Humanoid ~君のための一歩~ 6



昨晩、ユノが僕の家に泊まった。
普段はよく喋るのに、どこかぼんやりとして口数も少なくいつもと様子が違っていた。
寝る時は、おやすみと微笑んで抱き締めてくれたけど。
何か心配事でもあるのだろうか……

今日は珍しく定時で仕事が終わった。
僕は携帯を手に取るとユノに電話をかけた。
今夜は二人でゆっくり過ごそう。
もしユノが悩みを抱えているのなら、話を聞いて少しでも助けになりたいと思った。
しかしユノが出る気配はなく、暫くすると留守電に切り替わってしまった。
いつもならこの時間、ユノは仕事を終えているはずだ。
偶然出れなかっただけかもしれない。
後でもう一度電話することにして、僕は会社を出た。



家に着くと、テーブルの上にユノの携帯を見つけた。

「忘れていったのか……」

僕の家にあることに気付いていれば戻ってくるだろうが、もしかしたら知らずに探しているかも知れない。
しかし、届けに行こうにも居場所が解らない。
悩んでいると、ユノの携帯が着信を告げた。
ユノがかけてきたのかも……
そう思って、僕は何も考えずに携帯を手に取った。
ディスプレイに表示されていたのは、知らない女性の名前だった。
どうして良いか分からずただ携帯を持っていると、自動的に留守電へと切り替わった。

『……――もしもし、ユノ?今日はまだ、仕事終わらないのかな……。この間はありがとう。話せて良かった。また会いたいの。これ聞いたら電話くれる?待ってるわ……』

そこで録音は終わった。
女性特有の、高めで甘ったるい声が耳に残った。
僕の知らないところで、ユノはこの女性と関わっていた……?
ユノに限ってやましいことなど無いと思いたい。
けど会ったのも、女性に連絡先を教えているのも事実。
ユノを信用しなければいけなのに、ぽつりと落ちた一滴の不安はじわじわと広がり心を侵食してゆく。
僕は、震える手である操作を行った。
いけないと分かっていながら、つい着信履歴を見てしまった。

「そんな……」

ここ一週間程は、毎日連絡を取っていたようだ。
連絡を取っているのは大体夕方。
ユノが仕事を終え、僕と待ち合わせる迄の間だ。

「違う……。ユノは、そんなこと……」

僕は携帯をテーブルへ戻すと、家から飛び出した。
何も考えず、ただ歩き続けた。






久しぶりの風景を目の前に、僕はぼんやりと立ち尽くしていた。
ユノと付き合い始めてから、暫く訪れていなかったこの街。
何処か妖しげな雰囲気を放つ独特の空気を感じて、一瞬ユノを知らなかった以前の僕へ戻ったような気がした。

家を出た後、テミンから偶然電話があった。
近々会えないかという誘いの電話だったが、僕は今日会いたいと伝えた。
電話やメールで連絡は取っていたが、以前Humanoidの件で相談して以来会っていなかった。
悩んでいる時、特にユノが関わっている時は、いつもこうしてテミンを頼ってしまう。
僕が心から信頼できるのは、ユノとテミンだけだからだ。
テミンは僕を心配して了解してくれたが、今は店でバイト中らしい。
僕はテミンが勤めるバーへ向かうべく、街へ繰り出した。
教えられたバーへたどり着くと、重い扉を開けて中へ入った。
まだ人が疎らな店内で、テミンは料理を運んでいた。

「あ、ヒョン!」

僕に気づくと、テミンはにっこりと笑って手を振った。

「久しぶり。急にごめん」
「平気平気。そこ座って。カウンターなら、お酒出しながら話聞けるから」
「うん」

僕が席へ着くと、テミンは向かい側へ回り酒を作ってくれた。

「来る途中ナンパされなかった?」
「されないよ。何言ってんの」
「まぁ、まだ時間も早いしな……」

慣れた手付きでシェイカーを振りながら、テミンは言った。

「どうかしたの?今日会いたいなんて」
「…………」
「別に、無理に話さなくてもいいけど」

僕一人で悩んでいても解決しないだろう。
テミンに話して解決するとは限らないが、話さないよりはいい。
僕一人の見方ではなく、客観的な意見が欲しかった。
僕はテミンに、留守電の件を話した。



「どう思う……?」

テミンはしばし考え込んだ後、口を開いた。

「率直に言うけど……一般的に考えたら、それは浮気に走ってるね」
「……そっか……」
「でも……」

僕にカクテルを差し出し、テミンは続けた。

「あの人に限って、それは無さそうだけどなぁ」

テミンはユノとたった一度しか会ったことがない。
僕が不在だった時、ほんの少し話しただけの筈だ。
その一時だけで、テミンはユノの性格を把握したのだろうか。

「実は俺、ユノさんと二人で店で話したことがあって……」
「え……そうなのか?」

そんなこと、初めて聞いた。
掛け持ちをしているコンビニのバイトで偶然ユノと会い、一度だけ食事をしたらしい。

「ヒョンのこと教えろって、マジな顔で言われたよ。あの人、相当ヒョンのこと好きでしょ。他の女に釣られるとは思えない」

ユノに愛されているのは、一緒に居ればよく分かる。
僕は思った。
ユノは社交的で明るく、僕と正反対のタイプの人間だ。
今回知ったやり取りは、沢山の関わりの中の一部に過ぎないのかも知れない。
ユノにとっては、当たり前の日常なのかも……
ユノの気持ちが揺らぐ筈はない。
そんな風に自分に自信を持って堂々と構えていればいいのに、臆病な僕にはそれが難しかった。

「二人とも、お互いのプライベート知らな過ぎなんじゃない?」

確かに、今までは一緒に居れるだけで満足していた。
一度は生き別れて、もう二度と出会えなかったかも知れない。
そんな風に、僕らの関係の始まりは普通ではなかったから。
僕は心のもやもやを掻き消すように、カクテルを一気に飲み干した。









◇◇◇



雲行きが怪しくなってきました……
彼は世の中の男性の中で、浮気からいっちばん遠い位置にいらっしゃると思いますが!
夢見てるって言われちゃうかしら。
最近衛星放送で野王やってまして、も~ドフンのビジュアルにひぃひぃ言わされてます( ^∀^)♡


○今後のUPについて
 やはり周に一回のペースが良さそうです。
 そこでUPする曜日、時間とも予め決めてしまおうと思います。
 今後は毎週土曜、朝9時にUPします。
 コメント返信、イラストは不定期です。
 お見知り置き下さい(^^)





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6 Comments

NB  

さえ○んさま

★さえ○んさま

こんばんは♡
お子さんの体調大丈夫でしょうか……?
小さいときは風邪をひきやすいですもんね。
私は独り暮らしでたまに寂しくなりますが、TVを自由に見れるのはいいなと思ってます。
今度、フリーの時間にトンのDVD沢山見てくださいね!

気に入って頂いて嬉しいです。
私もHumanoidシリーズの出来は分からないですが……思い入れはあります。
二作品目でやっと思うように書けたというか……手応えがあったやような感じ。

すきだけじゃ終わらない、人間の欲深さ、醜さ……
ユノとチャンミンにはそれに打ち勝って欲しいです。
リアルの話も込みですが、人は誰でも悪い方向へ向かう性質があると思います。
だけど二人はいつも強く逞しく、正しい道を歩いてきたと思ってます。
だからきっと大丈夫です!
お互いの日常を知って、それを含めて愛せたら……本当に幸せだと思います。
二人を見守ってくださいね♡

リリイベ、私もレポを見てにやにやしとりましたー!
生で見たかった……゜゜(´O`)°゜

インフルエンザ、本当に流行ってて色々な地域で大変らしいですね。
お気遣いありがとうございます。
さえ○んさまも気を付けてくださいね。
そして元気いっぱいでコンに参加しましょ~d=(^o^)=b

※初めのほう、プライベートな内容込みなので色を変えました!

2015/01/22 (Thu) 20:04 | EDIT | REPLY |   

NB  

み○さま

★み○さま

今晩は~(*´ω`*)
ユノは果たして浮気をしているのか……?
ふふ、続きをご覧下さい。
土曜日の朝にって……早速約束を破って夜にUPしてしまいました。
すみませんっ(/_;)

リリイべ、どうでしたかー(^^)?
解りますよ、当たるだけで幸せだけど、もっと先を望んでしまうんですよね……!
今回のコンサートも、ひっそりと良い席を願っているNBです。
是非感想をお聞かせ下さい♡

連絡先、教えて頂きありがとうございます。
メールしますので、ご確認をよろしくお願いします。
お会い出できると思うとわくわくです(*^^*)
ツアーが楽しみですね♪

2015/01/17 (Sat) 19:34 | EDIT | REPLY |   

NB  

ちゃー○んさま

★ちゃー○んさま

今晩は♪
Humanid、ゆっくりとですが更新スタートです。

2人のすれ違い具合、これからエスカレートしてはらはらさせると思います。すいません(;_;)
UPの頻度、決めかねています。
暇があると書いてしまう。
でもいつも暇な訳でもないし……
不定期が一番いいのかな?
もう少し考えてみます。
体調お気遣い頂きありがとうございます。
更新頑張りますねー!

またお待ちしています(^^)♡

2015/01/17 (Sat) 19:08 | EDIT | REPLY |   

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2015/01/14 (Wed) 23:00 | EDIT | REPLY |   

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2015/01/11 (Sun) 11:24 | EDIT | REPLY |   

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2015/01/10 (Sat) 10:13 | EDIT | REPLY |   

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