顔で言った。

「おい、一体いつまでそうしてる気だ。また脳ミソ係でもやる気になったのか」
「いや……初心に返ろうと思ってさ」

目を閉じると甦る。
ロボットとして、ユノ・ユノとしてチャンミンと過ごしたあの日々。

「どうしてだろ。こうして此処に毎日寝てた頃は、チャンミンだけ見つめてられたのに……。今は余計なことばっか考えちまう」

俺の独り言を聞いて、ヒチョルが言った。

「ついさっき、お前が風呂に行っている間にチャンミンから電話があったぞ……」

チャンミンは今にも泣き出しそうな声で、ユノは来ていないかとヒチョルに聞いたらしい。
辛い思いをさせてしまったことを改めて自覚して、きりきりと心が痛んだ。

「正直に居ると答えたが、迎えに来ないのは………喧嘩したからか」
「…………」

俺の無言の肯定に、ヒチョルは溜め息をついた。
椅子をスライドさせてCTの側までやって来ると、俺を見下ろして言った。

「かなり貴重な休息時間だが……仕方無い。お前のために時間を割いてやろう。何があったか話せ」

相変わらず態度はでかいが、チャンミンのことを相談できるのはこいつしかしない。
俺はヒチョルに、今回のトラブルについて話した。



「どんな深刻なことかと思えば……ただの痴話喧嘩じゃないか」

俺の話を聞いたヒチョルは、ため息をついて言った。
痴話喧嘩なんて言葉で片付くような、そんな簡単なことじゃない。

「こっちは真剣に悩んでんだ。そういう言い方止めろよ」
「気持ちが離れた訳じゃなく、互いの束縛が原因とは……」
「だから、それが深刻なんだろ」

チャンミンに誰も寄せつけたくない。
そんな俺のエゴで縛り付けてしまえば、チャンミンはいつか離れて行ってしまうかも知れない。

「ユノ、お前達が今置かれている状況は、恋人の仲になれば誰もが経験することだ」

好意を抱いた相手と交際でき、初めは満足する。
しかし人間の欲というものは果しない。
今度は相手の全てが欲しくなり、相手の親しい人間を羨み妬んだりする。
そして受容できない部分が見えてくると、それを一度は拒絶して自分の理想を求める。

「……それでも共存したいと思えば、全て赦して受け入れる。それが、人を愛するということだ。お前らには、愛が足りないんじゃないのか?」

ヒチョルの意見には納得させられた。
独り占めしたいがためにチャンミンを不自由にしてしまったら、それは愛しているのではなくただ独占しているだけだ。
俺はチャンミンを不幸にしたい訳じゃない。

「もうひとつ良いことを教えてやる。これは統計で明らかになっていることだが……長く続いている夫婦の秘訣は、素直にありがとうとごめんを伝えることだそうだ」
「へぇ……」
「相手に対する感謝の気持ちと、自身を省みることを忘れるな。チャンミンの行動を否定する前に、まずは自分の行動を思い返すんだな」

俺はチャンミンの言葉を思い出した。

……――『ユノはそう思ってても、彼女はユノを好きかもしれないじゃないか。僕だって、誰かがユノに近寄ったら嫌だよ』

もし俺がチャンミンの立場だったら?
何処の誰かも分からない奴と毎日連絡を取られたら、かなり嫉妬するし不安になるだろう。
その相手が男でも女でも、チャンミンにその気が無いとしても。

間違っていたのは、俺の方だった……


「なんか……すっきりしたかも。サンキュ、ヒチョル」
「それは良かったな」
「つーかそこまで色々解ってて、何でお前が恋愛できねーのか不思議だ」
「俺が惹かれるのは他人の生様であって、自分のことに興味は無いんだ。ほっとけ」
「はいはい」



俺は再び目を閉じた。
桜の舞う季節、二人で過ごした記憶がふわりと浮かび上がってくる。
チャンミンだけを純粋に見つめていたあの頃の感覚が、戻ってきたような気がした。









◇◇◇



出来上がったのでUPします。
土曜まで待たずにすみません(^^;

人の忠告を素直に受け入れられる人っていいですよね。
理不尽な話は別ですけど。





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Comment 4

NB  

さえ○んさま

★さえ○んさま

こんにちは!
福岡では、どうもありがとうございましたm(._.)m
こちらであまりずらずら書かない方がいいかもですが、お会いできて本当に良かったです。

そして、毎度遅い返信すみません(*_*;

自分の非を認めるような人の助言って、時に受け入れがたいですが……
ユノは然るべき時に、それが出来る人であって欲しいです。
そう願っています(*^^*)

もうすぐ会えそうですが、その前にひと波乱……^_^;
すみませんがお付き合いください。

さすがさえ○んさま♡
NB、率先して隊長やりまーす!(笑)

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ちゃー○んさま

★ちゃー○んさま

いらっしゃいませ♡
毎度返信遅れてすみません((T_T))

そうですよね、人のことは割りと客観的に見れるんですよね(笑)
ふたりが、この課題を乗り越えてどのように変わるのか……
しっかり成長させてあげたいと思います!

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