ROCK YOU 20.5

















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「ユノさん、ごめんって……」

チャンミンはかれこれ一時間近く、俺に謝り続けている。
俺のダメージがあまりにも強いため、責任感を感じたチャンミンは急遽バイトを休んだ。

「この通り」

何を言っても無反応の俺に、チャンミンが頭を下げた。
謝られてすっきりするとか、そういう問題じゃない。
今はミナにサイテーと言われた事がショックで、何も考えられない。
抱えていたクッションに顔を埋めると、チャンミンがボソリと呟いた。

「もう……。知られるのなんて、遅いか早いかの違いじゃん」

その言葉にカチンときた。
胸ぐらをつかんで睨み付けると、俺は低い声で言った。

「チャンミン、俺がどんな思いでお前と付き合うって決めたか知ってるだろ。知らねぇ訳ないよな?只でさえいっぱいいっぱいなのに、気持ちの準備も出来てない時にミナに知られてしかもキスしてっとこまで見られて、サイテーと言われた俺の気持ちを考えてみろ。さっきの言葉言えるんならもう一回言ってみ?聞いてやるよほら。ん?」
「すいません。もう言いませんごめんなさい」
「……解ったならよし」

掴んでいた襟を離すと、チャンミンは硬直していた顔を緩めた。
拗ねたように唇を尖らせて、チャンミンはぼそりと呟いた。

「いつもの可愛いユノさんじゃない」
「知るか」

チャンミンはふと黙りこんだ。
こっそり横顔を窺うと、真剣な顔つきをしていて何かを考えている様だった。
暫し沈黙が続いた後、チャンミンが言った。

「ユノさんの気持ち……俺もちゃんと考えてます。今は凄く辛いと思う。だけど……ミナちゃんとちゃんと話した方がいい。今から、会いに行きましょう」

そんなの無理だ。
少し前にサイテーと言われたばかりなのに、また何か言われたら今度こそ本当に立ち直れない。

「今は無理」
「でも、それならいつ行くんですか」
「…………」
「このまま会うのを避けていたら、どんどん話しづらくなる」
「それは、そうだけど……」
「行こう、ユノさん。ミナちゃんのためにも」

チャンミンの言っていることは、正しいと思った。
先伸ばしにしたら、ミナも俺もチャンミンも余計辛くなるだろう。
この問題からは逃げられないのなら、知られてしまった今こそ覚悟を決めて、向き合うべきなのかもしれない。
ミナに真実を告げる日は、いつかは必ず来る筈だった。
それが、今日なんだ。







夜になると、俺たちはミナのアパートへ向かった。
インターホンを押したが、ミナは出てこなかった。
留守にしているか、または俺達を避けて出てこないのか……
一向に反応が無いので、一先ず引き返す事にした。
丁度その時、アパート前に停車した車からミナが出てくるのを見つけた。
去っていく車の運転席には、友達らしき女の子が居る。
手を振って見送った後、振り返ったミナの目は、泣き腫らしたように赤かった。

「……お兄ちゃん」

ミナは俺達に気づいて立ち止まると、直ぐに背中を向けた。

「ミナ……」
「私に……話?」
「……ああ」

ミナは何も言わずに歩き出した。
ゆっくりとした足取りに導かれるように、俺達はミナの後を着いていった。
数分歩くと、近くの小さな公園に辿り着いた。
公園を取り囲む木々が夜風に揺れ、少し肌寒い空気が俺達の間を通り抜けてゆく。
同時に、ミナの長い髪がふわりと風に乗って流れた。
ミナは背中を向けたまま、感情のこもらない平淡な声色で言った。

「私……二人の事許さないから。お兄ちゃんとは、兄弟の縁を切るわ」

頭が真っ白になった。
ミナ、そんな事本気で言ってるのか?

「……なーんてね」
「え……」

振り返ったミナは、穏やかな顔をしていた。

「冗談よ。何しに来たの?付き合う了承でも貰いに来た?」
「…………」
「私には関係ないわ。二人が想い合ってるのにどうする事も出来ないもの」
「ミナちゃん……」

しかしチャンミンがミナの名前を呼んだ途端、ミナはたちまち泣き顔になり、ぽろぽろと涙をこぼした。

「私っ……チャンミンが好き……」
「うん……」
「でもお兄ちゃんも……凄く大事」

涙を拭いながら、小さな肩を震わせてミナは話し続けた。

「二人が同時に離れてくの、凄く辛い。大切な人を、同時に二人も失ったのよ……」
「……ごめん、ミナちゃん」
「謝って欲しいんじゃないわ。私をこんなに傷付けたんだから……絶対幸せになってよね。じゃないと、許さないから」
「解った。必ず……幸せになるよ」

微笑んだミナの瞳から、また一粒涙が流れた。
お前は優しい子だ。優しくて強い。
知らぬ間にこんなに成長して、立派な大人になっていたんだな。
けどお前は、いつになっても可愛い俺の大事な宝物だ。
これからだって、ずっと変わらない。

「離れたりなんてしない。お前から、離れられる訳ないよ……ミナ」
「約束よ……?お兄ちゃん」
「ああ」

ミナを力一杯抱き締めると、ミナも俺を抱き返した。
チャンミンは、照れ臭そうに鼻を擦ると空を見上げた。
真ん丸い大きな月だけが、俺達を見守っていた。









◇◇◇


ミナちゃんいいこ過ぎますね。
現実はこうもいかないでしょうが……
BLに優しいNBワールドですから。ふふ。

次回最終回です。





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