Humanoid ~君のための一歩~ 1



「主任、正社員にならせてくれませんか」

僕の言葉に主任は驚いた顔をした。
今まで散々断ってきたのに、一体どんな風の吹きまわしだと思ったかもしれない。
だけど、主任は僕の肩を叩いて笑ってくれた。

「ようやくやる気になったか。お前は仕事ができるのに勿体無いと思ってたんだ。しっかりやれよ」
「あ、ありがとうございますっ」

正社員になろうと思ったのは、ユノの存在が大きかった。
幸せになる事を諦めかけていた人生にユノという光を見つけ、もっと真面目に前を向いて歩いてみようと思った。
ユノはいつも輝いている。
見かけは勿論格好いいけど、内から感じられる魅力がある。
飾らず、素直で誠実。
きっとユノを嫌いになる人間なんて居ないだろう。
そんなユノの恋人になったのだから、少しでもユノに恥じない生き方がしたい、ユノに近付きたい。
そう思うようになった。
とりあえず2ヶ月ほど放置していた髪を切って、色を少し明るくした。
髪を切った帰りに、今まで着なかったようなタイプの服も買ってみた。
見た目を変えたところで生まれ変われる訳じゃない。
そんな事は解っているが、変わるためのきっかけのひとつとして、こういう事も大事だと思う。






週末。
仕事を終えた頃、ユノから着信が入った。

『よう。仕事終わった?』
「今会社出たとこ」
『後ろ向いてみ』
「……うわっ」

周囲の雑音で気付かなかった。
ユノが直ぐ後ろで、携帯を持ちながら話していた。
驚いた僕を見て、ユノはイタズラっ子のようにけらけらと笑った。

「もう、びっくりした」
「今日午後休だったから、迎えに来た」
「ありがとう。わざわざ」
「俺が会いたくて来たから気にすんな」

ユノのストレートな言葉にはまだ慣れない。
照れて赤面した僕を、ユノはまじまじと見つめた。

「チャンミン、髪型変えただろ」
「うん、ちょっと」
「いいじゃん。よく似合ってる」

ちゃんと気づいてくれた。
単純だけど、ユノに誉めて貰えるのが一番嬉しい。
思わず頬が緩んだ。



明日から連休なので、僕の部屋に泊まることになった。
帰りの車の中、ユノは車を運転しながら僕に聞いた。

「やっぱり雰囲気変わったよな……。なんかあった?」

正直に言っていいだろうか。
重いとか思われませんように。

「……ユノが、格好いから……その、隣に並んでもちゃんと大丈夫なようにしたくて」
「それ……俺のためってこと?」

恥ずかしさで顔が熱くなる。
ユノの顔が見れず、俯いたまま僕はこくりと頷いた。
ユノは無言のままだったが、進む予定のない路地に入ると道路脇に車を停止させた。
シートベルトを外すと、ユノは僕の肩を掴み顔を近づけてきた。
反射的に目を瞑った後、唇が柔らかい感触に覆われた。
キスをされたんだと解った。

「あふっ……ん……」

熱い舌が入ってきて、僕の口内をかき回す。
辺りは暗いので車内は見え難いだろうが、近くを人が通ったら確実に気付かれてしまう。
もし誰かに見られたらと不安に思ったが、本気で抵抗する事は出来なかった。
ユノは唇を離しすと、熱っぽい瞳で僕を見つめた。

「お前って……ほんと」

またキスをしようとするから、僕はユノの唇に指をぴたりと押し付けた。

「だめだってば」
「ちぇー」
「後は家に帰ってから」
「よし。じゃあ早く帰ろうぜ」

ユノのためだと言った事が、相当嬉かったらしい。
運転中、隙があると僕の手を握ってくるのが可愛かった。
アパートへ着くと僕らはそのままベッドへ滑り込み、朝まで動かなかった。






目を開くと、視界に紙面を眺めているユノが映った。

「ユノ」
「おはよ、チャンミン」

僕が起きたのに気付くと、ベッドへ寄ってきて優しくキスをしてくれる。
手には内定書を持っていた。

「ごめんな。これ、テーブルに置いてあったから勝手に見た」
「僕こそ言わなくてごめん。ちゃんと会った時に言おうと思って」
「いいよ。就職おめでとう」
「ありがとう」

僕はユノに、自分から希望して正社員になった事を話した。
今まで性癖にコンプレックスを持ち、正社員になる誘いを断り続けていた事も。

「そうだったのか……」

何か考えるようにして暫し黙り込んでから、ユノは僕に聞いた。

「俺、迎えに行くの止めた方がいいか?見られたら嫌だろ」

不安が無いといったら嘘だ。
でも、世間体を守るために迎えに来ないでと断るなんて寂しい。
僕がこうして前を向けたのは、ユノが居たからなのに。
ユノはどう思っているのだろう。
気になったので聞いてみた。

「ユノは……僕との事、知られたらどう思う」
「んー、別に何も思わないかも。普通に恋人を紹介する感じ」
「そうなんだ」
「うしろめたい事もないしな。チャンミンが好きで一緒にいる。それだけだ」

その言葉を聞いてユノ・ユノとして過ごしていた頃に、ゲイだとカミングアウトした時の事を思い出した。
ユノは広い心で僕を受け入れてくれたけど、その姿勢は自分自身に対しても同じなのだろう。
男同士でも、好きで付き合っているのだから胸を張れる。
人の目を気にしてしまう僕はやっぱり弱い。
黙ってしまった僕の肩を、ユノは優しく抱いた。

「別に俺に合わせなくてもいいから。お前はお前だし」
「ありがと……」

優しい言葉に泣きたくなる。
ユノはほんとうに、僕に勿体無いくらい魅力的な男だと思う。
だけどもう決めたんだ。
ユノの手は何があっても離さないと。
僕はユノの首に腕を巻き付けると、唇を押し付けた。

「ユノ……好き、大好き」
「どうしたんだよ、チャンミン」

突然の行動に、ユノは戸惑っているみたいだ。
だけど、今の僕にできる事は言葉と行動でユノに想いをちゃんと伝える事。これくらいだから。

「思った事言っただけ」
「こんな事されっと、また離してやれなくなるけど……」
「いい。好きにして……?」
「こんにゃろっ」
「やっん……」

抱き合ったままベッドへ沈むと、ユノの匂いに包まれた。
幸せそうな顔が降ってきて、僕は再び目を閉じた。



数ヵ月前はあんなに暗い生活をしていたのに、今はこんなに幸せなんてバチが当たりそうだ。
臆病な僕は、やっぱりそんな事を考えてしまう。

ああ、僕もユノみたいに強くなれればいいのに……









◇◇◇



あにょん、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
小説に沢山の拍手、素敵なコメントありがとうございます。
私はティアモの流出写真見てニヤニヤしてますよー。
あれは間違いなく買いですね。
でかいアラサー男がデートしててこんなに萌えるってスゴイ奇跡だと思いませんか?

そして小説はまたミンホ→ホミンの流れです。
もうこの流れ定着しそうな感じだな……
数少ない当サイトのミンホファンの皆さんミヤネなさい(;_;)
Humanoidのユノは、完璧に私の理想はち切れそうなほど詰め込んでます。
こんな彼氏がほしいって感じで。
もちろん一番はホミン萌えですけどね!
あと、友達からオルアバを借りたのでその感想も書きたいです。
それはまたいつか……(^^)





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4 Comments

NB  

ちゃ〇さま

★ちゃ〇さま

いきなりのエロすいません、書いてないけど……
こんにゃろうってのも、なんか……ゲロ甘ですね。スイマセン(笑)
本当に毎日暑くて、ホミン不足だし干からびそうですよね。

寂しいですが、その分妄想爆発状態です。しぶとい私……
よろしかったらお付き合いください(´・ω・`)

2014/07/28 (Mon) 00:09 | EDIT | REPLY |   

NB  

ゆか〇ろうさま

★ゆか〇ろうさま

コメありがとうございます(^^)
Humanoidの2人はすごくラブラブさせちゃうと思います。
どうぞご期待下さいませ~♪

2014/07/28 (Mon) 00:05 | EDIT | REPLY |   

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管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2014/07/24 (Thu) 21:49 | EDIT | REPLY |   

ゆかたろう  

始まりましたねえ!
2人の いちゃいちゃ♡ 楽しみにしてます!
思う存分 あんなこと こんなこと しちゃって下さい!

2014/07/24 (Thu) 06:27 | EDIT | REPLY |   

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