僕のピアニッシモ ~Christmas melody~ 3

  23, 2014 19:07


















僕のピアニッシモ・表紙

















クリスマス会は夕方からで、学校が終わった後に向かっても十分間に合う時間だった。
屋敷へ向かう途中、ふわりと笑う先生を思い出すと無意識に歩く歩調が早くなった。
まだ一度しか会っていないが、先生の穏やかなところも、優しさが滲み出たような外見も好きだった。



屋敷のインターホンを押すと、扉が開いて先生が俺を迎え入れた。

「いらっしゃい。さぁ入って」
「お、お邪魔します」

中は見掛け通り、贅沢で綺麗な内装をしていた。
玄関は広く天井も高い。
案内された部屋は吹き抜けになっていて、とても開放的な空間だった。
真ん中にはきらりと黒く光るグランドピアノ。
部屋隅には大きなツリーが置いてあり、壁にも装飾が施してある。
ピアノの前に並んだ椅子には、もう既に生徒らしき人達が腰かけていた。

「好きなところに座ってね」
「はい」

暫くすると、参加者が全員集まった。
先生は、コホンと小さく咳払いをして言った。

「今日はお集まり頂きありがとうございます。ささやかですが、これからクリスマス会を始めたいと思います」

拍手が起こると、生徒は照れたように笑って小さく礼をした。

「ここで、ゲストを紹介しましょう」

先生がそう言うと、部屋の扉からサンタの格好をした年輩の男性と、頭にトナカイの角をつけた若めの男性が出てきた。
子供達はサンタサンタと騒ぎ、大人達はくすくすと笑っている。

「メリークリスマス!サンタクロースと」
「トナカイです」

サンタは髭で顔が半分が隠れているが、目や鼻の辺りが何となく先生に似ていると思った。
トナカイの角をつけた男性は、整った顔と愛嬌のある笑顔が印象的だった。
そこから生徒達の演奏の発表が始まり、合唱、先生の演奏といった順に会は進んだ。
ピアノのノウハウなんてよく知らないが、俺はやっぱり先生の演奏が好きだと思った。
当時のような哀愁を帯びた音色ではなく、柔らかくて穏やかな、幸せになるような音色だった。
先生はきっと、当時より今が幸せなのかもしれない。
演奏する横顔を見つめながら、俺はそんなことを考えた。
最後は皆でケーキを食べた。
先生はサンタ役の男性とトナカイ役の男性を連れて、それぞれの生徒の席へ回り話しかけていた。
俺のところへも話しかけに来てくれた。

「楽しい?」
「はい。お誘い頂き、ありがとうございました」
「良かった。ちょっと、紹介させて」

先生は俺に、小声でこっそりと教えた。

「僕の、父」

サンタの格好をした男性が、微笑みながら一礼した。
通りで顔が似ている訳だ。
俺も頭を下げた。
先生はトナカイ役の男性も紹介した。

「こっちは、バイトのユノ」

男性は、にっこりと笑うと俺に言った。

「ユノです。先生から話は聞いてました。受験勉強、頑張って」
「ありがとうございます」

ユノさんはクールな顔立ちをしているが、笑顔は柔らかく人当たりも良かった。
バイトは彼一人だけなのだろうか。
何故かそんな事が気になった。



クリスマス会が終わり、俺は生徒達とともに屋敷を後にした。
しかし、帰り道の途中で携帯を持っていないことに気づいた。
クリスマス会の最中携帯を出して撮影したのを思い出し、屋敷へ忘てきたのだと気付いた。
もう一度屋敷へ戻ると、門から年輩の男性が出てきた。
サンタの格好をしていた男性、先生の父親だ。

「あの……先程はありがとうございました」
「ああ、こちらこそ来てくれてありがとう。まさか、サンタになる日が来るとは思わなかったよ」
「もうお帰りですか?」
「ああ。仕事が忙しくてね。息子と貴重な時間を過ごせて幸せだった」

先生の父親は、腕の時計に目をやった。

「そろそろ行かなければ。良い夜を。メリークリスマス」

そう言うと、小走りで屋敷から去っていった。
本当に忙しいみたいだ。
居なくなるのを見送った時、丁度先生がドアを開けた。
手には俺の携帯を持っていた。

「良かった。今追いかけようと思ってたんだ。来てくれたんだね」
「はい。忘れてすみません」
「ううん。気付いて良かった」
「あの、先生今日は……」

その時、家の中から先生を呼ぶ声が聞こえてきた。

「ごめん。ユノが呼んでる」
「あ、はい……」
「またおいで。今日はありがとう」

そう言うと、先生はドアを閉めてしまった。
先生が素っ気ない訳じゃない。
俺達はまだ会って二度目なのだ。
溜め息をつくと、俺は門に向かって歩き出した。



最後、屋敷を振り返った時だった。
庭の茂った木々の中、わずかに覗く窓から家の中が見えた。
先生とバイトのユノさんが、楽しそうに笑いながら何か話していた。
二人の距離はだんだんと縮まり、最後には抱き合いながらキスをした。

「え…………」

俺は、手から携帯が滑り落ちたのにも気付かなかった。
キスは次第に深くなっていった。
唇を離した後、二人は見つめ合いながら幸せそうに笑った。
男同士なのに、その光景はなんだかとても綺麗で、まるでドラマのワンシーンのようだった。
立ち尽くしていると、先生を抱き締めて肩に顔を埋めたユノさんと窓越しに目があった。

「…………」

ユノさんは、先生を抱きしめたまま俺を見つめた。
そして、人差し指を口に当てながら静かに微笑んだ。
内緒だよ?
そう俺に語りかけるように。
俺は携帯を拾って手に握ると、駆け足で屋敷を後にした。






長い距離を何も考えずに走り続け、ようやく家の前についた。
はぁはぁと息を切らしながら膝に手を着いて、暫く下を向いていた。
先程の光景が甦る。
もう、くっきりと頭に焼き付いてしまった。
二人を見て納得したような、でも受け入れたくないような、複雑なこの想い。
ずきずきと痛む心に気付いて、俺は先生のことを好きなのだと知った。
これで良かったんだ。
気持ちが大きくなってしまう前に、事実を知ることができたのだから。
何も落ち込むことなんて……
目の奥がじんと疼くのにぐっと耐えて、俺は空を見上げた。

「あ……」

雪がふわふわと舞い降りてくる。
掌でそれを受け止めると、やがて水となって消えた。
いつか、この胸の痛みも癒える時が来るだろう。
綺麗に消えて無くなった、この雪の結晶のように……



「先生……メリークリスマス……」









◇◇◇



まずは皆様、一週間以上サイト放置してすみません(*_*)
こんな私の妄想作文を待っていて下さった方々、ありがとうございます!
コメント返せず、大変申し訳ありません。
クリスマス企画が終わったら返させて頂きたいと思います。
ルーズで本当にすみません……(;_;)

明日からの更新予定です↓

☆12/24 朝 僕のピアニッシモ ~Christmas melody~ 第4話
      夜 ROCK YOU ~Strawberry on the shortcake~ 第1話

☆12/25 朝 僕のピアニッシモ ~Christmas melody~ 第5話
      夜 ROCK YOU ~Strawberry on the shortcake~ 第2話

見てやるよーという方、宜しくお願いします♡

そういえば皆様、うぃずってますか?
私、気づいたらCD三枚買っとりましたよ……
順調に東方貧乏への道を辿っております。
今回は大人っぽい曲が多い気がします。
そして全部好きです。歌もダンスも最高。
彼らが歌えば、私は必ずそう言う気もしますが……
J-pop神起、めちゃ好きだと改めて思いました。
日本人でも難しそうな曲調を心を込めて想いが伝わるように、あんなにも自然に歌えるのは凄いです。
日本語を完全に自分のものにしてます。
テレビ出演も決まりましたね。
本当に楽しみです(*^^*)♡





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Comment 3

NB  

ゆか○ろうさま

★ゆかたろうさま、

こんばんは~♪
いつもありがとうございます♡

ピアニッシモの続編、オトナな感じに仕上げてみました。
ミンホ君、いつか恋人を連れて二人に会いに来ることでしょう。

WITHのボーナストラック。はいはい、Christmas is comingだっけか……
あれ、私もすごーく好きです!
トンの曲は英語ばかりなので私もちゃんと名前を覚えられません……(笑)
あの囁き声、さいこうですよね(〃ω〃)
イヤホンで大音量で聴きながら、はぁーって毎回ため息です~♡

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ゆかたろう  

わあお!NBさん こんばんは!
ピアニッシモ の続編 ありがっとごじゃりますぅ!
クリスマスのふたりが オトナなイチャイチャで
なんか イイね 嬉しい!
ミンホ君も ミンの事は早く忘れて
新しい 彼氏 見つけて下さい (笑)
WITH! ボーナストラックの Xmas … の歌 (覚えとけ!)
めちゃくちゃ良くないですか ⁉︎
もう 耳元で ユノが ミンが アタシの為に
ささやき声で 歌ってくれてるよぅ~♡
しゅき~♡

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