僕のピアニッシモ ~Christmas melody~ 1

  22, 2014 07:43


















僕のピアニッシモ・表紙

















大学受験が間近に迫っていた、高校三年の冬。
俺は勉強の息抜きをしようと、昔住んでいた町をふらりと訪れた。
変わったもの、変わらないもの。
それらを目にする度、懐かしさや新鮮さを感じながら歩いていた。
そして、ある建物の前で立ち止まった。

「幽霊屋敷……」

目の前に建つ大きな家を見て、俺は呟いた。
この屋敷を、昔友人たちは幽霊屋敷と呼んでいた。
屋敷はひっそりとして人影も見えないのに、よくピアノの音色が聞こえてきたからだ。
あのピアノは幽霊が演奏してるのだと、友人は真剣な顔をして語っていた。
だけど俺は、綺麗で儚げなそのピアノの音色を気に入っていた。
暫くしてから、幽霊屋敷からピアノの音色は聞こえなくなってしまったが。
それが11年前、俺が小学生になったばかりの頃の話だ。



屋敷の外観は昔と何も変わっていないが、門の前に“Welcome”と書かれたアンティーク仕様の札がかけられていた。
屋敷の中からは、拙いピアノの音が聞こえてくる。
耳を澄ましてみたが、昔よく聞いたあの音色ではなかった。
程無くしてピアノの音は止み、門から男性と小学生くらいの子供が出てきた。

「またね。気を付けて帰るんだよ」
「うん!さよなら、先生」

子供は手提げ袋にテキストらしき冊子を入れている。
にこにこと笑う子供の頭を、男性は優しく撫でた。
子供は嬉しそうに笑うと、小走りで帰っていった。

そうか、ここは……

「ピアノ教室か」

そう呟くと、男性は俺を見た。
男にしては綺麗な顔をしていると思った。
男性はにっこりと微笑みながら言った。

「こんばんは。寒いですね」
「そうですね……」



クリスマスが数日後に迫った、ある冬の日のことだった。









◇◇◇



本日から四日間クリスマス小説UPします。
色々書きたいことありますが、とりあえずUPのみ!





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